2024.08.09

障がい者就業・生活支援センターとは?その支援内容と利用方法を徹底解説

「働きたいけど、朝起きられるか心配…」「仕事を続けられるか不安…」などの悩みを感じたことはありませんか?そのような悩みがある方をサポートする「障がい者就業・生活支援センター」というところがあります。

 

障がい者就業・生活支援センターとは、障がいのある方の「仕事」と「生活」を一体的に支援する公的機関です。本記事では、障がい者就業・生活支援センターの支援内容や利用方法について解説します。

 

障がい者就業・生活支援センターとは?

障がい者就業・生活支援センターとは、障がいのある方の「仕事」と「生活」を一体的に支援する公的機関です。障がい者就業・生活支援センターの真ん中に「・(ぽつ)」があるため、通称は「中ぽつ」と呼ばれています。また地域によっては「就ぽつ」と呼ばれているところもあります。障がい者就業・生活支援センターは、障がいのある方が働き続けながら、安定した日常生活を送れるようにサポートしています。働くことを考えたとき、

  • 仕事をしたいけど、病気が悪化して働けるか分からない
  • 朝起きることができず、仕事ができるか不安
  • 自分にどのような仕事が合うのか教えてほしい など

先の見通しがつかず不安や悩みを抱えてしまう場合があるかもしれません。そのようなとき、障がい者就業・生活支援センターを利用することで、具体的なアドバイスや支援が受けられます。具体的な支援内容については、次の章で説明します。

 

障がい者就業・生活支援センターの支援内容

障がい者就業・生活支援センターは、2つの支援内容から構成されています。

  • 就労の支援
  • 生活の支援

 

就労の支援

はじめに障がい者就業・生活支援センターのスタッフと面談をおこないます。面談では、障がい特性からくる仕事上での困りごとや不安なこと、得意・不得意などを話しながら、ご本人が望む仕事を実現するにはどうしたらいいかを一緒に考えていきます。話し合いの結果をもとに、ご本人の希望や適性に沿った支援計画が作成され、就職に向けた取り組みをサポートします。

例えば、以下のような取り組みをおこないます。

  • 職業スキルの確認
  • 履歴書作成・面接準備のサポート
  • 就労支援機関(例:ハローワークなど)と連携して求人や職場探しをサポート
  • 就労移行支援事業所などの紹介 など

 

■就労後の支援

障がい者就業・生活支援センターは、就職だけではなく、入社後も働き続けられるようサポートします。例えば「体調を崩しやすい」「働いている環境で働きにくさを感じてしまう」などがあった場合は、障がい者就業・生活支援センターのスタッフによる職場訪問や、地域障がい者職業センターと連携しジョブコーチを派遣して働きやすくするサポートをおこなうこともあります。また体調を崩して休職する場合も、復職に向けた支援(例:医療機関などでおこなうリワーク支援の案内など)をします。

 

就労移行支援事業所や就労継続A型B型などの福祉サービスを利用して就職された方については、就職後しばらくは福祉サービスを利用していた事業所にて働き続けるためのサポートをおこないます。そのサポートが終了した後、ご本人の希望に応じて障がい者就業・生活支援センターが中心となり、働き続けるためのサポートを継続的におこなうこともあります。(※)

※福祉サービスを利用していた事業所で就職後6ヶ月まで継続してサポートします。就職後7ヶ月~3年6ヶ月の期間についてはご本人の利用意思があれば、就労定着支援を受けることができます。(詳しくは就労定着支援に関するページをご確認ください)

このように就労後に一人で悩まないよう、地域障がい者職業センターや医療機関、就労移行支援事業所などの関係機関と連携しながら取り組みます。

 

生活の支援

障がい者就業・生活支援センターでは、就労の支援だけでなく、日常生活全般に関する支援もおこないます。

 

例えば「朝、起きられず仕事に行けない」や「決まった日に薬を飲むことができない」など、健康管理に対するサポートをおこないます。また、複雑な障がい年金の申請や障がい福祉サービスの手続きなども相談に応じます。

 

状況によっては関係機関と連携することで、障がいのある方の生活基盤を整え、安心して就労できる環境を構築します。

 

障がい者就業・生活支援センターを利用するには?

障がい者就業・生活支援センターの利用は基本的には無料です。そのため、障がいのある方の就労や生活上の悩みなどを、気軽に相談することができます。障がい者就業・生活支援センターは各都道府県ごとにあります。お近くの障がい者就業・生活支援センターについては、以下のリンク先よりご確認ください。

参考:厚生労働省「障がい者就業・生活支援センターについて」

以下に、「対象者」と「利用方法」について、具体的に説明します。

 

対象者

障害者就業・生活支援センターの利用対象者は、障害のある方です。具体的には、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害のある方や難病の方など、就労を希望またはすでに就労されている方を対象にしています。障害については、必ずしも障害者手帳は必要ありません。診断が下りていなくても日常生活や社会生活に困難を抱えている方については、事前に利用の有無について、障害者就業・生活支援センターへご確認ください。

 

利用方法

今後の就職活動に対する不安や働くうえでの困りごとなど、就労に関してお悩みがある場合、最寄りの障害者就業・生活支援センターへ相談してみましょう。

障害者就業・生活支援センターによっては「ご本人が直接行って相談する」だけではなく、説明会や電話相談など実施しているところもあります。また障害者就業・生活支援センターのスタッフが自宅や職場などに出向いて相談に応じることができる場合もありますので、ご自身が相談しやすい方法から始めてみてもいいでしょう。予約が必要になる場合もありますので、事前に連絡をいれておくことをおすすめします。

障がいのある方が利用できるそのほかの支援や相談先は?

障がい者就業・生活支援センター以外に、障がいのある方が利用できる機関についてお伝えします。

仕事や生活で困ったときはまずお住まいの市区町村の障がい福祉窓口や精神保健福祉センター、保健所などへ相談するといいでしょう。相談すると、自分の状況に合わせた支援サービスなどを紹介してくれます。ここでは、支援サービスの一部をご紹介します。

  • 相談支援事業所
  • 地域障がい者職業センター
  • ハローワーク
  • 就労移行支援事業所

ここで挙げている支援サービスは、仕事や生活に関する困りごとに対して相談することができます。それぞれ説明します。

 

相談支援事業所

相談支援事業所とは、障がいのある方が安心して地域生活を送るために、さまざまな相談に応じ、障がい福祉サービスの利用調整を行う重要な拠点です。障がいを持つ方々が日常生活で直面するさまざまな問題や困難を解決するために、相談支援事業所は、本人やその家族とともに解決策を模索し、支援の道筋を立てていきます。サービス利用にあたっては、障がいの特性や生活環境を的確に把握し、一人ひとりに最適な支援計画を作成することが求められます。この計画は、本人の希望やニーズを反映させたもので、生活の質を向上させるための具体的な手段や目標が盛り込まれます。

 

相談支援事業所には、専門的な知識と経験を持つ相談支援専門員が配置されており、日常生活全般に関わるさまざまな相談に対応します。例えば、福祉サービスの選定や利用方法、地域のリソースの活用、就労支援、医療機関との連携、住宅や生活環境の改善など、幅広い分野でのサポートを提供します。相談支援専門員は、利用者の状況に応じて必要な情報を提供し、適切なサービスが受けられるように調整を行います。これにより、利用者が自立した生活を送り、地域社会で安心して暮らせるようになることを目指します。

 

また、相談支援事業所は、障がい者本人だけでなく、その家族に対しても支援を行います。家族が抱える悩みや不安に耳を傾け、共に解決策を見つけていくことで、家族全体の生活の質を向上させる役割も果たしています。

 

さらに、事業所によっては電話やメールを通じた相談を受け付けている場合もありますので、直接訪れることが難しい場合でも、まずは電話やメールで気軽に相談してみることが推奨されます。事前にどのような相談方法が可能か確認しておくと、よりスムーズに支援を受けることができるでしょう。このような相談支援事業所を活用することで、障がいを持つ方々が安心して地域社会での生活を送ることができるようになります。

 

地域障がい者職業センター

地域障がい者職業センターとは、障がいのある方々が安定して働けるよう支援を行う公的機関であり、ハローワークと密接に連携しながら、専門的な職業リハビリテーションを提供しています。このセンターは、障がい者が仕事を見つけ、職場に定着できるよう、多角的な支援を行う拠点として機能しています。

 

具体的な支援内容としては、まず障がいのある方一人ひとりの特性やニーズに応じた支援計画を作成します。この計画は、就職に向けた長期的な目標を設定し、それに向けたステップを詳細に組み立てたものです。支援計画には、就労に必要なスキルや能力を養うためのさまざまなプログラムが含まれています。たとえば、就職に向けた作業体験や職業準備講習などを通じて、仕事に必要なスキルを実践的に学びます。これらのプログラムは、個々の障がい者の能力やペースに合わせて調整されるため、無理なく効果的にスキルを習得することができます。

 

さらに、地域障がい者職業センターは、仕事が定着するまでの支援にも力を入れています。その一環として、ジョブコーチの派遣を行っています。ジョブコーチは、障がいのある方が職場での業務に適応しやすいよう、現場でのサポートを提供します。具体的には、業務の手順を分かりやすく説明したり、作業の工夫や効率化を図ったりすることで、障がい者が持つ特性に応じた働き方をサポートします。

 

また、ジョブコーチは障がい者本人のサポートにとどまらず、受け入れ先の企業や事業所に対しても、職場環境の調整を支援します。たとえば、障がい特性に配慮した業務の割り当てや、職場内のコミュニケーションの円滑化を図るためのアドバイスを行うことができます。このようなサポートにより、企業側も障がい者を受け入れる体制を整えやすくなり、双方にとっての働きやすい環境が構築されます。

 

また、地域障がい者職業センターでは、職場復帰を目指すリワーク支援も提供しています。リワーク支援とは、何らかの理由で一度仕事を離れた障がいのある方が、再び働くための準備を行うためのプログラムです。ここでは、就労前に必要なスキルの再習得や、職場復帰後に直面する可能性のある課題に対処するためのトレーニングを行います。このようなサポートを受けることで、障がい者は自信を持って職場に戻ることができ、再び社会で活躍することが可能になります。

 

地域障がい者職業センターは、障がいのある方々が職業生活を通じて社会参加し、安定した生活を送るための強力な支援体制を提供しています。センターを利用することで、障がい者は自分の可能性を最大限に発揮し、充実した職業人生を築くことができるのです。

 

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、すべての求職者に対して就職支援を行う公的機関ですが、特に障がいのある方に対しては、よりきめ細やかなサポートが提供されています。障がいのある方が自分に合った仕事を見つけ、就職を成功させるためのさまざまな支援が行われており、その中でも特に専門的なサポートが特徴です。

 

まず、障がいのある方々に対しては、ハローワーク内に配置されている専門の相談員が対応します。この相談員は、障がい者雇用の分野に精通しており、求職者一人ひとりの障がいの特性や個別のニーズを深く理解しています。就職活動においては、履歴書の書き方や職務経歴書の作成に関するアドバイスが提供されます。

 

たとえば、障がいの特性に合わせた自己アピールの方法や、企業に対する配慮事項の伝え方など、具体的で実践的な指導が行われます。さらに、模擬面接の実施によって、実際の面接場面での受け答えや表現方法の練習も行われます。この模擬面接では、求職者が緊張せずに自分の強みを伝えるためのコツや、面接官の質問に対する適切な返答の仕方を身につけることができます。

 

また、障がいのある方々が職場での実習を希望する場合、ハローワークは障がい者職業・生活支援センターや地域障がい者職業センターなどの関連機関と緊密に連携します。これにより、実習先の選定から、実習の内容やスケジュールの調整、実習期間中のサポートまで、一貫した支援が提供されます。実習先では、障がいのある方が実際の職場環境で働く体験を通じて、自分に適した職業や働き方を確認することができます。また、実習期間中に職場での適応や業務遂行における課題が見つかった場合、ハローワークの相談員やジョブコーチが随時サポートを行い、実習がより効果的なものになるよう支援します。これにより、実習が単なる体験に終わらず、将来の就職につながる実践的なステップとなるよう取り組んでいます。

 

さらに、ハローワークは就職活動だけでなく、就職後のフォローアップ支援も行っています。たとえば、就職後の職場適応や業務の進行状況について定期的に確認し、必要に応じて企業側との調整や追加の支援を提供します。これにより、障がいのある方が職場に長く定着できるよう、就労後も継続的にサポートを行う体制が整っています。

 

ハローワークのこうした多角的な支援は、障がいのある方が自分の可能性を最大限に発揮し、社会で活躍するための大きな助けとなります。障がいの有無にかかわらず、誰もが平等に就職のチャンスを得られるよう、ハローワークは一人ひとりに寄り添ったサポートを提供し続けています。

 

就労移行支援事業所

就労移行支援とは、障がい者総合支援法に基づいて提供される就労支援サービスの一つで、障がいのある方々が一般企業での就職を目指すために必要な知識やスキルを習得することを目的としています。このサービスでは、職業訓練や実際の職場体験を通じて、就労に向けた準備を整えるだけでなく、コミュニケーション能力の向上や、職場でのマナーやルールの理解、適切な職業選択の支援も行います。

 

さらに、個々の能力や特性に合わせたカリキュラムが用意されており、利用者が自信を持って就職活動に取り組めるよう、専門スタッフが丁寧にサポートします。また、就職後も安定した就労を継続できるよう、定期的なフォローアップや相談対応が行われることが一般的です。

 

このように、就労移行支援は障がいのある方々にとって非常に重要なステップであり、成功する就職に向けた基盤を築くための総合的な支援を提供します。利用するためには、市区町村の福祉窓口での申請手続きが必要であり、支援内容や利用条件についての説明を受けた後、正式にサービスが開始されます。

 

障がいのある方の「仕事」と「生活」を一体的に支援する機関

障がい者就業・生活支援センターとは、障がいのある方の「仕事」と「生活」を一体的に支援する機関です。仕事を探している方、これから仕事をしようと思っているけれども不安な気持ちがある方は、障がい者就業・生活支援センターへ相談してみるのも選択肢の一つです。仕事だけではなく、日常生活の困りごとや上手くいかないことも相談することができます。

 

また、ご本人の状況に応じて関係機関と連携しながら、自分に合う職場や職場定着のサポートが受けられます。仕事や生活において困ったことがあれば、身近な相談窓口のひとつとして、障がい者就業・生活支援センターを活用してみるのもいいでしょう。

まとめ

障がい者就業・生活支援センターは、仕事と生活の両面で障がいのある方を包括的に支援する頼もしい存在です。不安や悩みを一人で抱え込まず、センターを活用して、自分に合った職場や安心して暮らせる生活を手に入れましょう。センターは、あなたの一歩を支え、より豊かな人生をサポートするための強力なパートナーです。仕事や生活に関する疑問や悩みがあれば、ぜひ身近な相談窓口として活用してみてください。

 

参考

障がい者就業・生活支援センターとは?支援内容や利用方法などを解説|LITALICOワークス


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