障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:身体障がいPart1
障がいの分類には多様なアプローチがありますが、一般的には身体障がい、知的障がい、そして精神障がいの3つに区分されます。身体障がい者は、外見からでも判断できる場合もありますが、他の障がいについてはその特徴や分類がなかなか理解しづらいものです。
身体障がいの種類
身体障がい者は視覚障がいや聴覚障がい、言語機能障がい、肢体不自由などに分けられます。その一方で、内部障がいには心臓や肝臓、ぼうこうなどの機能障がいも含まれます。
このような分類を把握することは、それぞれの障がい者のニーズや支援方法を理解しやすくする上で重要です。
障がい者を支援する上で原因や社会的な背景も理解することが重要
障がい者の定義に基づく「障がい者基本法」は、障がい者の理解を心身機能の個別の問題だけでなく、社会の仕組みや環境によるものと捉え、それを解決することが重要であるという考え方を反映しています。
この法律は、障がい者の支援と社会参加の促進を目的としており、個々の障がいの種類だけでなく、その原因や社会的な影響も考慮しています。
したがって、障がい者を支援する上で、障がいの種類だけでなくその原因や社会的な背景も理解することが重要です。それにより、より適切な支援や配慮が可能になります。
この記事では、障がいの種類ごとに部位や症状を紹介するだけでなく、障がいのない人が適切に理解し、配慮するためのポイントも提供します。また、障がい者手帳の種類や等級についての情報も含まれており、これらを理解することで、障がい者のニーズや支援方法をより具体的に把握することができます。
障がいの種類
障がいの種類は、障がい者基本法に基づいて身体、知的、精神の3種類に分類されます。
- 身体障がい者は、身体的な障がいによって生活や社会活動に制限が生じる人々です。視覚障がいや聴覚障がい、または肢体不自由や内部障がいなどが該当します。
- 知的障がい者は、知的機能の発達が遅れたり低下している人々であり、その程度によって軽度から最重度まで分類されます。
- 精神障がい者は、精神的な問題によって社会生活に支障をきたす人々です。統合失調症や気分障がい、器質性精神障がいなどが含まれます。
これらの障がいの種類を理解することで、個々の障がい者のニーズや適切な支援方法を把握することが重要です。
身体障がい
身体障がい者は、さまざまな身体機能に障がいがあることによって分類されます。見た目では分からない内部機能にも障がいがある場合があります。以下に、身体障がい者の分類とその原因を示します。
身体障がい者の分類
- 視覚障がい
- 聴覚・平衡機能障がい
- 音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい
- 肢体不自由
- 上肢不自由
- 下肢不自由
- 体幹機能障がい
- 脳原性運動機能障がい
- 内部障がい
- 心臓機能障がい
- じん臓機能障がい
- 呼吸器機能障がい
- ぼうこう・直腸機能障がい
- 小腸機能障がい
- HIV免疫機能障がい
- 肝臓機能障がい
これらの分類は、先天的な機能不全や後天的な疾患、交通事故などによって引き起こされます。初めて目にすると、身体障がいがこれほど多様であることに驚くかもしれません。
身体障がいの分類別原因
身体障がいの種類ごとに、それぞれ異なる原因が存在します。
■ 視覚障がい
- 先天的なもの:網膜色素変性症、先天性白内障、未熟児網膜症、網膜細胞芽腫など
- 後天的なもの:糖尿病による血管損傷による網膜症、緑内障、加齢黄斑変性、脳障がいによる大脳へのダメージなど
■ 聴覚・平衡機能障がい
- 先天的なもの:母体の妊娠期間中の風疹感染など
- 後天的なもの:慢性化膿性中耳炎、老人性難聴、音響外傷、メニエール病など
■ 音声・言語・そしゃく機能障がい
- 無咽頭、咽頭や構音器官に障がいがある
- 聴覚障がいがあるために音声言語が獲得できない失語症
- 筋肉、神経の障がいや、傷病による口や咽頭の機能消失など
■ 肢体不自由
- 先天的な奇形や機能不全
- 後天的な脳疾患や事故による四肢の切断など
■ 内部障がい
- 心臓疾患による機能低下
- 腎疾患
- 呼吸器機能障がい
- 尿路変更ストマや腸管ストマ造設などによる、ぼうこうや直腸機能障がい
- 小腸機能障がい
- HIVによる免疫機能障がい
- 肝炎、肝硬変、肝臓がんによる肝臓機能障がい
これらの原因によって、身体障がい者が様々な症状を抱えています。そのため、接する場面も多く、理解を深める必要があります。内閣府の報告によれば、身体障がい者の概数は436万人で、その数は知的障がい者や精神障がい者と比較しても多いです。
身体障がい者福祉法では身体障がい者はさらに以下の5種類に分類されます
- 視覚障がい
- 聴覚・平衡機能障がい
- 音声機能・言語機能・そしゃく機能障がい
- 肢体不自由
(上肢不自由・下肢不自由、体幹機能障がい、脳原性運動機能障がい)
- 内部障がい
(心臓機能障がい、じん臓機能障がい、呼吸器機能障がい、ぼうこう・直腸機能障がい、小腸機能障がい、HIV免疫機能障がい、肝臓機能障がい)
これらの分類は、身体障がい者のニーズや特徴に基づいています。障がいの内容や特徴と合わせて、配慮すべきことについてもご説明しますので、参考にしていただければ幸いです。
視覚障がいの種類
視覚障がい者は、以下の4つの種類に分類されます。
■ 視力障がい
- 視覚的な情報を全く得られないか、ほとんど得られない状態
- 文字の拡大や視覚補助具の使用によって保有する視力を活用することができる
■ 視野障がい
- 見える範囲が狭くなったり、一部が欠けたりする状態
- 球心性視野狭窄(中心しか見えない)
- 中心暗転(周囲はぼんやり見えるが、中心が見えない)
■ 色覚障がい
- 特定の色が見えにくい、区別しにくいなどの状態
■ 光覚障がい
- 夜や暗い場所では何も見えない
- 光を眩しいと感じたり、痛みを感じる
さらに2つの状態に分類
これらの障がいによって、視覚障がい者はまったく見えない人から日常生活に制限を受ける見え方をしている人まで様々な状態に分かれます。
視覚障がい者は、盲と弱視というさらに2つの状態に分類されます。
■ 盲
明暗の区別はつくが、目の前の指の数程度しかわからないなど、視力が極端に低い状態
■ 弱視
- 視力が低い
- 見える範囲が狭い
- 明るい場所では見えるが、暗い場所では見えにくいなどの状態
視覚障がい者への配慮ポイント
視覚障がい者に対する配慮ポイントは以下の通りです。
■ 視力がほとんどない場合
- 点字のディスプレイがついたパソコンや、音声読み上げソフトなどの利用を考える
- 障がい者作業施設設置等助成金を活用し、視覚補助具の購入を検討する
- 歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
- 危険な場所には予め警告を表示する
■ 保有する視力を活用できる場合
- 視覚障がい者用パソコン画面の拡大ソフトや、拡大読書器などの視覚補助具の利用を考える
- 同様に、障がい者作業施設設置等助成金を活用し、視覚補助具の購入を検討する
- 歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
- 危険な場所には予め警告を表示する
■ 近いところが見えない、部分的に見えない場合
- 歩行中につまずきやすいため、通路には障がい物を置かないようにする
- 危険な場所には予め警告を表示する
■ 特定の色が見えにくい場合
- 見やすい色に変更する
- 文字で情報を補足する
■ 暗いところで見えにくい場合
- 座席の配置や照明の位置を変更して、明るい環境を提供する
■ 光を眩しい、痛いと感じる場合
- 座席の配置や照明の位置を調整し、眩しい光を避けるようにする
- サングラスの着用を認め、必要に応じて提供する。
視覚障がい者とのコミュニケーション
コミュニケーションの際には、以下のポイントに留意して、視覚障がい者との円滑なコミュニケーションを図りましょう。
- 名乗りを先に伝える:話しかける際には、まず自分の名前を名乗りましょう。これによって相手が誰と話しているのかを把握しやすくなります。
- 物の説明は具体的に:物の説明をする際には、大きさや色などの具体的な情報を伝えるようにしましょう。視覚障がい者にとって、物の形や色は重要な情報源です。
- 状況の説明は具体的に:状況や方向を説明する際には、「あっち」「こっち」といった漠然とした表現ではなく、具体的な方向や位置を示すようにしましょう。たとえば、「左側の机の上に書類があります」といった具体的な指示が役立ちます。
これらの配慮ポイントは一例ですが、視覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にするために、できるだけ配慮を行うことが大切です。
まとめ
障がい者の種類ごとに異なるニーズや配慮が必要ですが、それぞれの個性を尊重し、包摂的な社会を築くためには、理解と配慮が欠かせません。障がいの種類や原因に関わらず、個々の人の尊厳を尊重し、適切な支援や配慮を提供することが、社会の課題に真摯に向き合う第一歩です。
参考