2024.07.23

自閉症(自閉症スペクトラム障がい:ASD)とは?特徴や当事者の思いを知る

一般には自閉症で知られていますが、現在はアスペルガー症候群等を統合した【自閉スペクトラム症】の名称に変更されています。

特性としては「コミュニケーション・対人関係の不得意さ」と「行動・興味・活動に対する反復や固執等」が挙げられ、特性の強さには個人差があります。

 

自閉症とは

自閉症とは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)であり、発達障がいの一種です。ASDは、社会的なコミュニケーションと行動に影響を与える広範な障がいを含みます。自閉症は生涯にわたる障がいであり、症状の重さや現れ方は個人によって大きく異なります。

 

自閉症の主な特徴

■社会的コミュニケーションの困難

  • 他者との目を合わせるのが苦手
  • 会話のキャッチボールが難しい
  • 非言語コミュニケーション(ジェスチャー、表情など)の理解が困難

 

■行動や興味の限定

  • 特定の物事に強い興味を示す
  • 同じ行動やルーチンに固執する
  • 感覚過敏または感覚鈍麻(音、光、触覚などに対する異常な反応)

 

自閉症の診断と評価

自閉症の診断は、専門的な評価を通じて行われます。通常、以下のような方法が用いられます。

  • 観察:子供の行動や相互作用を観察する
  • インタビュー:親や教師からの情報を収集する
  • 発達検査:発達の遅れや異常を特定するための検査を実施する

 

自閉症の原因

自閉症の正確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせが関与していると考えられています。例えば、特定の遺伝子の変異や妊娠中の母体の健康状態が影響を及ぼす可能性があります。

 

自閉症の支援と治療

自閉症は治療によって完全に治るものではありませんが、適切な支援や療育によって症状の改善や生活の質の向上が期待できます。以下は一般的な支援方法です。

 

■行動療法

  • 応用行動分析(ABA):ポジティブな行動を強化し、問題行動を減少させる療法
  • 社会技能訓練:社会的な相互作用やコミュニケーションスキルを向上させる訓練

 

■言語療法

  • 言語療法士による発語やコミュニケーションスキルの向上を目指す訓練

 

■作業療法

  • 日常生活の活動や感覚統合を支援する療法

 

自閉症と社会

自閉症のある人々が社会で成功し、充実した生活を送るためには、周囲の理解と支援が不可欠です。多くの企業や団体が自閉症に対する理解を深めるためのキャンペーンやプログラムを実施しています。また、教育現場でもインクルーシブ教育が推進され、自閉症のある子供たちが通常の学級で学ぶ機会が増えています。

対人関係の特徴

求めている時だけ関わって欲しい

自閉スペクトラム症の特性が強い場合は、対人関係のあり方が異なり、雑談等の会話を邪魔と感じたり、一人でいる時と変わらない行動を取ります。

自ら関わりを求めてくる状況としては、玩具やお菓子が欲しい時の欲求場面、不快と感じる物事(認知の偏りがあるので、一般的には不快とならないことでも不快を感じる)への回避場面等です。

 

興味のあることや楽しいことでの関わりは嫌いでない

手を繋がれてトランポリンに乗ったり、ブランコ遊びで背中を押されることは、当事者が興味を持っていれば受け入れ可能で、肯定的な関わりを持つ機会となります。知的能力が高い児童に対しては、鉄道やゲーム等の関心がある話題を提示することで、対人関係を深める機会となります。

自閉スペクトラム症の子供と関係を築く際は、本人が好む遊びや興味を探し、量より質の関わりを持つと喜ばれるはずです。

 

対人関係で躓くケース

友達が怒っているけど理由は分からない

自閉スペクトラム症の特性が弱い場合は、友達等との関係を求める反面、対人関係で躓きをみせることがあります。躓く理由として、彼らは相手の感情や状況理解が分かりづらい特徴を抱えており、一方的に話し続けたり、偏った内容の会話を続けてしまうからです。

又、場面にそぐわないことを言ったり、杓子定規な発言を繰り返すこともあります。その他、冗談の理解が難しく、空気が読めないとラベルを貼られたりもします。

 

悪いことはしてないはずだけど

対人関係の難しい点は、コミュニケーションに偏りがあっても、相手が受け入れていれば問題となりません。反対に、些細な偏りでも相手が不快と感じた場合、良好な関係を築くことが困難となります。幼児期の子供達は、友達との関わりで嫌なことがあっても、仲間外れを頻繁にはおこないません。しかし、学齢期以降の児童は、些細な違いに敏感となり、距離を取られます。

自閉スペクトラム症のお子さんが友人関係を構築・維持するには、違いを気にしない児童との共存が求められます。

 

遊びや余暇の特徴

同じ遊びをずっと続けることは楽しい

自閉スペクトラム症の子供は、繰り返し同じ遊びする特徴があります。大人側からみると「大丈夫?」と思ってしまいますが、本人達によると問題ないとの話です。彼らは特定の物事に興味・関心を持つ傾向で、一般と比べて遊びが偏ります。大人から遊びに幅広さを求められて、受容できる子供もいますが、退屈や苦痛を感じている場合もあるので注意して下さい。

周囲のスタンスとしては、日常生活に支障がない範囲で、本人の選好性を大切にして頂きたいです。

 

ごっこ遊びって何をすればいいの

幼児期の代表的な遊びとして「ごっこ遊び」があり、自閉スペクトラム症の子供が苦手とする遊びでもあります。

ごっこ遊びは、誰かや何かの真似を楽しむ、即興的な想像で遊びが成り立ちます。しかし、玩具遊び等の明確な遊びを得意とする彼らにとって、即興的な想像は難しく、遊びの楽しさも見い出しづらいです。更に、友達を交えたごっこ遊びに発展すると、他者と想像を共有するので、遊びの難易度がぐっと増します。

 

新しいことをしたいと思わないし、むしろ不安になる

初めての体験を「どう感じるか」は、人それぞれ違います。同じ体験をしても、ある人は不安を覚え、ある人は緊張を楽しめるという個人差が生じます。自閉スペクトラム症の子供は、物事の捉え方に偏りがあり、遊びや余暇であっても、強い不安や緊張を感じる場合があります。

新しいことを始める際は、情報を事前に伝えたり、写真や実物の手掛かりを提示し、本人が安心できるよう配慮して下さい。

 

食事で見られる偏食等の特徴

僕の食べたい物は限られている

自閉スペクトラム症の児童の中には、食事に対して、強い拒否やこだわりをみせる場合があります。嫌がる要因は、一般にみられる敏感さや味覚の問題だけでなく、以下のことが考えられます。

食材一つひとつの色、形、堅さ。食材同士の混ざり方。食べる順序。食材の匂い。使用する食具。食べる席や場所。

不快なく食べる糸口を探るには、何が好みかを知るだけでなく、何を苦手としているかも把握するべきです。

 

学齢期には偏食が減る傾向

児童の年齢が上がるにつれて、本人の嗜好も変化し、今まで食べていた物を拒む場合も起こり得ます。自閉スペクトラム症の偏食に関しては、学齢期を含めて長期で取り組むことが大切で、少しずつ食べられる食材の幅を広げて下さい。

日常的に食べている食品の種類は、国々で当然異なり、食べなけらばならない食品の定義はありません。ただし、最低限の栄養摂取と健康状態は、配慮して下さい。

 

過敏さ味覚について

子供の口唇や口腔は、非常に過敏です。舌には味蕾と呼ばれるセンサーがあり、成人期には減少していることが知られています。大人になると苦手な食べ物が減る要因の一つに、この味覚の鈍感さが考えられています。又、子供の嗜好は、苦味の強い野菜類や酸味のある果物類を苦手とし、甘味のある食べ物を好みます。

 

こだわりや感覚の特徴

気になる物を目にすると、近寄らずにはいられない

自閉スペクトラム症の代表的な特性に、反復や固執があります。一部分の映像を繰り返しみたり、エレベーターをみると走り出したりと、こだわり方は様々です。

コミュニケーション場面においては、同じ質問、同じ会話を何度も続ける児童がいます。一方的に、同じ言葉を言い続けるケースもあります。

知的能力が高い自閉スペクトラム症の場合は、急なスケジュール変更、普段と異なる状況を受け入れる際、強い嫌悪感を覚えるそうです。

 

音や光、温度の変化が苦手 

聴覚の過敏として、大きな音全般に不快を示す例や、特定の音のみに反応するケースがあります。光に対して、強い照明を苦痛と感じたり、夜のネオンに過敏さをみせる場合があります。その他、些細な気温変化が苦手で、居ても立っても居られない状態となる子供がいます。

 

 「我慢できない」とは違う

大人の視点に立つと「抑制してもらいたい」と考えますが、こだわりや過敏は自閉スペクトラム症の特性なので、やみくもに我慢させても効果的ではありません。言語化ができる学齢期の児童によると「急に予定が変わると落ち着かなくなる」「触りたくて仕方ない」「その音はなんかダメなんだよね」と教えてくれます。

当事者への配慮として、こだわりを示す対象を避けたり、スケジュール表を用いて予定変更を伝えたり、過敏となる物は排除することが大切です。

まとめ

自閉症は多様な特性を持つ発達障がいであり、早期の診断と適切な支援が重要です。自閉症のある人々がその能力を最大限に発揮し、豊かな人生を送るためには、社会全体の理解と協力が求められます。

 

参考

自閉症とは 特徴や当事者の思いを知る

 


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