2023.09.08

発達障がい児の子育てに重要な「レジリエンス」の育て方

発達障がい児の子育てに重要な「レジリエンス」の育て方

「レジリエンス」とは、「立ち直り力」ともいいます。何をされても凹まない強さではなく、凹んでも、落ち込みすぎず、良い方向へ立ち直れる力です。
とくに発達障がいのお子さんは生きづらさを感じやすく、つらい出来事や失敗を多く経験しがちなので、「レジリエンス」がとても重要になります。レジリエンスがあると、二次障がいを防ぎ、大人になっても、お子さんを支えてくれます。
発達障がいのお子さんこそ身につけたいレジリエンスとは何か、レジリエンスの育て方について解説します。

 

レジリエンスとは?発達障がいの子どもに必要?

超ストレス社会と言われている現代。精神的にどれほど強くても、失敗やストレスが続くと、いつか心が折れてしまいます。そこで今求められているのが、レジリエンスです。凹んでも何度でも良い方向へ立ち上がれる「しなやかさ」が、今の子どもたちや、とくに発達障がいのお子さんに欠かせないものとなっています。このレジリエンスとは何か詳しく見ていきましょう。

 

二次障がいをふせぐ

発達障がいの特性は本人やまわりの努力によって減らすことはできますが、なくすことはできません。どこかで、勉強や人間関係などでつまずくことがあるでしょう。そして失敗を繰り返すと、自信を失い、不安がちになり、睡眠の質が悪くなるなど、「二次障がい」が起こるおそれがあります。

けれど、失敗を経験したときにレジリエンスが育っていると、マイナス思考をやめて、もう一度頑張ることができます。前向きな思考により、まわりや自分を信用できます。すると社会性が育つので、二次障がいもふせげるようになります。


社会に適応する力になる

発達障がいのお子さんの子育てでは、よく「自尊心」が大事だと言われていますね。お子さんを頑張ってほめているお母さんも多いでしょう。

自尊心とレジリエンスは違います。
自尊心は成功したり、ほめられたりすると育ちますが、「失敗には弱く、受け入れられない」という側面があります。

それを支えるのがレジリエンスです。
レジリエンスがあると、失敗という現実を受け入れられるので、再チャレンジしたり、まわりに頼ったりできます。
さらに、まわりに頼るときにソーシャルスキルがあると、人にスムーズに相談できますね。

  1. 自尊心
  2. レジリエンス
  3. ソーシャルスキル

自尊心をもって物事に積極的に取り組み、失敗したり困難な状況になったりしたら、まわりにちゃんと頼る事ができる。
この三つは補い合う関係にあり、社会に適応する大きな力になります。

 

レジリエンスの三要素

レジリエンスがある人には、以下の3つの心理的な特徴があります。

  1. 新しい事に興味関心がある
  2. 感情をコントロールできる
  3. 未来志向が明るく前向き

新しい事に興味をもち、チャレンジする意欲があること。何か失敗をしても、自身の気持ちを切り替える方法を知っていれば、失敗を引きずりません。そして「一生懸命努力すれば叶う」と、未来にたいして明るく前向きであれば、また頑張ることができます。
この三つの要素を育てることで、お子さんのレジリエンスを高めることができます。

 

 

発達障がいのお子さんが身につけたいレジリエンスの育て方

レジリエンスは日々の生活のなかでゆっくりと育っていくものです。
長い子育てのなか、このレジリエンスを育てるには、何に気を付け、どのようにすれば良いのかをご説明します。

 

生活習慣を整える

レジリエンスを育てるには、気持ちが安定していることが第一歩です。気持ちを安定させるためには、安定した生活が必要なので、まずは必ず生活習慣を整えるようにしましょう。

お子さんの生活に乱れがある場合は、なにが原因かを見定めてください。発達障がいの特性で習慣が乱れている場合は、障がいの特性にあわせて対処します。
家庭内での改善がむずかしいときは、医師に相談するのも良いでしょう。

 

人を頼って成功する体験をふやす

生活が整い、自律性が育ってきたら、次のステップです。お子さんの興味関心やペースを尊重して、さまざまな体験をさせましょう。

ただ、発達障がいのお子さんは失敗することの方が多いです。ご家族でサポートして、意見を言いやすくしたり、失敗よりも成功体験をふやしたりしてください。

なにか目標設定をするときは、お子さんが「ほとんどできていること」を目安に。ほとんどできていることがちゃんとできるようになったら、目標達成です。お子さんも成功しやすく、達成感を感じられます。

 

子どもの興味を育てる

子どもの意欲関心があることを積極的に肯定しましょう。ただ好奇心をほめるだけではなく、子どもに自分で選んで決めさせることが大事です。
お子さんが興味をもったことにたいして、選択肢を示してあげましょう。

「どちらがいいか」「何をするか」を子どもに決めさせることで、子どもが自分で決めたことに責任をもちます。責任をもって取り組むからこそ、達成感を得られます。

そのほか、お子さんに役割をもたせるのも、自主性を育て物事に興味をもたせることに有効です。
お子さんがこなしやすく、少しでも関心がある家事を手伝ってもらいましょう。

 

気持ちを切り替える

イライラしたとき、落ち着かないとき、気持ちを少し切り替える方法を身につけられるように、サポートしましょう。深呼吸や、お子さんが落ち着く持ち物など。

個人の力では限界があるので、頼れる人をつくるのも有効です。安心する居場所があったり、相談しやすい相手がいると、ネガティブな気持ちを引きずらず、レジリエンスを高めることができます。

家族だけではなく、外のつながりをつくると良いでしょう。同じ障がい者同士で悩みを共有し、解決できる『凸凹村』というコミュニティサイトがあります。匿名性の低いフェイスブックでつながることができるので、ネット上でも安心です。

ご参加はこちらから。

 

まとめ

ストレスが多い現代社会。とくに、発達障がいのお子さんはストレスや困難を避けられません。そこで、自尊心を高めるのと同じぐらいに欠かせないのが、レジリエンスです。
レジリエンスを高めて、お子さんがこれからの社会に適応できるようにサポートしましょう。

 

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参考

発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本   著:藤野 博/日戸 由刈【監修】

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