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手を洗いすぎ…潔癖症と強迫性障がいの違いは?どのぐらいになったら病院を受診するべき?
手を洗いすぎ…潔癖症と強迫性障がいの違いは?どのぐらいになったら病院を受診するべき?
消毒をしなければいけない状況も少し落ち着いてきて、周りはどんどん消毒をしなくなってきたにも関わらず、「消毒がやめられない」「人との接触がとてもイヤだと思う」という方。潔癖症ではなく、何か障がいなのでは、と感じていないでしょうか。
潔癖症と強迫性障がいは似ているところがあり、ときどき潔癖障がいと言われ、一緒にされることもあります。しかし、潔癖症と強迫性障がいには違いがあります。
潔癖症と強迫性障がいのライン、強迫性障がいだった場合の治療法や対策をご紹介します。
潔癖症と強迫性障がいの違いとは?
「潔癖症」と「強迫性障がい」の共通点は、
- 不特定多数の人が触れているところを嫌がる
- 消毒をこまめにするなど手間をかけている
という点です。特にコロナが流行してから、多くの方が手の消毒や感染防止に、敏感になっているでしょう。
どれほど手を洗ったら強迫性障がいなのか、どれぐらい嫌な気持ちになれば、強迫性障がいなのか。
強迫性障がいの特徴から、潔癖症との違いを見ていきましょう。
綺麗ではない部分がある
潔癖症ではなく強迫性障がいになっている場合、すべてが綺麗ではないケースがよくあります。
きれい好きや潔癖症は、部屋も服もすべて綺麗に掃除されていることが多いです。
強迫性障がいの方は、ひとつの綺麗さにこだわりすぎるあまり、部屋の一部の掃除がおろそかになっていることがよくあります。
触れていなくても汚さを感じる
強迫性障がいには、「感覚過剰反応」という症状があります。
感覚が過敏になり、触れていないのに触れたように感じたり、これをしないと何か悪いことが起こると考えたりします。
強迫性障がいであるかどうか疑う、一つの目安になります。
汚いと感じるものに触れていないのに、汚いものを見ただけで手を洗ってしまっている場合は、強迫性障がいを疑った方が良いでしょう。
消毒や掃除の仕方を気にする
きれい好きな方や潔癖症は「綺麗にした結果」がとても気になります。手を洗ったり掃除したりして、汚いものかどうか無くなったかどうかが重要です。
強迫性障がいの方は結果だけではなく、掃除の仕方に強いこだわりがあります。
何回拭いたか、何回手を擦ったか、など細かい部分が合っていないと、見た目が綺麗な状態でも綺麗にし続けなければいけなくなります。
綺麗にすることに苦痛を感じる
強迫性障がいは、「綺麗にしたい」という意志よりも、自分の意志ではない誰かに強制されているような気持ちになります。
そのため、綺麗にする作業にたいして苦痛を感じることがよくあります。
強迫性障がいの病院受診の基準は?
強迫性障がいが疑われる場合、病院を受診する基準は、
- 自分がどれだけ苦痛を感じているか
- 社会生活に支障をきたしているか
- 周囲に合わせることがどれだけできないか
以上が重要です。
強迫性障がいは重度になると、ほかの精神疾患を引き起こすおそれがあるので、ひどい苦痛を感じている場合は早めに治療をすすめましょう。
1.強迫観念または強迫行為で苦しむことが、1日1時間以上ある
2.社会的、職業的、その他の重要な領域で支障をきたしている
が診断基準となっています。
潔癖症から強迫性障がいへと悪化する要因
潔癖症から強迫性障がいになる最初の原因は、
・汚いと感じる
・手を洗わなくてはいけない
という「不安の強さ」です。
そして、強迫性障がいを悪化させる原因になるのは、このような不安を回避することです。
「汚いと感じるものに絶対にさわらないようにする」「何度も手を洗って不安を消す」などの行動をし続けると、強迫性障がいの症状をより強めることになります。
強迫性障がいの治療法は?
強迫性障がいの治療法は、「行動療法」と「薬物療法」があります。
曝露反応妨害法が有効とされる
行動療法の中で特に有効とされているのが、「曝露反応妨害法」です。
曝露反応妨害法とは、不安の対象にふれたときに起こる反応を我慢することで、不安をへらしていく療法です。
たとえば、汚いと感じるとすぐ手を洗ってしまう方は、汚いと感じるものにふれても手を洗うことを我慢します。
曝露反応妨害法には、「不安階層表」をつかいます。
不安や恐怖を感じる場面を書き出し、それぞれの場面について、どのぐらい不安や恐怖を感じるか点数をつけた表です。点数が低いものからチャレンジしていき、反応しなくても、不安が消えていくことを学習します。
症状が重い場合は薬物療法をおこなう
認知行動療法で改善せず、症状が重い場合は、薬物療法をおこなうことがあります。
強迫性障がいで使われる主な薬は、うつ病の治療にも使われる「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)」という抗うつ薬です。
脳内のセロトニン物質を調整することで、不安や恐怖をへらし、強迫性行動を出にくくします。
SSRIは即効性ではありませんが、効き始めると十分に作用し、依存性も少ないので、治療によく選ばれている薬です。
まとめ
強迫性障がいと潔癖症は、綺麗にする作業を苦痛と感じていたり、汚いものにふれると身体症状が出たりするなどの違いがあります。
- 自分がどれだけ苦痛を感じているか
- 社会生活に支障をきたしているか
- 周囲に合わせることがどれだけできないか
以上を確認して、強迫性障がいが疑われるときは、早めに病院を受診しましょう。
参考
強迫性障害|淀川区(大阪市)の十三メンタルクリニック|心療内科・精神科
強迫性障害 | 相談・治療の内容 | 東京認知行動療法センター