知っていますか?視覚障がい者のさまざまな見え方、点字ブロックや白杖の意味。声のかけ方
知っていますか?視覚障がい者のさまざまな見え方、点字ブロックや白杖の意味。声のかけ方
視覚障がい者はまったく見えない、少しだけ見えるのほかに、さまざまな見え方があります。また白杖をもっている人すべてが視力ゼロの方ではありません。視覚障がい者のあまり知られていないことや、点字ブロックや白杖の意味、視覚障がい者を見かけたらどのように接すると良いのかを解説します。
視覚障がい者のあまり知られていないこと
- 視覚障がい者の見え方はさまざま
- 点字を読める人は少ない
- 点字ブロックの意味
- 白杖=全盲ではない
視覚障がい者の見え方はさまざま
視覚障がい者のなかで全盲(まったく見えない方)は約1割といわれています。
視覚障がいはさまざまであり、以下のような見え方があります。
・うっすらと見える
・白くぼやけて見える
・通常よりも暗く見える
・通常よりもまぶしく見える
・特定の色が見えない
・視界の中心がゆがんで見える
・視界の中心だけが見える
・視界の一部が欠けて見える
このように見え方はさまざまなので、朝には白杖をついて歩く人が、夜には健常者と同じように歩いていたり、逆のパターンもあったりします。また、ものや形、目の前の状況は見えるため、白杖をもたないで歩ける視覚障がい者の方もいます。
点字を読める人は少ない
視覚障がい者といえば「点字」を思い浮かべる方もいると思いますが、じつは点字がわかる視覚障がい者のほうが少ないです。
点字はアルファベットを覚えるのと同じで、簡単なものではありません。生まれつき目が見えない方は勉強していることが多いです。しかし、後天性で視覚に障がいが生じた方には点字の習得をしている方は少なく、多くの方が点字よりも音声案内を求めています。
点字ブロックの意味
道路に敷かれている黄色の点字ブロックは、「視覚障害者誘導ブロック」といいます。黄色である理由は、弱視の方も見えやすい色だからです。点字ブロックには足裏の感覚で形状や存在がわかるように突起がついていますが、その意味を知っていますか?
線状になっているブロックは方向を案内するために道路などに沿って設置されています。点状になっているブロックは、「この先危険」という意味をもちます。その道沿いに障害物や角がある場合に点状ブロックが使われます。視覚障がい者は杖で点状ブロックの位置で停止し、線状になっているブロックを探して方向転換をしています。
白杖=全盲ではない
白杖をつかっている人すべてが、視力ゼロの方ではありません。視覚になんらかの障がいがある方も白杖を使用します。
白杖について、視覚障がい者を守るために、道路交通法十四条で以下のように定められています。
目が見えない者に準ずる者とあるので、弱視の方や見え方が異なる方も白杖をもちます。また視覚障がい者だけではなく、聴覚や平衡機能に障がいがある方も白杖をもつことがあります。
視覚障がい者が使う白杖の役割
より詳しく、視覚障がい者が使っている白杖の意味や役割にふれていきます。
視覚障がい者が白杖をもつ意味・役割は三つあります。
- 周囲の情報を得る
- 安全確保
- 視覚障がい者であることを周囲に知らせる
周囲の情報を得る
白杖で地面を叩いている視覚障がい者を見たことはありませんか?
これは「タッチテクニック」というものであり、叩いたときの反響音で、進行方向に障害物があるか無いか、今どれほどの広さの場所にいるかなどを確認しています。
また大きく音を鳴らすのは、周囲に視覚障がい者がいることを伝えている場合もあります。
安全確保
白杖の先を路面に滑らせる「スライドテクニック」という方法で、障害物に当たらないようにしたり、路面の状況や進行方向を確認したりして、身の安全を確保しています。
視覚障がい者であることを周囲に知らせる
白杖をもつことは、周囲に視覚障がい者だと知らせる役割ももっています。視覚障がい者だと知らないとまわりの人も気づかず、ぶつかってしまうことがあり、そうした事故を防ぐためにも使用されます。
また周囲に視覚障がい者だと知らせる方法として、音を出すほかに、「鉛筆もち」という使い方があります。白杖を地面から浮かせてもち、自分の目の前にかざしながら歩く使い方です。目が見える方に案内されるときも「鉛筆もち」をされている方が多いです。
視覚障がい者のためにできること
視覚障がい者に関して間違った情報が伝わったり、よく知らなかったりして、誤解をあたえることもあります。正しい知識をもって、視覚障がい者を助けましょう。
視覚障がい者を助けるためにできることは以下のようなものがあります。
- 点字ブロックには障害物を置かない、点字ブロックを踏んで歩かない
- 物の位置を教えるときは「前方に〇〇がある」というように具体的に
- 椅子に座る時は背もたれを掴むように案内してあげる
- 立ち止まっている様子があれば声をかける
視覚障がい者の誘導のし方
ホームドアがない駅のホームを歩くときや、音のない信号を横断するとき、レジの列の最後尾にならぶときや、買い物をしているとき、バスや電車の空席を探すときなど、目がよく見えにくいとスムーズにおこなうことができません。
また初めての場所に向かうときは、迷ってしまうことがあるようです。
困っていたり迷っていたりする様子が見られたら、声をかけましょう。
①「お手伝いできることはありますか?」と声をかける
「大丈夫ですか?」と声をかけられると、「大丈夫です」と答えてしまう方が多いです。また慣れた道だと一人で歩くこともできますし、人によっては自分で歩いて道を覚えたいという方もいるので、まずは必要かどうか声をかけてあげてください。何に困っているか、何を手伝えばよいのかを聞くと良いでしょう。
②腕や肩につかまらせて誘導する
体を引っ張ったり後ろから押したりすると不安を感じてしまいます。また歩くスピードや歩幅は違いますので、合わせることができず、転倒する危険もあります。
視覚障がい者を誘導するときは、横にならび、肩や腕をつかんでもらうようにしましょう。
誘導する方は、視覚障がい者の方の半歩前を歩くようにします。
③階段や段差があるときは
「階段があります」という説明だけではわからないので、「下りの階段があります」と説明しましょう。階段の終わりでも「あと三段で終わります」と伝え、階段が終わると一度立ち止まり、「終わりです」と声をかけてあげると安心です。
段差は小さくても声をかけてください。「下りの段差があります」というように声をかけ、少しゆっくり歩きましょう。
④せまい場所を通る時は
「ここからせまくなります」と声をかけ、掴まれている腕を背中側に回します。視覚障がい者の方は後ろについていくようなかたちで通るようにします。
⑤安全な場所で別れる
誘導を終えるときは、すぐ近くに下り階段など転倒の危険がない場所で別れます。本人の立っている場所と向いている方向に、何があるのかを説明しましょう。
まとめ
視覚障碍者によって見え方はさまざまであり、必要な援助もちがってきます。声をかけるときは、どのような援助が必要かをたずねます。相手によっては援助を断られることもありますが、声がけによって助かったという方も多くいます。困っている様子が見られたら、積極的に声をかけてあげてください。
また白杖や点字ブロックには大切な意味・役割があります。白杖を粗末にあつかったり、点字ブロックの上に障害物を置かないようにしましょう。
参考
「いっしょに歩こう」目の不自由な人の誘導方法を簡単にまとめたリーフレットがダウンロードできるようになりました|日本点字図書館
川崎市視覚障害者情報文化センター | 「見えにくい」ってどういうこと?
床にある黄色い点字ブロックの意味を知っていますか? | デイリーサポートそら