デフリンピックは聴覚障がい者のオリンピック!出場者や競技・ルールは?
デフリンピックは聴覚障がい者のオリンピック!出場者や競技・ルールは?
「デフリンピック」をご存じですか?
デフリンピックは、パラリンピックと同じく国際的なスポーツ大会であり、古い歴史もあるのですが、知らない人がとても多いです。しかし、デフリンピックで活躍している日本選手も多くいますし、独創性の高い大会です。デフリンピックとは何か、パラリンピックとのちがいや、出場選手、競技、ルールについて解説します。
デフリンピックとは?
デフリンピックの「デフ(deaf)」の意味は、聴覚障がい者のことを指します。つまりデフリンピックは、聴覚障がい者の選手たちがスポーツの成績を競う国際大会です。
夏季大会と冬季大会が2年に1回あり、オリンピックと同じく4年に1回、開催されています。夏季大会は1924年にフランス、冬季大会は1949年にオーストリアで開催されており、歴史ある国際的なスポーツ大会です。
しかし、今まで日本で一度も開催されたことがないため、とても認知度が低いです。2006年に内閣府が認知度を調査したところ、パラリンピックなどが100%近い割合のなか、デフリンピックの認知度はわずか、2.8%。2014年に日本財団パラリンピック研究会がおこなった調査では、「11.2%」という割合になりましたが、それでもまだ広く知られていないのが現状です。
デフリンピックの大きな特徴は、選手・審判、ほとんどが手話をコミュニケーションの手段としていることです。そのため、国際手話で世界の選手と友好を深められることや、手話を社会的に普及させるのに役立っているなど、重要な意義があります。
デフリンピックに出場できる人は?
デフリンピックに出場できる人は、以下の三つの要件を満たす必要があります。
- 補聴器などがない状態で聴力の損失が55デシベル以上の方
- 国内大会で優秀な成績をあげている方
- 全日本ろうあ連盟の会員
国内大会とは、「全日本ろうあ連盟」に登録されている大会のことです。
国内で優秀な成績をあげていたとしても、全日本ろうあ連盟の会員でないと、日本代表候補にはえらばれません。
会員登録費は地域によって異なりますが、だいたい一万円前後となります。デフリンピック出場を目指している方は、全日本ろうあ連盟の会員に加入しましょう。
デフリンピックとパラリンピックのちがいは?
パラリンピックは障がい者の国際スポーツ大会であり、聴覚障がい者以外の選手が競技をおこないます。デフリンピックは聴覚障がい者のみが参加します。
デフリンピックとパラリンピックが分かれているのは、以下の3点が大きな理由になります。
・経済的な面
・障がいの度合い
デフリンピックはパラリンピックよりも歴史が古く、すでにデフリンピックの独創性ができている状態でした。デフリンピックの独創性とは、選手・審判すべてのコミュニケーションが手話によっておこなわれることです。この独創性を維持するという理由で、パラリンピックとは別になっています。
また聴覚障がい者の手話の導入や通訳者の費用負担などがあり、経済的な負荷が大きく、パラリンピックとは分かれて運営されるようになりました。
三点目に、障がいの程度が理由になっています。聴覚障がい者はオリンピックに出場できます。過去に、聴覚障がい者のメダリストもいた背景から、聴覚障がいとその他の障がいは別であるという意見も反映され、今のデフリンピックがあります。
デフリンピックの競技・ルールは?
デフリンピックの競技・ルールは基本的にオリンピックとあまり変わりません。
競技は、夏季大会では、
陸上・バトミントン・バスケットボール・ビーチバレーボール・ボウリング・自転車¥サッカー・ゴルフ・ハンドボール・柔道・空手・マウンテンバイク・オリエンテーリング・射撃・水泳・卓球・テコンドー・テニス・バレーボール・レスリングがおこなわれました。
冬季大会では、アルペンスキーやカーリングなど冬スポーツが競技種目となっています。
聴力によるレベル分けはない
パラリンピックでは障がいの程度によってクラス分けがおこなわれていますが、デフリンピックでは、聴力の大きさによってクラス分けはされていません。
ただ、試合や練習のときは、補聴器や人工内耳を外すことがルールとなっています。
審判やスタートの合図に工夫がある
耳が聞こえない選手たちのために、審判やスタートの合図は、耳が聞こえなくてもわかるように工夫されています。
たとえば、陸上や水泳、バスケットボール、空手などのスタートの合図には「フラッシュランプ」を使います。光るランプでスタートを知らせます。またバレーボールでは、ネットを揺らして選手に伝える方法もあります。
サッカーやラグビーでは、審判は笛をならすのと一緒に「フラッグ」をあげたり、手をあげたりして、選手に知らせています。
デフリンピックの見どころとは?
聴覚障害は「目に見えない障害」です。しかし、聴覚障害があることによって、選手たちには以下のハンデがあります。
・外から得られる情報が少ない
耳には体全体のバランスをとる役割があります。バランスがとりにくいなかで、健常者と変わらずスポーツをおこなうのはむずかしいことです。
「外から得られる情報が少ない」ことも、選手たちの大きなハンデとなっています。たとえば、ラケットの動きや、ボールの音など、音を頼りにプレーすることもありますが、聴覚障がい者はそういった情報に頼れません。そのほか、チームメイトに声の指示が通らないので、アイコンタクトや手話ですばやくコミュニケーションをとり、チームワークを発揮する必要があります。
デフリンピックのハンデは、「見どころ」にもなっています。このようなハンデがありながら、健常者と変わらないプレーをしたり、連携したプレーが見られたりするなど、選手たちの技術に注目して観戦を楽しめます!
まとめ
デフリンピックはパラリンピックよりも歴史が古く、独創性を維持した国際的なスポーツ大会です。「目に見えない障がい」をもつ選手たちが活躍し、ハンデを抱えながら、力強いプレーを見せています。メダルを獲得した選手もたくさんいます。ただ認知度が低いために、スポンサーがつきにくく、選手たちが経済的な負担を抱えるなどの問題もあります。
デフリンピックを応援するには、「デフリンピック応援ツアー」が旅行会社でおこなわれているので、ツアーに参加して応援する、または、大会公式ホームページでライブ放送されることがあるので、ぜひチェックしてみてください!
参考
意外と知られていない!?デフリンピックへの参加資格とルールについて調べてみた | Deaf Badminton Network