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発達障がいと感覚過敏 日常生活への影響と支援方法
感覚過敏は、発達障がいを抱える人々に多く見られる特性の一つであり、日常生活にさまざまな困難をもたらします。特に、発達障がいにおける感覚過敏は、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障がい(ADHD)の人々に顕著に見られることが多いです。
本記事では、感覚過敏がどのようなものか、発達障がいとの関係、そして感覚過敏を持つ人々が日常生活で直面する困難や支援方法について詳しく解説します。
感覚過敏とは?
感覚過敏とは、音、光、匂い、触覚などの刺激に対して過度に敏感に反応してしまう状態を指します。通常の人であれば問題とならないような日常的な刺激でも、感覚過敏を抱える人にとっては非常に不快で、場合によっては耐えがたいものとなることがあります。感覚過敏の種類は個人によって異なり、ある人にとっては特定の音が過度に刺激的であったり、別の人にとっては衣服の素材感が耐えがたいものであったりします。
感覚過敏は、特定の感覚器官に対して敏感になるだけでなく、複数の感覚に同時に影響を与えることもあります。例えば、光に敏感な人が音にも敏感であることも多く、こうした複合的な感覚過敏は、日常生活においてさらなる負担を与える要因となります。
感覚過敏の種類
感覚過敏は、以下のような複数の感覚に対して過敏な反応を示すことがあります。
聴覚過敏
音に対して敏感になる状態です。日常的な音、例えば車のクラクションや電車の走行音、人の話し声などが耐え難いほど大きく感じられることがあります。聴覚過敏を持つ人は、特に都市部での生活に困難を感じることが多く、騒音に常にさらされている環境で強いストレスを感じます。
視覚過敏
光や色彩に対して過敏になる状態です。蛍光灯の光や日差しがまぶしく感じられたり、強いコントラストや派手な色合いが不快に感じられることがあります。視覚過敏を持つ人は、ショッピングモールやオフィスのような明るい場所にいることが辛いと感じることが多いです。
触覚過敏
触れた感覚に対して敏感になる状態です。特定の衣類の素材、肌に触れる感覚、または他人との身体的接触に対して強い不快感を感じることがあります。触覚過敏のある人は、着る服や日常の触れ合いに細心の注意を払う必要があり、日常生活での苦痛を感じやすいです。
味覚・嗅覚過敏
食べ物の味や匂いに敏感になる状態です。特定の食べ物の味や匂いが耐え難く感じられるため、食事が非常に限定的になることがあります。味覚・嗅覚過敏は、栄養バランスの取れた食事を取ることが困難になる場合があり、健康面でも課題が生じます。
平衡感覚過敏
体のバランスや動きに敏感になる状態です。平衡感覚過敏を持つ人は、揺れや速い動きに対して敏感で、例えばエレベーターやエスカレーターに乗るだけで不安や不快感を感じることがあります。
感覚過敏と発達障がいの関係
感覚過敏は、多くの場合、発達障がいを持つ人々に顕著に見られる特性です。特に自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障がい(ADHD)を持つ人々に多く見られる傾向があります。発達障がいと感覚過敏は、脳の情報処理の違いに関連しており、外部からの刺激に対する反応が通常とは異なるため、感覚過敏が引き起こされると考えられています。
自閉スペクトラム症(ASD)と感覚過敏
ASDを持つ人々は、脳が外部からの感覚情報を処理する際に、過剰に反応することが多く、これが感覚過敏の原因となります。ASDの特性として、コミュニケーションや社会的相互作用に困難を感じることが多いですが、それに加えて感覚過敏も日常生活に大きな影響を与える要因となります。
例えば、ASDの子どもが学校で授業を受ける際、他の子どもたちのざわめきや教室の照明、黒板のチョークの音などが感覚過敏を引き起こし、集中力を著しく低下させることがあります。これにより、学習に困難を感じるだけでなく、ストレスや不安が高まり、行動面での問題が発生することも少なくありません。
さらに、ASDの人々は感覚過敏によって、自分自身を守るために特定のルーティンや行動パターンを確立することが多いです。例えば、聴覚過敏を持つ人が耳栓を常に持ち歩いたり、視覚過敏を持つ人がサングラスをかけて外出することは、日常生活において感覚的な過負荷を避けるための適応行動として見られます。
注意欠陥・多動性障がい(ADHD)と感覚過敏
ADHDの人々も、感覚過敏を経験することが多いです。ADHDは、注意力や集中力の問題、衝動的な行動、過活動などが主な特徴ですが、感覚に対する過剰な反応も見られることがあります。ADHDを持つ人々は、特に外部からの刺激に敏感であり、集中力を維持することが難しくなることがしばしばあります。
ADHDの人々が感覚過敏を経験すると、例えば、学校や職場での音や匂い、光などの環境要因が、集中力を妨げ、タスクの遂行を困難にすることがあります。特に聴覚過敏を持つ場合、他人の話し声や背景音が過剰に聞こえ、集中するのが難しいため、仕事や勉強に支障をきたすことが少なくありません。
また、ADHDの人々は衝動的な行動を取りやすいという特性もあり、感覚過敏による不快感が高まると、突発的にその場から逃げ出したり、怒りや苛立ちを爆発させることもあります。このような行動は、周囲の理解を得にくく、感覚過敏に対する適切な支援が欠如している場合、さらなる問題行動を引き起こす要因となります。
感覚過敏が日常生活に与える影響
感覚過敏を持つ人々は、日常生活においてさまざまな困難を経験します。外部からの刺激が強すぎると感じるため、普段の生活で他の人々が気にしないようなことでも、彼らにとってはストレスの要因となり得ます。以下に、感覚過敏が日常生活に与える具体的な影響を挙げます。
学校生活への影響
感覚過敏を持つ子どもたちは、学校での環境に適応するのが難しいことが多いです。例えば、教室の蛍光灯の光がまぶしく感じられる、他の生徒たちのざわめきがうるさくて集中できない、あるいは制服の素材が肌に触れて不快感を覚えるといった状況が考えられます。
感覚過敏によるストレスは、子どもたちの学業成績や社会的な相互作用にも影響を与えます。過度の刺激にさらされることで集中力が低下し、授業内容を理解するのが難しくなったり、感覚過敏の症状を軽減しようとして引きこもりがちになったりすることがあります。
職場での影響
感覚過敏を持つ大人にとって、職場環境も非常にストレスフルな場所となり得ます。オフィスの騒音、同僚の会話、蛍光灯の光などが感覚過敏を引き起こし、仕事に集中できなくなることがあります。また、触覚過敏がある場合、スーツやユニフォームなどが肌に不快感を与え、業務中にストレスがたまることもあります。
感覚過敏を持つ人々が職場で適切な支援を受けられない場合、仕事に対するモチベーションの低下やストレスの蓄積が問題となり、結果的に職場でのパフォーマンスが低下することがあります。
人間関係への影響
感覚過敏を抱える人々にとって、日常のコミュニケーションや人間関係の維持が困難になることが少なくありません。家族や友人、同僚とのやり取りであっても、感覚的な負担が大きくなることがあります。例えば、触覚過敏を持つ人が、握手やハグといった身体的接触を避けることで、誤解を招いたり、感情的な距離を感じさせてしまうことがあります。また、聴覚過敏のある人が、友人や家族との会話を避ける場面も見られます。これは音や声の刺激が過剰に感じられるためであり、本人にとっては防衛的な行動ですが、周囲の人々には「会話を拒否している」といった誤解を招くことがあります。
職場でも同様に、感覚過敏がある人は特定の環境下での協調作業が困難になる場合があります。例えば、オープンスペースのオフィスでは周囲の音や視覚的な刺激が強すぎて集中できない、またはミーティング中に他人の話し声がストレスとなり、適切な意見交換ができないこともあります。このような環境は、感覚過敏を持つ人々にとって心理的な負担を増加させ、ストレスや疲労を蓄積させる原因となります。結果的に、これらの問題は職場での人間関係やチームワークに影響を与え、孤立感を深めてしまうことがあります。
感覚過敏による影響が続くと、本人が周囲の理解を得られないと感じ、さらにストレスが増大することになります。これにより、抑うつ症状や不安感が引き起こされることも少なくありません。感覚過敏が精神的健康にも影響を与えるため、適切な対応がなされなければ、長期的なメンタルヘルスの問題につながるリスクが高まります。
感覚過敏に対する対応策と支援方法
感覚過敏を抱える人々が日常生活をより快適に過ごすためには、環境調整や適切な支援が必要です。ここでは、感覚過敏に対処するための具体的な対策や支援方法について解説します。
環境の調整
感覚過敏に対する最も効果的な対策の一つは、環境の調整です。外部からの刺激を最小限に抑えることで、感覚過敏によるストレスを軽減することが可能です。
聴覚過敏に対する対策
聴覚過敏を持つ人は、静かな場所を選んで作業や勉強を行うことが推奨されます。オフィスや学校では、静かな部屋や騒音の少ないスペースでの作業が効果的です。耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンも有効なツールで、周囲の音を軽減することで、集中力を維持しやすくなります。
視覚過敏に対する対策
視覚過敏を持つ人は、光や色彩の刺激を減らすために、部屋の照明を調整することが重要です。蛍光灯のような強い光は避け、間接照明や暖色系のライトを使用することで、視覚的な負担を軽減できます。さらに、サングラスや特殊なレンズを使用することで、外出時の強い光を和らげることが可能です。
触覚過敏に対する対策
触覚過敏を持つ人は、肌に触れる感覚を快適にするために、自分に合った素材の衣服を選ぶことが重要です。綿やシルクなどの柔らかい素材の服を選び、締め付けが少ない服装を心がけることで、不快感を減らすことができます。また、靴下や下着のタグを取り除くといった小さな工夫も効果的です。
味覚・嗅覚過敏に対する対策
食事や匂いに対して敏感な場合、食べやすい食品や控えめな香りのある環境での生活を工夫することが大切です。香水や強い香りのする化学製品を避けたり、食事の際に特定の食材や料理を避けることで、嗅覚や味覚に対する過剰な刺激を減らせます。
感覚統合療法
感覚過敏を持つ人々に有効な支援方法の一つに、感覚統合療法があります。これは、感覚情報を適切に処理し、環境に対する適応能力を高めるためのリハビリテーションの一種です。特に、発達障がいを持つ子どもに対して行われることが多く、感覚過敏を軽減するための訓練が行われます。
感覚統合療法では、バランス感覚や触覚、聴覚など、複数の感覚を同時に使うような活動が行われ、脳が感覚情報を処理する能力を向上させます。例えば、ブランコに乗る、手を使って異なる質感の物を触る、音を聞きながら体を動かすといった方法で、感覚への過剰な反応を緩和していきます。この療法を通じて、感覚過敏のある人々は、自分に合った方法で感覚を調整するスキルを学び、日常生活での負担を軽減できるようになります。
メンタルヘルスケア
感覚過敏が引き起こすストレスや不安感に対処するためには、メンタルヘルスケアも重要です。感覚過敏によって生活の質が低下し、社会的な孤立感や抑うつを感じる場合、専門的なカウンセリングや心理療法が有効です。
認知行動療法(CBT)は、感覚過敏を持つ人々に対する効果的な治療法として知られており、過剰な感覚刺激に対する反応をより適応的に変えるための技術を学ぶことができます。心理療法を通じて、感覚過敏によるストレスや不安を軽減し、より安定した心理状態を維持することが可能です。
さらに、感覚過敏を持つ人々は、周囲の人々との適切なコミュニケーションを通じて、感覚的な問題を共有し、サポートを受けることが大切です。家族や友人、職場の同僚に感覚過敏について説明し、理解を求めることで、環境の調整や配慮を受けやすくなります。
発達障がいと感覚過敏に対する社会的支援
感覚過敏を持つ人々が社会で快適に生活できるようにするためには、個人だけでなく、社会全体での支援が不可欠です。特に、発達障がいを持つ人々に対する理解と配慮が広がることが重要です。
教育機関での支援
学校や教育機関において、感覚過敏を持つ生徒に対する適切な支援が行われることが求められます。感覚過敏を理解し、適切な配慮がなされることで、学習環境が整えられ、生徒が学習に集中しやすくなります。例えば、感覚過敏を持つ生徒のために、静かな部屋でテストを受ける機会を提供する、光を調整できる教室を用意する、特定の素材の制服を着用することを許可するといった対応が考えられます。
職場での支援
職場でも、感覚過敏を持つ従業員に対する理解と支援が重要です。感覚過敏の従業員が快適に働ける環境を整えることで、仕事のパフォーマンス向上やストレス軽減に繋がります。例えば、静かな作業スペースや調整可能な照明環境、柔軟なドレスコードの導入などが考えられます。企業側が感覚過敏に対して柔軟な対応を行うことで、従業員の働きやすさが向上し、組織全体の生産性も高まることが期待されます。
地域社会での支援
感覚過敏を持つ人々が社会で安心して暮らせるようにするためには、地域社会全体での支援が不可欠です。感覚過敏は発達障がいに限らず、多くの人が直面する問題であり、公共の場における配慮やサービスの提供が重要です。
公共施設での配慮
図書館、博物館、映画館、ショッピングモールなどの公共施設では、感覚過敏を持つ人々が快適に利用できるよう、環境を調整する取り組みが進んでいます。例えば、以下のような配慮が考えられます。
静かな時間帯の設定
ショッピングモールや映画館では、音や光を控えめにし、過剰な刺激を避ける「静かな時間帯」を設けることが推奨されています。これにより、感覚過敏を持つ人々はストレスを感じずに施設を利用できるようになります。
特別な照明の導入
感覚過敏のある人々が施設内で快適に過ごせるよう、調光可能な照明や自然光を取り入れたデザインを採用することで、視覚的な刺激を軽減します。例えば、蛍光灯のちらつきが視覚過敏を引き起こす場合には、LED照明を使用するなどの工夫が有効です。
耳栓やサングラスの配布
一部の公共施設では、感覚過敏を持つ人々に耳栓やサングラスを貸し出すサービスを提供しています。これにより、聴覚や視覚過敏に対処しやすくなり、施設利用時のストレスが軽減されます。
交通機関での配慮
公共交通機関の利用時も、感覚過敏を持つ人々にとっては挑戦となることがあります。混雑した車内、アナウンスの音、強い照明などが原因でストレスを感じやすいため、以下のような対策が求められます。
優先座席の設定
感覚過敏を持つ人が安心して乗車できるよう、優先座席に加えて、静かで落ち着いた環境が保たれる座席エリアの設置が考えられます。これにより、過剰な刺激を避けながら移動できるようになります。
音量調整可能なアナウンス
交通機関内のアナウンスは必要不可欠ですが、その音量が大きすぎると聴覚過敏の人にとっては負担となります。アナウンスの音量を調整できるシステムの導入や、耳障りになりにくい柔らかなトーンでのアナウンスが効果的です。
乗車時間の調整
混雑を避けるため、交通機関を利用する際には、感覚過敏を持つ人々に対してラッシュ時を避けることができる時間帯の乗車を推奨するなどのガイドラインを提供することも役立ちます。
イベントや集会での配慮
感覚過敏を持つ人々が安心して参加できるようにするためには、イベントや集会でも配慮が必要です。例えば、音楽フェスティバルやスポーツ観戦、講演会などで感覚過敏に対応するための工夫が行われています。
感覚過敏フレンドリーなイベントの開催
一部のイベントでは、音量や光の調整が行われた「感覚過敏フレンドリー」な時間帯を設けています。このようなイベントでは、音楽のボリュームを下げたり、激しいライトの点滅を避けたりすることで、感覚過敏を持つ参加者がリラックスできる環境を提供します。
静かなゾーンの設置
大規模なイベントでは、感覚過敏を持つ人が一時的にリラックスできる「静かなゾーン」を設けることが有効です。このエリアは、騒音や視覚的な刺激を避けられるよう、音を抑えた静かな空間となっており、参加者はここで一息ついて過剰な感覚刺激から解放されることができます。
地域社会全体の理解促進
感覚過敏に対する社会全体の理解を深めるための啓発活動も重要です。感覚過敏は外からは見えにくい問題であるため、周囲の理解を得ることが難しいことが少なくありません。そのため、地域社会での情報発信や教育が必要です。
啓発キャンペーン
地域の学校や図書館、コミュニティセンターなどで、感覚過敏に関する啓発キャンペーンを実施することは、感覚過敏についての理解を広めるために有効です。感覚過敏に関する情報を提供し、どのような支援が必要かを共有することで、地域社会全体が感覚過敏に対してより配慮した対応を行うことができるようになります。
感覚過敏に関する研修プログラムの導入
地域の公共施設や企業では、従業員向けに感覚過敏に関する研修プログラムを実施することが推奨されます。感覚過敏を持つ人々が直面する課題や、その対策について学ぶことで、サービスの質を向上させ、すべての人々が快適に利用できる環境を整えることが可能になります。
まとめ
感覚過敏は、発達障がいに伴う問題としてだけでなく、さまざまな人々に影響を及ぼす複雑な課題です。感覚過敏を持つ人々が日常生活をより快適に送れるようにするためには、個人の対策だけでなく、家族、学校、職場、地域社会、さらには公共機関全体での支援が不可欠です。環境の調整や感覚統合療法、メンタルヘルスケアなどを通じて、感覚過敏に対する適切な対処法を見つけることが重要です。
また、感覚過敏に対する社会全体の理解を深め、公共の場や職場、学校などでの配慮が進むことによって、感覚過敏を持つ人々が自分の感覚に負担をかけずに、社会の一員として活躍できる機会が増えていくでしょう。
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ADHDの理解と支援 症状、診断、治療法、そして社会的影響とは?
ADHD(注意欠陥・多動性障がい)は、主に注意力の欠如、多動性、衝動性を特徴とする神経発達障がいであり、発達期において顕著になります。この障がいは、一般的には子どもの頃に診断されることが多いですが、成長するにつれても症状が続くケースもあり、成人期においても生活の質や社会的な適応に影響を与える可能性が指摘されています。
また、ADHDは単に個人の問題にとどまらず、社会全体で理解と支援を必要とする重要なテーマです。そこで本記事では、ADHDに関する基本的な知識からその原因、症状、診断、治療法に至るまで、幅広くかつ詳細に解説し、特にその社会的影響や生活への影響についても考察していきます。
ADHDとは何か
ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥・多動性障がい)は、現代社会において広く認識されている神経発達障がいの一つで、主に「不注意」「多動性」「衝動性」といった3つの特徴が挙げられます。
この障がいは、アメリカ精神医学会が発行するDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)においても明確に定義されており、発症率はおよそ3~5%とされているものの、実際には診断基準に基づかず見逃されているケースもあると言われています。
不注意
不注意はADHDの中核的な症状の一つであり、注意力の欠如や持続が難しい状態を指します。具体的には、以下のような症状が見られます。
仕事や勉強において、細かいミスを頻繁に繰り返す。
一つの作業に集中し続けることが困難で、簡単な作業であっても途中で投げ出してしまう。
聞いているように見えるが、実際には話を聞き逃していることが多い。
任された仕事や課題を最後まで終わらせることができず、計画性に欠ける行動をとる。
物を頻繁に失くしたり、約束や予定を忘れることが多い。
このような不注意は、学業や職業生活において大きな障がいとなり、日常生活にも影響を与えます。
多動性
ADHDの多動性は、過度に動き回ったり、じっとしていられないという特徴を示します。特に子どもにおいては、授業中に座っていることが難しく、周りの子どもたちと比べて活発すぎる行動を取ることが目立ちます。具体的には、以下の行動が多動性に関連します。
座っていることができず、頻繁に立ち上がったり、歩き回ったりする。
手や足を動かし続けるなど、落ち着きのない行動をとる。
騒音を立てたり、授業や会議など静かな場面で騒いでしまう。
衝動性
衝動性は、思いついたことを即座に実行してしまう、行動を抑制できない状態を指します。衝動性は特に社会的な関係において問題を引き起こすことが多く、例えば、他者の話を遮って発言したり、順番を待つことができないといった行動が見られます。衝動性の具体例としては以下のものが挙げられます。
他人の話を最後まで聞かずに話し出してしまう。
ゲームやスポーツで自分の番を待つことができない。
欲しいものがあると、我慢できずすぐに手に入れようとする。
これらの症状が組み合わさり、ADHDの診断が行われることとなります。
ADHDの原因
ADHDの正確な原因は未だ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や脳の構造・機能的な異常、環境的要因などが関連していると考えられています。これらの要因が相互に作用することでADHDの発症に至るとされています。
遺伝的要因
ADHDの発症において、遺伝的要因が大きな役割を果たしていることが、数多くの研究で示されています。家族にADHDの症状を持つ人がいる場合、子どもも同じ症状を示す可能性が高くなることがわかっています。具体的には、親がADHDを持っている場合、その子どもがADHDを発症するリスクは通常の2倍以上に上昇します。双子を対象とした研究でも、ADHDの遺伝率は70~80%と非常に高いことが示されています。
また、ADHDに関連する遺伝子もいくつか特定されています。例えば、ドーパミンD4受容体遺伝子(DRD4)やドーパミントランスポーター遺伝子(DAT1)がADHDのリスクに関連していることが報告されています。これらの遺伝子の変異は、脳内のドーパミンの分泌や受容に影響を与え、注意力や行動制御に問題を引き起こすとされています。
脳の構造的・機能的異常
ADHDの人々の脳をMRIで観察すると、特定の脳領域が通常の人よりも小さいことがわかっています。特に、前頭前野や大脳基底核といった領域がADHDと深く関連しており、これらの領域の活動が低下していることが、ADHDの症状に結びつくと考えられています。
前頭前野は、行動の計画や実行、感情の調整に重要な役割を果たしており、この領域の機能が低下することで、注意力や集中力、さらには感情のコントロールが難しくなります。また、大脳基底核は、運動制御や動機づけに関与する部分であり、ここに異常があると、多動性や衝動性が現れることになります。
環境的要因
環境的な要因もADHDの発症に影響を与える可能性があります。例えば、胎児期における母親の喫煙やアルコール摂取、あるいは環境汚染物質への曝露が、脳の発達に悪影響を及ぼすことが確認されています。特に鉛の曝露は、ADHDのリスクを高める要因として注目されています。
また、幼少期のストレスやトラウマも、ADHDの発症リスクを増加させるとされています。例えば、虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた子どもたちは、注意力や行動制御に問題を抱える可能性が高くなります。
ADHDの診断と評価
ADHDの診断は、精神科医や小児科医、臨床心理士などの専門家によって行われます。診断には、DSM-5の診断基準を基にして、複数の評価が行われることが一般的です。診断プロセスは慎重に行われ、誤診を防ぐために多角的な視点からの評価が必要です。
症状の確認
ADHDの診断においては、まず最初に症状の確認が行われます。症状は少なくとも6カ月以上にわたって持続している必要があり、さらに2つ以上の異なる環境(例:学校と家庭)で症状が見られることが条件となります。例えば、学校では落ち着きがなく集中できないが、家庭では問題なく過ごしている場合、ADHDと診断される可能性は低くなります。
また、症状は発達の特定の段階において異常であるとみなされる必要があります。年齢に応じた行動の範囲内であれば、ADHDではなく、単なる成長過程として見なされることもあります。
家族歴や環境の評価
ADHDの診断には、家族歴や環境の評価も含まれます。家族に同様の症状を持つ人がいるかどうか、過去に何らかの環境的な要因が影響を与えた可能性があるかなどが評価されます。特に遺伝的要因が強く影響する場合が多いため、家族歴の確認は重要です。
行動観察とアンケート
行動観察やアンケートも、ADHDの診断において重要なツールです。教師や親、場合によっては本人もアンケートに答え、日常生活での行動や感情の状態について詳しく報告します。これにより、専門家はより具体的な行動のパターンを把握することができます。
ADHDの治療法
ADHDの治療には、薬物療法と心理療法の2つの柱が存在します。どちらの治療法も、症状の緩和を目指しており、患者の生活の質を向上させることが目的です。また、場合によっては、これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な結果が得られることもあります。
薬物療法
ADHDの薬物療法には主に2種類の薬が使用されます。刺激薬と非刺激薬です。これらの薬は、症状を緩和するために神経伝達物質の働きを調整する役割を果たします。
刺激薬
刺激薬は、ADHD治療で最も一般的に使用されている薬です。この薬は脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの量を増加させる働きがあります。これにより、注意力や集中力を向上させ、衝動的な行動を抑制することが期待されます。代表的な刺激薬として、メチルフェニデート(リタリン)やアンフェタミン製剤(アデラル)が挙げられます。
刺激薬は効果が高い反面、副作用も報告されています。例えば、食欲減退や不眠症、頭痛などがあり、長期間の使用においては心拍数の上昇や高血圧といった心血管系のリスクも考慮する必要があります。そのため、薬の投与に関しては医師と相談し、適切なモニタリングが行われることが推奨されます。
非刺激薬
非刺激薬は、刺激薬とは異なるメカニズムで症状を改善します。代表的な薬剤として、アトモキセチンやグアンファシンがあり、これらはドーパミンよりもノルアドレナリンの再取り込みを抑制することにより、注意力や集中力の向上を促します。非刺激薬は副作用が比較的少なく、刺激薬が効果を示さなかったり、副作用が強く出たりした場合に使用されることが多いです。
また、非刺激薬は即効性が低いですが、継続して使用することで徐々に効果が現れるため、長期的な治療に向いているとされています。副作用としては、吐き気や疲労感、眠気などが挙げられますが、刺激薬に比べてリスクは低いとされています。
心理療法
薬物療法と並行して、心理療法もADHDの治療において重要な役割を果たします。心理療法は、薬物による症状の緩和を補完し、患者が日常生活をよりよく管理できるようにサポートします。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)は、ADHDの患者が抱える思考や行動のパターンを見直し、より適応的な行動を学ぶことを目的とした治療法です。ADHDの患者は、衝動的な行動や感情のコントロールが難しいため、これに対処するための具体的なスキルを身につけることが重要です。CBTでは、時間の管理やタスクの優先順位の設定、ストレス管理の方法などが学ばれ、患者が生活の中で直面する課題に適切に対応できるようになります。
家族療法
家族療法もまた、ADHDの治療において重要です。特に子どもがADHDと診断された場合、家族全体のサポートが必要となります。家族療法では、親や兄弟がADHDの症状を理解し、どのように対応するかを学ぶことができます。家族の理解が深まることで、ADHDの子どもに対するストレスや誤解が減少し、より円滑な家庭生活が実現する可能性が高まります。
行動療法
行動療法は、特に子どものADHD治療において有効とされています。行動療法では、好ましい行動を強化し、問題行動を減少させるための手法が用いられます。例えば、宿題をきちんと終えた場合に褒美を与えることで、適切な行動を習慣化させることができます。このような行動療法は、学校や家庭において一貫して行われることが重要であり、親や教師が協力して子どもの行動を支援することが求められます。
生活習慣の改善
ADHDの症状を緩和するためには、生活習慣の改善も重要な要素です。特に、規則正しい睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動が症状の改善に寄与することが報告されています。例えば、睡眠不足は集中力の低下や多動性を悪化させる可能性があるため、毎晩十分な睡眠を確保することが推奨されます。また、食事においても、砂糖や加工食品の摂取を控え、栄養バランスの良い食事を摂ることがADHDの症状に好影響を与えるとされています。
さらに、運動は脳の機能を活性化させる効果があり、特に有酸素運動は注意力を向上させる効果があるとされています。これにより、子どもや成人問わず、日常生活の中で適度な運動を取り入れることが勧められます。
ADHDと社会
ADHDは個人の生活に大きな影響を与えるだけでなく、社会全体にも多大な影響を及ぼします。学校や職場、家庭においてADHDの人々が直面する問題は多岐にわたりますが、適切な支援や環境整備が行われることで、彼らの能力を最大限に引き出すことが可能です。
学校におけるADHDの影響と支援
ADHDの子どもたちは、学業において多くの困難を抱えることが多いです。集中力が続かない、授業中にじっとしていられない、忘れ物が多いなどの症状が、学習成果に影響を与えることがあります。そのため、学校ではADHDの子どもに対する特別な配慮が求められます。
例えば、個別教育計画(IEP)や特別支援教育の導入が挙げられます。これにより、子どもたち一人ひとりのニーズに合わせた教育が提供され、彼らが最大限の能力を発揮できる環境が整えられます。また、教室環境の調整や教師によるサポートも重要であり、適切な座席配置や授業の進行スピードを調整することが、ADHDの子どもにとって有益です。
職場におけるADHDの影響と対応
成人期においてもADHDの症状は続くことがあり、特に職場において集中力の欠如や時間管理の難しさが問題となることがあります。しかし、適切な対応策を講じることで、ADHDの人々は職場で十分に能力を発揮することができます。
職場では、タイムマネジメントやタスク管理のスキルが必要とされますが、これらのスキルを支援するためのツールや技術の導入が効果的です。例えば、タスクの優先順位をつけるためのリストを作成する、タイマーやリマインダーを活用することで、作業効率が向上します。また、定期的な休憩や運動を取り入れることで、集中力を維持することもできます。
まとめ
ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特徴を持つ神経発達障がいであり、個人の生活に大きな影響を与えます。遺伝的要因や環境的要因が絡み合って発症し、診断や治療は慎重に行われるべきです。薬物療法や心理療法、そして生活習慣の改善を組み合わせた治療アプローチが有効であり、患者が持つポテンシャルを引き出すためには、社会全体のサポートも不可欠です。
ADHDの人々が直面する課題は多いですが、適切な治療とサポートにより、彼らは豊かな生活を送ることが可能です。今後もADHDに関する理解と支援が広がることで、個々のニーズに応じた対応が進み、より多くの人々が自己実現を達成できる社会が実現することが期待されます。
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就労支援、A型・B型事業所の役割とは?障がい者の自立と社会参加を支える就労支援の現状と課題
就労支援に関するテーマは、障がいを抱える人々や、長期にわたり失業している方々が職業を通じて自立を目指すうえで、非常に重要な役割を果たしています。
この記事では、「就労支援」「A型」「B型」に焦点を当て、それらの概念や実際の効果、さらに社会的背景と現代の課題を詳細に掘り下げます。具体的には、各就労支援の特徴と、その意義、支援を受けることによって得られる効果や、その課題について考察を深めます。
就労支援とは何か?
まず、「就労支援」とは、障がい者や長期失業者、または何らかの理由で一般的な就職が難しい人々が、自立した生活を送るために必要なサポートを提供する活動のことを指します。このサポートは、単に仕事を見つけることを目的としているだけでなく、利用者がその後の生活において安定的な収入を得ながら、社会に参加し、自己実現を果たすことができるよう支援するものです。具体的には、就労に必要なスキルや知識を提供したり、実際に働く現場を提供することが挙げられます。
特に障がい者に対する就労支援の重要性は高まっています。障がい者が一般企業で働くことができる環境は、まだまだ整備されているとは言いがたく、障がい者の特性やニーズに応じた支援が不可欠です。そうした背景から、障がい者の就労支援には「就労移行支援」と「就労継続支援」という大きな枠組みが存在します。これらの支援は、障がい者がその障がい特性に合わせて、自分に適した仕事を見つけ、安定して働けるようにするための支援策です。
就労移行支援と就労継続支援
「就労移行支援」は、障がい者が一般企業での就労を目指すための支援です。このプログラムを通じて、利用者は職業訓練や、就労に向けた準備を行い、一般企業での雇用を実現することを目的としています。
一方、「就労継続支援」は、何らかの理由で一般企業での継続的な就労が難しい障がい者に対して、福祉的な支援のもとで働く場を提供するものです。この就労継続支援には、A型とB型の2つの形態が存在し、それぞれに異なる特徴と目的があります。以下では、この「就労継続支援」のA型とB型について、詳しく説明します。
就労継続支援A型の概要
「就労継続支援A型」は、就労継続支援の中でも、利用者が事業所と雇用契約を結ぶ形態です。これは、ある程度の作業能力や体力があるものの、一般企業での就労が困難な障がい者に対して提供される支援です。利用者は事業所と労働契約を結ぶことによって、一般の労働者と同様に給与が支払われます。つまり、A型支援を受けている人々は「雇用されている状態」にあり、企業と同様の労働条件下で働くことが求められます。
A型の特徴として、給与は最低賃金以上が保証されている点が挙げられます。これは、雇用契約を結んでいるため、一般の労働者と同じく、労働基準法が適用されることに由来しています。労働時間や休暇、労働条件は法的に守られており、福祉的な支援を受けつつも、利用者は働くことを通じて収入を得て、社会的な役割を果たすことが期待されます。
さらに、A型の支援では、利用者がスキルアップを図り、将来的には一般企業での就労に移行できるような支援が提供されることも多いです。実際、A型事業所の多くでは、訓練や研修プログラムが用意され、利用者が一般就労に適応できるようなサポートが行われています。これにより、利用者は働きながら成長し、自分の能力を高めることができるため、就労支援の一環として非常に重要な役割を担っています。
A型支援の具体的な特徴
雇用契約の締結:A型では、事業所と利用者の間で雇用契約が結ばれます。これにより、利用者は労働者としての権利が法的に保障され、労働基準法の適用を受けます。
給与制度:利用者には最低賃金以上の給与が支払われることが義務付けられており、作業に応じた報酬を得ることができます。
職業訓練の提供:A型事業所では、単に作業を行うだけでなく、利用者がスキルを向上させるための訓練や指導が提供されることが多いです。
一般就労へのステップ:利用者は、A型の環境で働くことで、将来的に一般企業での就労を目指すことができ、そのための支援も充実しています。
就労継続支援B型の概要
一方で、「就労継続支援B型」は、A型とは異なり、利用者と事業所の間で雇用契約は結ばれません。B型支援は、雇用契約を結ぶことが難しい障がい者や、体力的・精神的に長時間の労働が困難な方々に対して提供される支援形態です。B型では、利用者は自分のペースで働くことができ、福祉的なサポートを受けながら、社会に参加することができます。
B型の特徴としては、労働契約が存在しないため、給与という形で報酬が支払われるのではなく、作業に対して「工賃」が支払われる点が挙げられます。工賃は、事業所の収益や作業内容に応じて異なり、A型に比べると収入は少ないことが一般的です。しかし、B型支援では、利用者が自分の体調や状況に応じて働く時間や作業内容を自由に調整できるため、長時間働くことが難しい場合でも安心して利用できる点が強みです。
B型事業所で行われる作業は、主に軽作業や、手工芸品の製作、農作業などが多く、利用者は無理なく参加できるよう配慮されています。また、B型支援では、利用者の精神的・身体的な健康を重視し、作業の負担が大きくならないようにするためのサポートも提供されています。こうした点から、B型は特に、安定した生活を送りたいと考えている人々にとって非常に重要な役割を果たしていると言えます。
B型支援の具体的な特徴
雇用契約の不在:B型では、A型と異なり、雇用契約が結ばれないため、利用者は労働者としてではなく、福祉サービスの一環として作業に参加します。
工賃制度:給与ではなく、作業に対して「工賃」が支払われます。工賃の額は事業所によって異なりますが、A型と比較すると少額になることが一般的です。
柔軟な作業時間:利用者は自分のペースで働くことができ、作業時間や日数、内容が個々の状況に合わせて調整されます。
生活リズムの維持:B型支援では、利用者が無理なく働き続けられるように、生活リズムや健康状態に配慮した支援が行われます。
A型とB型の違いと共通点
A型とB型の最も大きな違いは、雇用契約の有無と給与形態です。A型では雇用契約が結ばれ、労働者としての権利が法的に保障されますが、B型では雇用契約がなく、福祉的なサポートのもとで柔軟に作業に取り組むことができます。また、A型では最低賃金以上の給与が支払われますが、B型では作業に応じた工賃が支払われ、収入はA型よりも低くなることが多いです。
一方で、共通点としては、いずれの支援形態も、障がい者や就労困難者に対して社会的な参加の機会を提供し、彼らが自立を目指すためのサポートを行っている点です。どちらの支援も、利用者が社会で役割を果たし、自己実現を目指すための重要なステップを提供しています。
就労継続支援における課題と解決策
就労継続支援A型とB型は、障がい者や就労困難者にとって非常に重要な役割を果たしていますが、依然として多くの課題が存在します。これらの課題に対処するためには、政府、事業所、地域社会が連携して取り組む必要があります。
A型事業所の課題
まず、A型事業所に関する課題としては、運営資金の確保と利用者の安定雇用が挙げられます。A型事業所は雇用契約を結んだ労働者に対して最低賃金以上の給与を支払う義務があるため、運営に十分な収益を上げることが求められます。しかし、実際には収益を確保することが難しいケースが多く、事業所の経営が圧迫されることがあります。このため、A型事業所が閉鎖に追い込まれることもあり、利用者の就労機会が失われるリスクが存在します。
また、A型事業所では、利用者のスキルアップや一般企業への就労移行を目指す支援が行われますが、利用者全員が必ずしもスムーズに一般就労に移行できるわけではありません。利用者の中には、長期的にA型事業所に留まり続けることを希望する人もおり、事業所側はそのバランスを取ることに難しさを感じています。これは、事業所が利用者のニーズに応じた柔軟な支援を提供しつつ、限られたリソースの中で効果的に運営を行う必要があることに起因しています。
A型事業所の解決策
A型事業所が抱える課題を解決するためには、以下のような施策が考えられます。
運営資金の多様化
A型事業所は、より多くの収益源を確保するために、事業内容の多様化を図る必要があります。例えば、地域の企業と提携して、新たなビジネスモデルを開発することや、利用者が行う作業の質を向上させることで、競争力を高めることが考えられます。また、クラウドファンディングや地域の助成金を活用するなど、資金調達の手段を広げることも重要です。
職業訓練プログラムの強化
A型事業所では、利用者のスキルアップを支援する職業訓練プログラムの充実が必要です。これには、具体的な職業スキルだけでなく、社会的なスキル(対人コミュニケーション能力やチームワークなど)を身につけるためのプログラムも含まれます。訓練を通じて、利用者が自信を持ち、一般就労に向けた準備が整うようサポートすることが求められます。
企業との連携強化
一般企業との連携を強化し、A型事業所での経験が活かせる就労の場を提供することが重要です。企業側に対しても、障がい者雇用の重要性やその利点を伝え、障がい者が働きやすい環境作りに協力を促すことで、一般就労への移行がスムーズになるでしょう。
B型事業所の課題
一方、B型事業所では、利用者の工賃が低いことが大きな問題とされています。B型の工賃は、A型の給与と比較して著しく低いことが多く、生活費を賄うには不十分です。そのため、B型事業所を利用している障がい者は、福祉手当や家族のサポートに依存して生活するケースが多くなります。また、B型事業所の作業内容が単調なものに限られている場合、利用者のやりがいや自己実現の機会が乏しくなることも課題です。
B型事業所では、雇用契約がないため、利用者が働くペースや時間を自由に調整できる点が強みですが、同時にその柔軟さが、就労のモチベーションの低下につながる場合もあります。長期間B型事業所に通い続けても、スキルアップや収入向上の機会が限られているため、社会的な自立を果たすのが難しい状況に陥ることがあります。
B型事業所の解決策
B型事業所の課題に対しても、以下のような解決策が考えられます。
工賃の引き上げ
B型事業所で働く利用者の生活を支えるためには、工賃の引き上げが不可欠です。事業所が収益を上げやすくするために、地域との連携を強化し、新たなビジネス機会を開拓することが求められます。地域の企業や自治体と協力して、障がい者が参加できるプロジェクトや活動を増やすことで、工賃を増やすための基盤を作ることができます。
作業の多様化とやりがいの提供
B型事業所で提供される作業を多様化し、利用者が新しいスキルを身につけたり、自分に合った仕事に挑戦できる環境を作ることが必要です。農業や工芸品の製作、デジタル作業など、利用者の興味や適性に応じた作業を提供することで、やりがいを感じながら働くことができるようになります。
福祉と経済のバランス強化
B型事業所では、利用者の健康や生活リズムに配慮することが重要ですが、同時に、彼らが持つ潜在能力を引き出し、より高い生産性を実現できるような支援を行うことも必要です。利用者一人ひとりに対して、個別の支援プランを策定し、適切な目標を設定することで、福祉的支援と経済的自立の両立を図ることができるでしょう。
地域社会との連携の重要性
就労支援の成功には、地域社会との連携が不可欠です。A型・B型事業所は、地域の企業や自治体、地域住民との協力体制を築くことで、より多くの支援機会を提供できます。例えば、地域の企業が障がい者雇用に対して前向きに取り組むことで、A型事業所の利用者が一般企業での就労に移行しやすくなります。また、B型事業所においても、地域住民が製作した商品を購入したり、事業所が地域イベントに参加することで、事業所の運営に貢献することができます。
さらに、地域社会が障がい者に対する理解を深めることで、障がい者が働くことへの偏見や差別を減少させることができます。地域の企業や住民が障がい者の能力や貢献度を正当に評価することで、障がい者が社会の一員として活躍できる環境が整うでしょう。教育機関や福祉施設とも連携し、地域全体で障がい者支援のネットワークを強化することが、今後の就労支援において重要な課題となります。
まとめ
就労支援において、A型とB型の事業所はそれぞれ異なる役割を果たしており、障がい者や就労困難者が社会的な自立を目指すための重要なステップを提供しています。A型は雇用契約を通じて安定した収入を得ながらスキルアップを目指す形態であり、B型は柔軟な働き方を提供しつつ、社会参加を促進する形態です。
しかし、これらの事業所が直面する課題も多く、特に運営資金の確保や利用者の工賃引き上げ、作業内容の多様化などの点で改善が必要です。これを解決するためには、事業所自体の努力に加え、地域社会や企業、政府との連携が不可欠です。
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双極性障がい(躁うつ病)の理解と治療 精神的な安定と社会的サポートの重要性
双極性障がい(躁うつ病)は、極端な気分の変動を特徴とする精神疾患で、躁状態(異常な高揚感や過活動)と鬱状態(極端な抑うつや無気力)が周期的に繰り返されることから、その名が付けられています。
この障がいは、日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼし、適切な治療と管理がなされなければ、症状の悪化や社会的な孤立を招くリスクがあります。双極性障がいは、人口の約1%から2%に見られるとされており、非常に一般的な精神疾患の一つです。本記事では、双極性障がいの症状、原因、治療法、そして社会的影響について、詳細な解説を行います。
双極性障がいの特徴
躁状態
双極性障がいの「躁状態」は、エネルギーや活動性が異常に高まる状態です。この状態では、気分が高揚し、異常な自信を持ったり、非常に社交的になることが多いです。具体的な症状には以下のようなものがあります。
異常な高揚感や幸福感:通常よりも異常にハイな気分が続き、周囲からも明らかに過剰な幸福感が見て取れることがあります。
エネルギーの過剰な増加:睡眠が少なくても元気でいられ、活動が活発になります。これにより、長時間働いたり、社交活動に熱心になることもあります。
集中力の欠如:思考が次々と移り変わり、アイデアが止まらない「考えが飛ぶ」状態に陥ります。結果として、集中が難しくなり、物事を完了させるのが難しくなります。
リスクの高い行動:躁状態では判断力が低下し、リスクの高い行動を取ることがよくあります。例えば、無謀な買い物やギャンブル、性行動、投資などが挙げられます。
イライラや攻撃的行動:気分が高揚しているために、少しのことでも苛立ちやすくなり、攻撃的な態度を取ることがあります。
軽躁状態
軽躁状態は、躁状態ほど重篤ではないが、通常の気分と比べて高揚している状態です。症状は躁状態と類似していますが、その程度が軽いため、周囲からは「元気が良い」「積極的」と好意的に見られることがあります。しかし、軽躁状態が続くと、本人はコントロールを失い、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。
鬱状態
双極性障がいのもう一つの極は「鬱状態」です。この状態では、気分が極端に落ち込み、エネルギーや意欲が低下します。主な症状には次のようなものがあります。
深刻な抑うつ感:長期間にわたって気分が落ち込み、何事にも興味や楽しみを感じなくなります。この状態は、2週間以上続くことが一般的です。
無力感や罪悪感:自分に対して極度に否定的な考えを持ち、無価値感や罪悪感を抱くことがよくあります。
疲労感とエネルギー不足:鬱状態では、日常的な活動すら困難に感じ、簡単なタスクも遂行できなくなります。これにより、仕事や学業、家事が放棄されることが多いです。
食欲と睡眠の変化:食欲が急激に減少したり、逆に過食に走ることがあります。睡眠に関しては、眠れない、または過眠といった極端な変化が見られることが一般的です。
自殺念慮や自傷行為:鬱状態が長く続くと、自殺を考えたり、自傷行為に走るリスクが高まります。これは、双極性障がいにおいて特に注意が必要な症状です。
双極性障がいの種類
双極性障がいは、大きく2つのタイプに分類されます。それぞれのタイプには異なる特徴があり、治療や管理のアプローチも異なる場合があります。
双極性障がいI型
双極性障がいI型は、完全な躁状態と重度の鬱状態の両方が見られるタイプです。躁状態が1週間以上続き、日常生活に大きな支障をきたすことが多く、場合によっては入院が必要となることがあります。このタイプでは、鬱状態も非常に重篤で、長期間にわたることが一般的です。
双極性障がいII型
双極性障がいII型は、軽躁状態と重度の鬱状態を特徴とするタイプです。躁状態ほどの重篤な症状は見られないものの、鬱状態はI型と同様に深刻です。軽躁状態はしばしば「良い時期」として誤認されることがあるため、正確な診断が難しいことがあります。
サイクロチミア
サイクロチミアは、軽躁状態と軽度の鬱状態が周期的に繰り返される軽度の双極性障がいです。サイクロチミアの患者は、気分の波が激しいものの、症状が比較的軽度であるため、日常生活には支障が少ないことが多いです。しかし、症状が進行すると双極性障がいI型やII型に移行する可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
双極性障がいの原因
双極性障がいの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因が複雑に関与していると考えられています。
遺伝的要因
双極性障がいは遺伝的な側面が強く、家族に双極性障がいの患者がいる場合、そのリスクが高まることが知られています。双極性障がいの患者の親や兄弟が同じ障がいを発症する確率は、一般の人々よりも高いとされています。また、双子研究においても、同卵双生児の場合、片方が双極性障がいを持つともう片方も発症する可能性が高いことが示されています。これらのことから、遺伝的な要因が大きく関与していることが明らかです。
生物学的要因
双極性障がいは、脳内の化学物質(特にセロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンなど)のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられています。これらの神経伝達物質は、気分や感情の調節に重要な役割を果たしており、これらが不均衡になると、異常な気分の変動が発生することがあります。また、脳の構造や機能にも異常が見られることがあり、脳の特定の領域が双極性障がいに関与している可能性が示唆されています。
環境的要因
ストレスやトラウマ、生活環境の変化など、環境的な要因も双極性障がいの発症やエピソードの引き金になることがあります。特に、重大なライフイベント(離婚、失業、愛する人の死など)が発症のきっかけとなることが多いです。環境的要因は遺伝的な要因と相まって、症状の発現に大きく寄与することがあります。
双極性障がいの診断
双極性障がいの診断は、精神科医や心理士による詳細な臨床評価に基づいて行われます。この障がいは、躁状態と鬱状態という2つの極端な気分のエピソードが見られるため、他の精神疾患と区別することが必要です。また、診断には時間がかかることが多く、個々の症状の経過を注意深く観察しながら、正確な診断を下すことが求められます。
DSM-5に基づく診断基準
双極性障がいの診断は、アメリカ精神医学会が制定した『精神障がいの診断と統計マニュアル(DSM-5)』の基準に基づいて行われます。DSM-5では、双極性障がいの主なタイプである双極性障がいI型および双極性障がいII型に関する基準が明確に定められています。
双極性障がいI型:少なくとも1回の躁エピソードがあることが診断基準となります。鬱エピソードは必須ではありませんが、多くの患者がその両方を経験します。
双極性障がいII型:1回以上の軽躁エピソードと、少なくとも1回の重度の鬱エピソードを持つことが診断の条件です。躁状態は見られず、軽躁状態が特徴です。
これらの診断基準に加え、患者の家族歴や既往歴、症状の発症時期や頻度も考慮されます。医師は、他の疾患(例:うつ病や統合失調症など)を除外するために、心理検査や質問票を用いることもあります。
医学的検査
双極性障がいの診断には、医学的検査も併用されることがあります。これは、脳の機能や神経系に関連する他の疾患を排除するためです。例えば、甲状腺機能障がいや中枢神経系の異常が双極性障がいの症状を模倣することがあるため、血液検査や画像診断(CTスキャンやMRI)を行い、正確な診断を下すための補助的な情報を集めることがあります。
記録とモニタリング
患者が自分の気分の変動やエピソードの発生頻度を記録することも、診断の一助となります。気分日記をつけることで、医師が症状のパターンやトリガーとなる要因をより明確に把握でき、診断や治療に役立てられます。このモニタリングは、双極性障がいがしばしば断続的に発症するため、長期的な評価が必要な場合に特に有効です。
双極性障がいの治療法
双極性障がいの治療は、症状の安定化と再発の防止を目的としています。治療には薬物療法や心理療法が含まれ、患者の状態や生活状況に応じて最適な治療法が選択されます。双極性障がいは長期間にわたって症状が続くことが多いため、治療は長期的に行われることが一般的です。
薬物療法
双極性障がいの主な治療法は薬物療法です。特に、気分の変動を安定させるための気分安定薬が広く使用されています。薬物療法の目的は、躁状態や鬱状態の再発を防ぎ、症状を管理することです。
気分安定薬:リチウムが代表的な気分安定薬で、躁状態および鬱状態の両方に効果があります。長期間の使用により、再発を予防する効果も期待されていますが、定期的な血中濃度のモニタリングが必要です。
抗精神病薬:重度の躁状態や精神病的症状が見られる場合、抗精神病薬が使用されることがあります。オランザピンやクエチアピンなどが処方されることが多いです。
抗うつ薬:双極性障がいの鬱状態には、抗うつ薬が処方されることがありますが、単独での使用は躁状態を引き起こすリスクがあるため、他の薬物と併用されることが一般的です。
抗不安薬:不安が強い患者には、抗不安薬も併用されることがあります。
心理療法
薬物療法に加えて、心理療法も双極性障がいの治療において重要な役割を果たします。心理療法は、患者が病気と向き合い、生活の中で症状を管理するためのサポートを提供します。
認知行動療法(CBT):認知行動療法は、患者が不適切な思考や行動パターンを認識し、それを修正する方法を学ぶために用いられます。特に、鬱状態における否定的な思考を改善する効果が期待されます。
対人関係療法(IPT):対人関係療法は、患者の対人関係や社会的な役割に焦点を当て、症状の悪化を防ぐためのスキルを習得することを目指します。
家族療法:家族療法は、患者の家族も治療に参加することで、家族が双極性障がいについての理解を深め、サポートの質を向上させることを目的としています。
ライフスタイルの管理
双極性障がいの治療には、日常生活のリズムを整えることも重要です。規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理は、気分の変動を防ぐために不可欠です。特に、睡眠不足や過度のストレスは症状の悪化につながるため、これらのリスク要因を避けることが求められます。
規則正しい睡眠:睡眠不足や不規則な睡眠は、躁状態や鬱状態のエピソードを引き起こす可能性があるため、毎日一定の時間に睡眠を取ることが推奨されます。
適度な運動:運動はストレスを軽減し、精神的な健康を維持するために有効です。特に、ヨガや瞑想などのリラクゼーション活動は、精神の安定に寄与します。
アルコールや薬物の制限:アルコールや違法薬物は、気分を変動させる要因となるため、これらの摂取は厳しく制限されるべきです。
社会的なサポートと対応
双極性障がいの患者が安定した生活を送るためには、家族や友人、職場、医療機関からの社会的なサポートが不可欠です。これらのサポートは、治療の補完として、患者の生活の質を向上させるために重要な役割を果たします。以下に、各方面からのサポートの具体的な方法とその重要性について詳しく説明します。
家族のサポート
家族は双極性障がいの患者にとって最も重要なサポートの源であり、適切な支援が症状の管理や生活の安定に大きな影響を与えます。
理解と教育:家族が双極性障がいについて理解を深めることは、患者に対する適切な支援の第一歩です。疾患の特性や治療方法について学ぶことで、家族は患者の症状や行動に対する理解を深め、より効果的にサポートすることができます。教育を受けるためには、医療機関やサポートグループが提供する情報を活用することが有効です。
感情的サポート:双極性障がいの症状に対処するためには、患者が安定した感情的な支援を受けることが必要です。家族は、患者の気分の変動を理解し、受け入れることで、安心感や信頼感を提供する役割を果たします。
実生活のサポート:日常生活におけるサポートも重要です。例えば、経済的な問題や生活の管理、医療機関への同行など、具体的な支援を通じて患者の負担を軽減することができます。また、家族が症状の兆候を早期に察知し、適切な対策を講じることも大切です。
ストレス管理:家族自身もストレスや負担を感じることがあります。ストレス管理の方法を学ぶことで、自分自身の健康を守りながら、より効果的に患者をサポートすることができます。
友人のサポート
友人は、患者の社会的な支えとなり、孤立感を軽減する役割を果たします。友人からの支援は、患者にとって精神的な安定を提供する重要な要素です。
理解と受容:友人が双極性障がいについて学び、理解することで、患者との関係がより良いものになります。患者の気分や行動の変化に対して非難することなく、受け入れの姿勢を持つことが重要です。
共感と励まし:気分が落ち込んでいる時や躁状態にある時に、友人の共感や励ましが患者の精神的な支えとなります。友人が安定した存在であることで、患者は安心感を得ることができます。
社会的なつながりの維持:社会的なつながりを持ち続けることは、患者の気分を安定させるために有効です。友人と定期的に連絡を取り合い、一緒に活動することで、孤立感を防ぎ、社会的な支援を提供することができます。
職場での対応
職場でのサポートも双極性障がいの患者にとって重要です。適切な職場環境を整えることで、患者が仕事を続けやすくなり、生活の安定に寄与します。
柔軟な働き方:双極性障がいの患者には、フレキシブルな働き方が有効です。例えば、勤務時間の調整や在宅勤務など、患者の状態に応じた働き方を提供することで、仕事と治療の両立をサポートします。
理解と支援:職場の同僚や上司が障がいについて理解を示すことが重要です。病気に対する偏見や誤解を減らし、患者が安心して働ける環境を整えることが求められます。定期的なコミュニケーションやフィードバックを通じて、患者のニーズに応じたサポートを提供することができます。
休暇制度の活用:症状が悪化した際には、休暇を取ることが必要です。病気休暇や特別休暇など、制度を活用することで、患者が適切な治療を受ける時間を確保することができます。
医療機関のサポート
医療機関は、双極性障がいの治療や管理において中心的な役割を果たします。専門的な知識と技術を持つ医療提供者が、患者に対して最適な治療を提供することが求められます。
専門的な治療:精神科医や心理士は、双極性障がいの治療において重要な役割を果たします。症状の管理や薬物療法、心理療法を通じて、患者の安定を図るとともに、定期的なフォローアップを行い、治療の効果を評価します。
多職種連携:医療機関では、医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど、多職種が連携して治療を行います。これにより、患者の全体的なケアが提供され、生活の質を向上させることができます。
情報提供と教育:医療機関は、患者とその家族に対して双極性障がいについての情報提供を行います。疾患の理解を深めるための教育や、生活の中で気を付けるべき点についてのアドバイスが含まれます。
緊急時の対応:症状が急激に悪化した場合には、緊急対応が必要です。医療機関は、緊急入院や短期的な治療を通じて、患者の安全を確保し、症状の安定化を図ります。
双極性障がいと社会的課題
双極性障がいに関連する社会的課題は、患者だけでなくその周囲にも影響を及ぼします。社会的な偏見や誤解、リソースの不足など、さまざまな問題が存在します。
社会的偏見と誤解
双極性障がいに対する偏見や誤解は、患者が適切な支援を受ける妨げとなることがあります。精神疾患に対する理解が不足していると、患者が社会から孤立したり、差別的な扱いを受けることがあります。これにより、治療の受け入れが難しくなり、症状が悪化する可能性もあります。
教育と啓発:精神疾患に対する正しい理解を広めるための教育や啓発活動が必要です。学校や職場、メディアなどで精神疾患についての情報を提供し、偏見を減らすための取り組みが求められます。
支援団体の活動:支援団体や患者団体は、双極性障がいに関する情報提供や、患者の権利擁護に取り組んでいます。これらの団体の活動を支援し、社会的な意識を高めることが重要です。
医療資源とアクセス
双極性障がいの治療には、専門的な医療資源が必要です。しかし、医療資源の不足や地域によるアクセスの違いが問題となることがあります。
医療サービスの向上:精神疾患に対する医療サービスの質を向上させるための取り組みが必要です。専門医の育成や、地域医療機関の充実を図ることが求められます。
アクセスの改善:医療機関へのアクセスが困難な地域では、遠隔医療や訪問医療などのサービスを提供することで、患者が適切な治療を受けられるようにすることが重要です。
経済的支援と雇用
双極性障がいの治療には経済的な負担が伴うことが多く、また、仕事を続けることが難しくなる場合もあります。経済的な支援や雇用の維持は、患者が安定した生活を送るために重要です。
経済的支援:医療費の負担を軽減するための制度や支援が必要です。例えば、医療保険の充実や、障がい者手帳による支援が考えられます。
雇用支援:雇用の維持や再就職を支援するプログラムやサービスが求められます。職場での合理的配慮や、就業支援を通じて、患者が自立した生活を送るためのサポートが必要です。
まとめ
双極性障がいは、気分の極端な変動を特徴とする精神疾患であり、その管理と治療には専門的なアプローチが求められます。診断には慎重な評価が必要であり、治療には薬物療法と心理療法が中心となります。また、家族や友人、職場、医療機関からのサポートは、患者の安定した生活を実現するために不可欠です。
社会的な偏見や医療資源の不足といった課題にも対処しながら、患者がより良い生活を送るための支援を行うことが重要です。双極性障がいの理解を深め、適切なサポートを提供することで、患者がより充実した生活を送ることができるようにすることが、社会全体の責任です。
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「イヤホン難聴」と現代の聴覚リスク 若者を襲う無音の脅威とその対策
現代社会では、スマートフォンやポータブル音楽プレーヤー、ゲーム機などの普及に伴い、イヤホンやヘッドホンの使用が急増しています。通勤や通学中に音楽やポッドキャストを楽しむだけでなく、リモートワークやオンライン授業、あるいはビデオ通話でもイヤホンは欠かせないツールとなりました。しかし、その利便性の裏には、聴覚への深刻なリスクが潜んでいます。それが「イヤホン難聴」です。
この問題は、特に若年層に多く見られます。スマートフォンや音楽プレーヤーを長時間使用することが一般的となった現代では、若い世代が大音量で音楽を楽しむ傾向が強く、その結果、若年層における感音性難聴の発症リスクが高まっているのです。本記事では、イヤホン難聴のメカニズム、一般的な難聴との違い、そしてその予防策や社会的影響について、徹底的に解説していきます。
難聴とは?
難聴は、音を聞き取る能力が低下する状態であり、その程度や原因はさまざまです。一般的に難聴は、次のような3つのタイプに分類されます。
伝音性難聴
伝音性難聴は、音が外耳や中耳を通って内耳に届くまでの過程に問題がある場合に発生します。このタイプの難聴は、外耳道の閉塞、耳垢の詰まり、鼓膜の損傷、または中耳の炎症(中耳炎)などによって引き起こされます。治療方法としては、耳垢の除去や中耳炎の治療、鼓膜の修復手術などがあり、比較的治療可能なケースが多いです。
感音性難聴
感音性難聴は、音を感知する内耳の有毛細胞や、聴覚神経に障がいが発生することによって引き起こされます。内耳にある有毛細胞は、音の振動を電気信号に変換し、それを脳に伝える役割を果たしていますが、これらの細胞が損傷すると音がうまく伝わらなくなります。感音性難聴は加齢や遺伝、または強い騒音に長期間さらされることによって発症することが一般的です。
混合性難聴
混合性難聴は、伝音性難聴と感音性難聴の両方が同時に発生するケースです。たとえば、外耳や中耳に問題があると同時に、内耳の有毛細胞にもダメージがある場合がこれに該当します。治療には、伝音性の要因に対する外科的処置や感音性の要因に対する補聴器などが併用されます。
難聴は単なる聴覚の問題にとどまらず、心理的・社会的にも大きな影響を与えることがあります。特に、重度の難聴や適切な対策を講じなかった場合、コミュニケーションの困難や孤立感、うつ病のリスクが増加することが報告されています。
イヤホン難聴の特徴
イヤホン難聴とは、長時間大音量で音楽や音声を聴くことによって内耳の有毛細胞が損傷し、感音性難聴が引き起こされる状態です。特にイヤホンは、ヘッドホンに比べて耳に近い位置で音を直接伝えるため、音圧が耳に集中しやすく、内耳への負担が大きくなる傾向があります。これにより、聴覚に対するダメージが蓄積され、最終的には難聴を引き起こすリスクが高まります。
イヤホン難聴の原因
イヤホン難聴の主な原因は、大音量での長時間使用です。耳に入る音量はデシベル(dB)という単位で表されますが、通常の会話は約60dB、交通量の多い道路は約80dBです。イヤホンを使って90dB以上の音量で音楽を聴くと、内耳の有毛細胞が損傷するリスクが高まります。特に、80〜85dB以上の音量を長時間にわたって聞くことは非常に危険です。
さらに、イヤホンを使用する場所や状況も影響します。たとえば、電車やバスの中など騒音が多い環境では、外部の音をかき消すために音量を上げがちです。しかし、これは耳に大きな負担をかけ、イヤホン難聴のリスクを増加させる要因となります。
症状と進行
イヤホン難聴は徐々に進行することが多く、最初は自覚しにくいことが多いです。初期症状としては、耳鳴りや特定の音域の聞き取りにくさが挙げられます。耳鳴りは、耳の中で鈴や虫の鳴き声のような音が聞こえる状態で、長時間の大音量によって内耳が疲労した際に発生しやすくなります。
さらに進行すると、特定の周波数の音が聞こえにくくなり、会話の中で特定の単語や音が聞き取れないと感じることが増えます。特に高音域の音が聞こえにくくなるのが一般的ですが、場合によっては低音域の音も影響を受けます。最終的には、日常会話に支障をきたすレベルまで聴覚が低下することがあり、治療が難しくなる場合もあります。
難聴の心理的・社会的影響
難聴が個人の生活に及ぼす影響は計り知れません。特に、コミュニケーションに障がいが生じることで、以下のような心理的・社会的影響が生じることがあります。
社会的孤立とコミュニケーションの困難
聴覚が低下すると、他者との会話がスムーズにできなくなることが増え、これにより人々との交流が減少します。特に、騒がしい場所や多くの人が集まる環境では、周囲の音が聞き取りづらくなり、会話に集中するのが難しくなります。その結果、会話に参加することが億劫になり、次第に社会的孤立感を感じるようになることがあります。
ストレスや不安感の増加
難聴によってコミュニケーションが困難になると、ストレスや不安感が増加します。日常的な会話の中で聞き取れなかったり、誤解されたりすることが続くと、自信を失うこともあります。また、他者に対して何度も「もう一度言ってください」と頼むことが恥ずかしく感じられ、会話自体を避けるようになることも少なくありません。
認知機能の低下と精神的健康への影響
難聴は、単に音を聞き取れないだけでなく、脳の認知機能にも影響を与えることがあります。音を理解しようとする際に脳が余分なエネルギーを使うため、他の認知活動にかけるリソースが減少し、結果として認知機能が低下することがあります。これにより、記憶力や注意力、問題解決能力が低下する可能性があり、高齢者においては認知症のリスクが増加することも報告されています。
イヤホン難聴の予防策
イヤホン難聴を防ぐためには、いくつかの具体的な対策を講じる必要があります。
適切な音量設定
音量を控えめに設定することが最も重要です。一般的には、80dB以下の音量で音楽を聴くことが推奨されており、長時間の使用を避けることも必要です。また、音楽プレーヤーやスマートフォンには、最大音量を制限する機能が搭載されていることが多いため、それを活用して音量を一定範囲内に保つことが推奨されます。
使用時間の制限と耳の休息
WHOでは、1日の使用時間を1時間以内に制限することが推奨されています。また、長時間イヤホンを使用した場合は、定期的に耳を休めることが大切です。耳を適度に休ませることで、内耳にかかる負担を軽減し、聴覚の健康を保つことができます。
ノイズキャンセリングイヤホンの使用
周囲の騒音が多い環境で音量を上げがちになるため、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを使用することで、外部の音を遮断し、より低い音量で音楽を楽しむことができます。これにより、耳にかかる負担を大幅に減らすことができ、イヤホン難聴のリスクを軽減できます。
定期的な聴力検査
定期的に聴力検査を受けることも重要です。特に、耳鳴りや聞き取りにくさを感じる場合は、専門の医師に相談することで早期発見が可能です。早期に問題を発見することで、症状の進行を食い止めることができます。
社会的対応とサポート
難聴に対する社会的対応も不可欠です。音楽業界やヘッドホン・イヤホンメーカー、教育機関が協力して、難聴予防に対する啓発活動を行うことが求められています。
まとめ
現代社会において、イヤホンやヘッドホンの使用は日常の一部となっていますが、その利便性の裏には重大な聴覚リスクが潜んでいます。イヤホン難聴は、大音量での長時間使用によって引き起こされる感音性難聴の一種であり、特に若年層に多く見られる深刻な問題です。しかし、音量管理や使用時間の制限、定期的な聴力検査などを通じて、十分に予防することが可能です。
イヤホンの正しい使い方を身につけ、聴覚を守ることは、将来の健康を維持するために欠かせないステップです。日常生活で少しの注意を払うことで、イヤホン難聴を防ぎ、健やかな聴覚を保ち続けましょう。また、社会全体でこの問題への認識を高め、聴覚の健康を守る取り組みが一層進むことが期待されます。
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障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説!
障がい者就労継続支援という言葉をご存知でしょうか?障がい者就労継続支援とは、障がい者総合支援法で定められた障がい者の就労をサポートするサービスの総称です。ここでは、障がい者就労継続支援の種類や内容について解説します。
3つの障がい者の就労支援サービス
障がい者が一般の企業での就労が困難な場合、どのような支援サービスを利用すればよいのでしょうか。障がい者総合支援法では、次の三つの支援サービスが定められています。
就労移行支援事業
このサービスは、一般就労を目指す障がい者がスムーズに職場に移行できるように支援するものです。職業訓練や職場実習を通じて、障がい者が就労に必要なスキルを身に付けることが目的です。
就労継続支援A型事業
A型事業は、障がい者が雇用契約を結び、働きながら訓練を受けることを支援します。利用者は賃金を受け取りながら、一般企業での就労を目指して訓練を受けます。
就労継続支援B型事業
B型事業は、雇用契約を結ばずに働く場を提供し、障がい者が自分のペースで働けるように支援します。利用者は工賃を受け取りながら、社会参加や生活の質の向上を目指します。
障がい者総合支援法とは
障がい者総合支援法は、「障がい者及び障がい児が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営む」ことを目的とした法律です。この法律に基づき、国は「地域生活支援事業」などを通じて総合的な支援を行っています。
この障がい者総合支援法の理念に基づいて定められた支援サービスが、先述の就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の三つです。本記事では、これら三つの支援サービスの違いや特徴について解説します。
(参考:https://www.shakyo.or.jp/news/pamphlet_201804.pdf)
就労継続支援とは
就労継続支援は、障がい者総合支援法の訓練等給付に位置づけられているサービスです。就労継続支援にはA型とB型があり、それぞれ異なる特徴があります。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能な障がい者に対して提供されるサービスです。このサービスでは、雇用契約を結ぶことで就労の機会を提供し、生産活動の機会も提供されます。また、就労に必要な知識や能力を向上させるための訓練やその他の支援も行います。
期間
就労継続支援A型の利用期間には制限がありません。「一般の事業所に雇用されることが困難」という前提があるため、継続的かつ福祉的な支援を要することから、期間に制限が設けられていません。
対象者
就労継続支援A型の対象者は以下の通りです。
就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
就労経験があるが、現に雇用関係にない者
このサービスは原則として65歳未満が対象ですが、65歳以前に支給決定を受けている場合は継続利用が可能です。
条件
対象者のいずれかに該当し、サービス利用の希望がある場合、障がい支援区分の認定は不要です。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が難しい障がい者に対して提供されるサービスです。このサービスでは、就労の機会や生産活動の機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練なども行います。
期間
就労継続支援B型の利用期間には制限がありません。A型と同様に、「一般の事業所に雇用されることが困難」という前提があるため、継続的かつ福祉的な支援が必要とされることから、期間の制限が設けられていません。
対象者
就労継続支援B型の対象者は以下の通りです。
就労経験があるが、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難となった者
50歳に達している者または障がい者基礎年金1級受給者
上記の①または②に該当しないが、就労移行支援事業者等によるアセスメントで就労面に係る課題が把握されている者
条件
対象者のいずれかに該当し、サービス利用の希望がある場合、障がい支援区分の認定は不要です。
就労移行支援と就労継続支援の違いとは
出典:障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説
障がい者総合支援法において定められた就労移行支援と就労継続支援にはその支援の目的と、サービスを受けることができる対象者に大きな違いがあります。就労移行支援は、一般企業に一般枠又は障がい者枠で就職を希望する障がい者を対象に、就職のためのスキルを身につけることを目的としています。
それに対して就労継続支援とは、A型・B型共に現状では一般企業への就職に不安がある、または困難な障がい者を対象に、働く場を提供することが目的となっています。就労移行支援と就労継続支援A型及びB型には、このような大きな違いがあります。ここからは、それぞれの支援サービスの細かな内容を見ていきます。
就労移行支援とは
就労移行支援は、一般企業に一般枠または障がい者枠での採用を目指す障がい者に対して、就職に必要なスキルを身につけるための支援サービスです。これらのサービスを提供する施設は「就労移行支援事業所」と呼ばれます。
就労移行支援の対象者
精神障がい、発達障がい、身体障がい、知的障がい、または障がい者総合支援法の対象疾病を持っている人
障がい者手帳を持っていなくても、医師や自治体が支援サービスを受ける必要があると判断した場合
65歳未満の人
就労移行支援事業所を利用するには?
住んでいる自治体の福祉課などの窓口に相談
通所できる範囲内にある事業所の紹介
紹介された事業所を見学し、通所を希望する事業所を決定
必要書類を揃えて管轄している行政窓口に障がい福祉サービス受給者証を申請
受給者証が発行された後、希望する就労移行支援事業所と利用契約を結ぶ
就労移行支援事業所で受けられるサポート
希望する職種に就くための職業訓練
履歴書等の応募書類の添削や面接対策
就職に関する支援や相談、適性に沿った職場探しのアドバイス
実際の企業での職場実習
就職後の職場定着支援、長期就労に結び付けるための相談
就労移行支援事業所の利用料と利用期限
市町村民税課税世帯の通所者:月額9,300円
市町村民税課税世帯の20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:月額37,200円
利用期限:生涯で2年間まで
2年間で就職できなかった場合、自治体に申請すれば最長1年間の利用期間延長が認められることもあります。この2年間には就職後の定着支援は含まれません。
就労継続支援A型事業とは
就労継続支援A型事業とは、一般の企業への就職が難しい障がい者、またはそれに相当すると認められた人や難病を持つ人が、一定の支援を受けながら働くことができる事業所を指します。これにより、リハビリや訓練を兼ねて働くことが可能です。
平均賃金
最低賃金以上の給与が得られ、その平均賃金は約70,000円です。A型事業所で働くことは、リハビリや訓練の一環としても機能します。
利用料金
就労継続支援A型事業所では雇用契約を結び、一般的な就労形態に近い形で働けますが、収入によっては利用料金が発生することもあります。自己負担額は原則一割で、具体的には以下の通りです。
市町村民税所得割が16万円以下の障がい者:9,300円
それより収入が多い世帯の障がい者や20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:37,200円
ただし、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯の障がい者は無料で支援サービスを受けられます。
対象者
就労継続支援A型事業の対象者は、精神障がい、身体障がい、知的障がい、発達障がい、難病を持つ18歳以上65歳未満の方で、主治医の了解が必要です。また、必ずしも障がい者手帳を持っている必要はなく、医師が利用の必要性を認めれば支援サービスを受けることができます。対象者の具体的な条件は以下の通りです。
就労経験はあるが現在は就労していない
就労移行支援事業所を利用したが一般企業に就職できなかった
特別支援学校を卒業後、就職活動を行ったが就職できなかった
障がいや難病の方が利用する場合、医師の判断に加え、仕事内容に見合った最低限の能力や体力が必要です。
就労日数・時間
就労継続支援A型事業所での勤務時間や曜日、日数は作業内容によって異なります。一般的には1日に4時間から8時間の勤務が行われ、週3日以上の就労が求められます。
作業内容
就労継続支援A型事業所の作業内容は多岐にわたります。例えば、以下のような職種があります。
飲食店での製造や提供
販売店での接客、販売、品出し
パソコンによるデータ入力
商品の袋詰めなどの軽作業
工場での部品加工
多様な職種があることで、多くの就労機会が確保されています。
利用方法
就労継続支援A型事業所を利用するには、まず主治医と相談し、許可を得る必要があります。その後、希望する求人を探し応募します。面接を受けた後、採用が内定したら市区町村の窓口で就労継続支援A型事業所の利用申請を行い、受給者証の発行を受けます。その後、事業所と雇用契約を結び、通所が開始されます。就労継続支援A型事業所には利用期間の制限がなく、長期間にわたる利用が可能です。
就労継続支援B型事業とは
就労継続支援B型事業とは、一般の企業や就労継続支援A型事業所での就職が難しい障がい者、またはそれに相当する難病を持つ人が利用できる支援サービスです。以下では、対象者や利用方法などについて詳しく説明します。
対象者
就労継続支援B型事業の対象者は、以下の条件を満たす人です。
一般企業や就労継続支援A型事業所での就労経験があるが、年齢や体力面で就労が困難になった人
障がい基礎年金1級を受給している人
就労移行支援事業所などによる評価で、就労面の課題が把握されている人
これらの条件を満たしていれば、障がい者手帳がなくても医師の診断で利用が可能です。
利用料
就労継続支援B型事業所の利用料は、就労継続支援A型事業所と同額です。自己負担額は原則一割で、具体的には以下の通りです。
市町村民税所得割が16万円以下の障がい者:9,300円
それより収入が多い世帯の障がい者や20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:37,200円
ただし、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯の障がい者は無料で支援サービスを受けられます。
労働条件
就労継続支援B型事業所では雇用契約を結ばないため、自分のペースで働くことが可能です。例えば、一日一時間だけ、または週に一日だけといった柔軟な働き方ができます。これにより、A型事業所での就労が困難な方でも働くことができます。
平均賃金
就労継続支援B型事業所で得られる工賃は、最低賃金が保証されるA型事業所とは異なり、一日いくらと決まっている事業所や、作業の成果に応じて工賃が支払われる事業所などさまざまです。平均工賃が3,000円を上回ることが事業所指定の要件となっています。事業者は平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事に報告し、公表する義務があります。
作業内容
B型事業所の作業内容は、A型事業所と比較すると軽度な作業が多いです。具体的には、以下のような作業があります。
ボールペン等の組み立て
商品の袋詰め・値付け
農作業
サービス利用方法
就労継続支援B型事業所の利用方法は以下の通りです。
主治医に相談し、許可を得る
希望の事業所を探し、相談
市区町村の窓口に利用申請を行い、受給者証を発行してもらう
事業所で正式な手続きを行い、利用開始
利用期間
就労継続支援B型事業所の利用期間には制限がなく、長期間にわたって利用可能です。
まとめ
ここまで就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の違いについて解説してきました。障がい者総合支援法によって定められたこれら3つの支援サービスの内容と、その違いについてお判りいただけたと思います。これらの違いをよく把握し、自分に必要な支援を行ってくれる事業所を選んで支援サービスを受けるようにしましょう。
参考
障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説
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ASD(自閉スペクトラム症)とは?診断や特徴、子どもへの対応について
ASD(自閉スペクトラム症)は、「コミュニケーションがうまく取れない」「人との関わりが苦手」「こだわりが強い」といった特性を持つ障がいです。この障がいには、かつて「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」と呼ばれていた子どもたちも含まれます。
「子どもの発達に不安を感じる」「自閉症かもしれない」と思っているご家庭に向けて、ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準や特徴を解説します。特に幼児期から小学校入学前の子どもにはどのような行動や困りごとがあるのか、またその対応方法についても詳しく説明します。
ASD(自閉スペクトラム症)とは
ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的なやりとりの障がい」と「こだわり行動」という2つの基本特性を持つ発達障がいです。ASDとは、自閉スペクトラム症の英語表記である「Autism Spectrum Disorder」の頭文字を取ったものです。ASD(自閉スペクトラム症)の基本特性について解説します。
対人関係や社会的なやりとりの障がい
ASDの最初の基本特性は、「対人関係や社会的なやりとりの障がい」です。ASDを持つ人は、人との関わりが苦手で、社会的な場面での挑戦が継続します。彼らはしばしば場の空気を読み取ったり、比喩や皮肉を理解したり、相手の気持ちや暗黙のルールを理解することに難しさを感じます。また、言われたことを直接的に受け取る傾向があります。
こだわり行動
ASDのもう一つの基本特性は、「こだわり行動」です。ASDの人々は、物の配置や順序、自分のやり方に対する強い固執、あるいは特定の興味や関心の極端な偏りを示すことがあります。これらのこだわりは個々に異なり、その程度や種類も人それぞれです。
その他の特性として、手先の不器用さや感覚刺激への過敏や鈍さが見られることもあります。ASDは個々の人によって表れ方が異なるため、それぞれの特性や困りごとに合わせた支援や理解が重要です。
ASD(自閉スペクトラム症)の原因
ASDは、脳の障がいに起因するとされています。生まれつきの脳の機能に何らかの不具合があるために発生すると考えられており、親のしつけや育て方、本人の性格とは無関係であることが確認されています。
この脳の機能の不具合による障がいは完全に治ることはありませんが、対人関係や社会性の困難に対する配慮と、本人の特性に適した環境調整、そして療育・教育の提供によって、症状の改善や発達の促進が期待されます。特定の支援や理解が提供されることで、ASDの人々が可能な限り自立し、満足できる生活を送ることが目指されています。
『DSM-5』より「自閉スペクトラム症」に統合
『DSM-5』において、2013年以降、「自閉スペクトラム症」が診断名として採用されるようになりました。これにより、それまでの「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障がい」などの診断名が統合され、境界なく連続したスペクトラムとして捉えられるようになりました。2022年に発刊された『DSM-5-TR』(日本語版は2023年)でも、「自閉スペクトラム症」が引き続き診断名として使用されています。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断について
ASDの特性は、生後2年目(12ヶ月〜24ヶ月)に見られることが多く、早ければ1歳半検診の時点で気づかれることもあります。しかしながら、ASDの特性が見られるからといって、それを確定的な診断とすることはできません。診断は医療機関でしか行うことができません。
ASDの診断は専門の医師や専門チームによって行われます。全ての病院がASDの診断を行うわけではなく、大学病院や総合病院、または専門的な診療を行う小児科、児童精神科、小児神経科、発達外来などが診断を行うことが多いです。
ASDの診断には、観察と評価尺度の使用、発達や行動の詳細な評価、家族や保護者からの情報収集などが含まれます。診断プロセスは個々の特性や発達の進行によって異なりますが、適切な支援や介入を提供するために重要です。
ASDの特性を持つ可能性がある場合は、専門医の診断と適切なサポートを受けることが早期介入の鍵となります。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準
ASDの診断基準は、アメリカ精神医学会が発行している「DSM-5」(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)に記されています。以下は主な診断基準です。
特性による困りごとの存在: ASDの特性である「対人関係や社会的なやりとりの障がい」「こだわり行動」などによる問題が、複数の状況(学校や家庭など)で起きていることが求められます。
影響の大きさ: これらの特性が日常生活や社会生活において重大な影響を与えていることが必要です。例えば、学業の遅れ、社会的孤立、日常生活のルーチンの困難などが考慮されます。
継続性: これらの特性が少なくとも6か月以上継続していることが診断の基準として記されています。一時的な問題や一過性の行動パターンでは診断されません。
ASDの診断は、これらの基準をもとに専門の医師や専門チームが行います。具体的な診断プロセスには、問診、行動観察、心理検査や知能検査などが含まれ、診断が確定するまで数日にわたって評価が行われることが一般的です。
ASDの早期発見と診断は、早期介入や適切な支援を提供するために非常に重要です。診断が確定した場合、個別に合わせた教育的・行動的支援を通じて、ASDを持つ人々が可能な限り満足できる生活を送ることを支援することが目的とされています。
ASD(自閉スペクトラム症)の診断方法
診断方法の手順
問診: 初めに医師は保護者や家族から、子どもの日常生活や行動、発達の経過に関する詳細な情報を収集します。母子手帳、保育園や幼稚園の連絡帳、学校の通知表など、様々な記録やメモを持参することが推奨されます。これにより、日常生活での困りごとや特異な行動の発現を把握します。
行動観察: 医師や専門家が実際に子どもと接し、日常の活動や遊びの中での行動を観察します。ASDの特性である社会的な相互作用の困難さやこだわり行動の表れなどを直接確認することが目的です。
心理検査や知能検査: 次に、さまざまな心理検査や知能検査が行われます。これには、知能を測るための検査(例: WISC-IV 知能検査)、発達水準や認知機能を評価する検査などが含まれます。これらのテストは年齢や発達段階に応じて選択され、専門的な判断基準に基づいて行われます。
生理学的検査: 必要に応じて、生理学的な検査も実施される場合があります。例えば、脳波検査や遺伝子検査がその例です。これらの検査は、ASDの診断を補完し、他の医学的な要因を排除するのに役立ちます。
総合的な判断: 上記の検査結果をもとに、専門家チームが総合的な判断を下します。ASDの診断が確定するには、診断基準を満たしていることが必要です。一度の受診だけで診断が下ることは稀であり、通常は数日にわたる評価と検査が必要です。
ASD(自閉スペクトラム症)の治療方法
ASD(自閉スペクトラム症)の治療方法
ASDは、生まれつき脳の機能に何らかの不具合がある障がいです。そのため、完全に治るということはなく、子どもの特性に合わせた「環境調整」や「療育」といった方法により、困り事を軽減していくことを目指します。
環境調整
環境調整とは、ASDの子どもの特性に合わせて環境を調整し、困り事が起きないようにすることをいいます。
例えば急な変化に対応するのが難しくパニックになってしまうことのある子どもには、一日の予定を時計のイラストなどを用いて視覚的にわかりやすく伝える、ということがあります。
また、その場に合わせた振る舞いが苦手な子どもには、仕切りなどを使って場所を明確に区別する方法もあります。子ども部屋の中に段ボールなどで、「遊ぶ場所」「勉強場所」「おもちゃを片付ける場所」と明確に分けることで、子ども安心してそれぞれの作業を行うことができるようになります。
療育
療育とは、ASDなど障がいのある子ども一人ひとりの障がい特性や発達の段階に合わせて、対人関係や学習のサポートを行い、困り事の解消やスムーズな社会参加を促していきます。
療育を受けることができる場所としては「児童発達支援センター」や「児童発達支援事業所」などがあります。こちらは未就学の子どもが対象となっており、小学生~18歳までの子どもは「放課後等デイサービス」が対象となります。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの特徴
子どものASDのサインや特徴的な行動について、特に発達特性が表れやすいと言われている1歳、2歳、3歳、就学前と年齢別に解説します。ただしそれぞれの年齢段階での行動特徴には個人差もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもの年齢別行動特徴
生後~1歳の例
抱っこをいやがる
あまり泣かない・あやしても笑わない
ミルクを飲まない・偏食ぎみ
寝つきが悪い・すぐ目を覚ます など
2歳~3歳の例
発語や言葉が遅い
名前を呼んでも反応しない
人と視線をあわせようとしない
ひとり遊びを好む
一緒に見てほしいものを指し示すことが難しい
触られることを嫌がる など
小学校入学前(4~6歳)の例
特定の順番で活動することや道順やものの位置などにこだわる
集団行動をするのが苦手
同年齢の友達とうまく遊ぶことができない(自分勝手な行動をとったり、状況を読むことができないなど)
同じ遊びを繰り返す
ごっこ遊びが苦手 など
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもへの対応方法
ASDの子どもはどんな困りごとが起こりやすいのか、その対応方法とあわせて解説します。
言葉での説明が伝わりづらい
ASDの子どもの中には抽象的な言葉や言い回しの理解が難しく、注意の切り替えができなかったり、複数のことを同時にすることが苦手な子どももいます。例えば「手を洗ってから、おやつを食べる」といった、2つのことを一度に伝えようとすると、言葉を聞き逃してしまいます。
対応方法
短い文章で、1つずつ伝える
注意をひいてから伝える
具体的な言葉で伝える
視覚的に伝える など
時間を守ることが苦手
ASDの子どもは時間など目に見えない概念を理解することが不得意な傾向があります。そのため予定がいつ始まって、いつ終わるのかが分からないことで不安を感じることがあります。
対応方法
いつ、なにをするか作業の見通しを伝える
時計のイラストつきの予定表・タイマーなど、視覚的に伝える など
相手の気持ちや表情・身振り手振りが分からない
ASDの子どもは表情や身振り手振り、視線などから、相手の状況を読むことや気持ちを理解することが苦手な場合が多いです。結果的に友だちを意図せず傷つけたり、集団行動を乱してしまうことがあります。
対応方法
表情だけではなく、言葉や動作なども交えて伝える
あれ・それなど、代名詞は避ける
ルールや指示は分かりやすく伝える など
光や音、温度、匂いなどに過敏に反応する(感覚過敏)
ASDの中でも感覚過敏のある子どもは、音や温度、匂い、光など、感覚刺激に敏感に反応します。過敏な感覚がパニックやかんしゃくを引き起こす原因になることもあります。いっぽう、痛みなどには鈍感な子どももいます。
対応方法
装飾のない静かな環境を用意する
音や光など、感覚刺激の原因になるものを少なくする
騒がしい場所ではイヤマフや耳栓、フードをかぶる など
ここまでASDの子どもの困り事の傾向や対応方法を紹介してきました。そのほかにも、ASDの子どもは、さまざまな場面で困り事を抱えて不安を感じやすく、自己肯定感が育まれにくいといえます。
「1つのことに集中して取り組むことができる」「行動力がある」など、ASDの特性を子どもの個性ととらえることや、親や周囲の人が特性を理解し、ほめる機会を増やし、自信を感じやすい接し方をすることで達成感や安心感を得ることができます。
まとめ
子どものASDは、コミュニケーションの困難さや社会的な関わりの苦手さ、こだわりの強さなどの特性が見られます。しかし、ASDは明確な境界線がなく、診断が容易ではありません。
ASDが疑われた場合、早期に適切な支援やサポートを受けることが重要です。診断は専門医のチームによって行われ、問診や行動観察、心理検査など多岐にわたる検査を通じて行われます。
発達障がい、特にASDは、親のしつけや子育てによるものではなく、生まれつきの脳の特性に起因するものです。親や家族は自責の念にかられることなく、子どもの個々の特性を理解し、適切な環境を整えることが大切です。
周囲の支援や理解を得ながら、子どもの強みを見つけ、肯定的に支援していくことが、ASDを持つ子どもの成長と発達を促すための鍵となります。
参考
ASD(自閉スペクトラム症)とは?診断や特徴、子どもへの対応について|リタリコ
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子どもの学習障がい(LD)とは?特徴や教科ごとの勉強方法を紹介
学習障がい(LD)の子どもには、どのような特徴があるのでしょうか。学校生活が進む中で、授業やテストが本格化すると、「国語は得意だけれど算数がとても苦手」「文字は書けるけれど作文がどうしても書けない」など、知的な遅れは見られないものの、読み書きや計算など特定の分野で著しく遅れが見られることがあります。これらは学習障がいの可能性があります。
学習障がいを持つ子どもたちには、個別に対応した勉強法が必要です。例えば、視覚や聴覚を活用した教材を使ったり、短い時間で集中して学習する方法を取り入れることが効果的です。また、教師や保護者のサポートも欠かせません。子どもたちが自分のペースで学び、成功体験を積むことができるような環境を整えることが大切です。
学習障がい(LD)とは
学習障がい(LD)とは、知的発達の遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうち、1つ以上の習得・活用に困難を示す発達障がいのことで、LD(Learning ・Disorder)と略されることもあります。
医学的な学習障がい(限局性学習症/限局性学習障がい)の診断基準と教育的な学習障がいの定義は異なりますが、ここでは文部科学省の定義に沿って解説します。学習障がいの種類は主に3つに分類されます。
ディスレクシア(読字障がい)
ディスレクシアとは、「字を読むことに困難がある障がい」の通称です。具体的な特性には以下のものがあります。
文字の読み方・形を認識するのが難しい:文字や単語を正しく読み取ることが困難で、読書に時間がかかります。
文章の理解が難しい:読んだ内容を理解し、意味を把握するのに苦労します。
ディスグラフィア(書字表出障がい)
ディスグラフィアとは、「字を書くことに困難がある障がい」の通称です。具体的な特性には以下のものがあります。
文字の形を認識しづらい:正しい形で文字を書くことが難しく、誤字が多くなります。
視覚情報の処理が難しい:視覚から得る情報をうまく処理できず、書く内容の構成に困難を感じます。
ディスカリキュリア(算数障がい)
ディスカリキュリアとは、「算数・計算、その場にないものを推論することが困難な障がい」の通称です。具体的な特性には以下のものがあります。
数を概念として捉えるのが苦手:順番に数えることはできても、数の概念や数量の理解が難しいです。
計算や数の操作が苦手:基本的な算数の計算が苦手で、数の関係やパターンを理解するのに困難を感じます。
学習障がい(LD)の原因
学習障がい(LD)の原因は分かっていません。目や耳、皮膚などさまざまな感覚器官を通して入る情報を受容し、整理し、関係づけ、表すという脳機能になんらかの機能障がいがあると考えられています。
学習障がいは生まれ育った家庭や環境、つまり、家庭でのしつけや育て方が原因ではありません。学習障がいのある子どもの特性や支援は一人ひとり異なります。環境を整え、学習方法を工夫することで困難を軽減することができます。
学習障がい(LD)の診断
学習障がい(LD)は、子どもが小学校に入学し、本格的に学習を始めることで判明することが多いです。保育園や幼稚園のころは、文字を書いても鏡文字になることが珍しくなく、計算や漢字もまだ習わないため、学習障がいの兆候があっても気づく機会が少ないのが一般的です。小学校に通うようになってから、以下のような特定の学習に困難を感じる場合は、発達障がいの診断ができる医療機関を受診することを検討すると良いでしょう。
似た文字をいつも間違える
数は数えられても計算ができない
受診の手順
相談窓口
どの医療機関を受診すれば良いかわからない場合は、かかりつけの小児科、発達障がい者支援センター、または自治体の障がい福祉窓口に相談します。発達障がいの診断は予約や紹介状が必要なことがあるため、早めの相談が重要です。
問診
受診後、最初に問診が行われます。どんな学習が苦手なのか、それまでの成育歴や既往症などを詳しく聞かれます。
心理検査
知能検査や発達検査などの心理検査が行われます。必要に応じて、脳波検査などで脳の疾患についても確認することがあります。
検査の進行
検査は一日で終わることはなく、数日に渡って行われることが多いです。
診断結果
すべての検査が終わった後、問診や各種検査の結果をもとに診断が下されます。
診断基準
医療機関で診断を受ける場合、『DSM-5(精神障がいの診断・統計マニュアル第5版)』に基づいて「限局性学習症/限局性学習障がい」という診断名がつくことが多いです。DSM-5は国際的に認知されている診断基準で、学習障がいの特性を詳しく評価するために使用されます。
学習障がい(LD)の子どもの特徴
学習障がい(LD)の「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の障がいは、単独の場合もあれば、いくつか組み合わされていたり、それぞれ特性傾向の強弱があったりと、タイプは子どもによってさまざまです。
具体的にどのような特徴や困りごとがあるのか、教科やコミュニケーションなど項目別にチェックしてみましょう。
国語についての特徴チェック例
たどり読みになる、逐次(ちくじ)読みになる、行の読み飛ばしがある
読み間違うことが多く、文末などを適当に自分で変えて読んでしまう
読んでも、意味が理解できない
文字を思い出せない、思い出すのに時間がかかる
書き取りや、文章・作文を書くことが苦手
漢字の部首(へんとつくり)を間違う
「わ」と「は」、「お」と「を」のように同じ音(オン)の表記に誤りが多い
文章のルールが分からない(主語が抜ける、「てにをは」の誤りなど)
算数についての特徴チェック例
暗算ができない、計算のときに指を使わないとできない
算数の繰り上がり、繰り下がりが理解できない
九九を暗記しても計算に使えない
文章問題が苦手、分からない
算数の応用問題・証明問題・図形問題が苦手
コミュニケーションについての特徴チェック例
学習障がい(LD)には「聞く・話す」ことに偏りがあったり、苦手だったりします。そのため、コミュニケーションにおける困りごとを抱えている場合もあります。ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)と重複していることもあります。
一対一だと話がスムーズにできるが、集団の中だと難しい
仲良くしたくても気持ちを言葉で伝えられずグループに入れない
相手の言うことが理解できない、仲間内のルールが理解できない
聞いたことをすぐに忘れてしまう、話す内容を思い出せない
話題が飛ぶことが多い、話したいことだけを話す
反語やシャレが分からない
相手の返事や表情に注意を払わない、その場の雰囲気を読むことが難しい
運動面などでの特徴チェック例
学習障がい(LD)の特性として、運動機能自体の問題はありません。しかし、頭で理解して体を動かすことが苦手な場合があり、運動のほか図画工作や書道なども苦手といった特徴があります。
全身を協調させて運動することや団体競技が苦手
基本的な動作がゆっくりな特性がある
指先が不器用なため、図画工作、書道など実技系の授業が苦手
学習障がい(LD)の子どもの勉強方法の工夫
学習障がい(LD)のある子どもが勉強につまづいていたり、困りごとがあったりする場合は、まずは家庭で、「どんなときに困っているか?」など子どもに直接聞いてみることが大切です。
また、家庭から見た子どもの様子を含めて、何に困っているのか具体的に確認した上で、勉強方法の工夫をすることが必要です。以下、具体例をご紹介します。
ディスレクシア(読字障がい)の工夫例
定規・厚紙シートを利用する
飛ばし読みをしてしまう場合には、定規を当てるとうまく読めるようになることもあります。定規を適当な位置に置くことが難しい場合は、厚紙を工作して一行だけ見える窓つきシート(縦書き用・横書き用など)を当てて読むと効果的です。
まとまりごとに“/”を入れる
一文字ずつたどたどしく読む場合には、教科書の文章を、文節や言葉のまとまりごとにマーカーで“/”を入れると、言葉のまとまりを意識しやすくなります。
絵本を読む
絵本は絵をヒントに内容がイメージしやすく、音読することで、文字と音と意味が合致します。
読みやすい書体にする
タブレットやスマートフォンの表示を、教科書体など、読字しやすいフォントにしておくことで読みやすさを補助します
ディスグラフィア(書字表出障がい)の工夫例
マス目は大きめ・十字の補助線入りのノートを使う
平仮名や漢字を構成する部品・パーツを意識・認識することが苦手な場合には、文字の形を分かりやすくすることが必要です。例えば文字をパーツごとに分けて、なぞり書きするところから始めるのも工夫の一つです。
そのほか1行8~4マスなどマス目が大きく、十字の補助線入りのノートを使うことで、文字を上下、左右のパーツで捉えやすくなるため、文字を書きやすくなることもあります。
漢字の「意味」が分かることを最優先にする
漢字の練習をする場合は、まず漢字を見て意味が分かるようにすることが必要です。次に読めること、そして書けることという順番で、「読み」と「書き」に分けて取り組むと文字を認識したり、書いたりすることのトレーニング効果があります。
ディスカリキュリア(算数障がい)の工夫例
さまざまな物の数を数える
すぐに計算に取り組むのではなく、まずは「家族とお菓子を分ける」「レシートとおつりが合っているか確かめる」など、日頃の生活上で数に結びつくことを身につけると、数字を理解することの第一歩になります。
九九の表を子どもがつくる
九九の暗算では、「聞く力」の弱い子どもには、「しはさんじゅうに(4×8=32)」というような暗記法より、「よんはちさんじゅうに」など通常の数字の読み方で覚えたり、表を自分でつくって書いたりする方法があります。
学習障がい(LD)のある子どもが活用できる教材
学習障がい(LD)のある子どもが勉強する際の教材や学習サポートについては、子どもの特性に合わせてICTを活用するなどの方法があります。以下、教材の活用例をご紹介します。
デジタル教科書を利用する
2020年度からタブレット端末などを利用する「デジタル教科書」の導入が小中高校でスタートしました。読み上げ機能、文字の拡大表示機能、フリガナ機能、ハイライト機能などがあり、子どもの特性に合う機能や設定にすることでより効果的に学習ができるようになります。
タブレット学習
WEBにある学習障がいの小学生向けの無料教材を活用することもできます。そのほか、キーボード入力や手書き入力することで、正しい漢字の書き方を学んだり、ノートをとったり、テストを受けたりすることもできます。
デジタルカメラを活用
板書をノートに書き写すのが苦手な場合、黒板の文字をデジタルカメラやタブレットで撮影し、帰宅後にそれを見ながらゆっくりと書き写すなども工夫の一つです。カメラやタブレットなどを持ち込む場合は、事前に学校の先生と相談しておきましょう。
そろばん・計算機を使う
数を数えるときに指を使う子どもは、自分なりの工夫で指を使っていると考えられます。その場合、例えばそろばんを提案して活用することもできます。そのほか、計算そのものの勉強ではないときに計算機を使うなど、負担を減らすことも工夫の一つとして挙げられます。
学習障がい(LD)のある子どもへの支援方法
前章で解説した「勉強方法の工夫」以外でできる支援(手助け)の方法について解説します。ここでは学習障がい(LD)のある子どもが受けることができる、学校での支援について紹介します。
学校と合理的配慮を相談する
合理的配慮とは「障がいのある子供に対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」とされています。
引用:文部科学省「障がいのある子供の教育支援の手引」20ページ
この場合の「障がい」は診断のあるなし関わらず、学校生活や学習に困難がある状態を指します。学習障がい(LD)の合理的配慮の例としては、プリントに書かれている文字を大きくする、フリガナを振る、音声読み上げソフトを使用するなどがあります。また、テストを別室で受けさせてもらう、テスト時間を伸ばしてもらうなども合理的配慮の例として見られます。
合理的配慮を希望する場合は相談する
先ほど紹介したデジタルカメラやタブレットなどの学習をサポートする電子機器やツールなどの学校での使用許可をもらうことも、合理的配慮といえるでしょう。
他にも、学習障がい(LD)による学習の遅れなどで自尊感情が下がっている場合に、成功体験を増やすような活動を促したり、相談や休憩できる場所を作るなどの取り組みもあります。
合理的配慮は学校と相談しながら進めていきます。子どもにどういった配慮が必要か、学校として実現できるかなどを含めて具体的な取り組みを決めていきます。
合理的配慮を希望する場合は、まずは担任や学年主任、スクールカウンセラーなどに相談するようにしましょう。
通級指導教室に通う
通級指導教室とは、障がいのある子どもに合った授業を受けることができる制度です。普段は通常の学級で授業を受けていますが、通級指導教室の時間だけ別の授業を受けることになります。
学習障がいも通級指導教室の対象となっており、苦手な学習に対して専門的な指導を受けることができます。
通級指導教室はすべての学校に設置されているわけではなく、在籍校にない場合は、通級指導教室の時間だけ他の学校に移動するといったこともあります。
通級指導教室の申請は自治体により異なる場合がありますので、まずは在籍校の担任や学年主任、スクールカウンセラーなどに相談してみるといいでしょう。
まとめ
小学生の学習障がい(LD)は、知的な遅れはないものの、読み書きや計算など特定の学習課題において顕著な遅れが生じることがあります。もし子どもが学習障がいかもしれないと感じた場合、学校のスクールカウンセラーや地域の公的専門機関に相談し、必要に応じて検査や診断を受けることが重要です。
診断が出なくても、相談を通じて子どもの困りごとに合わせた勉強方法や支援策を見つけることができます。保護者と学校、専門機関が連携し、子どもの生活や学びの環境を整えることが、彼らの生きづらさを軽減し、成長を促すために重要です。
参考
子どもの学習障がい(LD)とは?特徴や教科ごとの勉強方法を紹介|リタリコ
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