2022.06.10

発達障がい者が働く前に身につけておきたい大事なこと!

発達障がい者が身につけたいストレス耐性

発達障がい者が働く前に身につけておきたい大事なこと!

 

仕事をやめる理由は何でしょうか?職場に気の合わない人がいる、仕事内容に不満など、さまざまな悩みやストレスを感じて退職されているでしょう。特に発達障がい者は人間関係にストレスや悩みを抱えやすく、適職が見つかっても転職してしまうことも。しかし、人間関係や仕事のストレスはどこにいってもあります。なので、自分の能力を高めることが肝心です。それはPCスキルやコミュニケーションスキルだけではありません。発達障がい者が長く働き続けるために大事なことをご紹介します。

 

ストレス耐性を高めることが最も大事

発達障がい者は一般の人よりも常にストレスにさらされています。人間のストレスの原因には、

①化学物質を吸うなど化学的な要因
②細菌感染、ウイルスなど生物学的な要因
③騒音や振動など、物理的な要因
④人とのコミュニケーションなど社会的な要因

の4つが挙げられますが、とくに発達障がい者は③や④にストレスを強く感じます。③は「感覚過敏」により、ストレスを感じやすくなっています。

ストレスが多い現代社会。その中で発達障がい者は一般の方よりも多くストレスを感じており、ストレスへの耐性が弱くなっています。ストレスを抱えたまま「うつ病」になったり、まわりにキレてしまったりする方もいるでしょう。そのため、ストレスを適切に処理する力が、働く上で欠かせないものになります。

 

アンガーマネジメントを身につける

発達障がい者がパニックになったり、キレやすいといわれている理由は大きく二つあります。

 

①快か不快かで、物事を判断する傾向が強い

②規則がわかっても、なぜそうするのかを理解できないと行動できない

 

とくに2点の理由が当てはまる方は、普通に意見を言っているつもりでも、まわりには「キレている」「キレやすい」と思われることがあります。

しかし、キレやすい人だとまわりに認識されると、仕事がしづらくなります。人間関係にもヒビが入り、退職につながることも。このような事態をふせぐために、アンガーマネジメントを身につけましょう。

発達障がい者のアンガーマネジメントのプロセス
1.何に対してストレスを感じ、そのストレスに、自分はどのように反応したかを知る

  例:上司に○○しろ、と指示されたが、○○する意味がわからないと抗議した

2.そのストレスに対して、なぜ、そのような考え方や反応をしたのかを理解する

  例:○○をしなくても△△をする方が効率的だと思ったから

3.自分の特性を理解し、その考え方や反応を変えなくてはいけない理由を見つける

  例:それをおこなう理由がわからないと怒りを感じる。しかし、意味がわからないと怒っても、業務は改善しない。

4.適切な反応(適切な怒りの表現方法)を学ぶ

  例:感情を出す前に、冷静に、△△する方が効率的ではないかと提案する

5.そのストレスに適切な反応ができるように練習する

6.適切な反応を定着させる

 

規則正しい生活を心がける

ストレスへの反応をへらすには、「睡眠」「食事」「運動」をしっかりおこなうことが重要です。

ADHDの特性として、「衝動性」があり、つい食べ過ぎたり、睡眠時間を削って好きなことをしてしまったりします。

また日常のストレスを解消するために、夜更かしをして好きなことをしてしまう「リベンジ夜更かし」というものがあります。発達障がいの方はとくに「リベンジ夜更かし」をしてしまいがちです。

リベンジ夜更かしをした翌日は、仕事のミスがふえたり、イライラしたりしませんか?

ストレスの解消には「質の高い睡眠」が効果的です。睡眠の質を高めるためにも、適切な食事や運動をして、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

 

 

認知のゆがみを治す

ストレスをコントロールしたり、なくしたりすることのほかに、ストレスを適切に処理する「ストレスコーピング」の技術を身につけておくことも、発達障がい者が社会で生きるなかで大切なことです。

ストレスコーピングを身につけるには、「認知のゆがみを治すこと」が必要になります。

たとえば同じ環境にいる二人が、同じような「嫌なこと」が起こっても、とくに気にならない人と、目の前のことが手につかないぐらい落ち込んだりイラついたりする人がいます。

これは認知(物事の受け取り方・考え方)による違いになります。

発達障がい者の方は、たとえば上司に叱られるなど、怖いこと、嫌なこと、不快なことに、過敏に反応してしまう傾向があります。

過敏に反応してしまうのは、

・「過去に傷ついた体験」が影響している

・「0か100か」という極端な思考をしてしまう

ことが考えられます。

しかし、過去に傷ついた体験と同じ結果が起きるとは限りません。また0か100かという極端な思考をすると、「認知のゆがみ」が起こります。

認知のゆがみをなくすために、「認知行動療法」が用いられます。

認知行動療法のプロセス
①事実と感情を分ける

②妄想を手放し現実的に考える

③考えのゆがみを発見する

④ゆがみを矯正する

認知行動療法は、以下の場所で受けられます。

・一部の病院の精神科や心療内科

・一部の就労移行支援事業所

 

 

日記をつける

自分でもできる「認知のゆがみを直す方法」として、おすすめするのは「日記をつけること」です。

・今日起きたことを書く

・そのときの考えや感情を書く

・日を置いて日記の内容を振り返る

今日起きた事実と、そのときの考えや感情を別に書き、怒りや悩みが落ち着いたときに見返すと、認知のゆがみに気づきやすくなります。

日記サンプル
〇月□日

①今日の出来事
仕事で小さなミスが続いている。普段温厚な上司にも「ちょっと気をつけようね」とやさしく注意された。まわりもどこかよそよそしい。

②そのときの感情、考え方
もしかしたら裏でみんなが「あいつはダメなやつだ」と思っているかもしれない。上司にも嫌われてしまったかもしれない。
自分はだめなやつだ。小さなミスをしないようにチェックをたくさんしているはずだが、量が多くてパニックになってしまう。今の仕事内容は向いていないのかもしれない。

③振り返り
仕事のミスは自分だけではないし、上司は理解がある人だ。仕事の量が多すぎてミスが起こっているのかもしれない。だめなやつだと思われたくなくて、つい仕事を受けすぎているところもある。
業務量をへらしたり、まわりにもう少し頼った方がいいかもしれない。

 

 

まとめ

発達障がい者は特性や過去の経験から、認知のゆがみが起きていたり、ストレス耐性が弱くなっています。ワードスキルやコミュニケーションスキルを身につけることも欠かせませんが、認知のゆがみを治すこと、ストレス耐性を強くすることも、長く働き続けるためにとても重要です。

アンガーマネジメント、ストレスコーピング、規則正しい生活を送るなどストレスに対処していきましょう。

参考

Amazon - 発達障がいのあなたが職場で長く働く方法 | 岳, 木津谷 |本 | 通販

ストレス科学研究30巻 発達障がい者が社会適応を高めるためには

 

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