自己効力感を高めるクライミング。障がい者がおこなうメリットと方法。関東のイベントと施設をご紹介。
自己効力感を高めるクライミング。障がい者がおこなうメリットと方法や関東のイベントと施設をご紹介。
視覚障がいの方がおこなうクライミング「ブラインドクライミング」を知っていますか?
目隠しをした状態でクライミングをし、ガイドの指示にそって登る方法です。クライミングには障がい者がおこなう上でメリットが多くあり、視覚障がい者だけでなく、幅広く、今注目されつつあります。
障がい者がクライミングをおこなうメリットや方法、関東で障がい者クライミングができる施設やイベントをご紹介します。
障がい者がクライミングをおこなうメリットとは
クライミングは障がいの有無にかかわらず、みんな同じルールで、同じ方法で楽しむことができるスポーツです。バリアフリースポーツともいえるクライミング。障がい者がクライミングをおこなうメリットはつぎになります。
誰かと競うことなく自分のペースでできる
クライミングは、ほかのスポーツと違い、飛んでくるボールはなく、速さや運動神経を競うものでもありません。自分でスタートとゴールを決めることができ、誰かのペースに合わせる必要もなく、一点に集中することができます。
精神、身体に関わらず、障がいのある方はどうしても集団スポーツがむずかしいと感じるでしょう。発達障がいや精神障がいの方は、他人と合わせることに困難を感じると思います。
クライミングは他の人を気にすることなく、マイペースにゴールを目指すことができるので、一つのことに集中しがちな方にも最適といえるスポーツです。
障がいの有無に関わらず同じ課題に取り組める
手足をつかい、頂上に登るのに、障がい者のみのルールはありません。クライミングに挑戦する障がい者も健常者と同じ課題に取り組むことができます。
そのため、課題をクリアしたとき、「障がいに関係なく努力することができ、ほかの人と同じ成功体験ができた」という経験をもつことができます。この経験は自信につながり、人生のさまざまな場面で役立つはずです。
自己効力感を高める
自己効力感とは、「自分には目標を達成できる力がある」と信じられる状態のことをいいます。自己肯定感とは違います。自己肯定感はありのままの自分を受け入れられるチカラなので、「目標を達成できなくても自分は良いのだ」という感覚です。
自己肯定感だけでは不足です。人間は「できそうにない」と感じると行動しにくくなります。けれど、「自己効力感」があれば、なんでもチャレンジすることができます。そして新しいことをするのは、人との出会いや自己の成長につながりやすいので、「自己効力感」は障がいのある方こそ身につけたい大事な感覚です。
クライミングは自己効力感を高めると、研究結果でも明らかにされています。フランスの身体障がい者に向けた実験でも、コロンビア州で発達障がい児におこなわれた実験でも、自己効力感の向上が認められています。
参考:https://www.jarvi.org/pub/wp-content/uploads/2018/12/JJVR20130301-05.pdf
全身の運動能力やバランス力を向上することができる
クライミングのイメージは、壁にある物をつかんで登っていくので、握力や腕力などチカラが大事だとイメージされていますでしょうか。
クライミングは握力や腕力の強さよりも、体力に頼るところが大きいです。手だけではなく、足や全身を使って登るので、力の調整がむずかしかったり、弱かったりされる障がい者もおこなえる運動です。
クライミングをして全身を鍛えることで、体全体や力のバランス力を整えることができるようになります。
障がい者がクライミングを始めるときの準備やその方法は?
障がいのあるご家族や友達と、クライミングしてみたいと思いましたでしょうか。
まず何か道具が必要なのか、どのように始められるか、気になるところでしょう。
障がいのある方と一緒に始めるとき、準備しておいた方が良いことや、実際の方法についてご説明します。
まずは室内でおこなうボルダリングから
クライミングにはロープを使いながら壁を登っていく、本格的な方法と、ロープを使わず2~5m程度の壁を登る方法があります。ロープを使わない、短い壁を登るのは「ボルダリング」といいます。
ボルダリングでは、厚いマットが敷かれており、安全対策がとられています。また2~5mなので、それほど高い目標ではなく、なんとかクリアできそうな、挑戦しやすい壁です。
室内でおこなうことができるので、天候に関係なく、いつでもおこなうことができるのもメリットです。
初心者の方はボルダリングから始めて、登ることの楽しさを知りましょう。
ボルダリングをしに行くときの持ち物
ボルダリングは、ボルダリングができる専用の室内ジムがあります。登るためのシューズなど道具はありますが、ほとんどレンタルすることが可能です。
通常の運動をするときと同じで、動きやすい服装と靴下を履いていくと良いでしょう。
視覚障がいや聴覚障がい、内部障がいなど、目に見えない障がいのある方は「障がい者マーク」のついたものなどわかりやすくしておくと、まわりの方にも気を遣うことができます。衝突事故などをふせぐことにも繋がります。
ボルダリングのルール
ボルダリングは登るコースごとにレベル分けされています。壁にある「特定の色や目印がついた出っ張り」をつかんで登っていく必要があります。それ以外は複雑なルールがないので、簡単なコースから始めましょう。
ほかにも同じコースを登っている方がいる場合は、登らない。登っている人の下に立たない。このように安全面で守らなくてはいけないルールはあるので、ジムを利用する際は注意点を確認しましょう。
【関東】障がい者向けのクライミングジム・イベント
クライミングが障がい者に広まりつつあるとはいえ、まだ一般的とはいえません。近くのボルダリングジムに行きたいと思われたときは、事前に電話で確認しましょう。安全面を考慮した上で、体の状態を聞かれることがあります。
ここでは、障がい者の方に向けた、関東圏にあるクライミングイベントや施設をご紹介します。
ケースケズ ロック クラフト
https://ksks-rock-craft.p-kit.com/
場所:〒365-0014 埼玉県鴻巣市屈巣3649
電話番号:090-6516-5162(9:00~19:00)
障がいのある方に向けて、完全予約、貸し切り制となっているジムです。
家族だけで利用できるので、まわりの目を気にすることなく、ボルダリングを楽しむことができます。
クライミング ボルダリングジム HANN (ハン)
- 場所:〒253-0106 神奈川県高座郡寒川町宮山3718-1
電話番号:0467-50-0576 - 場所;〒243-0804 神奈川県厚木市関口166-1
電話番号:0464-04-0886
神奈川県寒川町、厚木の2店舗を展開しているボルダリングジム。
初心者向け、上級者向けと分けてあり、ほかの人のペースを気にせずおこなうことができます。
障がい者手帳があれば、障がい者割引を利用できます。
障がい者クライミングイベント。マンデーマジック
https://www.monkeymagic.or.jp/join#magic
マンデーマジックは、NPO法人モンキーマジックが主催する、クライミングイベントです。
東京と横浜で毎月1回おこなわれています。
- 東京
場所:NOBOROCK 高田馬場店
新宿区高田馬場4丁目9-9 早稲田13時ホールビル1F
(高田馬場駅徒歩1分) - 横浜
場所:クライミングジム Rise
横浜市戸塚区上倉田町479-2 東横ビル上倉田B1
(JR戸塚駅東口から徒歩5分)
クライミングをしたことのある人ない人も、障害のある人も、障害のある人と関わったことのない人も、
みんなでクライミングを楽しむことができるイベントです。
障がいや多様性の理解を目的としており、クライミングだけでなく、多様性についての講座もあります。
クライミングを通して、人との関わりもしていきたいという方におすすめのイベントです。
まとめ
クライミングはマイペースにみんなと同じ課題に取り組み、成功体験を積むことができるので、自己効力感を高めることができます。もともと障がいのある方は困難を感じやすく、自己効力感を高めることがむずかしいでしょう。だからこそ、クライミングでの成功体験は大きく役に立ちます。障がい者向けに開かれているイベントもありますので、積極的にチャレンジしてみましょう。
参考
ハートネットTV フクチッチ(32)視覚障害 後編 | NHK ハートネットTV
cococolor – Diversity is beautiful.| » 視覚障害者といっしょにフリークライミング。見えてきたことは?