パラリンピック最多167種目!陸上の観戦ポイント
パラリンピック最多の167種目!陸上のルールや観戦ポイントは?
パラリンピック競技の花形である「陸上」。さまざまな障がいをもった選手がタイムを競います。 パラリンピック競技の陸上の種目数は167種目。種目数が多いぶん、メダルの獲得数も上がります。これまでのメダル獲得数は、1988年ソウルパラリンピックが最多。陸上競技だけで32個のメダルを獲得しました。
東京パラリンピック2020では、陸上でどれだけのメダリストが誕生するでしょうか。 また2020年から新設された「ユニバーサルリレー」も、パラリンピックを象徴する種目だと注目されています。 パラリンピック競技陸上のルールや、パラリンピックならではの観戦ポイントをチェックして、観戦を楽しみましょう!
パラリンピック陸上のルール
パラリンピック陸上の競技種目は、100m走やマラソンなど競走種目、跳躍種目、投てき種目です。男子・女子・男女混合の種目があります。 ルールは基本的にオリンピックと変わりませんが、障がいに配慮して一部ルールが変更されています。
●クラス分け
公平な競技ができるように、選手たちの障害の種類や程度によって細かくクラス分けされています。身体技術や技術の評価、競技の観察をして選手のクラスを決めます。 選手がどのクラスに在籍しているかは、「アルファベット」「数字」で表記されます。 アルファベットは競技の種目をあらわしています。
次に11から70までの数字がつきます。10番台は視覚障害、20番台は知的障害、30番台は脳性まひ。40番台は低身長症・下肢障害。50番台は脳性まい以外の車いす、60番台は下肢切断(義足あり)、70番台は聴覚障がいです。 障害の程度が軽いほど、数が大きくなります。たとえば視覚障がいのクラスだと、「11」のほうが重度で、「14」が軽度です。
「T20」であれば「知的障がいクラスのトラック種目」という意味になります。 「F70」の場合は、「聴覚障がいクラスの投てき種目」です。
●視覚障がい選手たちのアシスタント
視覚障がいクラスのなかで最も重度な11クラスやその次の12クラスの選手には、アシスタントを付けることが許可されています。 アシスタントは選手の「目」となり、競技を正しくおこなえるようにサポートします。 トラック種目につくアシスタントは「ガイドランナー」、投てき種目につくアシスタントは「コーラー」と呼ばれます。
ガイドランナー
「ガイドランナー」は選手の手とひもなどでつなぎ、すぐ横で声をかけながら一緒に走ります。 なのでガイドランナーには余裕をもって最後まで走り切ることができる競技力が求められます。またあくまでアシスタントなので、選手を引っ張ったり、選手より先にゴールをすると失格です。基本的に1対1ですが、5000m以上の種目は、ガイドランナーは2名までの交代が認められています。
コーラー
「コーラー」は走り幅跳びや走り高跳びのとき、選手が跳びだす位置を声や手拍子で教えます。投てき種目では投げる方向を指したり、投げる目標の位置付近に立って声や手拍子で誘導したりします。
パラリンピックならでは「陸上」観戦ポイント!
陸上競技の魅力、1秒1㎝の差が勝敗を分ける緊張感、選手たちの懸命な走り。 さらにパラリンピックでしか見られない魅力や観戦ポイントをご紹介します。
●選手を支える義肢や競技用車いす
陸上競技で見られる弓なりの義足や、レーサーと呼ばれる競技用車いすはパラ観戦のポイント! 弓なりの義足はカーボン製であり、高強度と軽量を兼ね備えた素材が使われています。カーボンは鉄の10倍の強度・鉄の4分の1の重量です。 この義足をバネのようにして跳躍したり、走ったりしますが、義足の技術だけでは高記録は出せません。選手はバネの反発力に耐えられる筋力や技量を備えている必要があります。なので同じモデルの義足を使っていてもタイムに差が生じることも。 このような選手の身体能力と義足、二つが支えあい、一体化した走りを見られるのは、パラリンピックならでは!
車いすクラスの選手は、高速走行用に開発された車いす「レーサー」に乗ってタイムを競います。 レーサーには3つの車輪があり、選手は腕力だけで前に進みます。 この用具は座席の高さ、車輪を動かす部品サイズなど、細かく仕様を変えられるようになっています。選手たちはミリ単位の調整をくりかえし、最も力を発揮できる状態にして競技に臨みます。 選手たちの鍛えられた体力、筋力だけでなく、地道な努力にも注目して観戦しましょう!
●選手とガイドのコンビネーション
視覚障がいの選手とガイドランナーのコンビネーションは見逃せません。 ガイドランナーには競技力、選手に適切に指示を出す力や、選手と息を合わせることが求められます。 声だけで人の動きを指示するのはむずかしいことです。たとえばマラソンなどカーブがある種目では「〇メートル先に〇度のカーブ」と具体的な指示を出せないと、コースを外れてしまいます。 選手の受け取り方もさまざまなので、その選手に合った、わかりやすい指示の伝え方を知る必要があります。
またガイドランナーは自分が走りやすいフォームよりも、選手に合わせたフォームを求められます。選手のフォームを崩さないように注意しながら、ライバルを抜いたりスパートをかけたりする。選手と息を合わせて走る。選手のことを本当に理解し、かなりの練習量がないとできないことです。 選手とガイドランナーに注目して観戦すると、チーム戦のような感動を味わうことができます!
●パラリンピック独自!こん棒投
フィールド種目といえば、砲丸投、円盤投、やり投。くわえてパラリンピック独自のフィールド種目「こん棒投」があります。 「こん棒投」は、握力がなく、細いやりを投げられない選手のために考案されたパラリンピックスポーツ。車いすクラスの中で障がいが重度で、手に障がいがある選手のみ実施します。 こん棒は長さ40㎝、重さ397gで、ボウリングのピンに似ています。投げ方は自由。着地エリアのほうを向いて投げたり、後ろ向きに投げたりするなど、選手それぞれのフォームを見られるのもおもしろいところです。
●パラリンピックを象徴!ユニバーサルリレー
ユニバーサルリレーは、障がいの種類が異なる選手たちがリレー形式で走る競技。男女2名ずつの計4名で、1人100mずつ走ります。 走順は以下の通りに決められています。
第1走者:視覚障がい 第2走者:切断・機能障がい(立位) 第3走者:脳性まひ(立位) 第4走者:車いす
各選手の障がいの程度については、各カテゴリーで最も障がいの軽いクラスの選手は最大2名まで、というルールがあります。選手たちはバトンではなく、身体をタッチすることでつなぎます。 第1走者の視覚障がい選手はガイドランナーがタッチを担うことができます。 また脳性まひ(立位)から車いすへのタッチは難易度が高いこともあり、一般のリレーよりも10m長く、40mのテイクオーバーゾーンが設けられています。
ユニバーサルリレーのおもしろさは、男女、障害の種類が異なる選手たちのタッチワークです。一般のリレーとちがい、助走からトップスピードに乗るまでの時間が異なるので、タイミングよく素早くタッチをすることがむずかしくなっています。
とくに第3走者の脳性まひ(立位)選手から、第4走者の車いすの選手へのタッチは難所です。車いすは漕ぎだしが遅く、一度スピードに乗ると急速に加速するという特徴があるので、タッチを合わせるために急な減速や停止ができません。さらに高さがちがうので、第3走者は身体をかがめて第4走者にタッチする必要があります。
この難所を乗り越え、スムーズで高精度なタッチワークを実現したリレーにご注目を。パラリンピックを象徴する「多様性」を感じられるでしょう。
まとめ
パラリンピック陸上競技ならではの観戦ポイントは、「義足や車いす等と一体化した走り」、「ガイドランナーとのコンビネーション」「こん棒投」「ユニバーサルリレー」です。パラリンピック陸上でしか、これらの感動を知ることができません! パラリンピック陸上競技は8月27日(金)~9月5日まで。パラ陸上ならではのポイントに注目して観戦しましょう!
<<参考>>
「ユニバーサルリレー」って何だ? 多様性を象徴する種目の魅力とは(2019年11月18日)|BIGLOBEニュース
https://jaafd.org/pdf/top/guidebook.pdf
パラ陸上の見どころ・ルール - 東京オリンピック・パラリンピック特集 - Yahoo! JAPAN
陸上競技(100m、200m / 4×100m ユニバーサルリレー)| We are Team SMBC
「ユニバーサルリレー」って何だ? 多様性を象徴する種目の魅力とは|パラスポーツ|集英社 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva
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