アニマルセラピーに注目が集まっている?アニマルセラピーの効果と導入する際の注意点
アニマルセラピーに注目が集まっている?アニマルセラピーの効果と導入する際の注意点
アニマルセラピーとは、犬や猫などの動物とのふれあいで精神的な治療をおこなうことです。最近ではアニマルセラピーに注目が集まり、福祉にアニマルセラピーを導入する施設がふえています。今注目を集めるアニマルセラピーにはどのような効果があるのか、海外のアニマルセラピーや、アニマルセラピーを施設に導入する際の注意点を解説します。
アニマルセラピーがもたらす効果は?
アニマルセラピーは心身ともに効果があることがわかっています。
世界各地で、犬を飼っている家庭の方が病院へ行く回数が少ないという調査結果が出ています。また血管疾患で死亡するリスクが減少することや、乳児が感染症や呼吸疾患にかかるリスクが減少したことが明らかになっています。
精神的な面でも、犬とふれあうことで精神面に大きな変化があったことも多数報告されています。
世界でも多く認められているアニマルセラピーの効果は以下の通りです。
- ストレスを緩和する
- リハビリ効果
- コミュニケーションを促がす
- 自尊心や自立心を向上させる
- 発達障がいの症状が改善した事例もある
ストレスを緩和する
動物とふれあったり、しぐさを見たりすることで不安が和らいだり、ストレスがへったりします。この理由にはさまざまな学説がありますが、「太古の血」が関係しているのではないかと考えられています。
古代から人間は水場にいる鳥や小動物を見て、その場所に天敵がいないことを確認し、安心していました。その行動が遺伝子に組み込まれており、今も小動物などを見ると不安感が和らぐのかもしれません。
犬とふれあうことで、脳内物質に影響があることもわかっています。飼い主が犬とふれあった後、脳内物質の「オキシトシン」が上昇したことが研究結果に出ています。オキシトシンとは、哺乳類の母子関係や、夫婦間の絆の形成に関係しているといわれ、ストレスホルモンを抑制し、安らぎ、信頼関係、幸福感をあたえる別名「幸せホルモン」です。
リハビリ効果
動物にふれたい、かわいがりたいという明るい気持ちで動物を抱いたり、なでたり、動物に話しかけたり指示を出したりすることで、自然と体や口を動かすことができ、リハビリ効果が期待できます。
コミュニケーションを促がす
動物を同じようにかわいがったり、世話したりすることで、動物を通して、人とのコミュニケーションをふやすことができます。普段、雑談が苦手だという方も犬の話題では自然と話すことができます。
発達障がいの症状が軽減した実例もある
英ザ・ウィーク誌に公表された実験によると、実験参加者のADHDの子どもがドッグセラピーを受け、注意欠陥症状や社会性も改善されたことがわかっています。
ADHDの子どもの注意欠陥症状が改善した理由は、「生命愛」であると考えられています。生命愛とは、「生まれつき人間は動物や自然に注意を向ける性質が備わっている」とする学説です。
アニマルセラピーを福祉に導入する注意点は?
身体的、心理的、社会的さまざまな面に効果をもたらすアニマルセラピー。セラピードッグを管理している団体に施設に訪問をお願いする方法か、施設で動物を飼う方法があります。
今多くの福祉施設がアニマルセラピーを取り入れようとしています。しかし、生きものを扱うのは簡単なことばかりではありません。アニマルセラピーを導入する際の注意点を確認しましょう。
動物のケアをおこたらない
特別な訓練を受けたセラピードッグでも、不安やストレスを抱えることがあります。利用者さんが動物好きでも動物との付き合い方がわからず、犬が怒ってしまうようなことをしてしまう場合も。その際、噛みついたり引っかいたりする可能性があります。
セラピードッグのストレスケアもしっかりおこなう必要があるでしょう。
動物と利用者の関わり方に注意する
支援者が目を離しているあいだに、利用者がセラピーをおこなう動物を強く抱いたり、犬の口にキスをしようとした、という報告があります。
またセラピーをおこなう犬にドッグフードをあげようとしたら、別の利用者が割り込みドッグフードを奪い取ったという活動報告もあります。一歩間違えると、事故につながりかねないことです。利用者へ動物との関わり方を教えたり、事故が起こらないように注意しないといけません。
ペットロスへのメンタルケア
ペットロスとは、ペットが亡くなったことによる心理的ストレスで、うつ傾向になったり周囲的に攻撃的になったりする症状のことを指します。
ペットロスはとくに若い人や女性、家族関係があまり適切ではなかった方のほうが陥りやすいです。利用者と動物の結びつきが強いほど、動物が亡くなったときに利用者のメンタルケアが欠かせなくなります。
まとめ
心身ともに良い影響をもたらすアニマルセラピー。施設で動物を飼うことや、動物を福祉に取り入れる場合は、動物が生きものであることもしっかり認識して、利用者と動物のふれあいルールを決めましょう。
参考