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「農福連携」で農業と福祉の問題が解決できる!

「農福連携」で農業と福祉の問題が解決できる! 各地で農福連携に関するセミナーや研修が開かれ、農福連携による効果が公表されているなど、「農福連携」は積極的にすすめられており、今広まりつつあります。 「農福連携」とはなにか、農福連携がすすめられている理由や、実施状況をお知らせします。 「農福連携」とは? 農福連携とは、福祉分野と農業分野をひとつにする取り組みのことをいいます。たとえば障がい者や高齢者など福祉に関わる人たちが、農業をしたり、農業に関わる仕事をしたりすることです。 このように福祉と農業が連携すると、福祉にある問題、農業にある問題をどちらも解決できます。 農業分野と福祉分野にどのような問題が起こっているのか、見ていきましょう。 農業の人口減少・高齢化問題 農業に起こっている問題は、以下の3つです。 ・農業をする人の人口減少 ・農業をする人の高齢化 ・耕作面積の減少 農業をする人は年々減少しており、2000年には400万人近くの人が農業をしていましたが、年々減少していき、2020年には136万1000人となりました。 136万1000人のうち65歳以上の人は、94万9000人もいるといわれています。農業をする人の平均年齢も年々上がっており、2020年には平均年齢が67.8歳と、高齢化が見られています。 単位:千人・歳 出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」 出典:農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」 農業をする人の減少や高齢化により、土地を管理することがむずかしくなり、耕作を放棄された土地がふえていることも問題となっています。 ●障がい者の雇用問題 少子高齢化社会といわれ、人口が減少しているにも関わらず、障がい者の数は増加傾向にあります。すると問題になるのが、障がい者の働く場所です。 障がい者の雇用率は年々上がっていますが、まだまだ求職する障がい者には厳しい状況です。 厚生労働省が発表した「令和元年度 障害者の職業紹介状況等」によると、ハローワークに申し込みがあった障がい者の就職率は46.2%であり、前年度から2.2%減少したことがわかっています。 ●「農福連携」で福祉と農業の問題を解決 福祉分野にいる障がい者が農業に関わることで、農業の人口減少・高齢化の問題が解決されます。 「農福連携の効果と課題に関する調査結果」というアンケート調査をおこなったところ、農業経営体の約8割が「受け入れた障がい者が貴重な人材になった」「年間売り上げが増加した」、約6割が「労働力が確保できて、農作業以外の時間をふやすことができた」と回答しています。 障がい者は働く場所をふやせるだけでなく、良い効果が得られることがわかっています。 農業にはたくさんの種類の仕事があるので、障がいに合う仕事を見つけやすいというメリットがあります。 さらに平成26年の調査「農と福祉の連携についての調査研究報告」では、農業に関わることで精神状況が改善した障がい者が多くいることがわかりました。 出典:農と福祉の連携についての調査研究報告(特定非営利活動法人日本ヘルプセンター) 平成30年度に実施された「農福連携の効果と課題に関する調査結果」でも、農福連携をおこなう事業所のうち、約8割が「利用者に体力がつき、長く働けるようになった」、約7割が「過去5年間の賃金・工賃がふえた」、約6割が「障がい者たちの表情が明るくなった」と回答しています。農福連携により、農業と福祉の問題が上手く解消されていることがわかりますね。  農業ができる障害福祉施設を検索 農福連携の種類 農福連携はおもに4つの種類があります。 ①障害福祉事業所が作業内容に農業をとりいれる ②共同受注窓口を利用する ③企業が農業に特化した特例子会社をつくる ④農家や農業生産をする法人が障がい者を雇う ①障害福祉事業所が作業内容に農業をとりいれる 就労継続支援A型や就労継続支援B型をおこなう事業所が、作業内容に農業をとりいれることも「農福連携」のひとつの取り組みです。  近くの就労継続支援施設を検索 ②共同受注窓口を利用する 共同受注窓口とは、一部の作業をしてほしい農業者や農業法人と、その作業ができる障がい者支援施設をつなげるインターネットサイトです。 農業だけでなく、パンやお菓子、家具などの発注・受注もあります。 ③企業が農業に特化した特例子会社をつくる 特例子会社とは、障がい者の雇用のために特別な配慮がされた会社のことです。特例子会社で障がい者を雇い、法定雇用率を達成すると、その親会社やグループ会社も法定雇用率を達成したことになります。そのため企業は法定雇用率を達成するため、または障がい者が働きやすい環境を作るために、特例子会社をつくる場合があります。 農業にはさまざまなメリットがあるため、特例子会社をつくるときに選ばれています。平成30年には500以上の特例子会社があるなか、約40社が農業分野に進出していました。 ④農家や農業生産をする法人が障がい者を雇う 農家や農業生産をする法人が障がい者を雇い、障がい者が農業をすることです。農業の障がい者雇用は年々ふえています。 単位:千人、千経営体出典:農林水産省「農林業サンセス」 農福連携の実施状況は? 米作りに必要なドローンの操作を障がい者が補助したり、農作物を入れるエコバッグを障がい者がつくったりするなど、各地で農福連携による取り組みが見られています。 ●約4割の事業所が「農福連携」に取り組んでいる 出典:農と福祉の連携についての調査研究報告(特定非営利活動法人日本ヘルプセンター) 平成25年の調査では障害福祉サービス事業所の33.5%がすでに農業活動をしており、「今後農業活動を取り組みたい」と回答した事業所は12.7%です。 農業活動に取り組み始めたのが「4年以内」である事業所が23.7%だということから、最近になって農業を始めた事業所が多いこともわかります。 これは農福連携に関する交付金や制度が充実してきたことが、理由のひとつでしょう。 平成31年4月には「農福連携等推進会議」が設置され、令和元年の6月には「農福連携等推進ビジョン」がとりまとめられました。 国の強力な推進と、農福連携によるメリットが多く見られると、今後さらに農福連携がすすむと考えられます。 まとめ 農福連携とは、障がい者や高齢者が農業に関わる仕事をするなど、農業分野と福祉分野をひとつにする取り組みです。 農福連携は農業分野の問題である「人口減少・高齢化」と、福祉分野の問題である「障がい者雇用」どちらも解決します。 農福連携によるメリットが明らかになっており、さらに国では積極的にすすめられているので、今後も農福連携が広まっていくでしょう。 将来的には障がい者の就職に有効になるかもしれないので、農業について勉強しておくのも良いでしょう。  農業ができる障害福祉施設を検索 ▼参考 平成31年 農業構造擬態調査結果 より 農林水産省 農業農村振興整備部会 より 福祉分野に農作業を (法務省・文部科学省・農林水産省・厚生労働省) 農福連携とはなにか? - 地方厚生局 - 厚生労働省 農業と福祉の融合「農福連携」が注目される理由とは? 農福連携の推進に向けた取組について 日本の農業人口はどう推移している? 農業現場へ与える影響とは 農福連携の推進 ~ 現状と課題 ~ 農林水産省 農業労働力に関する統計 マイナビ農業 農福連携はここまで進んだ!成功事例と課題から見る未来 都市と農の共生 農福連携 アグリウェブ

障害者のリモートワークの厳しい課題…解決するには?将来的には?

 障害者のリモートワークの厳しい課題…解決するには?将来的には? 2020年にコロナ禍があり、リモートワークを導入する企業がふえています。 在宅勤務が多くなれば、通勤がむずかしかった障がい者が働けるようになるので、障がい者のリモートワークは障がい者・企業どちらにもメリットがあります。 障がい者のリモートワークのメリットや、現在の課題、今後の動きをご紹介します。 障がい者雇用のリモートワークはこれから増えていく? 以下にリモートワークの導入状況や、障がい者雇用の推移をまとめました。 ●リモートワークを実施する企業は年々増加している リモートワークを導入した企業や導入予定がある企業は全体の約3割というのが現状ですが、平成29年から見ていくと、少しずつふえていることがわかります。とくに、リモートワークが導入しやすい業務がある「金融・保険業」や「通信事業」でリモートワークがふえています。 出典:総務省 令和元年通信利用動向調査の結果 ●口話を使うことができない 口のかたちや表情だけでコミュニケーションをとることを「口話」といいます。とくに聴覚障がいをもつお子さんは口話をつかうことが多いです。 マスクで口元が隠れることで、口話が使えなくなり、得意なコミュニケーションの手段を失ってしまった方もいます。 ●障害者雇用率も過去最高を更新している 厚生労働省「令和元年 障がい者雇用状況の集計結果」によると、令和元年には障がい者雇用の人数が前年よりも2万5,839人も増加し、実雇用率が2.11%となっています。 このように、リモートワークを導入する企業も、障がい者の雇用人数も年々増加しています。  リモート就労が可能な事業所を探す 障がい者のリモートワークのメリット 障がい者のリモートワークは障がい者だけでなく、企業にもメリットがあります。 ●最小限の設備で障がい者雇用ができる 障がい者を雇用するとき、職場のバリアフリー化やサポート器具が必要となり、費用や手間がかかる場合があります。 しかしリモートワークであれば、必要なものはノートパソコンなどです。環境の整備は障がい者自身でおこなってもらいます。 そのため最小限の費用と手間で、障がい者を雇うことができます。 ●人材確保につながる 優秀な能力をもっていながら、身体や精神に障がいがあり、通勤ができなかった人たちが働けることで、人材を確保できるようになります。 また、障がい者雇用を実施している企業は地方に少なく、都市部には多い傾向があります。都市部では障がい者雇用をすすめているのに、応募が来ないという事も起きています。 そこでリモートワークがすすむと、地方に住む障がい者も都市部でリモートワークをして働けるようになるので、企業は人材が確保でき、障がい者は働く場所がふえます。 障がい者のリモートワーク…厳しい課題 障がい者のリモートワークにはメリットがたくさんありますが、現在、厳しい課題も残っています。 ●障がい者の仕事はオフィス業務や現場仕事が多かった 障がい者雇用により、今まで障がい者にあたえられてきた仕事は、製造、印刷業務や清掃、接客など、オフィスやお店があって働ける仕事がほとんどでした。 そのためコロナ禍でオフィス業務が少なくなったり、お店が障がい者雇用をできなくなったりして、多くの障がい者が解雇されることになりました。 厚生労働省の調べによると、2020年3月から8月までに解雇された障がい者は1473人であり、前年度から障がい者の解雇率が40%近くも増加しています。 これからリモートワークが普及することで、逆に、障がい者の仕事がへるのではないか、という不安な意見もあります。 ●企業は障がい者がリモートワークできる業務を見つける必要がある 障がい者のリモートワークには働き手不足の解消などメリットがたくさんあり、国も障がい者のリモートワークをすすめています。また障がい者の在宅雇用を支援するサービスも提供されるようになりました。 そのため企業には、障がい者がリモートワークで働けるような仕事を見つけることが求められています。 製造業などは「リモートワーク化できる仕事がない」と思われがちですが、製造業でも障がい者雇用のリモートワークに成功した企業があります。 業務のタスクをすべて見直し、書類のデジタル化・コミュニケーションツールの導入などをおこなうことで、業種に関わらず、リモートワーク化できる業務を見つけられる可能性はあります。 そして課題をクリアできれば、障がい者のリモートワークは広まっていくでしょう まとめ 障がい者のリモートワークには厳しい課題が残っています。しかし業種に関わらず、業務の見直しや書類のデジタル化などをおこなうことで、障がい者がリモートワークできる業務が見つかるはずです。 国も企業も、障がい者のリモートワーク化できる業務を、見つけ出すことをすすめています。 リモートワークによって障がい者の仕事がへるのではなく、新しい「働く場所」を提供され、障がい者の働き方が変わることも期待できます。  ⭐︎リモート就労が可能な事業所を探す ▼参考 テレワークが障害者雇用拡大を実現する。失敗しない「障害者のテレワーク雇用」導入のポイント 厚生労働省 障がい者の在宅雇用導入ガイドブック テレワーク拡大、障害者に逆風 出勤しないと仕事ない…解雇相次ぐ テレワークではたらく障害者の業務創出、切り出し方法

聴覚障がい者を悩ませているコロナ禍

 コロナ禍で聴覚障がい者がコミュニケーションを奪われている現状を知る コロナが流行し、マスクをつけることが一般的となりました。感染予防として欠かせないマスクですが、顔のほとんどが隠れることで聴覚障がい者がコミュニケーションをとりづらくなっています。コロナが聴覚障がい者を悩ませている現状や、聴覚障がい者に向けてできる配慮ををご紹介します。 マスクがないと聴覚障がい者にどのような影響がある? 「コロナの影響で生活や外出が不便になった」と、70%以上の聴覚障がい者が回答しています。 出典:一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ マスクをつけると、相手の口の動きや表情が見づらくなります。声を聞き取ることができない聴覚障がい者には、どのような影響があるのでしょうか。 ●話しかけられていることに気づけない 聴覚障がい者は多くの情報を「目」から読み取っています。話しかけられるとき、相手の表情や口が動くことで、話しかけられていることに気づきます。 マスクがあると「目」からの情報がへってしまうので、話しかけられていることに気づけなかったり、複数の人のうち誰が話しているかわからなくなったりすることがあります。 ●口話を使うことができない 口のかたちや表情だけでコミュニケーションをとることを「口話」といいます。とくに聴覚障がいをもつお子さんは口話をつかうことが多いです。 マスクで口元が隠れることで、口話が使えなくなり、得意なコミュニケーションの手段を失ってしまった方もいます。 またコロナ禍でウェブ会議も流行しましたが、映像だと口の動きが見づらく、聴覚障がい者には何を伝えたいのが読み取れません。 さらに会議がすすんでいるところ、「何度も聞き直すことはしづらい」といって、内容がわからないままウェブ会議を終えてしまうといいます。 ●手の動きだけでは意味が読み取れない 聴覚障がい者は「手話」とイメージされる方がほとんどかもしれませんが、手の動きだけではコミュニケーションがとれません。 まず手話には、同じ手の動きでも意味がちがうことがあります。たとえば「あ」と「5」はどちらも手の動きが同じなので、あとから続く手話が「じ」であると、「あじ」とも「5じ」とも読み取れます。まったく意味がちがって伝わってしまいますね。 ひとつの動きで複数の意味をもつ手話もあります。「冬」「寒い」「怖い」はすべて同じ手の動きです。 また手話には「てをには」がなく、単語の連続になっています。簡単なことなら伝えられますが、長い文章になると、単語だけで意味を読み取ることがむずかしくなります。 聴覚障がい者は、わからない部分を口の動きや表情、体の動き、手の動き、すべてを見て補足して、何を伝えたいのかを感じ取っています。 手話通訳の人や、テレビに出ている人がマスクをつけないのは、聴覚障がい者のためでもあります。 コロナ禍で聴覚障がい者が困っているところは? ・お店などで接客を受けるとき ・学校や塾などで授業を受けるとき ・聴覚障がい者が一緒に働いている場 ・複数の人と話しているとき コンビニエンスストアなどお店では、「ポイントカード」や「レシート」「袋」「温めますか」など、店員とやりとりすることが多い場所です。 学校や塾でも何を話しているのか読み取れないと学習ができません。 しかし感染予防は重要なことであり、ほとんどの人がマスクをしているため、「マスクをとってほしいと伝えられない」とたくさんの聴覚障がい者が悩んでいます。 聴覚障がい者に向けて私たちができること コロナが流行しているなかで、「マスクを外してほしい」といわれて、マスクを外すことはできるでしょうか。聴覚障がい者の事情を理解していないと、マスクを外すことはむずかしいですね。 マスクを外せないコロナ環境のなかで、聴覚障がい者に向けてできる配慮をまとめました。 ・アイコンタクトをとる ・笑顔を見せる ・言葉をはっきりと伝える ・ジェスチャーをする ・筆談を大きな文字で書く ・音声を文章化するアプリを導入する アイコンタクトや笑顔を見せることで、聴覚障がい者は安心することができます。マスクをしていても、笑顔は目の大きさや頬の盛り上がりでわかります。 表情がなく、無言の相手よりも、笑顔でアイコンタクトをとってくれる人のほうが接しやすいですよね。 さらにジェスチャーをくわえると、聴覚障がい者が相手の伝えたいことを感じ取りやすくなります。 筆談をするときは、大きな文字で書けば、ソーシャルディスタンスを守って、コミュニケーションをとることができます。 また音声を読み取って文章にしてくれるアプリも提供されています。講義や会議で役立ったという声が挙がっているので、アプリの導入を検討してみましょう。 まとめ コロナが流行し、たくさんの人がマスクをつけたことで、聴覚障がい者が困っています。 手話だけではコミュニケーションをとることができず、顔や表情が見えないと誰が話しているのか、何を伝えたいのかがわかりません。 お店では思うとおりに買い物ができず、大事な会議や講義を聞くことができません。聴覚障がい者の約7割の人が「生活や外出が不便になった」と回答しています。 しかしマスクはコロナの感染予防に欠かせず、「外してほしい」といわれて簡単に外せるものではありません。 そこで私たちにできることは、表情以外の方法で、聴覚障がい者に伝わりやすくすることです。笑顔やアイコンタクト、ジェスチャーをしたり、アプリの導入をしたりして、聴覚障がい者がコミュニケーションをとりやすくしましょう。 ▼参考 「マスクで口の形が読めない」。聴覚障害者とのコミュニケーションであなたにできる7つのこと 聴覚障害者にマスクの壁 口の形読めず「コロナ感染が広がる中、外してとは言えない」 見やすくわかりやすい すぐに使える手話単語集 コロナ禍における「新しい生活様式」下での視覚障害者・聴覚障害者の課題・機会・可能性に関するアンケート ウィズコロナ ろう者・難聴者 いま困っていることって?

コロナ感染のクラスターについて

【最新】障害者施設でクラスター発生!現状・原因・対応 「障害者施設でクラスター」というニュースを何度も見ますね。 障害者施設で1人のコロナ感染が発覚すると、どんどん感染が拡大し、クラスターとなる施設がたくさんあります。障害者施設でクラスター発生の最新状況や、なぜ障害者施設にクラスターが発生しやすいのか、クラスター発生に関する施設の対応を調査しました。 最新!障害者施設のクラスター発生状況 2020年12月から2021年1月の障害者施設のクラスター発生状況をまとめました。 発表している施設のうち、福岡県北九州市にある施設は12月8日、「感染者数は46人」としていましたが、同じ施設でコロナ感染が広がり、12月27日には「感染者数は89人」と、2倍近くにふえたことを発表しました。 このほか、北海道旭川市にある施設は12月1日、「感染者数は23人」としていましたが、12月29日には「感染者数は173人になった」と発表し、ものすごい勢いでコロナ感染が拡大していることがわかります。 さらに2020年12月30日には山口県で、障害者施設に一時入所していた1人がコロナ陽性だったと発覚し、施設内でコロナ検査をすすめています。 障害者施設でクラスターが発生しやすいのはなぜ? 1人のコロナ感染が確認されると、一気に感染が広がりやすい障害者施設。施設やスタッフがコロナ予防・対策をしているにも関わらず、コロナ感染の拡大を止められません。 なぜ、障害者施設でクラスターの発生をおさえられないのでしょうか。 コロナ感染の発見が遅れる コロナに感染すると、発熱のほか、味覚や嗅覚に異常が起こるとされています。 障がい者はそうした感覚の異常に気づいたり、自分の症状をまわりに伝えたりすることができないため、コロナ感染の発見が遅れてしまいます。すると気づかないうちにコロナ感染者と接触する人がふえ、コロナの感染が広がります。 障がい者が感染対策をできない クラスター発生の要因のひとつは、障がい者自身がコロナの感染対策をできないことです。 まず意思疎通がむずかしいため、コロナ予防や対策を障がい者一人ひとりに理解してもらえません。 また障がいがあるために、マスクをつけられない人がいたり、施設内を歩き回ったり、大声を出したりしてしまうことがあります。 床に落ちた食べ物を食べてしまう人や、防護服を着たスタッフに抱き着いてしまう人がいて、感染の広がりを防ぐことができないという施設もありました。 人と人の接触する機会が多い 障がい者の食事や入浴を助けるとき、必ず障がい者とスタッフの距離が近くなります。ニュースでいわれている「ソーシャルディスタンス」を守ることができません。 またグループホームでは入所者みんなで食事をとったり、1部屋に4人で過ごしていたりすることがありますね。障害者施設では人と人との距離がとても近く、コロナが感染しやすい環境であり、感染の広がりを防ぐことがむずかしいです。 障害者施設のクラスター発生の対応は? 障害者施設では必ずスタッフや入所者の体温を測り、異常が見られたり、発熱があった人と接触した人は自宅待機。 施設内では、コロナ感染者と、感染していない人をエリアごとに分け、換気をして、コロナ感染がさらに広がらないように対策しています。 スタッフは手洗いを徹底しておこない、防護服を着てマスクを2枚装着し、さらにフェイスガードをつけて入所者の対応をしています。 物資支援がメインになる 障害者施設でクラスターが発生すると問題になってくるのが、スタッフの不足です。 しかし入所者はいつもとちがう環境を嫌うことが多いです。食事の時間や服を着る手順がちがうとパニックを起こしたり、スタッフが変わるとストレスになったりします。 そのためクラスター発生後は、保健所による施設・スタッフへの指導や環境整備、マスクや手袋、防護服などの物資提供がメインになるでしょう。 まとめ 障害者施設でコロナの感染が発見されると、感染の広がりを抑えることができません。障がい者自身がコロナ対策をできなかったり、入所者やスタッフたちの距離が近かったりして、コロナ感染が広がりやすい環境だからです。 障害者施設でクラスターが発生すると、物資提供や環境整備がメインとなります。しかし物資提供や環境の整備だけでは対応しきれないおそれがあります。 そのため障害者施設では、まず「コロナを持ち込ませないこと」が重要となっています。 ▼参考 神戸で新たに3件のクラスター発生 新型コロナ、バーや障害者施設 変化に敏感な入所者…クラスター起きた障害者施設、療養に難題 【速報】新型コロナ、251人感染 戸田中央総合病院、障害者施設でクラスター 2日連続で過去最多を更新 北九州の障害者施設でクラスター 入所者への対策の難しさ、改めて浮き彫りに 新型コロナ 介助で密着、拡大要因 大規模クラスター、旭川の障害者施設 /北海道 新型コロナ 重度障害、対策に苦悩 マスク嫌がる/大声を出す 北九州・小倉の施設、入所者・職員4割感染 新型コロナ新たに11人 12月30日 新型コロナ 3日間で342人感染 クラスターは8件発生 /北海道 クラスター発生の旭川障害者施設が会見 介護のため密着で感染拡大

職場の障がい者虐待の現状とこれから

2020年12月には、障がい者に重いケガを負わせたとして、元職員が逮捕される事件がありました。前年の2019年7月に暴行が確認されており、さらに一人だけでなく数人の障がい者が職員に暴行されていたとのことです。 この事件が明らかになり、職員が逮捕されたのは2020年12月ごろ。職場の障がい者虐待は、障がい者本人が虐待を訴えることがむずかしく、虐待への対応が遅れてしまいます。 しかし、近年はほかの職員や家族による虐待の相談・通報が増えており、虐待が見つかりやすい時代になってきています。 コロナ不況や大量解雇など多くのことがあった2020年。職場の障がい者虐待の現状や、これからの障がい者虐待への対応を見ていきましょう。   障がい者虐待の届け出が前年度よりも約1割減少 2020年、通報・届け出があった事業所数は2019年とくらべて12%減少、通報・届け出の対象となった障がい者数は10.4%減少したことがわかっています。 障がい者虐待の通報・届け出があった事業所数:1,458事業所障がい者虐待の通報・届け出があった障がい者数:1,741人 このうち、虐待が認められた事業所や障がい者はどちらも減少傾向にあります。 事業所数は約0.1%とあまり変わりはありませんでしたが、障がい者数は14.3%も減少しました。 虐待が認められた障害者数:771人 障がい者虐待の通報・届け出があった障がい者数:1,741人 出典:令和元年度における使用者による障害者虐待の状況 厚生労働省 受けた虐待は「経済的虐待」が80%以上 身体的虐待は、殴るける、しばりつける、閉じこめるなど、障がい者の身体にケガを負わせることや、正しい理由なく身体の自由をうばうことです。 心理的虐待は、暴言や無視、仲間はずれ、子ども扱いなどをして、障がい者が精神的な外傷をつけられることをいいます。 最も多かった経済的虐待は、法律で決められた最低賃金よりも低い賃金しか支払われなかったり、本人の同意なしに財産や預貯金をつかったりすることなどが当てはまります。 虐待を受けた障がい者のほぼ半分が知的障がい者 職員などに虐待を受けた障がい者のうち、約45.9%が「知的障がい者」です。 知的障がい者のつぎに多いのが、「精神障がい者」、「身体障がい者」となります。発達障がい者は最も割合が低く、4.2%という結果でした。 虐待が認められた事業所の業種1位は「製造業」 障がい者の虐待が最も多く認められたのは「製造業」であり、全体の約27.5%を占めています。つぎに医療・福祉関係(20.4%)、小売業(12.9%)で障がい者の虐待が認められました。前年の2019年も同じく、製造業が最も多く、医療・福祉関係、小売業という順です。障がい者雇用がすすんでいる分野であり、最も多く障がい者が働いていることが、虐待の割合が高くなった理由のひとつでしょう。   職場の障がい者虐待、国の対応は? 出典:令和元年度における使用者による障害者虐待の状況 厚生労働省 2019年よりも2020年は職場での障がい者虐待がへりました。 しかしもっと長く統計を見ると、職場の障がい者虐待はまだまだ増加傾向にあるといわれています。 また2019年は職場のほか、養育者による虐待を含め、相談や通報が過去最多の1年となりました。こうした状況を見て、国はどのように対応していくのでしょうか。 事業所に「虐待防止委員会」の設置を義務づける方針 厚生労働省は2022年から、障がい者福祉施設の各事業所に「虐待防止委員会」の設置を義務づける方針を発表しました。 職場での障がい者虐待の原因は、職員たちの知識不足や、職場環境の悪化だと考えられています。 そのため虐待防止委員会は、虐待防止のための研修を徹底し、職員たちの職場環境の改善に向けて取り組みます。 さらに、障がい者への虐待と思われる事件がわかったときは、第三者として虐待について調査し、虐待の再発防止策を検討します。 2021年度は、職員研修や、虐待防止のための責任者の設置を義務化する方針としており、国は障がい者虐待防止に向けて動いています。 これから遠くない未来、障がい者が働きやすい社会が実現するかもしれません。   ▼参考 令和元年度における使用者による障害者虐待の状況 厚生労働省 障害者施設に虐待防止委 厚労省、22年度から義務化 障害者への虐待、過去最多に 相談・通報も増加 背景に意識の高まりも 【2020年度 最新版】障害者雇用における虐待の届け出は前年比12%減!最も多いのは経済的虐待

コロナ禍の障がい者雇用の現状

コロナ禍における障がい者雇用の状況 ハローワーク業務統計から、障がい者の職業紹介などの状況について見ていきたいと思います。 この統計結果からは、 「解雇者数」、「新規求人数」、「新規求職申込件数」、「就職件数および就職率」のいずれについても、前年同期と比べて悪化している状況が見られます。特に、「新規求人数」と「新規求職申込件数」への影響が大きくなっています。一般労働者と比較すると、障がい者の就職件数や就職率の減少幅は少ないとはいえ、それでも、それなりの影響を受けているといえるでしょう。 障がい者に限らず、一般の雇用にも共通することかと思いますが、「これから検討する(検討していた)新規採用については見合わせる」という方針の企業が増えている傾向が見られます。 出典:厚生労働省「第 97 回 労働政策審議会障害者雇用分科会資料」 ※(  )内数値は対前年差・前年比   新型コロナ禍での「採用」については、春~夏にかけて影響を受けたことが推察されますが、このアンケート結果では、そこまで大きな影響があったことは見られていません。これは、当アンケートが、障がい者雇用に積極的な企業や大企業が所属している団体を通しておこなわれている背景も考慮する必要があり、「障がい者雇用全体の状況」というより、「あくまでも、障がい者雇用に積極的な企業の状況」と見ることも必要でしょう。 上記を示すように、全国障害者雇用事業所協会(全障協)のアンケート結果では、「障がい者の雇用数(6月頃まで)」に関する回答は、下記のようになっていました。 「増やした」:22.2%(18社) 「維持した」:77.8%(63社) 「減らした」:0.0%(0社)   一方、障がい者の雇用数(今後の見通し)に関する回答は、下記の通りです。 「増やす」:36.0%(31社) 「維持する」:64.0%(55社) 「減らす」:0.0%(0社) 出典:厚生労働省「第 97 回 労働政策審議会障害者雇用分科会資料」   また、「障害者雇用企業支援協会(SACEC)」のアンケート結果からも、今後の雇用拡大や採用の見通しに関する回答は、下記のようになっています。 「計画通り遂行する」:66.7%(46社) 「計画を縮小し遂行する」:10.1%(7社) 「計画を再検討する」:17.4%(12社) 「その他」:5.8%(4社) 出典:厚生労働省「第 97 回 労働政策審議会障害者雇用分科会資料」   このアンケートからは、「計画通り遂行した」または「雇用を増やした」企業が一定数いたことが示されていますが、基本的には「現状維持」が多く、新規採用はストップとなっているようです。   コロナ禍における企業の対応 障がい者雇用に限ったことではありませんが、企業の対応や様子は、【緊急事態宣言下】と【緊急事態宣言解除後】ではだいぶ異なっています。   【緊急事態宣言下】 業種、地域にもよりますが、緊急事態宣言時の関東圏は、休業・時差出勤・交代勤務などで、勤務時間を調整したという企業が多くありました。他の地域では、新型コロナウイルスの感染者数やそれぞれの地域行政の判断にもよりますが、関東圏よりは少し緩めの勤務体制になっていたように感じます。   障がい者(特に知的障がいや、精神障がい)を多く雇用している企業では、休業にしたところが多かったようです。その理由は、障がい者が携わっている仕事はもともと、清掃や事務補助的な業務、印刷関連、メール配達などの職場でおこなう業務が多く、リモートワークに移行できないという状況があるからです。   リモート就労が可能な事業所を探す   サービス業などのリモートワークが難しい業種や仕事では、ソーシャルディスタンスを保ちながら通常通りの業務を続けているところや、IT・情報関連の仕事が中心となっている業種や会社では、もともとパソコンを使った仕事が中心だったため、業務に大きな影響がなかったというケースもありました。   特に、IT・情報関連の企業では、社内で仕事をするときにもセキュリティ体制がしっかり構築されて、すでに個人アカウントの管理などができていることから、リモートワークになっても業務遂行には問題はなかったようです。   【緊急事態宣言後】 緊急事態宣言が解除された後は、企業の方針として、リモートワークを継続するところが増えてきています。出勤率の割合を定めている企業では、障がい者をマネジメントする社員の出勤日に合わせて障がい者社員も出勤する体制をとっているところがありました。そのため、出勤日は通常よりも大幅に少なくなってしまったそうです。   この場合も、リモートワークできない理由として、障がい者が担う仕事が、管理部、人事・総務部の事務サポート的な業務や軽作業的なものとなっているために実質的に自宅での勤務ができないことや、業務の確認や指示が必要な場合があることがあげられています。   コロナ禍の障がい者雇用の現状を、今ある資料や、企業の様子を聞いたところから、まとめてみました。   ・障がい者雇用の新規採用は見合わせている企業が多いこと ・関東圏の緊急事態宣言下では、出勤できない障がい者(特に知的障がいや精神障がい)がいたこと ・リモートワークに対応できている職場と、そうでない職場で、仕事体制に大きな差がでていること   地域や業種などによる差も大きいと思いますが、コロナ禍の障がい者雇用では、この3点の傾向が見られていることがわかります。   リモートワークが可能な就労施設も増えてきています。 自分にあった働き方を探していきましょう。   リモート就労が可能な事業所を探す  

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