「障がい」とは?「障がい」の定義と「心のバリアフリー」について学ぶ
現在、『障がい』という言葉はテレビやインターネットのメディアで何度も目にしますよね。しかし、ひとえに障がいといっても大きくいくつかの障がいに分類されます。では、『障がい』とは何を指すのでしょうか?今回は大きく分けて6つの障がいについて解説します。
そもそも『障がい』とは?
『障がい』という言葉は、私たちが成長していく過程にある小学校や中学校などでも学んだり知ることがありますが、今はテレビなどでも大きく取り上げられることが増えてきました。では『障がい』とは、そもそも何なのでしょうか?
全般的な弊害があること
『障がい』とは身体的機能や知的機能等の器官が、何かの原因により動きづらかったり、全く動かない、または知能的機能が発達しづらいために、社会生活を送りにくくなってしまうように、全般的な弊害があることを指します。この『障がい』を有している人のことを『障がい者』と言います。
障がい者基本法の定義としては『身体障がい、知的障がいまたは精神障がいがあるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの』とされています。現在は大きく分けて『身体障がい』『知的障がい』『精神疾患・精神障がい』『発達障がい』『重複障がい』の5つに分けられます。しかし、実際に1つの大きなくくりの障がいであっても、特徴が異なる障がいがありますので、それぞれその人にあった支援を受けることが大切です。
それぞれの『障がい』の違い
身体障がい
身体障がいとは、先天的あるいは後天的な理由で身体上に不自由な障がいがある人のことを指します。手や足がなかったり動くことが出来ない場合の肢体不自由や、脳の障がいにより身体が動かしにくい脳性麻痺、目が見えなかったり極度に見えにくい視覚障がいなどがあります。
この他にも、耳が聞こえない、聞こえにくい聴覚障がいや呼吸が行いにくい呼吸器障がいなども含まれており、身体に関して一部が機能していないために生活に支障をきたしてしまう障がいを『身体障がい』と言います。身体障がいが認められる人には身体障がい者手帳が交付され、公的な支援を受けることが出来ます。
精神疾患・精神障がい
精神疾患・精神障がいとは、脳のある場所で器質的変化や機能的障がいが起こってしまい、精神的や身体的に多くの症状が起きてしまう障がいを指します。代表的な症状は、気分が落ち込んでしまったり意欲がわかないという『うつ』や、常に不安にかられてしまうなどが挙げられます。
精神疾患や精神障がいは周りから『忍耐力がない』『気の持ちようだろう』と軽く見られてしまうことも多く、理解してもらえないためにさらに深刻な状況に陥ってしまう可能性があります。精神障がいはあくまでも『障がい』ですので、脳の病気として周囲が理解することが大切です。
知的障がい
知的障がいとは、18歳までの発達期において知能的に遅れが見られる障がいになります。知的機能に何らかの原因があるために、理解、判断、思考、記憶、近くが全般的に遅れてしまいます。現在は知能テストでIQ70以下の場合と、社会生活に抵抗出来るかを測る適応能力テストの合計で知的障がいと診断されます。
軽度、中度、重度に分かれており、軽度であれば日常生活も送ることが出来、周囲の人も気が付かないことが多いですが、中度から重度になると、合併症を起こしていたりサポートなしには日常生活を送りにくくなります。
知的障がいと認知症は異なり、一度知的能力が発達したものの年齢と共に低下してしまう認知症は知的障がいには含まれません。
発達障がい
知的障がいと混同されがちですが、発達障がいの場合生まれつき脳の機能の発達に、かたよりがあるために日常生活に困難を感じてしまう障がいをさします。発達障がいには、自閉症スペクトラムや限局性学習障がいや注意欠陥多動性障がいなどがあり、それぞれに大きな特徴があります。発達障がいは得意な分野と苦手な分野の差が大きく、『発達のでこぼこ』と言われることもあり、苦手な分野が多いものの得意分野になると人並み以上の集中力などを発揮します。
発達障がいは軽度であれば大人になるまで気が付かないことも多く、仕事や日常生活を送る中で周りから変わっていると言われたり、仕事や対人関係で悩むことが多く、そこから二次障がいの精神疾患に陥ってしまうこともあります。発達障がいは、性格や育った環境ではなくあくまでも脳の障がいであることを理解することが大切です。
重複障がい
重複障がいとは身体障がいや知的障がい、精神障がいといったように、2つ以上の障がいを併せて有することを指します。対象になるのは『肢体不自由』『視覚障がい』『聴覚障がいまたは平衡機能障がい』『音声・言語障がいまたは咀嚼機能障がい』『内部障がい』『知的障がい』『精神障がい』の中から2つ以上が認められた場合です。
しかし、発達障がいの中から『自閉症スペクトラム』と『限局性学習障がい』等のように2つ以上の障がいを併せて有している場合にも、重複障がいと言われます。教育的にも、日常生活を送る上でもしっかりと支援が必要となる障がいです。
多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会
障がいの有無にかかわらず、女性も男性も、高齢者も若者も、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、誰もが生き生きとした人生を享受することのできる共生社会を実現しなければなりません。
この共生社会は、様々な状況や状態の人々がすべて分け隔てなく包摂され、障がいのある人もない人も、支え手側と受け手側に分かれることなく共に支え合い、多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会です。
過去において、障がいのある人が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視は共生社会においてはあってはならないものです。また、障がいのある人はかわいそうであり、一方的に助けられるべき存在といったステレオタイプの理解も誤りです。障がいのある人もない人も基本的人権を享有し、スポーツ活動や文化活動を含め社会生活を営む存在です。
人々の生活や心において「障がい者」という区切りがなくなること
障がいの有無にかかわらず、すべての人が助け合い、共に生きていく社会を実現するということは、人々の生活や心において「障がい者」という区切りがなくなることを意味します。
そのためには、まず、障がい者権利条約の理念を踏まえ、すべての人々が、障がいのある人に対する差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底していくことが必須です。
その上で、「障がい」は個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である、という「障がいの社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映させ、具体的な行動を変えていくことで、社会全体の人々の心の在り方を変えていくこと(「心のバリアフリー」)が重要です。
「心のバリアフリー」とは
「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要です。「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは以下の3点です。
- 障がいのある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障がいの社会モデル」を理解すること。
- 障がいのある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
- 自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。
※上記3の力については、中でも障がいのある人の尊厳を大切にし、合理的配慮を行うことができる力を身に付けるために、障がいについての基礎的知識や障がいの状態に応じた接し方(身体障がい者補助犬を同伴した人及び身体障がい者補助犬に対する接し方を含む)の基本の習得に取り組むべきです。
特に、情報を「受け取る」「理解する」「伝える」の各段階において障がいのある人がいることを十分に理解した上で、情報保障を行う等、そうした人が排除されることのないような社会を創りあげていく必要があります。
「障がい」はどこにある?
日本には、16人に1人、心身に機能の障がいがある人がいると言われています。その障がいもさまざまですが、果たして、「障がい」というのは、心身に機能障がいがあるので、その人にあって、困難が生じれば、その人は自分で乗り越えていかなければならないのでしょうか?
例えば、車いす使用者の方が、お店に入れなくて困っているとします。階段が狭い、入口の幅が狭い、バリアフリールートの案内がないなどによって、入れません。この方の「障がい」となってお店に入れないという困りごとを生じさせているのは、お店の環境づくりにも要因があるのではないでしょうか?
つまり、「障がい」は社会(モノ、環境、人的環境等)と心身機能の障がいとがあいまって、つくりだされているのです。すなわち、「障がい」は社会にあります。
「障がいの社会モデル」
「障がい=バリア」は、社会(モノ、環境、人的環境等)と心身機能の障がいがあいまってつくりだされているものであることを、『障がいの社会モデル』といいます。
※「障がいの社会モデル」に対して、障がいは個人の心身機能の障がいによるものであるという考えを「医学モデル」といいます。
この「障がい」を取り除き、また取り除くための手助けをして、差別を行わず、多様な人々とのコミュニケーションをする力を磨き、行動をすることが「心のバリアフリー」の目指す共生社会に求められています。
社会にある「バリア」によって生じている困りごとや痛みに『気づく』
社会にある「障がい=バリア」を取り除いていくには、心身に機能の障がいがある方が社会的障壁によって、どんな困りごとや痛みがあるのかに『気づく』ことが必要です。
ただし、心身の機能の障がいは多様であり、それぞれが感じる「バリア」は違います。心身の機能障がいの特性に対する理解を深めるとともに、障がい当事者とのコミュニケーションを通じて、困りごとがあるのかに気づくことが重要です。
何がバリアになって、どんな困りごとが生じてしまっているのか、あなたの職場、家庭、友人との語らいなどの環境の中での「バリア」をまずは考えることからはじめてみましょう。
共生社会をつくるために、具体的な行動を起こす
バリアに気づくことができれば、それを取り除くための「具体的な行動を起こす」だけです。自分ができることを考え、行動を起こしましょう。
まずは、自身の周囲に気を配り、多様な人々の困りごとや痛みを察知できる力を養うことからはじめましょう。そして、障がい当事者とのコミュニケーションを積極的に行って、何が必要なのかを理解することが重要です。
しかし、とりわけ日本の社会では、困っている人やその痛みに気づいても、無関心であったり、無関心を装ったり、遠慮をしてしまったりなど、心にバリアをつくってしまって具体的な行動が起こせない人が多いことが実情です。
しかし、あなたが具体的な行動を起こしていくことで、「心のバリアフリー」の目指す共生社会は実現します。自分は何ができるのかを具体的に考え、そして障がいをもつ方とコミュニケーションをとってバリアを解消するための行動を起こしましょう。
まとめ
障がいは大きく分けて『身体障がい』『知的障がい』『精神疾患・精神障がい』『発達障がい』『重複障がい』になります。それぞれ、日常的に困難な事があったり、機能しにくい箇所がある場合に障がい者として認定されます。どの障がいもしっかりと理解した上で、支援を行っていくことが大切です。
参考
『障がい』とは?『障がい』と定義される用語を解説|Dotline
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