「OriHime」「Gita」障がい者の生活を変えるロボットまとめ
「OriHime」「Gita」障がい者の生活を変えるロボットまとめ
ロボット技術は介護者の負担をへらしたり、障がい者の生活を助けてくれます。さらに最近では、ロボット技術を活用して、寝たきりの人も働いて社会と交流ができるなど、さまざまな期待が高まる技術です。
現在、ロボット技術は障がい者の生活のあらゆる分野で導入されつつあります。
・移動支援
・食事支援
・入浴介助支援
・コミュニケーション支援
・就労支援
障がい者の生活や支援者を助けるロボット技術を、各分野ごとにご紹介しましょう。
移動支援ロボット
障がい者の移動支援に関わるロボットは、体に装着して正しい歩行をアシストするものや、自動的に追尾して荷物を運ぶものがあります。
HAL®自立支援用下肢タイプPro
https://www.cyberdyne.jp/products/fl05.html
茨城県にあるCYBERDYNE株式会社が製作する、装着型の歩行サポート機器です。下肢が動かしづらくなった人の歩行をアシストします。人が体を動かそうとするときに流れる微弱な信号を感知して機器が動くので、思い通りの歩行を可能にします。
キャリーロボット「Gita」
アメリカの企業Piaggio Fast Forwardが開発したキャリーロボット「Gita(ジーター)」。Gitaの中には荷物が入れられるようになっており、操作をしなくても自動的に持ち主の後ろをついていきます。
1度の充電で、約18キログラムの荷物を、約32キロメートル以上運ぶことが可能。身体が不自由な人も付き添いなしで買い物を楽しんだり、介助者の負担をへらしたりすることができます。
食事支援に関わるロボット
手を使わなくても料理を自動で口元まで運んでくれるロボットも開発されています。完全な自立型ではありませんが、非常に簡単な操作でロボットを動かすことができ、障がい者も介助者なしで食事を楽しめるようになります。
マイスプーン
画像引用:News:セコムが日本初の食事支援ロボット「マイスプーン」を発表
https://www.secom.co.jp/personal/medical/myspoon.html
マイスプーンは、セコム株式会社が2002年に開発した、日本初の食事支援ロボット。B4サイズのコンパクト設計。食事を4つの区切りがあるトレイに盛り付け、あとはレバーやボタンを押すと、ロボットが付属のスプーンやフォークで料理をすくい上げて口元まで運びます。 スプーンは口元の前で停止するので、安全性にも配慮されています。
Obi
画像引用:料理を自動で口元まで運んでくれる食事介助ロボット「Obi」 - GIGAZINE
Obiはアメリカの企業Desin、LLCが開発した食事支援ロボットです。
ボタンやスイッチを押したり、息をふきかけたり、簡単な操作でアームを動かすことができます。四つに区切られたトレイは、食器洗浄機、電子レンジ、冷蔵・冷凍に対応。
アームは人間の手のように滑らかに動き、あらゆる形状の食べ物をすくって口元に運べます。価格は約45万円。日本への発送も可能です。
入浴介助支援ロボット
障がい者の入浴介助支援ロボットは、浴槽への出入りをサポートするものから、体を洗う機能まで実装されたロボットが開発されています。入浴の介助作業は体力がとても必要なので、ロボットが普及すると介護者の多くの負担をへらせます。
WLC:wellsリフトキャリー
画像引用:介護・自立支援設備「wells」
https://kaigoshien.com/index.html
積水テクノホーム株式会社が製作した「WLC:wellsリフトキャリー」は、浴槽への出入りと、脱衣所から浴室への出入りの動作をサポートします。
ボタンを押すだけで座面が昇降し、乗り換えることなく、浴槽に安全な姿勢で浸かることができます。そのため1人でも安心して入浴を楽しむことが可能になります。
アラエル
画像引用:アラエル | 酒井医療株式会社
https://www.sakaimed.co.jp/bath/sitting-bathing/araeru/
「アラエル」は、酒井医療が開発したシャワーロボットです。移動用の車いすをそのままドームの中に入れると、合計22基もついたシャワーノズルが全身をくまなく洗ってくれます。ウルトラファインバブルというマイクロ単位の泡を放出するので、汚れをしっかり落とし、肌のうるおいを保つ効果も。
操作は簡単で、「おまかせ洗身」ボタンをひとつ押すだけ。予洗いから洗い流しまで自動でおこないます。ドームの中は上から確認できるようになっているので、見守る介助者も安心です。
排泄支援ロボット
排泄支援ロボットには、排泄のタイミングを予測して知らせるタイプと、排泄物の処理をおこなうタイプが開発されています。
DFree(ディーフリー)
画像引用:DFree - 排泄予測デバイス/Toilet Timing Predicting Device
DFreeは、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社が開発した、排泄を予測して知らせるロボット。下腹部に装着し、体内の動きを予知して、排尿のタイミングをスマートフォンに通知してくれます。
装着者は失禁などで不安になることはなく、出かけられるようになりますし、介助者も適切にトイレに誘導できるので、介助者の負担もへらせます。
水洗ポータブルトイレ キュレット
画像引用:キューレット 介護ロボット(排泄支援)水洗ポータブルトイレ
https://www.aronkasei.co.jp/sinjigyo/portable-toilet/
アロン化成株式会社が開発した「キュレット」は、排泄物を自動で処理してくれます。排泄物を直接下水道に流したり、密閉容器に溜めたりできるので、部屋のニオイが気になりにくくなります。また水道や床、壁の穴あけ工事は不要。重量も軽く、マンションにも設置できる設計です。
コミュニケーション・就労支援ロボット
ロボットは生活そのものだけではなく、障がい者に交流の場を提供したり、就労の可能性まで広げます。2021年8月には、障がい者が「分身ロボット」を操作して運営するカフェが話題になりました。
OriHime
オリィ研究所が開発したOriHime(オリヒメ)は、遠隔操作ができ、自由に動かせるロボットです。身振り手振りを操作できるので、人がその場にいるかのように感情表現を示せます。コミュニケーションに加えて、全身120㎝の体長で一定の動作ができるタイプも。
また視線やスイッチ1つで操作する機能も搭載。合成音声は本人に近いものを再現。寝たきりや重度障がい者の方も分身ロボットを通して、周囲と交流をしたり、就労したりと、さまざまな可能性が期待できるロボット技術です。
まとめ
ロボットは障がい者の生活だけではなく、コミュニケーションから就労の場まで、さまざまな可能性を広げてくれます。もっとロボット市場が盛り上がり、導入しやすい価格になると、障がい者の生活が大きく変化するでしょう。
参考
後ろを付いてくる荷物運びロボット…競合は宅配ロボットではなく配車サービス | Business Insider Japan
障害分野におけるロボット等の導入促進に向けた調査研究事業 調査結果報告書