共生社会の実現とは?具体的に何をする?私たちにできることは
共生社会の実現とは?具体的に何をする?私たちにできることは
パラリンピックが掲げる「共生社会」の実現。共生社会とは何か、パラリンピックとの関係性を知っていますか?
「共生社会の実現」や、パラリンピックと共生社会の関係性、共生社会のために一人ひとりができることをご紹介します。
共生社会とは?
共生社会とは、性別、年齢や障がいなど、人それぞれの違いを自然に受け入れ、支えあい、互いに認めあう社会のこと。障がいのある人が受けてきた差別や虐待、隔離、特別なものとして見られるといった行為は、共生社会ではあってはいけません。
障がいがある人も基本的な人権をもっていると認め、「障がいだからできない」という状況をなくすことが、共生社会の考え方です。
パラリンピックと共生社会の関係性
パラリンピックでは「共生社会の実現」がよく訴えられていますね。共生社会とパラリンピックの関係性とはなんでしょうか。
まず大きな関係性は、パラリンピックのルールやスポーツの在り方です。たとえばオリンピックでは、選手が平等に競えるように、競技のルールが変更されます。選手たちはそのルールに合わせて、道具を変えたり、練習の実施方法を変えたりします。選手がルールに合わせるというカタチですね。
しかしパラリンピックでは、障がいに応じて用具の改良などが認められており、選手にルールや用具が合わせるカタチ。
選手にスポーツ側が合わせるカタチは、だれでもスポーツに参加しやすくなったり、健常者と障がい者が一緒にスポーツをおこなえるようにできます。
とくに、パラスポーツ独自競技のボッチャは、年齢、性別、運動能力、障がいの有無に関わらず、だれでも同じように競うことができます。そのため、社内研修や一般的なスポーツイベントにもボッチャが広まりつつあります。
「障がいだからできない」ことがなく、一人ひとりに合わせるという特徴が、パラリンピックと共生社会の重要な共通点です。
共生社会の実現とは
「共生社会の実現を目指す」という意見をよく情報媒体で見られるかもしれません。しかし、具体的にはどうしたらいいのか、どのようにすれば「実現」といえるのでしょうか。
「障がいだからできない」ことがなくなり、だれでも等しく生活できる社会は、「環境のバリアフリー」と「心のバリアフリー」をおこなうことで実現します。
環境のバリアフリー
環境のバリアとは、以下の3つのことを指します。
①物理的なバリア・・・狭い通路や段差など車いすだと通りにくいことなど
②制度のバリア・・・障がいがあるから特定の資格や免許を取得できないなど
③文化や情報面のバリア・・・点字や手話がない講演会、音声だけのアナウンスなど
環境のバリアフリーを実現するには、国や店舗、イベントの主催側が積極的に動く必要があります。
物理的なバリアフリーでは、1日平均3千人以上が利用する鉄道やバスなどでエレベーターやスロープの整備が重点的にすすめられ、2020年3月には全国約3600か所の鉄道駅のうち約92%に、車いすの移動を妨げる段差が取り除かれました。
さらにスマートフォンのGPS機能を使って、車いす使用者にバリアフリー状況を提供するアプリも登場しています。
制度や文化面などのバリアフリーでは、「インクルーシブ教育」が注目を集めています。
これまで特別支援級など、障がい者と健常者の子どもには教育に隔たりがありましたが、障がいのある子もない子も同じ場で学ぶことを「インクルーシブ教育」といいます。
子どものときから多様性にたいする感覚を学ぶことは、共生社会の実現においても重要です。
https://www.minnanosyougai.com/article1/%e5%85%b1%e7%94%9f%e7%a4%be%e4%bc%9a%e3%81%ae%e5%ae%9f%e7%8f%be%e3%81%ab%e5%bf%85%e8%a6%81%e3%81%aa%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%96%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%a8%e3%81%af/
心のバリアフリー
「環境のバリアフリー」と同じぐらいに欠かせないのが「心のバリアフリー」です。
社会にはさまざまな人がいて、それぞれが「心のバリア」をもっています。心のバリアをなくすには、すべての人が積極的に互いを理解し、助け合う姿勢が求められます。
自分とはちがう体や心の特性、考え方をもつ人を一人ひとりが認め、お互いを分かり合うために話をしたり支え合ったりすることが「心のバリアフリー」です。
心のバリアフリーで重要なポイントは以下の3つです。
①環境や心のバリアを取り除くのは、社会の責任であると理解すること
②障がい者を差別しない
③自分とはちがう状況にある人ともコミュニケーションできる力を身につけることや、困り事や苦しみを理解する心をもつこと
共生社会のために1人ひとりができること
共生社会のために一人ひとりが具体的にできることは、「心のバリアフリー」です。
すべての人が「心のバリアフリー」の意識をもって生活することで、共生社会の実現に近づきます。
それでは、心のバリアフリーを実現する具体的な行動を見ていきましょう。
障がいの理解
障がいについて知らないだけで、自分とはちがう体や行動に、理解できないと怒ったりしてしまうことがあります。
たとえば、障がい者のなかには細かな動作や読み書きができず、レジでの支払いに時間がかかる場合があります。障がいについて理解がないと、動作が遅いと腹が立つかもしれません。
しかしそれぞれに障がいに理解があれば、店員さんは、その人に合ったコミュニケーション方法ができます。障がい者の方も落ち着いて対応できるでしょう。後ろで待つ人も心の余裕が生まれます。そのため、一人ひとりが障がいを理解することが大切です。障がいについて知識を深めたり、障がいにたいして心の余裕をもつようにしましょう。
バリアフリー設備の意味や目的を理解する
多目的トイレや点字ブロックなどは、それを必要とする人のためにあります。自分には関係ないからといって、優先して使用したり、点字ブロックの上に物を置いたりしていませんか?
環境のバリアフリーをなくすためにあるものを理解して、必要なひとが気持ちよく使えるように配慮しましょう。
困っていそうな場面を見かけたら手伝う
道路の舗装、案内板の表示など、環境のバリアフリーはまだ完璧ではありません。障がい者もみんなと同じように安心して生活するには、人の助け(心のバリアフリー)が必要です。障がい者の方が困っている様子であれば、声をかけて手伝いましょう。
商品やサービスを提供するときは障がいのある利用者にも配慮を
商品やサービスを提供するときは、障がいのある利用者も使いやすいかどうかをイメージしましょう。だれでも利用できるようにするためにどんな配慮が必要なのか、意見を求めることが大切です。
障がいがあるからと決めつけない
障がいといっても多種多様です。障がいの程度や特徴によって、できることとできないことがあります。また、適切な支援があればできるようになることもあります。障がいがあるからと決めつけず、その人自身の個性や能力を活かす方法を考えましょう。
まとめ
共生社会の実現を目指すためには、環境のバリアフリーと心のバリアフリーが必要です。障がいや、障がい者の困り事への理解を深めたり、手助けをしたりするなど、一人ひとりが具体的に行動を起こすことで、共生社会は実現します。
参考
共生社会の実現に向けて 「心のバリアフリー」の基礎知識と取り組みの具体的事例
パラスポーツから広がる共生社会 | TEAM BEYOND | TOKYO パラスポーツプロジェクト公式サイト
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/udsuisin/pdf/kyo09.pdf