読書がしたい障がい者の方に。読書バリアフリーとは?
読書がしたい障がい者の方に。読書バリアフリーとは?
読書がしたいけれど、なかなか外出できない。障がいをサポートしてくれる機能がない、とお困りではないでしょうか。
近年、図書館で電子書籍や点字の本が増えていたり、外出が難しい方のために郵送やインターネット上で貸し出しができるようになってきています。このような取り組みを「読書バリアフリー」と言います。読書バリアフリーについて詳しくご説明します。
読書バリアフリーとは?
障がいの特性によって、読書はとてもハードルの高いことになることがあります。そのような困難を解消し、すべての人が読書を楽しめるよう2019年に読書バリアフリー法が成立しました。
読書バリアフリー法の成立
読書バリアフリーは法律によっても定まっています。「読書バリアフリー法」といいます。
読書バリアフリー法は、障がいに関わらず、すべての人が読書を楽しめるように定めた法律です。
正式名称は「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」。
これにより、国として、電子書籍の貸し出しや販促の促進、読書のための機器や端末の整備や技術の研究などの取り組みが少しずつ進められるようになりました。
読書バリアフリーが必要なのはすべての障がい者
読書に困難を感じるのは視覚がいの方ばかりではありません。
文字が歪んだり反転して見えたり、文字と音を結びつけるのが難しいというディスレクシア(読字障がい)の方や、脳性まひなどの「不随意運動」で意図せず体が動いてしまい、本をめくるのが難しかったり、破いてしまうという方もいます。
電子書籍や音声での読み上げ機能を使ったり、介助者のサポートで読むことは可能ですが、「電子書籍化・点字化されている本」「介助者がいるとき」などに限定されるため、好きなときに好きな本を読むということはむずかしいのが現状です。
読書バリアフリーの課題
まだまだ世界的に見て、日本で読書バリアフリーは始まったばかりです。利用可能なサポートサービスが増えていますが、課題も抱えています。そのひとつが、「電子書籍」です。
障がい者の方も、外出がむずかしい方も、どこにいても読書がしやすい電子書籍。一般社団法人「電子出版制作・流通協議会」によると、全国の公共図書館のうち、約3割の自治体で、415館が電子図書館を導入しています。
けれど、まだ電子書籍等の蔵書は海外にくらべると非常に少ないです。
電子書籍をすぐに増やせない原因の一つは、「翻訳に時間がかかる」こと。
人や物の場合、正しい読み方を調べ、図表はわかりやすく説明する必要があるからです。小説の翻訳は数か月、図表の多い本や専門書だと1年以上かかることもあります。
図書館で利用可能な障がい者向け読書サービスは?
電子書籍という課題はありますが、いま公立図書館では読書バリアフリーのために、障がい者のサポートサービスを提供しています。また、視覚障がい者に向けたインターネット図書館もできました。気になる方はぜひご参考ください。
貸出・郵送サービス
公共図書館の多くで、肢体不自由の方や視覚障がい者に向けて、郵送サービスをおこなっています。点字や録音資料の郵送料は無料です。
対象は手帳をもっており、等級は1・2級とする場合が多いです。けれど図書館によって異なりますので、気になる方はお近くの図書館に問い合わせてみてください。
対面朗読サービス
対面朗読サービスとは、目の代わりに朗読者が直接読み上げるサービスです。
必要な部分だけを繰り返して読んだり、わからない部分をその場で質問したりできるメリットがあります。
1対1で直接会っておこなうこともあれば、短いものは電話で対応してくれる図書館もあります。
読書をサポートする機器の利用
読書を支援する機器を利用できる図書館もあります。
機器の使い方も教えてくれます。
- 文字を拡大して表示する「拡大読書器」
- 音声DAISYなどを再生するための「DAISY再生機」
視覚障がい者向けの電子図書館
「サピエ図書館」という、視覚障害者や目で文字を読むことが難しい方を対象としたインターネット上の図書館もあります。
全国視覚障害者情報提供施設協会が運営しています。
利用登録が必要となりますが、点字データ約25万タイトル、音声デイジーデータ約12万タイトルをダウンロードできたり、点字図書や録音図書の貸し出しを図書館に依頼することもできます。
https://www.sapie.or.jp/cgi-bin/CN1WWW
まとめ
読書バリアフリー法という、すべての人にとって読書を好きな時にできるような環境整備が始まりました。蔵書数が足りないという課題もありますが、公立図書館やインターネット上では様々なサービスがあり、図書の電子、点字、音声への翻訳も少しずつ進められています。気になる方はお近くの図書館に問い合わせてみてください。
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参考