障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:精神障がい
内閣府の「障がい者の状況」によると、1,000人あたり49人が精神障がいを抱えているとされており、その数は決して少なくありません。この統計は、精神障がいが我々の身近な存在であることを示しています。そのため、社会全体がこの問題に対処し、適切な支援や理解を提供することが重要です。
精神障がい
精神障がい者は、以下のように分類できます。
- 統合失調症
- 気分障がい
- 非定型精神病
- てんかん
- 中毒精神病
- 器質性精神障がい(高次脳機能障がいを含む)
- 発達障がい
統合失調症の理解を深める
統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が現れる疾患で、生活を著しく困難にすることがあります。その症状は以下の通りです。
統合失調症の症状
■陽性症状
- 幻聴や自己批判の声が聞こえること
- 現実と異なる信念を強く持つこと
- 被害妄想にとりつかれること
- 自己中心的な考え方
■陰性症状
- 意欲の低下や興味の喪失
- 疲労感や集中力の低下
- 日常生活への関心の低下
これらの症状が現れると、統合失調症の人は考えをまとめるのが難しくなり、社会との関わり合いも困難になることがあります。
統合失調症の原因は完全には解明されていませんが、発症率は比較的高く、約100人に1人がこの疾患にかかると推定されています。
統合失調症の精神障がい者への配慮ポイント
- 社会との接点を保つことが治療に役立つため、病気を理解し、その人が仕事に就くことを支援する。
- ストレスや環境の変化に敏感なため、ストレスの少ない環境で同じ仕事を続けられるよう配慮する。
- 情報の過剰な提示は混乱を招く可能性があるため、整理された情報をゆっくりと具体的に伝える。
- 症状が悪化したときは無理をさせず、休憩を取ったり、速やかに主治医を受診するよう促す。
統合失調症の人に接する際は、「やる気がない」「目も合わせない」といった印象にとらわれるのではなく、病気を理解し、適切なサポートを提供することが大切です。
気分障がい
気分障がいとは、主に気分の波が現れる病気のことで、症状は以下の通りです。
■うつ状態
- 気分が強く落ち込む
- 何事にもやる気が出ない
- 疲れやすい
- 考えが働かない
- 自分が価値のない人間のように思える
- 死ぬことばかり考えてしまい、実行に移そうとする
■躁状態
- 気持ちが過剰に高揚する
- 普段ならあり得ないような浪費をする
- ほとんど眠らずに働き続ける
- ちょっとしたことにも敏感に反応し、他人に怒りっぽくなる
- 自分は何でもできると思い込んで、人の話を聞かなくなる
気分障がいの人々は、日々の気分の波に苦しみながら生活しています。配慮とサポートが必要なときに提供されると、彼らはより健康的な生活を送ることができます。
気分障がいの精神障がい者への配慮ポイント
- うつ状態のときは無理をさせず、休憩したり、早退できるようにする。
- 躁状態のときは、安全管理に気を付ける。
- 自傷行為や自殺念慮の可能性がある場合は、本人の安全を最優先に考え、専門家に迅速に相談する。
薬物療法の継続は症状の改善に不可欠です。そのため、症状が見られる際には無理をせず、安全面に配慮することが大切です。
非定型精神病
非定型精神病とは、ストレスによって急に発症して、統合失調症や気分障がいのような症状が出るものの、比較的短期間で症状が治まる病気のことで、以下のような症状が見られます。
非定型精神病の症状
■初期
- 不眠・不安などの状態が続く
- 躁状態から急にうつ状態になることが多い
■症状が進むと
- 幻聴か聞こえる
- 突然意識が混とんする
- 夢の中にいるような状態になる
非定型精神病の精神障がい者への配慮ポイント
- ストレスが原因のため、その人にストレスがかかりにくい環境で、同じ仕事内容を続けられるようにする。
- 症状が短い間隔で変動しやすいため、様子を見守る。
- 比較的短期間で寛解状態に至るので、症状が出ているときは無理させず、休憩や早退できるようにする。
病気を理解し、早く症状が落ち着くように、できるだけストレスがかかりにくい職場作りをサポートすることが大切です。
てんかん
てんかんは、脳の一部が一時的に過剰に興奮することで発作が起きる病気です。発作には以下のような症状が見られます。
てんかんの発作で見られる症状
- けいれんを伴う
- 突然意識を失う
- 意識はあるが、認知の変化を伴う
しかし、発作が起こっていないほとんどの時間は、普通の生活が可能です。
てんかんの精神障がい者への配慮ポイント
- 発作がコントロールされている場合は、過剰に制限しないことが大切です。彼らが普通の生活を送れるようにサポートしましょう。
- 発作が起こる可能性がある場合は、高所作業や刃物を使った作業を避けるよう配慮しましょう。安全面を考慮して行動しましょう。
- 発作が起こってしまった場合は、まず本人の安全を確保し、その後で専門機関に相談することが重要です。彼らが安心して適切な対応を受けられるようサポートしましょう。
てんかんのある人のうち70~80%は内服治療で発作をコントロールしているため、彼らのコントロール状況を確認することが重要です。
中毒精神病
中毒精神病は、アルコールや睡眠薬、シンナーなどの薬物を過剰に摂取することで引き起こされる精神障がいです。以下はその症状です。
中毒精神病の症状
- 意識障がい
- 躁うつ状態
- 幻覚や妄想状態
この状態になると、摂取を繰り返さないと満足できない依存症に陥ることがあります。これは家庭生活や社会生活に悪影響を及ぼすことがあります。
中毒精神病や依存症の精神障がい者への配慮ポイント
- 本人が病気だという認識を持っていない場合があるため、専門機関への受診を促すことが重要です。
- 他者から非難されると、現実から逃れるためにアルコールや薬物に一層依存する可能性があるため、アドバイスは控えましょう。
- 一度症状がおさまっても、再発する可能性があるため、根気よく見守ることが必要です。
相手を非難せず、専門機関の治療や助言に頼り、根気よくサポートすることが大切です。
器質性精神障がい
器質性精神障がいは、脳が損傷することによって引き起こされる精神障がいで、様々な症状が現れます。
器質性精神障がいの症状
■記憶障がい
- 短期記憶が弱く、すぐに忘れることがある
- 新しい情報や出来事を覚えられない
- 同じことを何度も尋ねることがある
■注意障がい
- 集中力が続かず、簡単に気が散る
- ぼんやりしており、ミスが多い傾向がある
■遂行機能障がい
- 計画を立てて実行する能力が低く、物事の順序を立てられないことがある
- 効率的な作業が難しく、タスクの遂行が困難になることがある
■社会的行動障がい
- 些細なことで怒りっぽくなり、興奮することがある
- こだわりが強く、自分の意見や欲求を主張する
- 我慢ができず、欲しいものを即座に求めることがある
- 思い通りにならないと感情的になり、時には暴力を振るうことがある
病識欠如も起こり、自身の問題に気づかず、行動に問題を生じさせることがあります。さらに、失語症や運動障がい、感覚障がいなどの症状が同時に現れることもあります。外見からはわかりにくく、「見えない障がい」とも言われます。
器質性精神障がい者への配慮ポイント
■記憶障がい
- 手がかりがあると思い出しやすいので、手帳やメモ、アラームを利用してもらう
- 器質性精神障がい発症前の知識や経験を活かす
■注意障がい
- 短時間なら集中できる場合があるので、こまめに休憩時間を設ける
- ミスを防げるように、順番を決めて仕事に取り組んでもらう
■遂行機能障がい
- 手順を書いた紙を目に付くところに掲示する
- スケジュール表を見ながら行動してもらったり、チェックリストを利用する
■社会的行動障がい
- 感情をコントロールできないときは、話題や場所を変える
- 事前に話し合ってルールを決めておく
その人に合わせて配慮すれば、トラブルが起こりにくくなるでしょう。
まとめ
精神障がいは多様であり、その中には統合失調症、気分障がい、中毒精神病、器質性精神障がい、そして非定型精神病など、さまざまな病態が含まれます。これらの症状は、個々の人々によって異なりますが、理解と配慮がその人々がより豊かな生活を送るための重要な要素であることは間違いありません。
参考