2024.07.17

身体障がいとは?種類や症状・支援制度から就職まで知っておきたいこと

身体障がいとは「身体の機能に障がいがある状態」のことです。身体障がいがあることで、生活・仕事で困りごとを感じるときはありませんか?そのようなときは、支援機関や福祉サービスなど活用してもいいかもしれません。

この記事では、身体障がいの種類を始め、身体障がい者手帳や活用できる支援機関、働くうえでの配慮事例など、幅広くご紹介します。生活や仕事で困ったときに使える選択肢の一つとして、ぜひご参考ください。

 

身体障がいとは?

身体障がいとは分かりやすくいうと「身体の機能に障がいがある状態」のことをいいます。視覚障がいや聴覚障がい、内部障がいなども、身体障がいの一つです。身体障がい者福祉法の「身体障がい」は、次の通り定義とされています。

 

身体障がいの定義

身体の機能に障がいがあって、身体障がい者手帳を交付された18歳以上の方

※18歳未満の方は児童福祉法に位置づけられます。児童福祉法では「身体に障がいがある18歳未満」を「身体障がい」と定義されています。

身体障がい者福祉法に定められている身体障がいの症状の種類や身体障がい者手帳などについては、後の章で詳しく解説していきます。

 

身体障がいの症状の種類について

身体障がいの症状の種類はどのようなものがあるか、ここで簡単に見ておきましょう。身体障がい者福祉法によると、大きく分けて次の5つがあります。

 

視覚障がい

視覚障がいとは、視力や視野などに障がいがあって、目が見えにくい・見えない状態です。

 

視覚障がいの症状

視覚障がいのある方は以下のような症状が見られることがあります。

  • 両目の視力がそれぞれ0.1以下のもの
  • 一眼の視力が 0.02 以下、他眼の視力が 0.6 以下のもの 
  • 両眼の視野がそれぞれ 10 度以内のもの 
  • 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの 

参考:厚生労働省「身体障がい者の範囲について」

聴覚障がい または 平衡機能障がい

聴覚障がいとは、音を伝えるための外耳・中耳、音を感じ取るための内耳などに何かしらの障がいがあって、耳が聞こえにくい・聞こえない状態です。

平衡機能障がいとは、耳や脳神経などの機能に障がいがあって、起立や歩行などに支障がでている状態です。

 

聴覚障がいの症状

聴覚障がいのある方は以下のような症状が見られることがあります。

  • 両耳の聴力レベルがそれぞれ 70 デシベル以上のもの 
  • 一耳の聴力レベルが 90 デシベル以上、他耳の聴力レベルが 50 デシ ベル以上のもの

参考:厚生労働省「身体障がい者の範囲について」

 

平衡機能障がいの症状

平衡機能障がいの症状としては、「平衡機能の著しい障がい」が挙げられます。具体的には目を開けた状態で立っていることができない、または目を開けた状態で又直線を歩行中に10m以内に転倒もしくは著しくよろめいて歩行できない状態をいいます。

参考:愛知県「身体障がい認定基準(第2 個別事項)<聴覚又は平衡機能の障がい>」

 

音声機能、言語機能 または そしゃく機能障がい

音声機能・言語機能は構音器官の障がいなどによって、音声を発することが難しかったり、音声・言語のみで意思疎通に支障がでている状態です。

そしゃく機能障がいは、食べ物を噛み砕いて食べるための機能に障がいがあって、摂取できる食べ物の内容や摂取方法に支障がでている状態です。

 

音声障がい・言語機能障がいの症状

音声障がい・言語機能障がいの症状は、3級では音声を全く発することができないか、発声しても言語機能を喪失した状態のことをいいます。また4級では音声、言語のみを用いて意思を疎通することが困難な状態のことをいいます。

参考:愛知県「身体障がい認定基準(第2 個別事項)<音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障がい>」

 

そしゃく機能障がいの症状

そしゃく機能障がいの症状は、3級では経管栄養以外に方法のないそしゃく・嚥下機能の障がいのことをいいます。

4級では著しいそしゃく・嚥下機能または、咬合異常によるそしゃく機能の著しい障がいがある状態です。

参考:愛知県「身体障がい認定基準(第2 個別事項)<音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障がい>」

 

肢体不自由

上肢、下肢、体幹に障がいがあり、具体的には、握る・なでる・摘むといったような手指の機能障がい歩く・登る・座るといったような下肢の機能障がい運動機能などに障がいがあって、日常生活の動作へ支障がでている状態です。

 

肢体不自由の症状

肢体不自由の症状として、「軽度の障がい」と呼ばれるものだと日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度で足関節の場合は30度を超えないもの。)の状態をいいます。

「機能の著しい障がい」ですと、各々の部位で関節可動域が日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度)のほぼ30%(概ね30度以下)のものをいいます。さらに「全廃」の状態だと関節可動域が10度以内のものをいいます。

※ただしこの数値は、機能障がいの一面を表したものであるので、その判定に当たっては、その機能障がい全般を総合したうえで定めなければならない。とされています。

参考:愛知県「身体障がい認定基準(第2 個別事項)<肢体不自由>

 

内部障がい

内部障がいとは、身体の内部に障がいがある状態です。内部障がいの種類は以下の通り挙げられます。


  • 心臓機能障がい

全身に血液を送り出す心臓の機能に障がいがあって、日常生活へ支障がでている状態です。中には「ペースメーカー」という医療機器を胸部に埋め込まれている方もいます。


  • じん臓機能障がい

じん臓の機能が低下し、老廃物や余分な水分など排泄することができなくなったりする状態です。


  • 呼吸器機能障がい

肺などの呼吸器の機能が低下したことにより、呼吸が難しくなる状態です。


  • ぼうこう または 直腸の機能障がい

排便・排尿などの機能が低下し、日常生活へ支障がでている状態です。中には、排泄物を体外に排泄するための「ストーマ(人工肛門・人工膀胱)」を造設した方(オストメイト)もいます。


  • 小腸の機能の障がい

広範囲に及ぶ小腸切除や小腸疾患によって、小腸の機能が低下し、口から摂取する食べ物や薬で栄養を維持することが難しくなったりする状態です。


  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障がい

HIVウイルス感染によって、ある種の白血球が破壊され、免疫機能が低下している状態です。


  • 肝臓の機能の障がい

何らかの原因で肝臓の機能が低下し、全身倦怠感やからだのむくみ、黄疸などの症状が現れやすくなる状態です。

 

身体障がい者手帳について

身体障がいのある方をサポートするために代表的なものとして「身体障がい者手帳」があります。

 

身体障がい者手帳とは

身体障がい福祉法に定める障がいに該当すると認められた場合、本人からの申請に基づき、身体障がい者手帳の交付がされます。

身体障がい者手帳の交付がされると、各種の手当や医療費の助成、税金の控除、公共料金の減税など(※)が受けられます。また、福祉サービスを利用しやすくなったり、障がい者求人への応募ができたりといったように、受けられる支援の幅も拡がります。

(※)お住まいの自治体によって受けられるサービスの内容が異なります。

 

一方で、身体障がい者手帳が交付されることで不利なことがあるのではないかと心配されるかもしれません。身体障がい者手帳の申請は義務ではないため、不必要なときは返却することもできます。また、身体障がい者手帳を取得していることを履歴書などに記載する義務などもありません。

さまざまなサポートを受けたいと考えている方は、身体障がい者手帳を取得した方がメリットが大きいといえるでしょう。身体障がい者手帳の詳細を知りたい方は、お住まいの自治体の障がい福祉窓口などでご確認ください。

 

身体障がいのある方が受けられるサービス・制度

身体障がいのある方が生活をおくるうえで、移動やコミュニケーションなどに困りごとを感じるときがあるかもしれません。そのようなときは、この後に挙げる支援機関や福祉サービスなどを活用するといいでしょう。ここでは、受けられる支援(生活編)の一部をご紹介します。

※お住まいの自治体、障がいの状況や重症度などによって受けられるサービスの内容が異なります。詳細はお住まいの自治体へご確認ください。

 

経済的なサービス・制度

身体障がいのある方が受けることができる、経済的なサービスや制度について紹介します。


  • 障がい年金

病気やケガなどによって生活・仕事などに著しい制限がある場合に受け取ることができる年金です。障がい年金には「障がい基礎年金」「障がい厚生年金」があり、受け取るためには受給要件を満たす必要があります。


  • 更生医療

日常生活をよりおくりやすくすることを目的とした治療(身体障がい者の障がいを除去・軽減するための手術など)にかかる費用(自立支援医療費)に対して支給を受けることができる制度です。


  • 心身障がい者医療費助成制度

健康保険に加入している重度障がいのある方が病院へ受診したときの自己負担分を軽減するための医療費助成制度です。

 

日常生活用具/補装具の交付

日常生活をおくるのに必要な用具・補装具を給付(または貸与)する制度です。

※用具・・日常生活をサポートするためのもの(例:ストーマ装具、透析液加湿器など)補装具・・身体障がいのある方が装着することで機能を補完するもの(例:補聴器、義足、義眼など)

 

日常生活のサポート

  • 相談支援事業所

自立した日常生活や社会生活に向け、本人の希望や状況に合わせて、福祉サービスや人をつなげ、地域とのよりよい関係を築くサポートをおこなうサービスです。


  • 自立訓練(機能訓練)

障がいのある方が日常生活をよりおくりやすくなるよう、生活に関する相談、理学療法士などによるリハビリテーション、歩行・家事の練習などをおこなうサービスです。


  • 生活介護

常に介護を必要とする方へ、入浴や排泄、食事など日中活動をサポートするためのサービスです。具体的には自宅での入浴・排泄などをサポートする訪問系の「居宅介護」や、介護だけではなく創作活動などの機会も提供する日中活動系の「生活介護」、施設での入浴・排泄、食事などをサポートする施設系の「施設入所」などがあります。

 

身体障がいと仕事に関する制度

身体障がいのある方の働き方として、「就労継続支援(A型・B型)」・「障がい者雇用」・「一般雇用」があります。

 

就労継続支援(A型・B型)

通常の事業所に雇用されることが困難である方に対して、就労の機会や生産活動などの機会の提供、また、その他の就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練・支援をおこなう事業所となります。

 

障がい者雇用

障がい者雇用とは、分かりやすくいうと「障がい者求人に応募して雇用される」ことで、各企業が障がい者雇用促進法に基づいて障がい者雇用を実施しています。

 

障がい者雇用促進法とは、障がいのある方の雇用安定を実現するために定められたもので、具体的には障がいのある方が働きやすいようにサポートする(合理的配慮の義務)などのルールがあります。そのため、障がいのある方の特性や能力などに合わせた求人が多く、働くうえでのサポートが得られやすいことが特徴となっています。

 

一般雇用

一般企業の応募条件を満たせば、誰でも応募できる求人のことです。一般企業では「障がいを開示する働き方(オープン就労)」をされる方もいれば、「障がいを開示しない働き方(クローズ就労)」をされる方もいます。

 

身体障がいと仕事に関するサービス・支援

ここまで身体障がいのある方の働き方について紹介しましたが、実際に「働くうえで困っていることがある」「これからの働き方に迷っている」「配慮がなかなか得られない」といったようなお悩みがあるかもしれません。そのような働くことへのお悩みを相談できる支援機関などがあります。

ここでは身体障がいのある方が受けられる支援(仕事編)の一部を紹介しますので、ぜひ活用してみてください。

※お住まいの自治体、障がいの状況や重症度などによって受けられるサービスの内容が異なります。詳細はお住まいの自治体へご確認ください。

 

障がい者職業センター

都道府県に設置されている機関で、障がいのある方に対する職業リハビリテーション、就職支援、就労継続支援などをおこないます。

 

障がい者就業・生活支援センター

障がいのある方に対して就業面と生活面の一体的な相談・支援をおこない、自立・安定した職業生活の実現をサポートしています。

 

ハローワーク

ハローワークには障がいのある方のための「障がい者相談窓口」があります。専門の相談員によって障がいのある方の就職相談や求人探しなど幅広いサポートが受けられます。障がい者手帳がなくても相談することはできます。

まとめ

身体障がいは私たちの生活において重要な課題ですが、その支援や理解を深めることで、社会全体がより包摂的で支援の行き届いた場所となります。身体障がい者手帳や各種の福祉サービスを活用し、自立した生活と豊かな社会参加を目指しましょう。

 

参考

身体障がいとは?種類や症状・仕事や就職で利用できるサービスや支援機関をご紹介|LITALICOワークス

 


凸凹村や凸凹村各SNSでは、

障がいに関する情報を随時発信しています。

気になる方はぜひ凸凹村へご参加、フォローください!

 

凸凹村ポータルサイト

 

凸凹村Facebook

凸凹村 X

凸凹村 Instagram

凸凹村 TikTok


 

関連情報

みんなの障がいへ掲載希望の⽅

みんなの障がいについて、詳しく知りたい方は、
まずはお気軽に資料請求・ご連絡ください。

施設掲載に関するご案内