2021.10.23

【令和3年度報酬改定】共同生活援助事業

共同生活援助

【令和3年度報酬改定】共同生活援助事業


令和3年度障がい福祉サービス報酬改定では、共同生活援助の事業所にたいして、重度障がい者のケアや夜間支援など、支援がむずかしい障がい者の受け入れ体制を整えることに力をいれています。
共同生活援助の令和3年度報酬改定のおもな内容をまとめたので、ご参考ください。

 

共同生活援助の改定内容

共同生活援助の改定内容の大きなポイントは以下になります。

  • 基本報酬をメリハリあるものに
  • 重度障がい者支援加算の対象を見直し
  • 医療的ケア対応支援加算を新設
  • 医療連携体制加算の見直し
  • 強度行動障がい者の体験利用を評価
  • 夜間支援等体制加算の見直し
  • 重度障がい者が個人単位で居宅介護などを利用するときの経過措置を延長
  • 身体拘束などの適正化
  • 福祉・介護職員等に関する加算の見直し

 

基本報酬の見直し

重度障がい者の受け入れを促進するため、区分3までの中軽度障がい者の支援は報酬を下げ、重度障がい者への支援は報酬を上げ、報酬の差を広げることに。
介護サービス包括型・外部サービス利用型もまた経営状況を見て、同じ見直しを検討する動きです。

 

【例】日中サービス支援型共同生活援助サービス費(Ⅰ)

現行 見直し後
区分6 1104単位 1105単位
区分5 988単位 989単位
区分4 906単位

907単位

区分3 650単位 721単位

 

 

重度障がい者支援加算の対象を見直し

重度障がい者支援加算はⅠ・Ⅱが設けられました。重度障がい者支援加算Ⅰは現行のものと同じであり、Ⅱは算定要件や対象が見直されています。

 重度障がい者支援加算Ⅰ・・・360単位/日
 重度障がい者支援加算Ⅱ・・・180単位/日

 

重度障がい者支援加算Ⅱの算定要件は以下になります。

①指定基準に定める員数と、支援に必要な生活支援員を加配。
②「強度行動障がい者支援者養成研修(実践研修)」「行動援護従業者養成研修」のいずれかを修了しているサービス管理責任者または生活支援員が1人以上いること。
③「強度行動障がい者支援者養成研修(実践研修)」「行動援護従業者養成研修」のどちらかを受けた生活支援員が全体の2割以上いること。

 

重度障がい者支援加算の対象には「障害支援区分4」以上の強度行動障がいをもつ障がい者も含まれます。
障がい支援区分4以上の強度行動障がい者に、指定共同生活援助または日中サービス支援型指定共同生活援助をおこなったとき、加算Ⅱの180単位があたえられます。
ただし重度障がい者支援加算Ⅰが算定される場合は、加算Ⅱは算定されません。

 

 

医療的ケア対応支援加算を新設

医療的ケアが必要な障がい者へ指定共同生活援助など支援をおこなった場合、「医療的ケア対応支援加算」が加算されます。

 医療的ケア対応支援加算・・・120単位/日

従業員の数が指定障害福祉サービスの基準を満たしており、かつ、看護職員を常勤換算方法で1以上配置している事業所が対象となります。
ただし重度障がい者支援加算Ⅰまたは医療連携体制加算が算定される場合は、医療的ケア対応支援加算は算定されません。

 

 

医療連携体制加算の見直し

医療連携体制加算の報酬単位は、医療的ケアがあるかどうか等で細かく区分されるようになります。また、原則、利用者を診察している主治医から個別に受けるものを「医師からの指示」とすることが決められます。
共同生活援助のみ上限が設けられており、看護師1人につき算定できる利用者の人数は「20人まで」です。

看護職員が看護する利用者 単位数
医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位
医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位
医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位
医療連携体制加算(Ⅳ) 1人 800単位
2人 500単位
3人以上8人以下 400単位
医療連携体制加算(Ⅴ) 500単位
医療連携体制加算(Ⅵ) 100単位
医療連携体制加算(Ⅶ) 39単位

 

 

強度行動障がい者の体験利用を評価

「強度行動障がい者体験利用加算」は、要件をクリアした事業所が、強度行動障がいをもつ障がい者の体験利用をおこなったときに評価するものです。


 強度行動障がい者体験利用加算・・・400単位/日


「強度行動障がい者体験利用加算」の事業所の要件は以下のとおりです。

①「強度行動障がい者支援者養成研修(実践研修)」「行動援護従業者養成研修」のいずれかを受けたサービス管理責任者・生活支援員が1人以上いること。

②「強度行動障がい者支援者養成研修(実践研修)」「行動援護従業者養成研修」のいずれかを受けた生活支援員が全体の2割以上いること。

ただし重度障がい者支援加算が算定される場合は、強度行動障がい者体験利用加算は算定されません。

 

 

夜間支援等体制加算の見直し

介護サービス包括型や外部サービス利用型事業所は、入居者の障がい支援区分にあわせて加算をされる方向に。
たとえば5人の利用者がいる事業所は、区分4以上であれば269単位/日、区分2以下は、179単位/日となります。
重度障がい者を支援する事業所は手厚く、中中軽度障がい者を支援する事業所は報酬を下げ、メリハリある加算に変更。

さらに、支援をする障がい者の人数が8人以上になるときは、複数人ごとに加算額を設定していた体制を変え、支援をする障がい者の数が1人ふえるごとに、加算の単位数が設定されます。

また住居ごとに常勤の夜勤職員と、事業所に夜勤または宿直の職員を配置すること。そして複数の住居を巡回して入居者を支援するとき、夜間等支援体制加算Ⅰにくわえて、加算Ⅳ・Ⅴ・Ⅵで評価されるようになりました。


引用:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000733747.pdf

 

 

重度障がい者が個人単位で居宅介護などを利用するときの経過措置を延長

共同生活援助事業ではできない身体介護や医療的ケアができる、また利用者の満足度が上がる、などメリットが多い経過措置。
この経過措置は令和3年3月31日までとされていましたが、令和6年3月31日まで期間が延ばされました。事業所も障がい者もとても助かりますね。

 

 

身体拘束などの適正化

事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が追加されます。

 

①身体拘束をおこなうときは、必要な事項を記録すること。

②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。

③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。

④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。

 

②~④は1年間の準備期間を設け、令和3年4月から努力義務化、令和4年度からは義務化されます。
令和5年4月からは、運営基準の②~④を満たしていない事業所に、「身体拘束廃止未実施減算」が適用されます。

 身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日

 

 

 

福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止されます。
(令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置を設けられます。)

また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。
類似する複数のサービスはグループ分けし、加算率を算定。

指定共同生活援助・日中サービス支援型
 (Ⅰ)所定単位数× 8.6%
 (Ⅱ)所定単位数× 6.3%
 (Ⅲ)所定単位数× 3.5%

●外部サービス利用型
 (Ⅰ)所定単位数× 15.0%
 (Ⅱ)所定単位数× 11.0%
 (Ⅲ)所定単位数×  6.1%


職場環境要件も変更されました。職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。
ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。

 

 

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールは、より柔軟な配分をできるように見直されました。
経験・技能のある障害福祉人材は、ほかの障害福祉人材の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に変更されます。

また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして加算率が設定されます。

指定共同生活援助・日中サービス支援型・外部サービス利用型
 (Ⅰ)所定単位数× 1.9%
 (Ⅱ)所定単位数× 1.6%

 

 

まとめ

令和3年度障害福祉サービス報酬改定は、支援のむずかしい障がい者や、重度障がい者の受け入れ体制の確保を重視しています。
重度障がい者などを支援していた事業所は、この改定により手厚く評価されるようになります。この改定を機に、障がい者の受け入れ体制を整えましょう。

また全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめているので、ご参考ください。

【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス

 

 

参考
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

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