障がい者の防災対策~備え・もちもの・緊急時の対応~
障がい者の防災対策~備え・もちもの・緊急時の対応~
近年、地震が増えており、防災グッズを用意したというご家庭も多いでしょう。障がい者の方も障がいがあるぶん、より一層、災害への備えをしたり、緊急時の対応を確認しておく必要があります。
障がい者の防災対策や、持ち物、緊急時の対応を解説します。
障がい者の防災対策
障がい者は障がいの種類や度合いによって、スムーズに避難できない場合があります。そのため、日頃の防災対策が重要となります。
以下の対策ができているかを確認しましょう。
3日分の備蓄をしよう
災害が起こったとき、救援活動ができるのはおよそ3日後だといわれています。発達障がいや知的障がい、精神障がいがあると、いつもと大きくちがう3日間がとても不安に感じるかもしれません。
そのため、水や電気がなくても3日間は問題なく過ごせるように、常に食料や水など3日分を保管しましょう。また食料や水だけでなく、体を洗ったり、トイレをしたりするための水も必要です。お風呂に水をためる、水道水をポリタンクに入れるなどして備えます。
そのほか障がいに必要なものを用意しておくと安心です。
- 備蓄リスト(例)
・3日分の食料(火を通さなくても食べれるものがベスト)
・3日分の飲料水(1人 9Ⅼ程度)
・ポリタンク(水道水)
・処方薬など(3日分以上)
そのほか障がいや介護に必要な道具
ヘルプカードを持ち歩こう
ヘルプカードは、住所や電話番号、障がいの種類・程度や周囲に求める対応などを記入できるカードです。外出中の困り事や災害が起きたとき、まわりに助けを求めるのに役立ちます。
ヘルプカードはお住まいの市役所や、県庁障害政策課などで配布されています。または、お住まいの自治体のホームページにPDFで掲示されているので、印刷をして記入しましょう。
災害はいつ起こるのかはわからないので、外出中でもどこでも必要なときに助けを求められるよう、ヘルプカードを常に持ち歩いてください。
ヘルプカードには以下のことを記入します。
・名前
・住所
・電話番号
・緊急連絡先
・障害名または病名
・かかりつけの医療機関名、電話番号
・服薬の有無、種類、量など
・まわりにお願いしたいこと など
家の安全対策をしよう
家の倒壊に備えて、家具を固定したり、高い場所に重いものや割れものを置かないようにしましょう。
また出入口付近を家具でふさがれると避難できないので、出入口付近には高い家具を置かないようにすることをすすめます。
地震で窓ガラスが割れてケガをするおそれもあるので、ガラスフィルムを貼ったり、カーテンを閉めておくなどして、家の安全対策をしましょう。
避難経路と場所を知っておこう
避難場所は自宅から近くの小・中学校であることが多いです。しかし災害が起こったときは、知っている道が通れなくなったり、ほかの避難場所に行かなくてはいけなくなったりすることがあります。なので普段から、その避難場所に行くための経路を何通りか見つけておいたり、ほかの避難場所と避難経路を知っておきましょう。
障がい者の避難グッズ
災害で自宅にいることが危険な場合は、避難所で避難生活をおくらないといけません。
いつでも持ち出せるように、カバンやリュックサックに避難グッズを入れておきましょう。
非常用持ち出し袋リスト
・飲料水や食料品(そのまま食べれるもの)
・預金通帳や印鑑、現金、健康保険証など貴重品
・ヘルメット、防災頭巾、手袋など
・笛やブザーなど助けを呼ぶもの
・救急セット(ばんそうこうや消毒液など)
・簡易トイレ、ウェットティッシュ、歯磨きシート、タオルなど
・替えの衣類や下着
・レインコートやアルミブランケット
・スマートフォンなど携帯端末
・バッテリーや充電器
・障がい者手帳やおくすり手帳
・ヘルプカード
このほか障がいに合わせて、以下のものを用意しておくと、避難生活の負担をへらせるでしょう。
聴覚障がい |
・補聴器や人工内耳などの電池 ・スマートフォンなど携帯端末 ・予備のバッテリーや充電器 ・筆記用具(筆談をするため) ・懐中電灯 |
視覚障がい |
・白杖 ・めがねやルーペ ・時計(音声・触知式など) ・点字板 ・ラジオ ・家族写真(避難所で家族を探してもらうため) |
身体障がい |
・車いすや歩行器、杖 ・床ずれ対策ができるもの ・紙おむつや携帯トイレなど |
知的障がい |
・薬や薬の説明が書いてある紙 ・あると落ち着くもの(おもちゃや本、ゲームなど) |
発達障がい |
・非常食や飲み物 ・あると落ち着くもの(おもちゃや本、ゲームなど) ・耳栓やアイマスク ・イラストカードなどコミュニケーションを補助するもの |
高次脳機能障がい |
・薬や薬の説明が書いてある紙 ・筆記用具など記録用の道具 ・耳栓やアイマスク |
内部障がいなど |
・薬や薬の説明が書いてある紙 ・治療食、特別食 ・筆記用具など記録用の道具 |
認知症・寝たきり |
・常備薬や薬の説明が書かれた紙 ・栄養補助ゼリーなど非常時に食べられるもの、飲み物 ・杖や眼鏡など補助するもの ・歯磨き用品など ・下着類や紙おむつなど排泄を補助するもの ・筆記用具など記録用の道具 |
災害が起こったときの対応
地震や津波、水害など災害別に、緊急時の対応をお知らせします。
地震の場合
家にいるときに地震が起きたら、まず机の下や物が倒れたり落ちたりしないところへ移動し、揺れがおさまるまで待ちましょう。
料理中など火を使っているときは、揺れがおさまってから火を消します。
避難所へ避難する場合は、必ずブレーカーをオフにしてください。
外にいるときに地震が起きたら、かばんなどで頭を守り、上から物が落ちてこない安全な場所に避難してください。
大きな地震があると、電車やバスが止まったり、みんなが一斉に電話をかけるので回線が込み合って連絡がつかなくなったりします。
家に帰れない場合は、会社や学校など安全な場所で待ち、テレビやラジオなどで正しい情報を収集し、安全かどうかを確認してから帰りましょう。
連絡がつかないときは、「災害用伝言ダイヤル」があります。
「171」にご連絡ください。
家族へ伝言を残したり、伝言を聞いたりすることができます。
津波の場合
地震が起こったときに、次に注意しなければいけないのが「津波」です。
津波は海の水深が深いほど速く進みます。南海トラフのような深いところでは、ジェット機くらいの速度で波が来ます。海岸付近の水深1mほどでも、時速34kmと車に近い速さで来るので、すぐに避難を始めましょう。
海岸から遠く、できるだけ高い場所に逃げる必要があります。高い場所がないときは、高くて丈夫な建物に入り、上の階に逃げてください。
水害の場合
水害で避難するタイミングは、国や自治体が発表する情報で判断しましょう。
警報レベル |
対応 |
・大雨注意報 ・洪水注意報 ・氾濫注意情報 |
雨によって水害が起こる可能性がある状況なので、 |
・警戒レベル3高齢者等避難 ・大雨警報 ・洪水警報 ・氾濫警戒情報 |
水害の危険性が高まっているときに発表されます。 |
・警戒レベル4避難指示 ・土砂災害警戒情報 ・氾濫危険情報 |
水害が起きる危険な状況です。 |
・警戒レベル5緊急安全確保 ・大雨特別警報 ・氾濫発生情報 |
すでに水害による災害が起きており、 |
短時間にものすごい量の雨がふると、警報が出る前に災害が起きることもあります。ものすごい量の雨で危険だと感じた時や、海や川の近くなど危険な場所に家がある場合は、非常用持ち出し袋をもって、早めに避難を始めてください。
避難できない状況になったときは、建物の2階以上で、山から遠い部屋にいると助かることがあります。
自宅避難か避難所へ行くかは状況を見て判断
災害が起こった時、避難するか自宅待機するかは、家の破損状況や家族の状況を確認し、情報収集をして判断します。
自宅待機をえらんだときは、「自宅にいること」を周囲に知らせてください。避難所からの救援物資や地域の情報を得られやすくなります。
・避難所にいる地域の代表や、民生委員や地域支援者に知らせる
・人目につきやすい場所に「自宅で避難生活をしています」といった貼り紙をする
避難所へ行くとき、道の途中で困ったり、動けなくなったりした場合や、支援者が近くにいないときは、ヘルプカードを見せて周囲に助けを求めてください。
まとめ
障がいがあると、避難に時間がかかったり、いつもとちがう状況にパニックになったりする危険があります。そのため障がい者の方は、日頃の防災対策が重要となります。自宅待機できるだけの備蓄や、家の安全対策、非常用持ち出し袋の準備、避難経路や避難場所の確認などをしっかりして、災害に備えましょう。
<<参考>>
障害者向け防災マニュアル 「防災の手引き」 | 土浦市公式ホームページ