過労死に繋がる危険も…発達障がいの過集中への対策
発達障がいの特性のひとつである「過集中」。作業に集中し出すといつのまにか多くの時間が経っている。集中が切れたときにドッと疲れる。寝ることも食べることも忘れるため、過労死が心配になる方もいるのではないでしょうか。
過労死のラインや過労が引き起こす病、発達障がいによる過集中への対策をご紹介します。
過労が引き起こす病…過労死のラインは?
厚生労働省が公表している過労死のラインは、
- 発症前1か月に100時間以上の時間外労働
- 発症前2~6か月に1か月平均80時間以上の時間外労働
となっています。
過労死のライン
厚生労働省の過労死ラインをもとに計算すると、月20日働く場合、「1日4時間以上の時間外労働」があると過労死ラインに達します。
法定労働時間は1日8時間なので、つまり8+4=12時間以上働きつづけると、過労死が心配されます。
ただ、これは健常者の過労死ラインです。健常者は休憩がとれていなくても、脳が集中をやめて休む時間はあるでしょう。
食事やトイレも忘れて過集中できる発達障がい者はもっと深刻です。
過労が引き起こす病
まず過労が引き起こす病で最も多いのは、睡眠障がいです。
- パソコンなどブルーライトを浴び続け、脳が覚醒し、夜になっても眠れない
- リベンジ夜更かしをして睡眠時間を確保できない
などが原因になります。
リベンジ夜更かしとは、発達障がいの方に多く見られるものであり、夜更かしして好きなことをして日中のストレスを発散しようとすることです。
リベンジ夜更かしについて詳しくはコチラ
発達障がいには睡眠障がいが多い?睡眠障がいへの対策は?
そして、睡眠不足が思わぬ事故に繋がったり、生活習慣病や、突然死もあり得る病気を招いたりします。
過労死の代表的な原因
まず睡眠障がいから体調が崩れていき、過労死する可能性が高くなることがわかっています。
過労死する原因は、
脳血管疾患 34.6%
心疾患 31.5%
というデータがあります。
心疾患は「突然死」を起こすものがあり、30代の若い世代でも、突然死の原因の5割以上が心不全です。
長時間同じ姿勢を続けることで、身体の血流が悪くなり、心臓に送る酸素がへって、心筋梗塞を起こしやすくなります。
過労死の原因には自殺も多いですが、「好きなことをしているから死なない」わけではありません。このように睡眠障害から始まって重い病気になることがあるので、過集中にはしっかり対策をとる必要があります。
過労死を防ぐためにしておくべき!発達障がいの過集中の対策は?
突然死もあり得る過労。心不全の前兆は、体の部位が痛くなったり、息切れやめまいなどがあったりします。ただの胃痛だと勘違いして作業を続ける、集中しすぎて痛みを放置するなどして、前兆を見過ごす危険があります。
過労死をふせぐためにしておくべき、発達障がいの過集中への対策をご紹介します。
お菓子やお茶を目に見えるところに置いておく
過集中で体調を崩すひとつの要因は、集中している間ずっと食事や水分をとらないことです。必要な食事や水分をとらないと、血流が悪くなります。
身体が栄養や水分不足にならないように、目の見えるところに軽食や飲料を置いておきましょう。集中すると視界が狭まり、近くに置いたことも忘れてしまうので、目に見えるところに置くことがポイントです。
雑音が入る環境で仕事する
在宅勤務がふえて、好きな音楽をかけたり、雑音をシャットアウトしたりして、仕事しやすい環境をつくった方も多いのではないでしょうか。
過集中はオンとオフの切り替えもむずかしくします。自宅を過集中できる環境にすると、休みや仕事終わりでも身体が休まらないことが起きやすくなります。
あえて雑音が少し入る環境で仕事をして、過集中をへらすようにしましょう。
タイマーアプリを使用する
タイマーアプリを使用して、時間ごとにアラームをかけ、集中時間と休憩時間をつくりましょう。
時間管理術には、「ポモドーロ・テクニック」というものがあります。
2.分割したタスクを25分間集中しておこなう
3.5分休憩をとる
25分集中、5分休憩を繰り返す方法です。
こまめに休憩をとるので、過集中したあとのような疲れをふせぐことができます。
タイマーアプリには以下のようなものがありますので、ぜひ活用してみてください!
睡眠をしっかりとる
過労死するような病は、睡眠不足が大きな要因となっています。
過集中をしっかりオフにして、質の高い睡眠をとるためには、
- 就寝1時間前はブルーライトを見ない
- 就寝前に食事や飲酒をしない
- 午後はカフェインをとらない
- 寝るための部屋をつくる
以上が重要です。
どうしてもスマホを寝る前に触ってしまう方は、依存症対策アプリを活用しましょう。
または読書や勉強、ヨガなど、画面を見ない趣味を見つけ、就寝前におこなう習慣をつけると、やりたいことができない「リベンジ夜更かし」をふせぐこともできます。
まとめ
発達障がいの過集中は「仕事に集中できる」というメリットはありますが、身体に悪影響をあたえる危険もあります。
過労による病は、睡眠障がいが多く挙げられます。そして睡眠障がいから、体調が崩れたり、命に関わる重い病気になったりします。
過集中をへらして、質の良い睡眠をとり、体調を崩さないように気をつけましょう。
参考