【令和3年度報酬改定】居宅介護
【令和3年度報酬改定】居宅介護
居宅介護の令和3年度報酬改定は、サービスの質の向上を求め、サービス提供責任者への評価の見直しなどがおこなわれます。
令和3年度2月4日に発表された、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の内容をまとめたので、ご参考ください。
居宅介護の報酬改定の内容
今回の報酬改定で見直された点は以下になります。
・基本報酬の見直し
・サービス提供責任者への評価の見直し
・身体拘束などの適正化
・地域生活支援拠点等を評価する加算を新設
・福祉・介護職員等に関する加算の見直し
基本報酬の見直し
障害福祉サービス等経営実態調査の結果から、居宅介護の基本報酬は引き上げられます。
見直し後の基本報酬を以下の表にまとめました。
所要時間 |
見直し前 |
見直し後 |
|
居宅における身体介護が中心 |
30分未満 |
249単位 |
255単位 |
30分~1時間 |
393単位 |
402単位 |
|
1時間~1時間半 |
571単位 |
584単位 |
|
1時間半~2時間 |
652単位 |
666単位 |
|
2時間~2時間半 |
734単位 |
750単位 |
|
2時間半~3時間 |
815単位 |
833単位 |
|
3時間以上 |
896単位 |
916単位 |
|
3時間+30分ごとの加算 |
81単位 |
83単位 |
|
通院等介助(身体介護を伴う)が中心 |
30分未満 |
249単位 |
255単位 |
30分~1時間 |
393単位 |
402単位 |
|
1時間~1時間半 |
571単位 |
584単位 |
|
1時間半~2時間 |
652単位 |
666単位 |
|
2時間~2時間半 |
734単位 |
750単位 |
|
2時間半~3時間 |
815単位 |
833単位 |
|
3時間以上 |
896単位 |
916単位 |
|
3時間+30分ごとの加算 |
81単位 |
83単位 |
|
家事援助が中心 |
30分未満 |
102単位 |
105単位 |
30分~45分 |
148単位 |
152単位 |
|
45分~1時間 |
191単位 |
196単位 |
|
1時間~1時間15分 |
232単位 |
238単位 |
|
1時間15分~1時間半 |
268単位 |
274単位 |
|
1時間半以上 |
302単位 |
309単位 |
|
1時間半+15分毎の加算 |
34単位 |
35単位 |
|
通院等介助(身体介護なし)が中心 |
30分未満 |
102単位 |
105単位 |
30分~1時間 |
191単位 |
196単位 |
|
1時間~1時間半 |
268単位 |
274単位 |
|
1時間半~2時間 |
336単位 |
343単位 |
|
1時間半+30分毎の加算 |
68単位 |
69単位 |
|
通院等の乗車または降車の介助が中心 |
98単位 |
101単位 |
サービス提供責任者への評価の見直し
「居宅介護職員初任者研修課程の研修を修了しており、3年以上介護などの業務に従事した職員サービス提供責任者とする」という措置を段階的に廃止する動きです。
居宅介護職員初任者研修課程修了者を「サービス提供責任者」として置くと、改定前までは10%の減算でしたが、今回の改定では所定単位数の「30%」が減算されてしまいます。早めの対応が必要になります。
身体拘束の適正化
事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が新設されます。
①身体拘束をおこなうときは、必要な事項を記録すること。
②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を従業員へ徹底周知すること。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。
①は令和3年度から義務化、②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。
また令和5年4月からは「身体拘束廃止未実施減算」が適用されます。運営基準の①~④を満たしていないと、基本報酬が1日ごとに減算されてしまいます。
身体拘束廃止未実施減算・・・5単位/日
緊急時の対応を評価する加算を新設
「地域生活支援拠点等に係る加算」が新設されました。
地域生活支援拠点等と指定されたサービス事業所が、緊急時の対応をおこなったときに評価されるようになります。緊急時対応加算、緊急時支援加算(Ⅰ)または緊急時支援費(Ⅰ)を算定すると、以下の単位が加えられます。
地域生活支援拠点等に係る加算・・・+50単位/回
福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は廃止。しかし令和3年3月末時点で同加算が算定されている障害福祉サービス等事業所は、1年間の経過措置をあたえられます。
また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。類似する複数のサービスはグループ分けし、加算率が決められます。
居宅介護の加算率は以下です。
(Ⅰ)所定単位数× 27.4%
(Ⅱ)所定単位数× 20.0%
(Ⅲ)所定単位数× 11.1%
職場環境要件も変更されました。職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、特別に、前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。
福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し
福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールが見直されます。より柔軟な配分をできるようにするため、経験・技能のある障害福祉人材は、ほかの障害福祉人材の平均引き上げ額の「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に変更されました。
また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けし、加算率を設定。居宅介護の加算率は以下のように見直されました。
(Ⅰ)所定単位数× 7.0%
(Ⅱ)所定単位数× 5.5%
まとめ
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の居宅介護のおもな変更点は、サービス提供責任者の要件の見直しや、身体拘束等の適正化などです。早めの対応をおこなっていきましょう。
このほか全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめているので、ご覧ください。
【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス
<<参考>>