障がい児施設や支援の種類とは?お子様の状況に合わせた利用方法や支援の特徴
お子様の状況やニーズに合わせたサービスを受けたいとお考えではありませんか?
- 発達に偏りや遅れがある未就学のお子様に対し、専門的な支援をお求めの方はいらっしゃいませんか?
- 小中高生の児童が放課後に安心して過ごせる学童保育のような場所をお探しの保護者様はいませんか?
- 身体障がいなどをお持ちのお子様に対する、休日や長期休暇中のサポートを検討されている方はいませんか?
上記のようなニーズをお持ちの方には、障がい児等を対象とした支援やサービスがご利用いただけます。
施設や支援の一覧
障がい児等が利用できる支援やサービスは、児童福祉法に定められているものと、障がい者総合支援法に定められているものに分かれています。児童福祉法による施設や支援は、障がい児を対象としています。又、療育手帳や身体障がい者手帳の有無を問わず、支援の必要性がある児童も対象となります。
障がい者総合支援法による支援は、障がい児だけでなく、成人も対象です。市区町村から障がい支援区分の認定を受けた後に、サービス開始となります。
様々な施設
日中に利用できる障がい児通所施設は、未就学児を対象とした児童発達支援(センター型も含む)と医療型児童発達支援(センター型も含む)があります。就学児を対象とした通所系の障がい児施設は、放課後等デイサービスと呼ばれるものがあります。授業を終えた後や、土日祝日、夏休み等の長期休業日に利用できます。
都道府県管轄の入所系施設は、福祉型障がい児入所施設と医療型障がい児入所施設があります。訪問系の障がい児支援は、有資格者等が自宅等へ訪ねる居宅訪問型児童発達支援と、幼稚園や保育所等へ訪問する保育所等訪問支援があります。
- ご自宅で入浴介助を受けたい場合は、居宅介護が利用できます。
- 視覚障がいに該当する方のサポートとして、同行援護があります。
- 知的障がい等に該当する方の外出サポートとして、移動支援があります。
- 急用等で子供を預かってもらいたい場合は、短期入所が利用できます。
その他、各地域で提供しているサービスが異なります。詳細は、市区町村のホームページや担当窓口をご確認下さい。
施設や支援をおこなっている事業所の総数(目安)
※令和元年7月に請求が発生した事業所数より(国民健康保険団体連合会において報酬支払を行った実績)
- 児童発達支援:6,649か所
- 医療型児童発達支援:93か所
- 放課後等デイサービス:13,901か所
- 居宅訪問型児童発達支援:49か所
- 保育所等訪問支援:810か所
- 障がい児入所支援:182か所
- 医療型障がい児入所支援:191か所
- 障がい児相談支援:4,862か所
- 居宅介護:20,014か所
- 同行援護:5,964か所
- 行動援護:1,762か所
- 重度障がい者等包括支援:8か所
- 短期入所:4,982か所
- 計画相談支援:8,442か所
補足:保育所等や放課後学童クラブにおける障がい児の受入状況
- 障がい児保育:17,595か所
- 医療的ケア児の保育受入:329か所
- 放課後学童クラブの障がい児受入:13,648か所(全クラブ数の約56%)
※平成29年調べ
児童福祉法の障がい児施設等
児童発達支援
発達に遅れのある子供や障がい児等に向けて、指導・訓練を提供している施設です。指導する内容は、日常生活に必要な基本的動作や知識技能、集団生活への適応です。
- 対象:未就学児童。
- 支援領域:健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性。
※各施設は、ホームページ等で【自己評価・保護者評価】を公表しています。
新設になるほど厳しい基準を通過している
児童発達支援の施設環境は、設立時期で異なります。新設になるほど厳しい基準を通過しているので、より整備されている傾向です。職員配置は、児童指導員・保育士だけでなく、理学療法士等の機能訓練をおこなう職員が増加しています。今後は、専門職の割合が増えるはずです。
支援内容は、幼稚園・保育所と類似した包括的なアプローチを実施している施設があります。一方、専門的な支援を導入している所も多くなっています。課題のひとつに利用時間の差が挙げられており、サービス提供時間を1時間としている施設がある反面、6時間まで利用可能な所もあります。
バス等での送迎は、民間運営型よりも市区町村運営型の方が、送迎をしている傾向です。利用形態は、低月齢児の場合は母子同伴が多く、月齢が高い児童は母子分離を導入している傾向です。
医療型児童発達支援
医療ケアやリハビリ等を必要とする障がい児に向けて、指導・訓練・治療を提供している施設です。指導する内容は、日常生活に必要な基本的動作や知識技能、集団生活への適応です。
- 対象:未就学児童。
※各施設は、ホームページ等で【自己評価・保護者評価】を公表しています。
サービス提供時間は4~5時間
医療型児童発達支援は、理学療法士等による機能訓練や、看護師による医療的管理下での支援を必要とする障がい児が利用しています。サービス提供時間は、4~5時間を設定している施設が多いです。
支援内容は、幼稚園・保育所と類似した活動に加え、機能訓練、給食提供を含めた摂食指導等となります。利用ニーズは多い反面、設立・運営が難しいことから身近な地域に施設が無い課題を抱えています。
利用形態は、保護者同伴としている施設があります。同伴の利用として、保護者さんの知識や技能の向上、相談場所の確保が考えられます。一方、保護者さんの視点に立つと、児童と過ごす時間が継続される為、分離が望まれています。
放課後等デイサービス
放課後や夏休み等の時間に、生活能力向上のための訓練等を提供し、自立を促進するとともに放課後等の居場所づくりを推進している施設です。
- 対象:就学している児童 ※条件等により満20歳まで利用可能。
- 活動内容:自立への活動、創作活動、作業活動、地域交流、余暇の提供等。
※各施設は、ホームページ等で【自己評価・保護者評価】を公表しています。
利用対象は小学生から高校生まで
放課後等デイサービスは、受け入れ人数を1日10人定員としている施設が大半です。利用対象は、小学生から高校生までです。但し、小学生のみや中高生限定と、独自に定めている施設もあります。
支援内容は、自立に向けた生活動作や移動等の支援、社会性を広げる為の集団による遊び等をしています。又、おやつ、余暇を取り入れている所が多いです。
長期休業日等の支援内容として、公的交通機関や商店等を利用した社会技能訓練、教員免許保有者による学習指導、公園や体育館等での遊びの提供、情緒安定の場となる余暇等を実施しています。又、将来の就労に向けた作業訓練や、清掃やプログラミング等の技能を学べる所もあります。2012年の制度改正以降、比較的容易に申請できることも重なり、設立数が爆発的に増えました。一方、サービスや運営が不適切な施設も見受けます。
居宅訪問型児童発達支援
外出が著しく困難な障がい児等の居宅を訪問して、発達支援をおこないます。提供内容は、児童発達支援、又は放課後等デイサービスと同様です。訪問頻度の目安は、週2回としています。
- 対象:重度の障がい等により、障がい児通所支援を利用するために外出することが著しく困難な児童。
居宅訪問型児童発達支援は、2018年に新設されたサービスで、実施事業所数はまだ少ないです。障がい児等の特性を考えると【看護+訓練+保育】の技能を持った支援者が適任です。しかし、その数は非常に限られており、育成にも時間がかかります。
サービス提供時間は2時間程です。支援内容は、利用児の障がい特性を考慮し、視覚や聴覚を使っての活動が実践されています。
保育所等訪問支援
障がい児が通う保育所等を訪問して、集団生活の適応に向けた支援をおこないます。支援の種類は、本人に対する直接支援と、訪問先の職員に助言をする間接支援があります。訪問回数の目安は、2週間に1回程度です。
- 対象:保育所や幼稚園等に通っている児童、通う予定がある児童。
- 訪問先:保育所、幼稚園、認定こども園、 小学校、特別支援学校、乳児院、児童養護施設等。
保育所等訪問支援の利用は、増加傾向にあります。但し、運営者が質の高い訪問員(心理指導者や作業療法士等)を確保しづらいのが現状です。
ガイドラインが考える支援の目安は、子供の観察や直接関わる時間を1~2時間、訪問先職員との協議を1時間としています。幼稚園等に派遣される巡回相談員と異なる点は、お子さんへの直接支援が可能なことです。
福祉型障がい児入所施設
施設入所している障がい児へ、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与をおこないます。
- 対象:身体・知的・精神の障がいに該当する児童 ※条件等により満20歳まで利用可能。
医療型障がい児入所施設
施設に入所、又は指定医療機関に入院している障がい児に対して、保護、日常生活の指導及び知識技能の付与並びに治療をおこないます。
- 対象:知的障がい児、肢体不自由児、重症心身障がい児 ※条件等により満20歳まで利用可能。
障がい児入所施設への入所理由は「親の養育能力や疾病・入院、障がい、経済的理由による養育困難」「虐待、その恐れがあるため家庭分離が望ましい」「離婚・死別により家庭での養育困難」となっています。
また、児童の状況面による入所理由として「日生活動作・生活習慣の訓練や支援が必要」「行動上の問題から家庭対応が困難でその改善が必要」等が挙げられています。長期入所に関しては、賛否があります。しかし入所は、多様な理由が重なった結果であり、本人とご家族の決断が尊重されるべきです。
障がい児相談支援
障がい児相談支援は、相談と利用計画作成を請け負う支援です。各サービスの利用(支給)が決定される前に「障がい児支援利用計画案」を作成します。各サービスの利用決定後は、サービス提供事業者と連絡調整等をおこない「障がい児支援利用計画」を作成します。
各サービスを使いたい時は、市区町村の窓口に申請をして利用が決定されます。その際に、相談等を受けて利用計画案を作成するのが障がい児相談支援です。
- 補足:市区町村への申請とは別に、相談支援を実施している事業所と面談等が必要です。
- サービス利用の決定:市区町村
- 相談と利用計画作成:障がい児相談支援
- 実際にサービスを実施:児童発達支援や放課後等デイサービス等
分かりづらい点として【相談と利用計画作成をする事業所】と【実際にサービスを実施する事業所】は別々です。どの事業所を選択するかは、利用する方が決められます。
障がい者総合支援法の障がい児支援等
居宅介護
自宅で入浴・排泄・食事の介護及び、調理・洗濯・掃除等の家事や生活に関する相談、助言、援助をおこないます。
同行援護
視覚障がいにより、移動に著しい困難がある人に同行し、外出時の支援をおこないます。内容は、移動時の情報提供(代筆・代読を含む)、移動の援護、必要な援助等になります。
行動援護
自己判断能力に困難のある人が行動する時に、危険を回避するために援護、外出時における移動中の介護、食事・排泄の介護、必要な援助等をおこないます。
重度障がい者等包括支援
常時介護を必要とし意思疎通に著しい支障がある人のうち、寝たきり状態にある者や行動上の著しい困難のある者に対して、複数サービスを提供する等により包括的な支援をおこないます。
短期入所
自宅で介護をおこなう人が病気等になった場合に、夜間を含めた短期間の入所支援をおこないます。
移動支援
屋外での移動が困難な者について、外出のための支援をおこないます。
- 支援形態:個別的支援が必要な者に対するマンツーマンによる個別型、複数の者への同時支援によるグループ型、福祉バス等車両の巡回による送迎支援による車両移送型があります。
日常生活用具給付等
日常生活上の便宜を図るために、日常生活用具を給付又は貸与します。
- 日常生活用具の種目:介護・訓練支援用具、 自立生活支援用具、在宅療養等支援用具、情報・意思疎通支援用具、排泄管理支援用具、居宅生活動作補助用具(住宅改修費)
その他
日中一時支援、訪問入浴サービス等。※各市区町村でサービスが異なり、地域のニーズに沿ったサービスを提供しています。
計画相談支援
障がい福祉サービス等の申請に係る支給決定前に、サービス等利用計画案を作成し、支給決定後に、サービス事業者等との連絡調整等をおこなうとともに、サービス等利用計画の作成をおこないます。
支援やサービスの利用手順
手順の流れ
- 相談・申請:市区町村の窓口に、使いたいサービスを相談・申請します。
- 調査:面接をして、心身の状況や支援の必要性が把握されます。障がい者総合支援法の利用については「障がい支援区分の認定」を受けます。
- 支給決定:児童の状況、保護者の意向、利用計画案等を踏まえてサービスの支給が決定されます。
- サービス利用の開始:サービスを提供する事業所と契約し、サービスの利用が開始されます。
※児童福祉法、障がい者総合支援法で流れが若干異なります。
障がい児施設や支援の有効な利用方法
未就学の時期は相談機能が充実している施設
障がい児等に該当する子供の子育ては、保護者さん一人で抱えるべきではありません。未就学児が利用できる児童発達支援は、保護者さんに向けて具体的な助言がおこなえます。信頼できる施設は、具体的な方針を打ち出しているだけでなく、保護者さんや利用希望者等に対する相談機能が充実しています。
- 充実した相談機能:お子さんの発達状態を教えてくれる。施設がおこなえる支援を説明してくれる。子供への関わり方を助言してくれる。他施設の情報、障がい児支援施策の情報を提供してくれる。保護者さんの話を聞いてくれる。
学齢期以降は包括的なサービスを
施設運営をおこなっている事業所の中には、多数のサービスを実施している法人があります。仮に「放課後等デイサービス」と「移動支援」のサービスを、同じ法人で利用したいと考えた場合、情報共有が円滑となるので、お子さんに適した配慮や環境を整えやすいです。
又、利用者側がサービスの追加を検討する際、相談を受けた運営側は、多様なサービスの提案や空き状況を伝えることが可能です。
お子さんの自立に向けて
同世代との関わりは、障がい児においても意味深いです。遊び相手に留まらず、同じ立場の友達を得たりと、心のよりどころになります。
発達障がいや身体障がい等に該当するお子さん達は、友達ができづらいことを幼児期は漠然と感じ、学齢期以降は真剣に悩むケースがあります。学校生活内で満たされない場合は、放課後等の場において関係作りが求められます。
障がい者総合支援法のサービスは、家族以外からサポートを得ることとなるので、他者との関係を築く社会的自立に繋がります。又、家族以外に信頼できる大人がいることは、お子さんの価値観に好影響を与えます。
ご家族の負担を減らす
未就学期よりも学齢期に、多くのサポートを必要とする障がい児がいます。その場合、ご家族の負担は大きくなるので、遠慮せずサービスを申請して下さい。お子さんが身体障がいに該当する場合は、入浴介助等のサービスを受けて、保護者さん自身の身体的負担を軽減しましょう。
ご兄弟やご姉妹がいる場合は、誰か一人を優先し続けることはできません。ご家庭に適したサービスを使って、時間を確保する手段も当然の権利です。
市区町村の窓口に必要性を伝える
各サービスを利用する際、月の利用日数・利用時間に相当する「支給量」が決定されます。支給量は、ご家族のニーズやお子さんの状態等を加味して決まりますが、不足する場合は担当窓口と交渉して下さい。
支給量の上限は、市区町村毎で方針を定めているかもしれません。しかし、あくまでも方針であって、緊急性が高いケースでは、追加支給の検討対象となります。お子さんが強度行動障がい等に該当する場合は、ご家庭のみで解決をはからず、必要な助けを得て下さい。
空き状況を確認する
実際にサービスをおこなう施設や事業所は、利用定員に対して空きを確保しておりません。むしろ、空きが多いと収益が減るので、定員ギリギリまで受けているのが実情です。障がい者総合支援法によるサービスの多くは、障がい児1名に対して、支援者1名が対応します。事業者の多くは、必要な支援者が確保できず、ニーズに応えられない現状があります。利用を検討する時は、数か月前から市区町村や施設・事業所に問い合わせをして、空き状況等を確認して下さい。
まとめ
お子様の発達や生活に合わせた支援を受けることで、家族全体の生活の質を向上させることができます。お困りの際は、市区町村の窓口や各支援施設にご相談ください。安心して過ごせる環境を整えるため、適切なサポートを受けましょう。
参考
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