ウェブアクセシビリティは民間企業も義務に。ウェブアクセシビリティとは?どのような工夫が必要?
ウェブアクセシビリティは民間企業も義務に。ウェブアクセシビリティとは?どのような工夫が必要?
障がい者と健常者では見え方が異なります。視覚障がいがある方には、音声で文字を読み上げる機能が必要になりますね。
また視覚や聴覚の問題だけではなく、知的障がい者や発達障がい者にも情報格差は起こります。文字が小さくギュッとつまっているようなレイアウトだと、情報を見逃しがちになったり、色のコントラストによって過敏な感覚を刺激してしまったりします。
こうした発達障がい者の方にも合わせた、ウェブアクセシビリティの基準としたものを国が出しているので、そちらもあわせて、ウェブアクセシビリティとはなにか、見やすくする工夫は何が必要かを見ていきましょう。
ウェブアクセシビリティとは?
ウェブアクセシビリティとは、障がい者や高齢者に関わらず、すべての人がウェブからの情報を得やすくすることです。視覚に障がいがある方にはウェブで音声で案内したり、身体に障がいがある方はキーボードやマウスだけで操作ができるような簡単な作りにする必要があります。
ウェブアクセシビリティは、障がい者差別解消法に定められており、2016年4月に施行されました。2021年に改正し、民間企業も「努力義務」から「義務」になります。2024年には、ほとんどのウェブサイトがウェブアクセシビリティに対応していなくてはいけません。
ウェブアクセシビリティの達成基準は『JIS X 8341-3:2016』
ウェブアクセシビリティに対応しているかどうかは、『JIS X 8341-3:2016』をつかって審査することができます。
『JIS X 8341-3:2016』のJISは「工業標準化法」に示されている国家規格であり、ウェブコンテンツをすべての人が利用できるようにすることを定めています。
審査の達成基準として、レベルA、レベルAA、レベルAAAの3つのレベルが設けられています。
レベルAA(13項目):諸外国でも公的機関に求められるレベル
レベルAAA(23項目):必ずしもこのレベルに達成する必要はないが最高レベル
公的機関は「レベルAA」になることを推奨されており、民間企業が運営するサイトは「レベルA」または「レベルAA」を一部達成することが求められています。
ウェブアクセシビリティに対応したサイトにするには?
『JIS X 8341-3:2016』は、
①知覚可能
②操作可能
③理解可能
④堅ろう
の4分野で達成基準を定めています。
知覚可能の達成基準
企業に最低限必要となっているレベルAに該当するのは、
- 音声や映像には字幕をつける
- 音声や映像は自動再生しないようにし、停止や非表示、音量操作機能などを付ける
- 代替テキストを用意する
- 関連のある情報をわかりやすい順序で記載している
- 必須項目が赤字で表示されるなど、色でわかりやすくした方法がわからない人に向けて、テキストなどで情報を提供するなど別の方法を追加する
などになります。
レベルAAには、
- 感覚過敏などが刺激されるような強いコントラストの色は使わない
- 文字のサイズを変更する機能がある
- 文章を画像化して、引用などをわかりやすくする
などがあります。
操作可能の達成基準
- キーボードだけで操作ができる
- 動きのある映像や音声などを一時停止または非表示にすることができる
- 強い光や点滅表示が3回以下、またはしきい値以下である
- ブロックスキップができる
- ページの内容がわかりやすい見出しをつける
- リンク先の内容がわかりやすいリンク本文をつける
- リンクには下線などをつかってわかりやすくする
- 自動で画像が切り替わるなど時間制限付きのメディアを使用しない
などがレベルAの達成基準になります。
強い光や点滅表示は、光感受性てんかんを引き起こすおそれがあるので、サイトに表示しないことが推奨されています。
「キーボードだけで操作できる」のは、たとえばキーボードのタブを押して、次の入力項目に移動できることなどを指します。
ブロックスキップとは、目次のように、サイトに各リンクなどを設置して、閲覧したいコンテンツにすぐに移動しやすくする機能のことです。PC向けフェイスブック上部にに設定されています。
理解可能の達成基準
読みやすいこと、予測が可能であること、入力がしやすいことが求められます。
- ページの言語がどの言語かプログラムでわかる
- 入力フォームに記載するテキストは、
- 何を入力すればよいのかがわかる名称を項目につけている
- 入力エラーが表示されたときにどこにエラーが発生したのかテキストで説明している
- ウェブページの表示や操作を予測可能なものにする(リンク名と異なるページが表示されるなど予測不可能なことはしない)
などがAの基準になります。
エラーをどのように修正するのかをテキストで表示したり、各入力項目にテキストなどで説明文を設けたりすると、レベルAAを達成できます。
堅ろうの達成基準
堅ろうは、サイトの互換性が審査される項目になります。
- 音声認識ソフトウェアやスクリーンリーダーなど、障がいのある方が利用するソフトが機能するように対応している
- 音声認識ソフトウェアなどの情報機能が正しく読み取れるようにしている
以上がAの達成基準です。
そのためにはタグを正しくつかったり、サイトに使用するシステムを最新のものにしておく必要があります。
まとめ
今はウェブで重要なものを含め、たくさんの情報が提供されています。
障がいをもつ方、高齢者の方に関わらず、すべての人が情報を得やすいようにサイトを作り変えていきましょう。
サイトがウェブアクセシビリティに対応できているかどうか、無料でチェックできるシステムもありますので、ぜひご活用ください。
参考
※Googleが無料で提供しているウェブアクセシビリティチェックアプリです。