コロナ禍の防災で推奨されている「分散避難」とは?必要な備えは?
コロナ禍の防災で推奨されている「分散避難」とは?必要な備えは?
多くの方が「災害が起こったときの避難場所」に、一般避難所や福祉避難所などを考えるでしょう。避難所でどう過ごしたらいいか、避難所へ何をもっていくべきなのかを想像して、防災対策をされている方もいるかもしれません。しかし、コロナ禍のなかで「分散避難」への関心が高まっています。分散避難について詳しくご紹介します。
分散避難とは?
2022年3月、株式会社ゼネラルパートナーズが障害者の方へ「防災に関するアンケート」を実施したところ、「分散避難」について複数回答できる方は全体の約18%でした。分散避難の認知度は低いですが、このコロナ禍の密を避けるために必要な避難方法になります。
分散避難とは、避難所など一つのところに集まらず、必要に応じて、場所を分散して避難することです。
たとえば、以下のような場所があります。
- 自宅(在宅避難)
- 車の中
- 親戚・知人宅
- ホテル等宿泊施設
まずは自宅。火災や倒壊のおそれがなく、物資もそろっている場合は、在宅避難をえらびます。つぎに、車や親戚・知人宅、ホテルなどが、危険のない場所にある場合は第二の避難先(縁故避難)としてえらびます。第三に「避難所」がすすめられています。
分散避難に関心が集まる理由は?
コロナウイルスの感染対策として、3密(密閉・密集・密接)を避けるように注意されています。避難所は一人ひとり距離をとって生活することがむずかしかったり、一緒に飲食をしたりするので、3密をふせぐことができません。
避難所にいる誰かがコロナウイルスにかかってしまうと、一気にウイルスが広まり、クラスターが発生するでしょう。コロナ禍だからこそ、分散避難がすすめられています。
避難所か分散避難をするかの判断は?
しかし、以下の場合は「避難所」に避難してください。
・警察や消防署、市からの避難指示がある
二次災害のおそれがない、避難指示がない場合は、「分散避難」か「避難所避難」どちらにするかを判断できます。
在宅避難をえらぶときの備えは?福祉的な支援はある?
自宅で避難生活を送る「在宅避難」をえらんだとき、自宅への水・食料の配達や、福祉的な支援を受けられるところと、受けられないところがあります。お住まいの自治体に確認してみましょう。
避難所へ行く際には「非常用もちだし袋」と一式が必要になります。それとは別に、在宅避難をえらんだときの備えをしておきましょう。
在宅避難をするときは、以下の備えが大切になります。
災害時のけが防止などを対策する
地震が起こったとき、家具が倒れてきたことや、窓ガラスが割れたことによる負傷が最も多いです。普段から、寝ているところに高い家具を置かない、出入口に高い家具を置かないなど気をつけましょう。
窓ガラスには飛散防止フィルムを貼ったり、カーテンを引いたりすると、割れたガラスが広がるのをふせげます。
3日分の備蓄をする
最低3日分は生活できるように、食料と水を備蓄しましょう。
水はもとより消費期限が長いですが、災害用に消費期限が10年になるものも販売されています。1人1日3リットルを目安に用意しましょう。
食料は、無洗米・即席麺・レトルトご飯・乾パン・缶詰などが長期保存でき、また腹持ちもよいので、備蓄に向いています。
また食料の備蓄方法には「ローリングストック」があります。
②日常生活で保存した食材や加工品をつかう
③つかった分だけ買い足す
ローリングストックをすることで、「食品の消費期限がいつのまにか切れていた」というミスをふせぐことができます。さらに、災害の時も日常生活と同じような食事ができるので、食が変わったことによる体調面・精神面への影響をへらすことができます。
・つかったぶんは必ず買い足す
普段料理をする方は、常備菜(たまねぎやじゃがいもなど日持ちする野菜)・乾物のストックを中心にすることがおすすめです。できあいの物が多い方はレトルト食品やフリーズドライ食品を中心に。料理をまったくしない方は、カップラーメンや菓子類、非常食などを備蓄しましょう。
そのほか備えておくと便利なもの
- カセット用コンロボンベ
- 災害用トイレ
- ティッシュやトイレットペーパー
- そのほか障害に応じて必要なもの
災害が発生すると電気・ガスが使用できなくなることがあります。料理をしたり、あたたかいものを食べたりするためにはガスが必要になります。あたたかい食事は体調面・精神面にもよい効果をあたえてくれます。約6本、備蓄していると安心でしょう。
トイレも大きな問題になります。ティッシュやトイレットペーパーも普段からストックしておきましょう。
まとめ
コロナ禍の感染対策として「分散避難」が推奨されています。分散避難とは、避難所以外に、自宅や車の中、知人宅やホテルなど、場所を分散して避難することです。避難所でのクラスター発生をふせぐのにも大切な避難方法になります。避難所以外の選択肢を考えたり、在宅避難もできるよう、日ごろから防災対策をおこないましょう。
参考
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/attach/pdf/guidebook-3.pdf