【令和3年度報酬改定】施設入所支援
【令和3年度報酬改定】施設入所支援
施設入所支援の令和3年度報酬改定は、業務やサービスの質を適切に評価するための見直しがされています。
令和3年2月4日に発表された、施設入所支援の令和3年度障害福祉サービス報酬改定の内容をまとめたので、ご参考ください。
施設入所支援の改定内容
施設入所支援の改定内容は以下のとおりです。
- 口腔衛生管理体制をすすめる加算を新設
- 経口移行加算・経口維持加算の見直し
- 療養食加算の要件の見直し
- 重度障がい者支援加算の見直し
- 身体拘束などの適正化
- 福祉・介護職員等に関する加算の見直し
口腔衛生管理体制をすすめる加算を新設
口腔衛生管理体制を整えるため、「口腔衛生管理体制加算」と「口腔衛生管理加算」が新設されます。
口腔衛生管理体制加算は、歯科医師や歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、月1回以上、職員へ口腔ケアに関する技術的な助言をしていると加算されます。
fa-arrow-circle-right口腔衛生管理体制加算・・・30単位/月
口腔衛生管理加算は、まず厚生労働省が定める施設基準を満たしており、都道府県に届け出た指定障害者支援施設等であることが要件です。
fa-arrow-circle-right口腔衛生管理加算・・・90単位/月
歯科衛生士が、月2回以上おこなう入所者への口腔ケアについて、職員へ具体的な助言や指導をしていること。
歯科衛生士が職員の「月2回以上おこなう入所者への口腔ケアに関する相談」などに対応していること。
ただし、このとき、口腔衛生管理体制加算を算定していない場合は、口腔衛生管理加算も算定されないのでご注意ください。
経口移行加算・経口維持加算の見直し
利用者の食べる楽しみを支援するため、「経口移行加算の要件の見直し」と「経口維持加算の見直し」がされます。
経口移行加算の要件の見直しは、「経口移行加算が算定されるとき、栄養マネジメント加算を算定していない場合は、加算が算定されない」ということが追加されました。
経口維持加算の見直しは、日単位から月単位の加算になり、算定要件も細かく決められています。
fa-arrow-circle-right経口維持加算(Ⅰ)・・・400単位/月
経口維持加算(Ⅰ)の算定要件は以下のとおりです。
①指定障害者支援施設であること。そして経口により食事を摂取し、摂食機能障がいをもち、誤嚥が認められる入所者へ、医師や歯科医師の指示にしたがって、医師や歯科医師、管理栄養士、看護師などと食事の観察や会議などをしていること。
②摂食機能障害などをもっている入所者ごとに、経口維持計画を作成していること。
③経口維持計画にしたがって、医師または歯科医師の指示を受けた管理栄養士や栄養士が、経口による食事の摂取をすすめるための特別な管理を継続しておこなっていること。
以上3つを満たしているとき、経口維持計画を作成した月から6か月以内の期間に限り、月に400単位が加算されます。
ただし、経口移行加算を算定している場合や、栄養マネジメント加算を算定していない場合は、経口維持加算(Ⅰ)は算定されません。
fa-arrow-circle-right経口維持加算(Ⅱ)・・・100単位/月
経口維持加算(Ⅱ)は、指定障害者支援施設が、経口維持加算(Ⅰ)を算定していること、そして医師(指定障害者施設基準第4条第1項第1号に規定する医師を除く。)、歯科医師、歯科衛生士や言語聴覚士などを交えて、入所者の食事の観察や会議などをおこなったとき、月に1回評価されます。
療養食加算の要件を見直し
療養食加算の要件が緩和されます。
「経口移行加算または経口維持加算を算定しているときは、療養食加算は算定しない」とされていましたが、改定後は、経口移行加算や経口維持加算を算定している場合も、療養食加算が算定されるようになります。
さらに栄養士だけでなく、管理栄養士を配置している指定障害者支援施設等で、厚生労働省が定める療養食を提供したときにも、1日につき療養食加算があたえられるようになりました。
重度障がい者支援加算(Ⅱ)の見直し
重度障がい者支援加算(Ⅱ)は、支援をおこなったときに評価される加算と期間が大きく見直されます。
fa-arrow-circle-right重度障がい者支援加算(Ⅱ)・・・支援をおこなった場合 180単位/日
支援をおこなった日から一日ごとの加算は、700単位から500単位に。しかし加算の算定期間が、90日から180日にアップ。
総合的には評価が上がり、重度障がい者の支援をより手厚くおこなえるようになります。
身体拘束の適正化
事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が追加されます。
②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと
②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。
①の運営基準を満たしていない事業所は「身体拘束廃止未実施減算」が適用され、基本報酬が減算されます。②~④は令和5年4月以降から、身体拘束廃止未実施減算の要件に加えられます。
fa-arrow-circle-right身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日
福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止されます。
(令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置を設けられます。)
加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。類似する複数のサービスはグループ分けして、加算率が算定されます。
(Ⅱ)所定単位数× 6.5%
(Ⅲ)所定単位数× 3.6%
職場環境要件も変更されました。職場環境をより良くするための取り組みは、当該年度に実施することを求められます。
ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。
福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し
福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールが見直されます。
「経験・技能のある障害福祉人材」は「ほかの障害福祉人材」の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に見直されます。
また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして加算率が設定されます。
施設入所支援の加算率は「所定単位数× 2.1%」に見直されました。
まとめ
施設入所支援の令和3年度障がい福祉サービス報酬改定は、入所者の食を充実させるための評価が大きく見直されることに。また総合的には重度障がい者支援加算も上がり、より入所者を支援しやすくなっています。
このほか全サービスに関わる改定内容は別記事にまとめたので、ご覧ください。
【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス
参考