2021.01.20

パラリンピックとは?



パラリンピックとは?

パラリンピックとは、身体麻痺や欠損、知的障がいなど、さまざまな障がいをもった選手たちがメダルを目指して競うスポーツ大会です。
パラリンピックが目指すものは「多様性を認め、だれもが活躍できる場所を提供すること」「共生社会を実現すること」です。

●兵士たちのリハビリが始まり

1948年、ロンドン近郊のストーク・マンデビル病院に勤める医師「ルードウィッヒ・グッドマン」が、第二次世界大戦で負傷した兵士たちのリハビリをおこなうために、スポーツ大会を開いたのが、パラリンピックの始まりだとされています。

このリハビリで兵士の約85%が精神的に回復しました。グッドマンはスポーツをとりいれたリハビリの普及に力をいれ、多くの人に知られるようになると、どんどん競技性が追加されていきました。

●パラリンピック第2回は東京で開催

1960年、第1回のパラリンピックがローマで開催。 パラリンピック第2回が開催されたのは日本です。

当時、まだまだ改善点が多いパラリンピック競技でしたが、パラリンピックの創始者であるグッドマンの強い呼びかけにより、東京での開催が決定しました。

●パラリンピックを象徴する言葉

兵士たちの精神を回復するためにパラリンピックを始め、パラリンピックを広く知らせたグッドマンは、パラリンピックを象徴する言葉を残しています。

「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ。」

パラアスリートたちはこの言葉をあらわすように、強い意思、勇気、公平さをもち、障がいを生かした熱い戦いを見せます。



パラリンピックの競技一覧

パラリンピックの競技には一般の競技と同じものが多くありますが、ルールや見どころはまったく別モノ。競技の内容や見どころを簡単にご説明します。


5人制サッカー

視覚障がい者4人のフィールドプレーヤーと、視覚障がいのない、または弱視のゴールキーパーのチームでサッカーをします。フィールドプレーヤーは全員アイマスクを着用。
ボールは鉛が中に入り、転がると「シャカシャカ」と音が鳴ります。またプレイヤーたちに距離や角度を声で伝える「ガイド」というメンバーがいます。プレイヤーたちはそのボールの音やガイドの声を聞いてプレーします。


アーチェリー

肢体不自由の選手たちがアーチェリーをします。オリンピックとほぼ同じルールですが、障がいの程度によって補助用具の使用やアシスタントが認められています。 車いすに座ったまま弓をひいたり、口や足でひいたりと、障がいに応じて個性あふれるスタイルを見ることができるのも魅力。


カヌー(スプリント)

パラカヌーで使用される舵は「カヤック」と「ヴァー」の2種類。競技はそれぞれの部門でおこなわれます。ヴァーは、浮き具がついているのが特徴的です。 鍛えられた上半身やバランス力を生かして、水面を滑るように進みます。


ゴールボール

視覚障がい者を対象とした球技であり、3対3でおこないます。鈴が入ったボールを転がし、相手のゴールに決めると得点になります。選手たちは鈴が鳴らないようにボールを転がしたり、ディフェンスしづらいコースをねらったりするなど、目が離せないような駆け引きを見せてくれます。

▶︎ゴールボールについての記事はこちら<パラリンピック「静寂の中の格闘技」ゴールボールとは?>

シッティングバレーボール

おしりを床につけた状態でおこなうバレーボールです。そのためネットが低く、選手たちの距離が近いので、ボールの動きが速く、試合展開がとてもスピーディ。ボールにすばやく反応する選手たちの動きにも注目が集まります。

▶︎シッティングバレーボールについての記事はこちら<ネット際の攻防!パラリンピック競技・シッティングバレーボールのルール・魅力>

テコンドー

蹴り技が特徴的な格闘技。パラリンピックでは、上半身に障がいをもつ選手たちが競います。基本的なルールはオリンピックとほぼ同じ。 迫力とスピード感のある蹴りや、障がいにあった防御や戦略に注目です。


トライアスロン

パラリンピックのトライアスロンはスイム・バイク・ランの3種目をおこない、合計タイムを競います。使いやすいように開発・工夫された義手、補装具や、「ガイド」と呼ばれるサポート役との連携も見どころ。


バドミントン

障がいにあわせて、車いすクラスや立位クラスがあります。コートの半面で試合をするので、ラリーの応酬や試合展開がとても速いです。点差をつけていたのが、あっという間に抜かれることもあり、目が離せない試合になります。

▶︎バドミントンについての記事はこちら<パラリンピック2020初!正式競技パラバドミントンとは?魅力・ルール・試合方法>

パワーリフティング

パラリンピックでは、台の上に仰向けに横たわった状態からバーベルを押し上げるベンチプレス競技がおこなわれます。上半身の筋肉だけで、自分の体重の約3倍以上の重量を持ち上げる選手も。


ボート

1人乗り、2人乗り、5人乗りで4人がこぐ、3種目がおこなわれます。シートがベルトで固定されており、選手たちは上半身のちからだけでオールをこぎ、タイムを競います。


ボッチャ

別名「地上のカーリング」。重度麻痺や四肢障がい者のために考案されたスポーツ。青いボールを転がして、目標の球にどれだけ近づけたかを競います。ボッチャの戦略は無数。大逆転の大技もあり。

▶︎ボッチャについての記事はこちら<パラリンピック独自の競技!ボッチャとは?試合方法・見どころ>

車いすテニス

車いすテニスは2バウンドまでの返球が認められています。それ以外はオリンピックとほぼ同じルール。球を打ち返すだけではなく、車いすを速く動かして位置につかないといけないので、車いすの操作技術も大切な競技。


車いすバスケットボール

選手たちは障がいの程度によって1人1人ポイントがあたえられます。公平な試合ができるよう、チームの合計ポイントが同じになるよう調整されています。そのため軽い障がいの選手から重い障がいのある選手が同じチームで戦います。障がいにあわせて、それぞれ個性的なプレイスタイルを見られるのが魅力。


車いすフェンシング

「ピスト」と呼ばれる装置に固定した専用の車いすに座り、上半身だけを動かして戦います。相手との距離をとれないため、一瞬の油断も許されません。ときには剣の激しさに、ピストごと車いすが傾いてしまうことがあるほど。


車いすラグビー

4対4で試合をし、「攻撃」と「守備」それぞれ専用の車いすをつかって競います。車いすのぶつかり合いが見どころ。車いすがぶつかると、激しい音が響きわたり、迫力満点です。


陸上競技

視覚障がいや下半身の障がいなど、障がいにあわせてクラス分けされています。視覚障がいの選手は「ガイド」と呼ばれるランナーと一緒に走ることが認められており、陸上ながら熱い協力プレーも見られます。

▶︎陸上についての記事はこちら<パラリンピック最多167種目!陸上の観戦ポイント>

馬術

技の正確さや演技の美しさを競う「馬場馬術」だけ実施されるのが特徴的。1人でおこなう個人種目と、3人でおこなう団体種目があります。馬と選手たちの息のあった演技、技術の高さにご注目。


柔道

視覚障がい者のみでおこなわれるパラリンピック柔道。互いに相手の襟や袖をつかむ、組み合った状態から試合開始。試合開始から技のかけあいになるので、選手たちの全力の攻防が見られます。

▶︎柔道についての記事はこちら<一瞬の大技の掛け合い!パラリンピック柔道とは?ルール・魅力>

射撃

肢体不自由な選手たちが、「ライフル」「ピストル」で的を撃ち、得点を競います。定めた照準を外さないように、呼吸のリズムと撃つタイミングをあわせることや、集中力、安定性が欠かせないスポーツ。


水泳

知的障がい者の方の泳ぎ方はダイナミック。肢体に機能障がいのある選手は、水の抵抗を少なくするような姿勢に近づけて泳ぎます。選手たちによる、障がいを生かした個性的なフォームが見どころです。


卓球

障がいのクラスによってサービスやトスなどにクラス特有のルールがあります。 見どころは、障がいにあわせた、選手たちのさまざまなプレースタイル。補助具をつかったり、口にラケットをくわえたり。障がいなどあってないようなプレーに目が離せなくなるでしょう。


自転車競技(トラック・ロード)

障がいごとにクラスが分けられており、クラスごとにまったくちがった自転車をつかうことが特徴的。視覚障がい者クラスでは2人乗りの自転車で走り、下肢障がい者クラスでは手でペダルをこぎ、脳性まひクラスでは安定感のある3輪自転車をつかいます。それぞれの自転車をつかいこなすテクニックや、鍛え抜かれた体で自転車をこぐ姿に胸が熱くなるはず。

▶︎自転車競技についての記事はこちら<パラリンピック競技自転車!>


パラリンピックの楽しみ方!

スポーツの新しい楽しみ方を体験

水泳や卓球、テニスなどよく知られた競技も、パラリンピックではまったくの別物になります。ルールやプレースタイルなどが変わっており、今までの常識とはちがった楽しみ方ができます。

たとえばパラリンピックの「柔道」では、組み合った状態から試合が始まるので、通常の柔道よりも、激しい技のかけあいを多く見られます。
ボールの音やガイドの指示で体を動かす「ゴールボール」や「サッカー」では、観客の声など音が入ってはいけないため、静寂に包まれたなかで、選手たちが激しい攻防をします。

歓声を出す通常の試合よりも、何倍も緊張が走るようです。
パラリンピックでは、新競技を見ているかのような体験や、新しい観戦の仕方ができます。


パラアスリートたちの歴史や人生を知ろう

多くの人が感動してしまうのは、挫折を乗り越え、大きく成長した人の姿でしょう。
パラリンピックに出場する選手たちは、生まれつき、または事故などで、体の障がいという大きな「挫折」や「苦悩」を経験しています。
パラリンピックでは、そのような挫折や苦悩を乗り越え、障がいを生かした、力強いプレーを見せてくれます。

また障がい者スポーツであっても、競技のレベルはとても高いです。健常者の選手と、パラリンピックの選手たちを同じ種目で戦わせると、パラリンピックの選手のほうが勝つといわれています。
そんな選手たちの歴史や人生を知ると、もっとちがう見方で試合を楽しむことができます。
鍛え抜かれた体で競う様子や、個性あふれるプレースタイルを見て、胸が熱くなるでしょう。



まとめ

パラリンピックでは通常の競技もルールやプレースタイルが異なり、新しく刺激のある楽しみ方ができます。 今年のパラリンピック開催予定は、2021年8月24日から9月5日です。 選手たちの、障がいを生かした個性的なスタイルや力強いプレーを全力で応援しましょう!



▼参考

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