知的障がい者の理解を深めよう!知的障がいの特徴や接するときの注意点
知的障がい者の理解を深めよう!知的障がいの特徴や接するときの注意点
知的障がい者の方にどのようなイメージをもっていますか? 急に理解できない行動をする人、ほかの人と同じように生活ができない人など、さまざまなイメージをもっているのではないでしょうか。 知的障がい者といっても、障がいの程度やその人の性格によってちがいます。だれでも理解できない行動をとるわけではありませんし、その行動には理由があります。 知的障がい者の特徴や、接するときに気を付けることを知り、知的障がい者への理解を深めましょう。
知的障がい者はどんな人?
知的障がい者はどんな人か、といえば十人十色です。 知的障がいの定義としては、「子どもの時にほかの同年齢の子どもとくらべて明らかに知的能力が遅れており、社会生活に適応する能力に制限がある状態」です。 「知的能力」は、読み書きや計算、物事を考える力、思考能力のこと。知能検査で知能指数(IQ)を計測して、知的能力が判定されます。
「社会生活に適応する能力」は、集団のなかでルールを守る、集団のなかで自分の役割を認識する、他者と良好な関係を築くなどの能力を指します。 適応能力を知る検査では、次の5つの領域で評価します。
①身辺処理(食事、排泄、入浴など) ②移動 ③会話や、人間関係の構築能力 ④読み書きや計算、時間・健康管理など ⑤家事や職業など作業
軽度~最重度のちがい
知的障がい者は「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4つに区分けされており、障がいの程度によって、その人の能力や生活がちがってきます。
軽度~最重度の区分は「IQ」と適応能力を表す「日常生活能力水準」、保険面・行動面をみて総合的に判定されます。
画像引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html
画像引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/101-1c.html
軽度知的障がいの特徴
・小学校それ以上のレベルの学習は適切な支援があれば可能 ・生活面のほとんどは自立しておこなうことができる ・暗算やおつりの計算、抽象的なものの理解などは苦手であることが多い ・言葉の使い方やコミュニケーションは同年代にくらべると未熟な点がある
中度知的障がいの特徴
・学習能力は小学校程度の水準であることが多い ・身の回りのことは指示や支援があれば可能 ・日常のコミュニケーションに大きな問題はない ・複雑なものは理解できない ・場の雰囲気を読む、暗黙の了解はわからない ・適切な支援があれば就労に就くことは可能
重度知的障がいの特徴
・今起きたことについて、単語などで簡単なやりとりは可能 ・身の回りのことは日常的に広範囲の支援が必要
最重度知的障がいの特徴
・身振りや絵カード、感情の読み取りでコミュニケーションをとる ・24時間の介護支援が必要
知的障がいと発達障がい
知的障がいに合わせて、自閉症など発達障がいや精神疾患が起こるケースも報告されています。 発達障がいを併発すると、コミュニケーションや社会性などの困難がふえます。とくに注意すべきは、「感覚過敏」や「強いこだわり」です。 発達障がい者には、しばしば感覚過敏が見られます。
・視覚過敏…白紙がまぶしく見える、特定の色を見れない ・聴覚過敏…小さな音も騒音のように感じる、特定の音を嫌う ・嗅覚過敏…人よりも強くニオイを感じる、特定のニオイを激しく嫌う ・味覚過敏…味が違うものに敏感、特定の味を激しく嫌んだり好んだりする ・触覚過敏…服の布地にこだわる、タグを痛がる、体をさわられることを嫌がる
強いこだわりは、特定のモノや、物事をおこなう順番、一日のスケジュールなどに見られます。違うモノ、いつもと違うこと、急に起きたことに敏感で対応することができません。 知的障がい者が急に怒り出したり、奇声をあげたりするのは、こうした感覚過敏や強いこだわりがあり、不満を言葉にできず、ストレスが爆発した結果だったりします。
知的障がい者が大声を出す理由
街中で知的障がい者が大きな声で呟いていたり、言葉がない声を発したりしているところを見たことがあるでしょう。成人がひとりで声を出しているのは、健常者から見ると、怖いと感じることがあるかもしれません。 知的障がい者が声を出している理由は、以下のことが考えられます。
・喜びや不満などを言葉にできず、声で感情をあらわしている ・聴覚過敏のため自分の声で嫌いな音をかきけそうとしている ・声を出すこと自体を楽しんでいる ・口内器官が未発達で、声の大きさ、強弱の調整ができない ・トゥレット症候群(本人の意思とは関係なく勝手に声などが出る疾患)
知的障がい者と接するときに気を付けること
知的障がいについてわかっても、どのように接すればいいのかわからなかったり、上手くコミュニケーションをとることができず、困ることもあるでしょう。 知的障がい者と接するときは、以下のことに気をつけてみてください。
「一言に一つの事柄」を意識する
一度に複数のことを伝えようとすると、いくつか内容が抜け落ちて伝わらないことがあります。そのため「一言に一つ事柄」を意識します。「〇〇をして、〇〇をしてください」ではなく、「〇〇をしてください」。 また、こちらでは一つの事柄と認識していても、実際におこなう作業が一つ以上だったり、選択肢があったりすることも。 たとえば「段ボールを捨ててください」という指示。「段ボールを捨てる」は1つの事柄に見えますが、畳んで捨てるのか、そのまま捨てるのか、選択肢があります。 知的障がい者の方に指示が伝わらないときは、「複数の作業や選択肢があって複雑になっていないか」を確認し、「一文に1つの作業」で伝えましょう。
「~してはいけない」とは伝えない
「~してはいけない」と否定をされると、「じゃあどうすればいいのか」がわからず、パニックになってしまうときがあります。 してはいけない、ではなく、〇〇しましょう、とやさしく具体的な言葉をかけるように心がけてください。
あいまいな表現はしない
「これ」「あれ」「ちょっと」など、抽象的な表現をすぐに理解することはむずかしいです。「静かにしてください」や「早くしてください」といった指示も、静かにするにはどうしたらいいのか、早くするにはどうしたらいいのかがわかりません。 「早くしてください」→「あと何分かかりますか?」 「静かにしてください」→「声をこのぐらい小さくしてください」 というように、具体的でわかりやすい指示に変換しましょう。
その人の年齢にふさわしい対応を
障がいの程度や、その人によってコミュニケーションのとり方はちがってきます。 知的障がい者という情報だけで子ども扱いをすると、不快に感じられる方もいます。そのためコミュニケーションの特徴や障がいの程度を知るなどして、その人の年齢にふさわしい対応をすることが大切です。
パニックが起きた時は
不満や不安など負の感情を表に出せず、発散できず、ストレスが爆発した状態が「パニック」です。知的障がい者がパニックを起こした時は、無理に止めようとすると悪化します。 パニックが起きたら、ケガをしたり、ケガをさせたりしないように、危ない物を遠ざけることが先です。投げられるもの、倒せるもの、先端がとがっているもの、当たると危ないものを移動させましょう。周囲に人がいる場合は、その人たちを安全な場所に避難させます。 パニックは数分~数十分で収まることが多いです。そのため余計な刺激をあたえないように、落ち着くまで静かに見守ってください。
障がい者本人を移動させないと危険なときは、パニックに同調して慌てないようにして、「大丈夫ですよ」など安心させるような言葉をかけます。 そして「危ないので〇〇に行きます」と、これから何をするのか、簡潔かつ具体的に伝え、安全な場所に誘導しましょう。
まとめ
知的障がい者といっても、障がいの程度や合併した障がいなどによって、行動や生活、対応は人それぞれちがいます。相手の障がいについて知り、適した接し方を意識して、コミュニケーションをとるようにしましょう。
<<参考>>
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