2024.07.24

視覚障がいとは?学校での支援方法、サポート方法をご紹介!

視機能の永続的な低下により、学習や生活に支障がある状態をいいます。学習では、動作の模倣、文字の読み書き、事物の確認の困難等があります。

また、生活では、慣れない場所においては、物の位置や人の動きを即時的に把握することが困難であったり、他者の存在に気付いたり、顔の表情を察したりするが困難であり、単独で移動することや相手の意図や感情の変化を読み取ったりすることが難しい等があります。

 

視覚障がいとは

視覚障がいとは、眼球、視神経及び大脳視中枢などで構成される視覚系のいずれかの部分に障がいがあるために、見ることが不自由または不可能になっている状態のことです。視覚的な情報をまったくえられない、またはほとんどえられない「盲(もう)」と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる「弱視」に大きく分けられます。

この他に、色彩の弁別能力に障がいのある場合もあります。ただ、「盲」「弱視」と一口に言っても、視力があるかないかの単純な状態ではありません。

 

「盲」とは、明暗の区別のつかない状態も指しますが、明暗の区別はつく状態、目の前で手を振ると動いているか止まっているかわかる状態、目の前で出された指の数程度ならわかる状態も含みます。

また「弱視」には、視力が低い状態の他に、見える範囲が狭い状態、光をまぶしく感じる状態、明るいところではよく見えるのに、夜や暗いところでは見えにくくなる状態も含みます。

 

一見して視覚障がい者とわからないことが多くある

視力をほとんど活用できない盲の人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握しています。文字の読み書きは、最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンでおこなうことが多くなっています。また、点字も視覚障がい者が自由に読み書きできる大切な手段の一つです。移動時は、白杖を持ち単独で歩くケース、ガイドヘルパーや盲導犬と歩くケースがあります。

 

弱視の人で視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり、文字を拡大したり、近づいて見るなどの、さまざまな工夫をして情報を得ています。最近では、盲の人と同様に、パソコンも活用しています。視力を活用できても、遠くのもの、小さいもの、動いているものが見えない、大きいものの全体像が把握できないなどの困難があります。また、読み書きに時間がかかったり、負担が大きかったりすることもあります。移動時には白杖を用いない人も多く、一見して視覚障がい者とわからないことが多くあります。

学校での支援:特別支援学校 

特別支援学校(視覚障がい)には、一般的に小学部、中学部及び高等部が設置され、一貫した教育が行われています。また、寄宿舎を設置している学校もあります。

各教科及び自立活動の指導に当たっては、子供一人一人の実態等に即した個別の指導計画を作成し指導しています。例えば、弱視の子供には、見え方の状態に合わせて拡大や白黒反転した教材を使用して指導したり、弱視レンズなどの視覚補助具やコンピュータ操作の技能の習得を目指したりするなどの指導をしています。

また、高等部を設置している学校では、普通教育を主とする普通科及び専門教育を主として行う学科(理療科等)を設置し、自立と社会参加に必要な知識や技能の習得を目指した指導をしています。

 

障がいの程度

両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障がいが高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの(学校教育法施行令第22条の3)

 

教育課程

視覚障がい者である子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程に準ずる教育を行い、小学校、中学校又は高等学校の教育目標の達成に努めるとともに、障がいによる学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うことを目標としています。

これらの目標を達成するために、一人一人の障がいの状態等を考慮した弾力的な教育課程として、「小学校・中学校・高等学校の下学年(下学部)の各教科を中心とした教育課程」「知的障がい特別支援学校の各教科を中心とした教育課程」「自立活動を中心とした教育課程」等、子供の実態等を考慮した多様な教育課程を工夫して編成・実施しています。

 

通常の学級

通常の学級においては、小中学校等で編成される教育課程に基づいて、各教科等の指導を学級、学年集団で行ったり、全体で学校行事に取り組んだりするなど、一斉の学習活動が基本となります。視覚障がいのある子供が各教科等を学ぶ場合、障がいによる困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。

 

例えば、拡大教材等を活用することや、実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること、照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど、教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容や学習指導要領総則のほか、各教科等編の解説に示されている「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫」等を参考とし、子供一人一人の教育的ニーズを踏まえ指導しています。

 

通級による指導

通級による指導においては、各教科等の大部分の授業を通常の学級で学び、指導上の工夫や個に応じた手立て、教育における合理的配慮を含む必要な支援を受けながら、一部の授業について当該の子供の障がいによる学習上又は生活上の困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。

 

例えば、拡大教材等を活用することや、実験や観察の際に危険のない範囲で近づいて見ることができるようにすること、照明や外からの光の入り方に配慮して教室内の座席の位置を検討すること等で見えにくさに配慮することなど教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容のほか、視知覚や視機能の向上を図る学習や、地図やグラフ等の資料を効率的に読み取るための視覚補助具の活用方法を学習する等の障がいの状態等で生活上又は学習上生じる困難さの改善・克服を図る自立活動の指導をしています。

 

障がいの程度

拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

 

教育課程

通級による指導の視覚障がい者である子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程の教育を行い、特別の教育課程を編成する場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領に示す自立活動の内容を参考とし、指導目標や指導内容を設定して指導をしています。

 

特別支援学級

各教科等の指導に当たっては、子供一人一人の障がいの状態等を考慮し、教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障がいの状態や学習状況等に応じて、通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い、教科学習を効果的に進めたり、社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。

多くの学級では、子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう、例えば、眼疾患によってまぶしい場合があるため遮光カーテンや調光できる照明を設置したり、一人一人に拡大読書器を配置したりするなどの施設・設備の整備や工夫をしています。

 

障がいの程度

拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

 

教育課程

弱視特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障がいの状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障がいによる学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、視知覚や視機能の向上を図る学習や、地図やグラフ等の資料を効率的に読み取るための視覚補助具の活用方法を学習する等の障がいの状態等で生活上又は学習上生じる困難さの改善・克服を図る自立活動の指導をしています。

 

また、子供の障がいの状態等を考慮の上、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にし、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標に替えたり、各教科を知的障がい者である児童に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして、実態に応じた教育課程を編成し指導しています。

 

視覚障がい者との接し方

視覚障がい者と一口に言っても、見えなくなった時期、障がいの状況や程度はさまざまです。また、白杖を持たずに歩いていたり、白杖は持っていても目をしっかり見開いていて、声のする方に視線が向いたりするため、一見して視覚障がい者と見えない場合もあります。

まずは、本人に、その見え方やどのようなサポートを希望するかを確認してください。個々人の視力、視野、適切な光量、色の見え方などに応じた環境設定を行うことで、効率的な作業遂行が可能となります。例えば、就労支援機器の活用により、パソコンを使った仕事などへの従事可能性が高まります。

 

  • 視覚障がい者が安心して移動できるように、トイレやエレベーターなど通常使用する場所への移動の手がかり、室内の配置、危険箇所を事前に伝えておく必要があります。
  • 移動の支障となる物を通路に置かない、机の配置を工夫する、書類の保管場所を一定にするなどにより、移動の負担などを軽減することが重要です。
  • 十分な照明がない、逆に明るすぎると疲労しやすい人がいますので、デスクスタンドの利用など、本人に合った照明や採光について検討する必要があります。また、目の疲労回復のための休憩時間の設定などの配慮も重要です。
  • 重度視覚障がい者の場合、どのタイミングで話しかけてよいかわからず、職場内でコミュニケーション不足になってしまうこともありますので、普段からの情報伝達やコミュニケーションといった配慮が重要となります。

 

声をかける時

前から近づき、「○○さん、こんにちは。○○です」などと自分から声をかけ、名乗ってください。軽く肩や腕に触れていただくと、話しかけられていることが一層わかりやすくなります。

 

説明する時

「むこうの・・・」「あそこの・・・」「このくらいの・・・」などと指差し表現や指示代名詞で表現しても、視覚障がい者は相手が目で見ている先を理解できません。「あなたの右」、「煙草の箱くらいの大きさ」などと、具体的に説明してください。

何かに触ってもらう場合は、説明しながら視覚障がい者の手をとって触れさせてください。方向や位置を説明するときは、視覚障がい者がいま向いている向きを基準にして説明してください。

 

初めての場所では、部屋の様子と席の位置や向きなどを説明してください。たとえば、「部屋は講義室のような部屋で、机がロの字型に並んでおり、30人くらい座れそうで、今は15人くらい座っています」、のように、具体的に説明してください。

道順を説明するときは、目印となる具体的な建物などを伝えてください。全盲の人が、さらに誰かに、目的地の場所やそこへの道順を伝えたり、尋ねたりする際には、目印の建物についての情報があると便利です。

壁に貼ってあるポスター類、ビデオやDVDで画面だけが動いているような時、どのような場面や状況か、簡単に伝えてください。

 

グループで話しているとき

どのような人達がグループにいるのかを視覚障がい者は見渡すことができません。話が始まる前に一回り自己紹介をしてください。

いなくなった相手に気づかず、話しかけることがあります。席をはずすときや戻ってきたときは、一声かけてください。また、新たに話に加わるときは自己紹介をしてください。

今しゃべっているのが誰なのか、視覚障がい者は見ることができません。必要に応じて名乗ってから話し始めてください。

まとめ

視覚障がい者は、得意・不得意はありますが、多くの人が、自分の周囲の様子を頭の中にイメージしながら生活していますので、日常的に利用している場所や、使用しているものについては見えているかのように動いたり使ったりします。これは身体が覚えているからできることなのです。

ですから、様子のわからない不慣れな場所や、初めての場所はもちろんのこと、日常的に利用・使用している場所でも、普段と様子が変わっていると戸惑うことがあります。普段から、通路(たとえば、点字ブロックの上)に通行の妨げになるものを置かない、日頃視覚障がい者が使用しているものの位置を変えないなど、周囲の協力が不可欠です。

困っていそうなときはサポートが必要かどうか声をかけてください。また、その人が、見えない・見えにくいことを心のどこかに留めておいてください。

 

参考

(1)視覚障がい|文部科学省

視覚障がいについて、知っておいていただきたいこと|バリアフリー推進オフィス

職場改善好事例集

 


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