2024.10.02

身体障がいとは?幅広い定義と種類、影響など解説!

身体障がいは、身体の一部または複数の機能に制限や障がいが生じる状態を指します。これにより、日常生活や社会活動に支障をきたすことがあります。身体障がいは、生まれつきのものから事故や病気によって後天的に生じるものまで幅広く、個々の状況によってその影響の程度や必要な支援が異なります。本記事では、身体障がいの定義、種類、原因、影響、そして支援やリハビリテーションの方法について詳しく述べていきます。

 

身体障がいの定義

身体障がいは、身体の機能や構造に問題が生じることで、身体的な動作や活動に制限が生じる状態を指します。具体的には、運動機能や感覚機能、呼吸機能、循環機能などが損なわれることによって、個々の生活や社会活動に支障をきたす場合があります。

 

日本における「身体障がい者福祉法」によると、身体障がい者とは「視覚、聴覚、肢体(手足など)、内部機能に永続的な障がいを持つ者」と定義されています。身体障がいは多様であり、それに伴う困難は、生活のあらゆる側面に影響を及ぼす可能性があります。

 

身体障がいの種類

身体障がいは、大きく以下のいくつかのカテゴリーに分けることができます。それぞれの障がいには、異なる特性や影響があり、必要な支援や適応も異なります。

 

肢体不自由

肢体不自由とは、手足や体幹の運動機能に制限が生じる障がいを指します。これには、以下のような状態が含まれます。

 

  • 四肢麻痺:全身、または上下肢の麻痺により、自発的な運動が困難となる状態です。脳や脊髄の損傷、脳卒中、筋ジストロフィーなどが原因となります。
  • 片麻痺:体の片側の上肢および下肢に麻痺が生じる状態で、主に脳卒中や脳の損傷によって引き起こされます。
  • 脳性麻痺:出生前後に脳が損傷を受けることで、運動機能に障がいが生じる状態です。通常、発達初期に見られます。

肢体不自由は、移動や自己管理、日常生活の遂行に影響を与え、車椅子や補助具の使用が必要となることが多いです。

 

視覚障がい

視覚障がいは、視力や視野に著しい障がいがある場合を指します。視覚障がいの程度は、全盲(全く視力がない)から弱視(視力や視野が部分的に損なわれている)までさまざまです。原因としては、先天的なものや加齢、病気(例えば緑内障や白内障)、事故による損傷が挙げられます。

 

視覚障がいは、移動や物を扱う能力に影響を与えるだけでなく、情報の取得や他者とのコミュニケーションにも大きな影響を及ぼします。視覚に頼る作業が困難になるため、点字や音声支援、ガイドヘルパーのサポートが求められることがあります。

 

聴覚障がい

聴覚障がいは、音を聞き取る能力が制限される状態を指します。これには、難聴や全く音が聞こえない状態(全聾)が含まれます。聴覚障がいは、日常生活において他者とのコミュニケーションに大きな影響を与えるため、手話や補聴器、筆談などのコミュニケーション手段が必要となることがあります。

 

聴覚障がいは先天的な場合もあれば、加齢や外傷、感染症によって後天的に発生することもあります。また、両耳に障がいがある場合や、片耳のみ障がいがある場合など、聴覚障がいの形態は多岐にわたります。

 

内部障がい

内部障がいとは、心臓や呼吸器、腎臓、肝臓などの臓器や身体の機能に障がいが生じる状態を指します。これらの障がいは、外見からはわかりにくい場合が多く、本人が抱える苦しみが見えにくいため、「見えない障がい」として知られています。

 

  • 心臓機能障がい:心不全や心筋梗塞などにより、心臓のポンプ機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態です。
  • 呼吸器機能障がい:肺や気道の機能が損なわれることで、呼吸が困難になる状態です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫などが代表的です。
  • 腎臓機能障がい:腎不全などにより、老廃物を排出する機能が低下し、透析治療が必要となる場合があります。

内部障がいを持つ人々は、体力が低下しやすかったり、急激に体調が悪化するリスクがあるため、定期的な医療的ケアや生活環境の配慮が必要です。

 

言語・咀嚼機能障がい

言語障がいや咀嚼機能の障がいは、話すことや食べることに影響を与える障がいです。これには、発声が困難な状態や、声帯の異常、口や舌の筋肉の機能低下などが含まれます。

 

  • 言語障がい:言葉を発する能力や理解する能力に障がいが生じ、コミュニケーションが困難になる状態です。脳卒中や脳外傷によって引き起こされる失語症などが該当します。
  • 嚥下障がい:食物や液体を飲み込む能力が低下する状態です。高齢者や神経筋疾患を持つ人々に多く見られ、栄養補給や生命維持に影響を与えることがあります。

 

身体障がいの原因

身体障がいの原因は、先天的なものから後天的なものまで多岐にわたります。主な原因としては、以下のものが挙げられます。

 

先天的要因

先天性の身体障がいは、遺伝的要因や妊娠中の環境要因、出生時のトラブルなどによって引き起こされます。たとえば、遺伝子異常や胎児期における感染症、母体の栄養不足などが原因となることがあります。

 

  • 先天性心疾患:胎児期に心臓の構造が正しく形成されないことで、出生時に心臓機能に問題が生じます。
  • 脳性麻痺:出生前または出生時の脳へのダメージによって、運動機能に障がいが生じる状態です。

 

後天的要因

後天的な身体障がいは、事故や病気、加齢による身体機能の低下などが原因となります。例えば、自動車事故やスポーツ事故による外傷、脳卒中や心筋梗塞などの病気、そして加齢による骨や筋肉の衰えが原因で障がいが発生することがあります。

 

  • 脳卒中:脳内の血管が詰まる(脳梗塞)または破裂する(脳出血)ことで、脳に酸素や栄養が供給されず、運動機能や感覚機能に障がいが生じることがあります。
  • 脊髄損傷:交通事故や転倒によって脊髄が損傷されると、脳と体の各部分をつなぐ神経の信号が遮断され、運動機能や感覚機能が失われることがあります。損傷部位によっては、四肢麻痺や半身麻痺などが生じ、日常生活に大きな支障をきたします。

身体障がいの影響

身体障がいは、個人の身体的な機能だけでなく、精神的、社会的な側面にも多大な影響を与えます。障がいの程度や種類に応じて、影響の範囲や深刻さは異なりますが、以下のような主な影響が考えられます。

 

身体的な影響

身体障がいは、移動や自己管理、食事、入浴、排泄といった日常生活において基本的な動作を制限します。これにより、身体介助やリハビリテーション、補助具の使用が必要となることが多いです。また、障がいの種類によっては、日常的に痛みや不快感を伴うこともあります。

 

例えば、脊髄損傷を負った人は、車椅子の使用が必要になり、身体の一部の感覚がなくなることで、感染症や褥瘡(床ずれ)のリスクが高まることがあります。また、視覚障がいを持つ人は、目に頼らずに生活するための技術や補助機器を駆使する必要があるため、身体的な負担が増すことがあります。

 

精神的な影響

身体障がいは、自己評価やメンタルヘルスにも大きな影響を与えることがあります。特に後天的に障がいを負った人は、事故や病気による突然の身体機能の喪失に対して心理的なショックを受けることが多く、うつ病や不安障がいを引き起こすリスクが高まります。また、身体障がいによって日常生活の制約を感じたり、周囲からの偏見や差別に直面することで、孤立感や無力感を抱くことがあります。

 

こうした精神的な影響を軽減するためには、心理的サポートやカウンセリング、ピアサポートグループなどの支援が重要です。特に、障がいを持つ人が自尊感情を維持し、社会に積極的に参加できるような環境作りが求められます。

 

社会的な影響

身体障がいは、社会的な活動や仕事、教育機会にも影響を与えます。障がい者雇用促進法などにより、障がいを持つ人々の雇用が法的に保護されていますが、実際には職場での環境調整が不十分であったり、就労機会が限られていることが多いです。また、物理的なバリアフリーの不足や、情報取得のための支援が不十分である場合、教育機関や公共施設での活動が制限されることもあります。

 

社会的な理解不足や偏見も、身体障がいを持つ人々が社会に参加する上での大きな障壁となります。これに対処するためには、啓発活動や教育プログラムを通じて、障がいに対する理解を深め、平等な機会を提供する社会の実現が必要です。

 

身体障がいへの支援

身体障がいを持つ人々が自立した生活を送るためには、適切な支援が不可欠です。支援は、医療的なアプローチだけでなく、社会的な支援、リハビリテーション、テクノロジーを駆使した補助具の提供など、多岐にわたります。

 

医療的支援

身体障がいの原因や症状に応じて、適切な医療的ケアが提供されることが重要です。例えば、脊髄損傷や脳卒中などの後天的な障がいには、早期のリハビリテーションや手術が必要となる場合があります。また、慢性的な痛みや筋肉のこわばりを軽減するために、理学療法や薬物療法が行われることもあります。

 

また、視覚障がいや聴覚障がいに対しては、適切な診断や補助器具の提供が行われることで、日常生活が改善されることがあります。医療機関との連携を通じて、個々の障がいに応じたケアを受けることが不可欠です。

 

リハビリテーション

リハビリテーションは、身体障がいを持つ人が失った機能を回復し、日常生活を改善するための重要なプロセスです。リハビリテーションには、運動療法や作業療法、言語療法など、さまざまな種類があり、個々の障がいの程度や種類に応じてプログラムが組まれます。

 

例えば、脳卒中後の片麻痺を持つ人に対しては、筋力の回復やバランスの改善を目指した運動療法が行われ、日常生活における動作を再びできるように訓練されます。また、言語障がいを持つ人には、コミュニケーション能力の回復を目指した言語療法が提供されます。

 

補助具の利用

身体障がいを持つ人々の生活の質を向上させるために、補助具や適応技術の使用が不可欠です。車椅子や義肢、補聴器、白杖など、個々の障がいに応じた補助具が提供されることで、日常生活の中での自立が支援されます。

 

また、近年ではテクノロジーの発展により、人工知能やロボット技術を活用した補助具も開発されています。例えば、パワードスーツと呼ばれる外骨格型の装置を使って、身体機能が低下した人が歩行や持ち上げ動作をサポートすることが可能になっています。こうした技術は、身体障がいを持つ人々がより自由に動き回り、自立した生活を送るための大きな助けとなります。

 

法的支援と社会保障

日本においては、身体障がい者手帳制度や障がい者総合支援法、障がい者雇用促進法など、障がい者を支援するための法的枠組みが整備されています。これにより、身体障がいを持つ人々が福祉サービスや医療費の助成、雇用における優遇措置などを受けられるようになっています。

 

また、公共交通機関や公共施設におけるバリアフリー化が進められており、物理的な障がいを取り除くためのインフラ整備が行われています。しかし、これらの制度や施策が実際にどの程度機能しているかについては、地域や分野によって差があるため、さらなる改善が求められています。

 

身体障がいの予防

すべての身体障がいが予防可能であるわけではありませんが、後天的な障がいに関しては、いくつかの対策によってリスクを軽減することが可能です。例えば、事故による外傷を防ぐための安全対策や、脳卒中や心臓病の予防を目的とした健康管理が重要です。

 

また、高齢者における転倒事故や骨折を防ぐための運動療法や環境改善も、身体障がいの予防に役立ちます。定期的な健康チェックや適切な生活習慣を維持することで、身体機能の低下を防ぎ、長期的な健康を保つことが期待されます。

まとめ

身体障がいは、身体の機能に制限が生じる状態であり、個人の生活に多大な影響を及ぼします。障がいの種類や程度によって、必要な支援やアプローチは異なりますが、医療的なケアやリハビリテーション、補助具の利用などによって、障がいを持つ人々の生活の質を向上させることが可能です。

 

また、社会的な理解と支援の拡充が不可欠であり、法的な保護やバリアフリーの整備を通じて、平等な社会参加が実現されることが望まれます。障がいを持つ人々が自立し、尊厳を持って生活できる社会を築くためには、個人だけでなく、社会全体での取り組みが求められます。

 


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