障がいの種類ってどのくらいあるの?身体・知的・精神の3種類:身体障がいPart2
身体障がい者は、外見からでも判断できる場合もありますが、他の障がいについてはその特徴や分類がなかなか理解しづらいものです。
聴覚と平衡機能の障がいについての配慮と理解は、多様性と包摂の原則に基づく社会の重要な側面です。障がい者への配慮は、彼らが社会参加を果たし、自己実現を図るための支援を提供することを目指します。
聴覚と平衡機能の障がいについて
聴覚障がいの種類
聴覚障がいは、原因となる病変が聴覚組織のどこで起こっているかによって、以下の3つに分類されます。
- 伝音性難聴
外耳から中耳にかけての障がいによる難聴です。補聴器の活用などで会話できることが多いです。
- 混合性難聴
伝音性と感音性の両方の原因による難聴です。
- 感音性難聴
内耳から聴神経、脳に至るまでの障がいによる難聴です。音が歪んで聞こえるため、大声で話されると余計に言葉が認識できなくなります。
特に感音性難聴は、話し声を大きくすることで解決できるものではないため、配慮が必要です。
聴覚障がいの程度
聴覚障がいの程度には、以下のような分類があります。
- 軽度:紙に鉛筆で文字を書く音や、静かな会話などが聞こえにくい
- 中度:普段の会話が聞こえにくい
- 高度:大きな声でも聞こえにくい
- ろう:耳元の大きな声でも聞こえにくく、日常会話が聞こえない
これらの程度に応じて、補聴器や聴導犬などの補助具を活用して聴覚情報を補うことがあります。
聴覚障がいのアイデンティティ
聴覚障がい者には以下の3つのアイデンティティがあり、それぞれ異なるコミュニケーション手段が求められます。
■ ろう者
- 先天性の障がいなどにより、音声言語を習得する前に聴覚障がいを負った
- 手話を主に利用する
■ 中途失聴者
- 音声言語を習得した後に後天性の障がいで聴覚障がいを負った
- 手話、読唇、筆談、パソコンやスマホのチャット機能などを組み合わせて利用する
■ 難聴者
- 障がいの発覚時期や程度に関わらず、手話や筆談ではなく、残存する聴覚を使ったコミュニケーションを望むことがある
それぞれの個人がどのようなコミュニケーション手段を望んでいるかを尊重し、適切な配慮を行うことが重要です。
平衡機能障がいについて
平衡機能障がいの症状は様々ですが、一般的な症状は以下の通りです。
■平衡機能障がいの症状
- 頭や足元がふらつく、めまいや不快感を感じる
- 話しにくい、飲み込みにくい
通常、人間の体は目からの情報、両耳の内耳感覚、足底の感覚などを脳に送り、その情報を統合して体の動きを調整しています。しかし、耳や脳の疾患によってこの指令が正常に伝達されなくなると、平衡機能障がいが生じます。
個々の症状や程度は人それぞれ異なるため、その人の状態について丁寧に聞くことが重要です。
聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイント
聴覚または平衡機能障がい者への配慮ポイントは以下の通りです。
■ 感音性難聴の場合
- むやみに大声で話しかけない
- 電話対応を避ける
■ 補聴器を利用している場合
- できるだけゆっくりと明瞭に話す
- 複数の人が会話する際は、発言者が手を上げてから話し始める
- 顔が隠れないようにする(資料やマスクなど)
- 電話対応を避ける
■ 片側の聴力だけ極度に低い場合
- 聞こえが良い方に移動して話しかける
■ 平衡機能障がいがある場合
- 高所作業や人混みを避け、転倒や転落の危険を避ける
障がいの程度や感じ方は個々に異なるため、配慮する際には相手の状況やニーズに合わせることが重要です。
音声機能・言語機能の障がいの具体例
音声機能・言語機能の障がいに関する具体的な例をご紹介します。
■ 喪失
【音声機能】
- 咽頭の欠損により声を発する能力がない
- 事故やがんなどにより咽頭に外傷が生じ、声を発することができなくなった
【言語機能】
- 生まれつき聴覚障がいがあるため、音声言語を理解できない
- 脳梗塞や脳内出血などの脳血管障がいや交通事故による脳外傷により失語症となり、言語機能が喪失した
■ 障がい
- 音声機能や言語機能が完全に喪失していないが、話す、聞く、読む、書くことに影響がある
音声機能・言語機能の障がい
音声機能・言語機能の障がいは、咽頭の欠損や脳損傷などにより、声や言語を十分に活用できない状態を指します。
音声機能・言語機能の障がいを負うと、音声や言語のみを用いた意志の疎通が困難になります。言語機能の障がいでは、話す、聞く、読む、書くことに影響が出るため、会話中にわかったふりをするのではなく、その都度聞き返して確認するようにしましょう。
そしゃく機能の障がい
そしゃく機能の障がいは、食べ物を口から摂取するために欠かせない機能に影響を及ぼします。
喪失の例としては、重症筋無力症などの神経・筋疾患によりそしゃくできなくなったり、延髄機能障がいや末梢神経障がいによってもそしゃくが困難になる場合があります。また、外傷や腫瘍切除などによって顎や口腔、咽頭の欠損が生じると、そしゃく機能も影響を受けることがあります。
障がいがある場合、経管栄養や特定の食事形態に依存することが一般的です。例えば、口からの摂取が難しい場合は経管栄養が必要となることがあります。
また、咬合異常による口唇や口蓋裂などの先天異常の後遺症も、そしゃく機能に影響を与える可能性があります。そしゃく機能の障がいを持つ人々には、食事や栄養摂取の方法に配慮する必要があります。
音声機能、言語機能、またはそしゃく機能の障がい者への配慮ポイント
障がいを持つ人々に対する配慮は、その個々のニーズに応じて柔軟に対応することが重要です。以下はその一例です。
■音声機能、言語機能の障がい
- 筆談やパソコン、スマートフォンのチャット機能を活用する。
- 大きな声でゆっくりと話しかけ、理解を助ける。
- コミュニケーション中には、その都度聞き返しや確認を心がける。
- 電話応対を避け、代替手段を提供する。
■そしゃく機能の障がい
- 定期的な通院を容易にし、治療の継続をサポートする。
- 経管栄養の摂取時間とスペースを確保し、安心して食事を摂れる環境を整える。
- 職場のイベントや飲み会などの機会も含め、社交的な活動に参加できるような配慮をする。
これらの配慮ポイントは、障がい者がより快適に生活できるようにサポートするためのガイドラインです。それぞれの状況に応じて柔軟に対応し、個々のニーズを最大限に考慮することが大切です。
肢体不自由
肢体不自由は、手や足、体幹などの一部または全部に障がいがある状態を指します。以下にその種類と、それに伴う日常生活の困難な動作を挙げてみましょう。
肢体不自由の種類
■上肢不自由、下肢不自由
- 全廃:機能を喪失した状態(欠損や切断など)
- 著障:機能に著しい障がいがある状態
- 軽障:機能に軽度の障がいがある状態
■体幹不自由
- 体幹の運動や姿勢維持に関する機能障がいがある状態(脊髄損傷など)
■脳原性運動機能障がい
- 乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障がい(脳性麻痺など)
- 肢体不自由の障がい者は、車椅子の利用が一般的であり、日常生活の多くの動作が困難です。
■日常生活の困難な動作
- 立ち上がること
- 歩行すること
- 座ること
- 食事をすること
- 着替えること
- 物を持ち運ぶこと
- 字を書くこと
これらの動作は肢体不自由の障がい者にとって、日常生活を送る上での重要な挑戦となります。
肢体不自由の障がい者への配慮ポイント
肢体不自由の障がい者に対する配慮ポイントは、彼らが日常生活や仕事をより快適に行えるように配慮することが重要です。以下はその例です。
- 車椅子が通れる十分な通路スペースを確保する。
- 入口や室内の段差を解消し、バリアフリーにする。
- 車椅子に座ったまま仕事ができるように、机の高さを調節する。
- 棚の上や床面に物を置くのが難しいため、必要な物は手が届く範囲に置く。
- 一定の体温を維持するのが難しい場合、冷暖房が適温かどうかを確認する。
肢体不自由の障がい者の立場になって職場環境を見直し、彼らが自己実現しやすい環境を整えることが求められます。バリアフリーな環境を整えることで、障がい者も仕事や社会活動に積極的に参加できるよう支援しましょう。
まとめ
障がい者に対する配慮は、そのニーズや個々の状況に応じて柔軟に対応することが欠かせません。肢体不自由の障がい者への配慮や聴覚・平衡機能の障がい者への理解を深めることで、彼らが自分らしい生活を送り、社会参加を果たすことを支援しましょう。
参考