ギフテッド2Eとは?ギフテッド2Eの特徴・診断方法・抱える問題
ギフテッド2Eとは?ギフテッド2Eの特徴・診断方法・抱える問題
「ギフテッド」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ギフテッドは、生まれつき天才的な能力をもつ人のことを指します。それでは、ギフテッド2Eの「2E」は何を指しているのでしょうか。ギフテッド2Eとは何か、ギフテッドの特徴、診断方法、ギフテッド2Eが抱える問題を解説します。
ギフテッド2E とは?
ギフテッド2Eとは、「ギフテッド」の特徴と「発達障がい」の特徴の2つをあわせもつ人のことを指します。「twice-exceptional:二重に特別」という意味があります。
ギフテッドは、生まれつき、知性、創造性、芸術性、リーダーシップ、特定の学問、運動能力のうち、1つまたは2つ以上がずば抜けて優れている人です。
発達障がいとは、脳機能に障害があり、得意なことと苦手なことの差がとても大きい状態を指します。つまりギフテッド2Eは「ある能力は天才的に優れているけれど、そのほかには多くの苦手がある人」のことをいいます。
ギフテッド2Eの特徴は?
ギフテッドと発達障がい、二つの特徴が見られるギフテッド2Eは、以下のような傾向が見られます。
②覚えが異常に早い
③記憶力がずば抜けている。
④感情が深く、物事への反応が過敏
⑤興味のある分野で頭がいっぱいになる
⑥好奇心旺盛で、多くの事に疑問をもち、大人を困らせるほど質問する
⑦未就学児に想像上の友達(イマジナリーフレンド)がいる
⑧集中力が非常に高い
⑨ある分野は優れているが、文字の読み書きができないなど著しい苦手がある
⑩感覚過敏がある
⑪コミュニケーション能力がとても低い
しかし、ギフテッド2Eの子でも感覚過敏がなかったり、コミュニケーション能力があったりと、人それぞれ特徴に違いがあります。
一番大きな特徴は、特定の分野でとても優れた能力を見せるけれど、特定のことがまったくできず、その差がとても激しいことです。このような傾向がよく見られた場合は、ギフテッド2Eの可能性があります。
ギフテッド2Eの診断方法は?
ギフテッドを診断する方法や基準は明確に定まっていません。ただ「どこが発達しており、どこが苦手となっているのか」を知るため、発達障がい者と同じ診断方法を受けることになります。
日本ではまだギフテッドの診断はすすんでいないため、アメリカの診断方法も交えて、ご紹介します。
ギフテッドの診断には、おもに以下の3点がおこなわれます。
- ウェクスラー式知能検査
- 総合的判断
- RITモデル
WISC-IV(ウェクスラー式知能検査)
ウェクスラー式知能検査は、子どもの知能指数や発達障がいの有無を診断するときに、世界的に使われている検査方法です。
①総合的なIQ
②言語理解
③知覚推理
④ワーキングメモリー
⑤処理速度
以上の項目を測定できます。どの面が発達しているか、どの面を苦手としているかが細かくわかります。
総合的判断
IQの数値が130以上に達していなくても、特定の分野で優れた能力を見せる方は「ギフテッド」の可能性があります。
そのためIQのほかに、以下の項目で総合的に「ギフテッド」であるかどうかを判断します。
- 抽象的思考
- 概念形成
- 語彙力の豊富さ
- 数理能力
- 創造力
- 芸術的な能力
さらに、親や教師への質問紙や、子どもの様子や日常行動に関する観察記録、学力テストや特定の分野の受賞歴、学習成績などを見たりして判断します。
RTIモデル
RTIモデルとは、学習障害が見られる子どもに適した指導や支援をおこない、その反応から、どのような支援が必要なのか、何を得意として苦手としているのかを知る方法です。日本ではおこなわれることはほとんどなく、主にアメリカで用いられています。
このRTIモデルには「三段階」の教育的介入があります。
第一段階
すべての子どもに質の高い指導をおこなう
第二段階
少人数で補足的な支援を追加する
第三段階
個別支援
第一段階であまり良くない反応があった子どもは、第二段階へ、第二段階でも伸びが見られない場合は第三段階へ移ります。少しずつ支援をしながら、その子どもの苦手や得意、必要な支援を客観的に判断します。
ギフテッド2Eが抱える問題
ギフテッドは生まれつきの天才であり、育てやすく、本人も生きやすいのではないかと思われます。しかし、実際はある程度能力をもった大人でないと育てづらく、本人も生きづらさを感じています。さらに発達障がいの特性が加わると、抱える問題は大きくなってしまいます。
才能を伸ばすことができない
子どもの発達を見るのに学力ばかりがよく注目されるため、学問以外の才能をもつギフテッド2Eのお子さんは才能を見つけてもらえないことがあります。さらに、苦手な部分のほうがまわりに知られ、本人は自信をなくし、周囲も過小評価するようになります。
発達障がいへの対処がされない
ギフテッド2Eのお子さんは特定の能力が高いので、療育をしたり特別な支援をしたりする必要はないと判断され、発達障がいの生きづらい部分を放置されている子がいます。
まわりと合わせることができない
同年代の友達と話が合わなかったり、感情的になることが多かったりして、友達ができにくく、苦手な部分でいじめられたりするなど、孤独感を抱えています。さらに、先生にもその特性を理解してもらうことができず、社会生活になじめず、不登校になるという問題も起こっています。
学校を楽しむことができない
ギフテッドは探求心が高く、なんでも疑問をもちます。高い知能で授業内容を理解してしまい、探求心が満たされず、ストレスになることもあります。
また、守ることが当たり前のようになっている規則にも疑問をもちます。そのため、ギフテッド2Eのお子さんは納得できる答えがもらえず、理解できないまま規則を守ることにも不満をもつ傾向があります。そのため学校を楽しむことができず、不登校になってしまいます。
まとめ
ギフテッド2Eの「2E」は、 「twice-exceptional:二重に特別」という意味があります。ギフテッドの天才的な能力と、発達障害の凸凹とした発達があり、本人は生きづらさを抱えています。ギフテッド2Eのお子さんには、才能を発揮できる場を用意することと、発達障がいの特性、どちらにも支援が必要です。
参考
ギフテッドとは?特徴・種類・検査方法について | ブレインクリニック