厚生年金加入者のための障がい厚生年金ガイド:厚生障がい年金を請求するための手続き
厚生年金に加入していた方が病気やケガで「1級・2級・3級」に該当した場合、厚生障がい年金の手続きについてご説明します。
厚生障がい年金を受け取るには、診断書や書類の準備に時間がかかります。請求書類を提出してから結果が出るまでには通常3〜4カ月かかります。さらに、支給が決まってから実際に障がい年金が振り込まれるまでにも約2カ月程度かかります。
請求が遅れると、受給できる金額が減少する可能性があるため、早めの手続きが重要です。
受給要件を満たしているか確認する
まず、厚生障がい年金の受給要件を確認しましょう。
次に、保険料納付要件を満たしているかどうかが分からない場合には、年金事務所や年金相談センター、市区町村役場の国民年金課で調べることができます。
満たしていることが確認できたら、その場で障がい年金の請求に必要な書類を受け取りましょう。または、日本年金機構のホームページから書類の雛形をダウンロードすることもできます。
初診日を証明する書類を揃える
まず、初診日を証明する書類を揃えましょう。
初診日とは、障がいの原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日を指します。その際、医療機関にて「受診状況等証明書」という書類を取得しましょう。
ただし、初診の医療機関と後で診断書を作成する医療機関が同じ場合には、この書類は不要です。
障がいの状態が分かる診断書を医師に書いてもらう
障がいの状態が分かる診断書を、医師に書いてもらいます。
この診断書は、障がいの程度を確認するための重要な客観的資料となり、障がい年金の審査でも最重要視されるものです。
診断書には以下の8種類があり、病気やケガの障がいが出ている部位によって診断書を使い分けてください。
- 眼の障がい用(様式第120号の1)
- 聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障がい用(様式第120号の2)
- 肢体の障がい用(様式第120号の3)
- 精神の障がい用(様式第120号の4)
- 呼吸器疾患の障がい用(様式第120号の5)
- 循環器疾患の障がい用(様式第120号の6-(1))
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障がい用(様式第120号の6-(2))
- 血液・造血器・その他の障がい用(様式第120号の7)
病歴・就労状況等申立書を作成する
次に、「病歴・就労状況等申立書」を作成しましょう。
この書類は、障がいの原因となった病気やケガについて、発病したときから現在までの経緯をまとめて説明するものです。受診期間や治療の経過、医師からの指示内容、日常生活の状況、そして就労状況などを詳細に記載します。
その他の必要書類を用意する(住民票など)
その他、住民票や受取先口座の通帳など、障がい年金の請求手続きに必要な書類を用意します。
全員
- 基礎年金番号が確認できる書類(基礎年金番号通知書・年金手帳など)
- 生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本、住民票など)
- 受取先金融機関の通帳など
配偶者または18歳到達年度末までのお子様(20歳未満で障がいの状態にあるお子様を含む)がいる方
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 配偶者の収入が確認できる書類
- 子の収入が確認できる書類
障がいの原因が第三者行為の方
- 第三者行為事故状況届
- 交通事故証明または事故が確認できる書類
- 確認書
- 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類
- 損害賠償金の算定書
- 損害保険会社等への照会に係る「同意書」
※その他、本人の状況によって必要となる書類があるケースがあります。
年金請求書と必要書類を提出する
ここまでに準備した必要書類を添えて、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障がい給付)様式第104号」を、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
約3〜4カ月で審査の結果が届く
請求書類を提出後、日本年金機構がそれを審査し、「障がい年金を支給するか」を判断します。この審査には約3〜4カ月かかり、結果は自宅に通知されます。
支給が決定されると、「年金証書」と「決定通知書」が送られてきます。その後、約1〜2カ月後に最初の障がい年金が口座に振り込まれます。
一方、支給されない場合は「不支給決定通知書」が送られてきます。この場合、審査結果に納得できない場合は、不服申し立て(審査請求)が可能です。
障がい者が受け取れる厚生年金についてのQ&A
ここからは、障がい者が受け取れる厚生年金について、多くの方が疑問に思うポイントについて、よくある質問と答えの形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。
Q.障がい年金と老齢年金を両方受け取ることはできるの?
A.65歳以降になって、障がい基礎(厚生)年金を受けている方が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
出典:日本年金機構|年金の支給に関すること>年金の併給または選択
(1)障がい基礎年金+障がい厚生年金を受け取る
(2)老齢基礎年金+老齢厚生年金を受け取る
(3)障がい基礎年金+老齢厚生年金を受け取る
ただし、障がい基礎年金と老齢基礎年金の組み合わせで受け取ることはできません。
自分のケースではどの年金を受け取るとお得になるかを計算した上で、どの年金を受け取るかを選択しましょう。
Q.働きながら障がい年金も受け取ることはできるの?
A.障がい年金の受給は、障がいの状態により個別に認定審査を行うため、一概に受給が継続できるとは限りません。しかし、働きながら障がい年金を受け取っている方もいます。実際、2019年時点では、障がい年金受給者の約半数が仕事をしている状況です。
障がい年金の受給条件には「就労の有無」は含まれていないため、「働いているから支給が停止される」ということはありません。
ただし、障がい年金は「病気やケガで生活や仕事などが制限される場合に受け取ることができる年金」です。
障がいが以前よりも軽くなった場合、障がい年金の認定審査(1〜5年周期)のタイミングで、支給が停止されたり減額されたりするケースがあります。
振り返り
本記事では「厚生年金加入中の障がい者がもらえる年金」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
厚生年金加入中に障がい認定(1〜3級)を受けた場合、障がい厚生年金が受け取れる
- ただし、一定期間以上の加入期間があり、国民年金の保険料を一定期間以上しっかり払っていることが条件がある
厚生年金に加入中に障がい者になった方がもらえる年金の一覧
- 障がい等級1級・2級の方:障がい基礎年金+障がい厚生年金がもらえる
- 障がい等級3級の方:障がい厚生年金がもらえる
- 障がい等級3級よりも軽い障がいの方:障がい手当金(一時金)がもらえる
障がい厚生年金・障がい手当金の金額
- 厚生年金に加入していた方が障がい認定された場合の、障がい厚生年金および障がい手当金の金額は、障がいの程度によって異なる
厚生障がい年金を請求するための手続きステップ
- 受給要件を満たしているか確認する
- 初診日を証明する書類を揃える
- 障がいの状態が分かる診断書を医師に書いてもらう
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- その他の必要書類を用意する(住民票など)
- 年金請求書と必要書類を提出する
- 約3〜4カ月で審査の結果が届く
障がいの状態にもよりますが、障がい年金をもらいながら就労している障がい者も多くいます。
まとめ
厚生障がい年金の手続きは複雑で、時間がかかることもありますが、正確な情報と早めの行動が重要です。また、障がい者が働きながら障がい年金を受け取ることも可能ですが、状況によっては支給が停止される可能性もあるため、定期的な審査や情報の更新が必要です。障がい者とその家族が適切な年金を受け取るために、情報の共有やサポートが重要です。
参考
障がい者が受け取れる厚生年金は?加入者が知るべき年金種別と受給条件
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