2024.06.12

大人の発達障がいとは?

発達障がいといえば子どものうちに見つかるものだと思われがちですが、実際には大人になってから気づくケースも少なくありません。この記事では、大人の発達障がいの特徴や種類、そしてそれに対処するための方法について詳しく探っていきます。自分自身の特性を理解し、生きづらさを解消する一歩を踏み出しましょう。

 

職場などで自分で気づくことも多い大人の発達障がい

「単純なミスを繰り返す」、「職場によく遅刻する」、「人間関係がうまくいかないことが多い」――

そんな悩みや生きづらさ問題は、発達障がいが原因かもしれません。発達障がいは、子どものうちに見つけられるものだと思われがちですが、じつは大人になってから気づくケースも意外と多いことを知っていますか?

 

発達障がいは脳の特性が原因で起こる

生まれつき持っている脳の性質や働き方、その後の発達の仕方に偏りがあることで起こる言語や行動、情緒などの特性を「発達障がい」といいます。

発達障がいには、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障がい/限局性学習症(LD/SLD)の大きく3つのタイプがあります。

 

発達障がいの主な種類と特性

発達障がいの種類や特性の現れ方・程度には、個人差があるのが特徴です。ひとつの種類・特性だけが現れる人もいれば、いくつかの種類・特性が重なって現れる人もいます。また、発達障がいの特性があっても日常生活や仕事などで支障がない場合もあれば、さまざまな困難を抱えて生きづらさを感じる場合もあります。

 

最近では、発達障がいのことを「神経発達症」とよぶこともあります。

神経発達症には、発達障がいのほかに、知的能力障がい、コミュニケーション症群、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

 

発達障がいの種類

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)は、発達障害の一種であり、主に不注意、多動性、衝動性の3つの特性を持つことが特徴です。これらの特性がどのように現れるかは個人差があり、以下のように分類されます。

 

不注意

  • 注意を持続させることが難しく、細かいことに気を配ることができません。そのため、仕事や日常生活でのミスが頻発します。
  • 指示に従うことが困難で、計画を立てて実行することが苦手です。
  • 整理整頓が苦手で、必要なものをなくしやすいという傾向があります。

 

多動性

  • 落ち着きがなく、座っているべき場面でも動き回ってしまいます。
  • 会話中にじっとしていることができず、常に動いている状態です。
  • 過度におしゃべりになることが多く、周囲の人々にとって迷惑に感じられることもあります。

 

衝動性

  • 考える前に行動してしまうため、結果的に問題行動を引き起こすことが多いです。
  • 他人の会話をさえぎったり、順番を待てなかったりします。
  • 短期的な満足を優先し、長期的な結果を考慮できないことがあります。

 

ADHDの特性は、不注意と多動性・衝動性が両方ある場合と、どちらか一方が中心に現れる場合があります。また、これらの特性が日常生活や仕事にどの程度の影響を及ぼすかは人によって異なります。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)は、発達障害の一つで、人とのコミュニケーションや社会的な相互作用に関して困難を伴う特性を持ちます。この症状は以下のような形で現れます。

 

コミュニケーションの困難

  • 言葉や視線、表情、身振りなどを用いたやりとりが苦手です。
  • 自分の気持ちをうまく伝えることができなかったり、相手の気持ちを読み取ることが難しかったりします。
  • 会話のキャッチボールが苦手で、一方的に話し続けたり、適切なタイミングで話を終えることができません。

 

社会的な相互作用の困難

  • 社会的なルールや慣習を理解することが難しいため、周囲の人との関係がうまく築けないことがあります。
  • 遊びや活動において他人と協力することが苦手で、独自のやり方に固執することがあります。

 

行動の特異性

  • 特定の興味や活動に強いこだわりを持ち、その分野に異常に集中します。
  • 繰り返しの行動やルーティンを好み、変化に対して強い抵抗を示します。

 

ASDの特性は個人によって大きく異なり、軽度から重度まで様々です。そのため、適切な支援や対処法が必要です。

 

学習障害/限局性学習症(LD/SLD)

学習障害(LD)、あるいは限局性学習症(SLD)は、特定の学習分野において困難を示す発達障害です。知的障害とは異なり、全体的な知能には問題がありませんが、以下のような特定の学習行為において支障が生じます。

 

読みの障害(ディスレクシア)

  • 読む速度が遅く、正確に読むことが困難です。
  • 文字の認識や音との結びつけに苦労し、読むことが非常に疲れます。

 

書きの障害(ディスグラフィア)

  • 文字を書く際に手先の動きが不器用で、文字が読みづらくなります。
  • 文法やスペルのミスが頻繁に起こります。

 

計算の障害(ディスカリキュリア)

  • 数字や計算に対する理解が乏しく、基本的な算数の概念を理解するのが難しいです。
  • 計算手順を覚えることが困難で、計算ミスが多発します。

 

学習障害は、特定の学習行為に限定されるため、その分野以外では普通に生活できる場合も多いです。しかし、学校や職場での学習や業務に支障をきたすことが多く、適切な支援が必要です。 

 

個人の努力だけで解決することは困難

発達障がいは、脳の特性によって生じるものなので、個人の努力だけで解決することは困難です。しかし、脳機能の特性は目に見えないため、他者との違いを感じながらもご自身が発達障がいであることに気づかないまま、悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

生きづらさを感じている方は、まず身近な人や専門家、行政などに相談してみると、新たな発見があるかもしれません。

 

生きづらさで気づく「大人の発達障がい」

発達障がいは生まれながらのものなので、“大人になってから発達障がいになる”というわけではありません。多くの場合、発達障がいのそれぞれの特性は子どものころから現れます。

ところが、なかには子どものころにはあまり問題視されなかった特性が、進学や就職などの環境の変化やストレスの影響で表面化するようになり、大人になってから発達障がいに気づく人も。

「もしかして、自分は他の人とは少し違うかも?」

たとえば、就職先の仕事が自分の特性に合わず、失敗を繰り返したり、周囲の人と同じようにコミュニケーションがとれなかったりすることが続くなど、社会生活のなかで「もしかして、自分は他の人とは少し違うかも?」と気づくことがあります。

 

また、大人になると、社会的に守らなければならないルールが増えます。そのため、仕事でミスを繰り返していると「やる気がない」、「能力不足」などと周囲から誤解されたり、コミュニケーションがうまくとれないと「空気が読めない人」などと敬遠されたりすることも。

そうした仕事や人間関係のストレスから自己評価が低くなり、うつ病やパニック障がいなどを発症してしまうケースもあります。このような発達障がいの特性から生じるうつ病やパニック障がいなどの精神疾患を「二次障がい」といいます。

 

苦手なことをカバーしながら得意なことを活かす

もし、失敗の繰り返しや人間関係のつまずきが多くて生きづらさを感じていたり、「自分は他の人と何かが違うのかも」、「自分は発達障がいかもしれない・・・」と悩んでいるなら、身近な専門相談窓口や医療機関に相談してみては?

相談することで、専門家や行政による就労・医療に関する支援を受けたり、さまざまな生活上の工夫の仕方を知ることができ、“苦手なことをカバーしながら得意なことを活かす”という前向きな可能性が広がります。

 

また、発達障がいのセルフチェックも自分への理解を深めるために役に立ちます。発達障がいとどのように向き合っていくことができるのか、まずは知識を広げてみてはいかがでしょうか。

大人の発達障がいナビ「発達障がい セルフチェック

 

二次障がいが生じる前に対処を

発達障がいのある方は、脳の特性に応じて、得意なことと苦手なことがはっきりしている傾向にあり、苦手なことを解決できないことが生きづらさに繋がっている可能性もあります。

 

発達障がいに気づけなかったり、気づいていてもそれを隠し、周りに合わせようと過度な努力を続けたりすると、周囲の理解を得る機会のないまま周囲と衝突し誤解されてしまったり、苦労や悩みを抱え込んで二次的にうつ病やパニック障がい、適応障がい、依存症などを発症してしまう場合もあります。二次障がいが生じると、そちらばかりが注目され、根本的な原因である発達障がいへの気付きや対処がさらに遅れてしまうおそれもあります。

 

発達障がいに早めに気づき、生活上の工夫を行ったり支援を活用したりしながら、発達障がいによる生きづらさをコントロールすることが重要です。まずは簡易なセルフチェックで発達障がいの可能性を確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

大人の発達障がいは、目に見えない脳の特性によって引き起こされるもので、日常生活や職場での困難に繋がることがあります。重要なのは、自己理解を深め、適切な支援を受けることです。失敗や人間関係の問題に直面し、「自分は他の人と違うのかも」と感じたなら、専門の相談窓口や医療機関に相談してみましょう。

専門家の支援を受けることで、発達障がいに対する理解が深まり、生活の質を向上させる方法を見つけることができます。自分の特性を知り、前向きに生きるための第一歩として、発達障がいのセルフチェックを試してみてください。支援を受けながら、自分らしく生きる道を見つけましょう。

 

参考

大人の発達障がいとは


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