【令和3年度報酬改定】重度障害者等包括支援
重度障害者等包括支援の令和3年度障害福祉サービス等報酬改定では、重度障害者等包括支援の対象者要件が見直されたり、加算が細かく区分されたりといった変更がされます。 令和3年2月4日に発表された、報酬改定の内容をまとめたので、ご参考ください。
重度障害者等包括支援の改定内容
重度障害者等包括支援の報酬改定のポイントは以下になります。
・対象者の判定基準を見直し
・医療連携体制加算の見直し
・福祉・介護職員に関する加算の見直し
・地域生活支援拠点等の緊急時の対応を評価
・身体拘束などの適正化
● 対象者の判定基準を見直し
重度障害者等包括支援で支援される障がい者の判定基準が見直されます。 認定調査項目「1群 起居動作」のうち、「寝返り」だけでなく、「起き上がり」や「座位保持」に「全面的な支援が必要」と認定された障がい者も支援の対象になります。
● 医療連携体制加算の見直し
医療連携体制加算の報酬単位は、看護職員が看護する利用者数や、医療的ケアがあるかどうか等で細かく区分されるようになりました。 また原則、利用者を診察している主治医から個別に受けるものを「医師からの指示」とすることを明確にしなくてはいけません。
● 福祉・介護職員処遇改善加算・処遇改善特別加算の見直し
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)と、福祉・介護職員処遇改善特別加算は、1年間の経過措置を設けて、廃止になります。
また加算率の算定方法は、障害福祉サービス等経営実態調査にある従業者数や報酬請求事業所数を用いて、加算率が算定されることに。
類似する複数のサービスはグループ分けし、加算率を算定。
重度障害者等包括支援の加算率は以下になります。
(Ⅰ)所定単位数× 8.9%
(Ⅱ)所定単位数× 6.5%
(Ⅲ)所定単位数× 3.6%
職場環境要件も変更されました。
職場環境の改善につながる取り組みは、当該年度に実施することを求められます。
ただし、継続して処遇改善加算を取得している事業所は、当該年度に実施できない正当な理由がある場合、例外的に前年度の取り組み実績で要件を満たすことができます。
● 福祉・介護職員等特定処遇改善加算の見直し
福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルールが見直されます。
経験・技能のある障害福祉人材は、ほかの障害福祉人材の平均引き上げ額を「2倍以上とすること」としているルールを、「より高くすること」に。
また福祉・介護職員等処遇改善加算と同じく、類似している複数のサービスはグループ分けして加算率が決められます。
重度障害者等包括支援の加算率は、「所定単位数× 6.1%」です。
● 地域生活支援拠点等の対応を評価
市町村に「地域生活支援拠点等」と認められた事業所が緊急時の対応をおこなうと、以下の単位が加えられます。
地域生活支援拠点等に係る加算・・・ +50単位/回
また短期入所をおこなう重度障害者包括支援は、緊急時の受け入れがなくても、「地域生活支援拠点等に係る加算」により、1日に100単位あたえられます。
指定短期入所等の利用を開始した日から加算されます。
● 身体拘束などの適正化
事業の運営基準に、身体拘束に関する要件が新設されます。
①身体拘束をおこなうときは、その態様や時間、利用者の心身の状況、やむを得ない理由、そのほか必要な事項を記録すること。
②身体拘束の適正化のための対策検討委員会を開き、委員会の検討結果を徹底して従業員へ周知すること。
③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
④従業者へ、身体拘束等の適正化のための研修を定期的におこなうこと。
①は令和3年度から義務化、②~④は1年間の準備期間を設け、令和4年度から義務化されます。
また令和5年4月からは、①~④を実施していない訪問系サービスには「身体拘束廃止未実施減算」が適用されます。身体拘束廃止未実施減算は、基本報酬が1日ごとに5単位減算されるという制度です。早め早めに体制を整えていきましょう。
まとめ
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定では、重度障害者等包括支援の対象が広くなり、障がい者が支援を受けやすくなりました。
このほか全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめているので、ご覧ください。
▼参考