障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説!
障がい者就労継続支援という言葉をご存知でしょうか?障がい者就労継続支援とは、障がい者総合支援法で定められた障がい者の就労をサポートするサービスの総称です。ここでは、障がい者就労継続支援の種類や内容について解説します。
3つの障がい者の就労支援サービス
障がい者が一般の企業での就労が困難な場合、どのような支援サービスを利用すればよいのでしょうか。障がい者総合支援法では、次の三つの支援サービスが定められています。
- 就労移行支援事業
このサービスは、一般就労を目指す障がい者がスムーズに職場に移行できるように支援するものです。職業訓練や職場実習を通じて、障がい者が就労に必要なスキルを身に付けることが目的です。
- 就労継続支援A型事業
A型事業は、障がい者が雇用契約を結び、働きながら訓練を受けることを支援します。利用者は賃金を受け取りながら、一般企業での就労を目指して訓練を受けます。
- 就労継続支援B型事業
B型事業は、雇用契約を結ばずに働く場を提供し、障がい者が自分のペースで働けるように支援します。利用者は工賃を受け取りながら、社会参加や生活の質の向上を目指します。
障がい者総合支援法とは
障がい者総合支援法は、「障がい者及び障がい児が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活または社会生活を営む」ことを目的とした法律です。この法律に基づき、国は「地域生活支援事業」などを通じて総合的な支援を行っています。
この障がい者総合支援法の理念に基づいて定められた支援サービスが、先述の就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業の三つです。本記事では、これら三つの支援サービスの違いや特徴について解説します。
(参考:https://www.shakyo.or.jp/news/pamphlet_201804.pdf)
就労継続支援とは
就労継続支援は、障がい者総合支援法の訓練等給付に位置づけられているサービスです。就労継続支援にはA型とB型があり、それぞれ異なる特徴があります。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能な障がい者に対して提供されるサービスです。このサービスでは、雇用契約を結ぶことで就労の機会を提供し、生産活動の機会も提供されます。また、就労に必要な知識や能力を向上させるための訓練やその他の支援も行います。
期間
就労継続支援A型の利用期間には制限がありません。「一般の事業所に雇用されることが困難」という前提があるため、継続的かつ福祉的な支援を要することから、期間に制限が設けられていません。
対象者
就労継続支援A型の対象者は以下の通りです。
- 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
- 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
- 就労経験があるが、現に雇用関係にない者
このサービスは原則として65歳未満が対象ですが、65歳以前に支給決定を受けている場合は継続利用が可能です。
条件
対象者のいずれかに該当し、サービス利用の希望がある場合、障がい支援区分の認定は不要です。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が難しい障がい者に対して提供されるサービスです。このサービスでは、就労の機会や生産活動の機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練なども行います。
期間
就労継続支援B型の利用期間には制限がありません。A型と同様に、「一般の事業所に雇用されることが困難」という前提があるため、継続的かつ福祉的な支援が必要とされることから、期間の制限が設けられていません。
対象者
就労継続支援B型の対象者は以下の通りです。
- 就労経験があるが、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難となった者
- 50歳に達している者または障がい者基礎年金1級受給者
- 上記の①または②に該当しないが、就労移行支援事業者等によるアセスメントで就労面に係る課題が把握されている者
条件
対象者のいずれかに該当し、サービス利用の希望がある場合、障がい支援区分の認定は不要です。
就労移行支援と就労継続支援の違いとは
出典:障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説
障がい者総合支援法において定められた就労移行支援と就労継続支援にはその支援の目的と、サービスを受けることができる対象者に大きな違いがあります。就労移行支援は、一般企業に一般枠又は障がい者枠で就職を希望する障がい者を対象に、就職のためのスキルを身につけることを目的としています。
それに対して就労継続支援とは、A型・B型共に現状では一般企業への就職に不安がある、または困難な障がい者を対象に、働く場を提供することが目的となっています。就労移行支援と就労継続支援A型及びB型には、このような大きな違いがあります。ここからは、それぞれの支援サービスの細かな内容を見ていきます。
就労移行支援とは
就労移行支援は、一般企業に一般枠または障がい者枠での採用を目指す障がい者に対して、就職に必要なスキルを身につけるための支援サービスです。これらのサービスを提供する施設は「就労移行支援事業所」と呼ばれます。
就労移行支援の対象者
- 精神障がい、発達障がい、身体障がい、知的障がい、または障がい者総合支援法の対象疾病を持っている人
- 障がい者手帳を持っていなくても、医師や自治体が支援サービスを受ける必要があると判断した場合
- 65歳未満の人
就労移行支援事業所を利用するには?
- 住んでいる自治体の福祉課などの窓口に相談
- 通所できる範囲内にある事業所の紹介
- 紹介された事業所を見学し、通所を希望する事業所を決定
- 必要書類を揃えて管轄している行政窓口に障がい福祉サービス受給者証を申請
- 受給者証が発行された後、希望する就労移行支援事業所と利用契約を結ぶ
就労移行支援事業所で受けられるサポート
- 希望する職種に就くための職業訓練
- 履歴書等の応募書類の添削や面接対策
- 就職に関する支援や相談、適性に沿った職場探しのアドバイス
- 実際の企業での職場実習
- 就職後の職場定着支援、長期就労に結び付けるための相談
就労移行支援事業所の利用料と利用期限
- 市町村民税課税世帯の通所者:月額9,300円
- 市町村民税課税世帯の20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:月額37,200円
- 利用期限:生涯で2年間まで
2年間で就職できなかった場合、自治体に申請すれば最長1年間の利用期間延長が認められることもあります。この2年間には就職後の定着支援は含まれません。
就労継続支援A型事業とは
就労継続支援A型事業とは、一般の企業への就職が難しい障がい者、またはそれに相当すると認められた人や難病を持つ人が、一定の支援を受けながら働くことができる事業所を指します。これにより、リハビリや訓練を兼ねて働くことが可能です。
平均賃金
最低賃金以上の給与が得られ、その平均賃金は約70,000円です。A型事業所で働くことは、リハビリや訓練の一環としても機能します。
利用料金
就労継続支援A型事業所では雇用契約を結び、一般的な就労形態に近い形で働けますが、収入によっては利用料金が発生することもあります。自己負担額は原則一割で、具体的には以下の通りです。
- 市町村民税所得割が16万円以下の障がい者:9,300円
- それより収入が多い世帯の障がい者や20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:37,200円
ただし、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯の障がい者は無料で支援サービスを受けられます。
対象者
就労継続支援A型事業の対象者は、精神障がい、身体障がい、知的障がい、発達障がい、難病を持つ18歳以上65歳未満の方で、主治医の了解が必要です。また、必ずしも障がい者手帳を持っている必要はなく、医師が利用の必要性を認めれば支援サービスを受けることができます。対象者の具体的な条件は以下の通りです。
- 就労経験はあるが現在は就労していない
- 就労移行支援事業所を利用したが一般企業に就職できなかった
- 特別支援学校を卒業後、就職活動を行ったが就職できなかった
障がいや難病の方が利用する場合、医師の判断に加え、仕事内容に見合った最低限の能力や体力が必要です。
就労日数・時間
就労継続支援A型事業所での勤務時間や曜日、日数は作業内容によって異なります。一般的には1日に4時間から8時間の勤務が行われ、週3日以上の就労が求められます。
作業内容
就労継続支援A型事業所の作業内容は多岐にわたります。例えば、以下のような職種があります。
- 飲食店での製造や提供
- 販売店での接客、販売、品出し
- パソコンによるデータ入力
- 商品の袋詰めなどの軽作業
- 工場での部品加工
多様な職種があることで、多くの就労機会が確保されています。
利用方法
就労継続支援A型事業所を利用するには、まず主治医と相談し、許可を得る必要があります。その後、希望する求人を探し応募します。面接を受けた後、採用が内定したら市区町村の窓口で就労継続支援A型事業所の利用申請を行い、受給者証の発行を受けます。その後、事業所と雇用契約を結び、通所が開始されます。就労継続支援A型事業所には利用期間の制限がなく、長期間にわたる利用が可能です。
就労継続支援B型事業とは
就労継続支援B型事業とは、一般の企業や就労継続支援A型事業所での就職が難しい障がい者、またはそれに相当する難病を持つ人が利用できる支援サービスです。以下では、対象者や利用方法などについて詳しく説明します。
対象者
就労継続支援B型事業の対象者は、以下の条件を満たす人です。
- 一般企業や就労継続支援A型事業所での就労経験があるが、年齢や体力面で就労が困難になった人
- 障がい基礎年金1級を受給している人
- 就労移行支援事業所などによる評価で、就労面の課題が把握されている人
これらの条件を満たしていれば、障がい者手帳がなくても医師の診断で利用が可能です。
利用料
就労継続支援B型事業所の利用料は、就労継続支援A型事業所と同額です。自己負担額は原則一割で、具体的には以下の通りです。
- 市町村民税所得割が16万円以下の障がい者:9,300円
- それより収入が多い世帯の障がい者や20歳以上の入所施設利用者、グループホーム・ケアホーム利用者:37,200円
ただし、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯の障がい者は無料で支援サービスを受けられます。
労働条件
就労継続支援B型事業所では雇用契約を結ばないため、自分のペースで働くことが可能です。例えば、一日一時間だけ、または週に一日だけといった柔軟な働き方ができます。これにより、A型事業所での就労が困難な方でも働くことができます。
平均賃金
就労継続支援B型事業所で得られる工賃は、最低賃金が保証されるA型事業所とは異なり、一日いくらと決まっている事業所や、作業の成果に応じて工賃が支払われる事業所などさまざまです。平均工賃が3,000円を上回ることが事業所指定の要件となっています。事業者は平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事に報告し、公表する義務があります。
作業内容
B型事業所の作業内容は、A型事業所と比較すると軽度な作業が多いです。具体的には、以下のような作業があります。
- ボールペン等の組み立て
- 商品の袋詰め・値付け
- 農作業
- サービス利用方法
就労継続支援B型事業所の利用方法は以下の通りです。
- 主治医に相談し、許可を得る
- 希望の事業所を探し、相談
- 市区町村の窓口に利用申請を行い、受給者証を発行してもらう
- 事業所で正式な手続きを行い、利用開始
利用期間
就労継続支援B型事業所の利用期間には制限がなく、長期間にわたって利用可能です。
まとめ
ここまで就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の違いについて解説してきました。障がい者総合支援法によって定められたこれら3つの支援サービスの内容と、その違いについてお判りいただけたと思います。これらの違いをよく把握し、自分に必要な支援を行ってくれる事業所を選んで支援サービスを受けるようにしましょう。
参考
障がい者就労継続支援とは?支援サービスの種類や内容について解説
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