就労移行支援の利用期間2年は不安。2年以上受けるには?不安をへらす就労移行支援の選び方
就労移行支援の利用期間2年は不安。2年以上受けるには?不安をへらす就労移行支援の選び方
一般企業で働くのに不安を感じて就労移行支援を知ったけれど、就労移行支援を利用できるのは2年。2年で働けるようになるのか、2年以上経つともう二度と使えないのか、いろいろ不安に感じる方も多いでしょう。就労移行支援を2年以上利用することはできるのか、2年間の不安をへらす就労移行支援事業所のえらび方をご紹介します。
就労移行支援は2年しか受けられないのはなぜ?2年以上利用するには?
就労移行支援を2年以上利用することは原則不可です。一度利用をやめて数年経って再度利用したときも、就労移行支援事業所を別の事業所に変えたときも、利用した期間は原則リセットされません。
なぜ「一生のうち2年間」の利用期間が定められているのか。「2年間」に科学的な理由はありませんが、明確な目標や期間がないと就職する意欲がへってしまうためだと考えられます。
審査が通れば期間を延長できる
就労移行支援は、自治体の判断で1年間延長できる場合があります。コロナが原因で、1回以上延長できるようにした自治体もあります。
自治体によって、期間を延長できるかどうかの審査は異なります。
- 「延長すれば就労できる」という見込み・根拠がある
- 引っ越しで前にいた就労移行支援事業所を利用できなくなった
- 前に利用していた就労移行支援事業所とまったく異なる作業を学ぶ
以上の場合、延長を認められることがあります。
訓練の進捗状況、就職を予定している時期などを、根拠として自治体に提示する必要があります。
また引っ越しで別の就労移行支援事業所を利用しなくてはいけなくなったときは、延長を認めたり、自治体によっては期間をリセットして2年間利用できるようにするところもあります。
②利用期間の延長申請に必要な書類を準備する
③市区町村の福祉課で延長を申請する
④市区町村が延長するかどうか審査をおこなう
期間を延長できない場合はどうなる?
利用期間の延長が認められないとき、就労移行支援事業所からは「就労継続支援事業所」をすすめられるケースが多いです。
就労継続支援事業所は①A型②B型の2種類あり、どちらかをえらぶ必要があります。
・雇用契約があるので出勤に関して一定のルールがある
・賃金ではなく成果物で工賃が支払われる
・自分の体調に合わせて無理ないペースで働ける
2年経っても就職できない…就労移行支援が合わない?
就労移行支援事業所を利用しても就職できない方には、以下のような傾向があります。
- 就労移行支援を利用すれば必ず就職できると思っている
- 急な休みや遅刻が多い
- 志望職種を限定しすぎている
急な休みや遅刻が多い方を就職させるのはむずかしいので、急な休みや遅刻がへるまでは就職活動を止められる可能性があります。
また「この仕事だけ」と志望職種を限定しすぎている方は、良い求人を見つけることができず、就職できないこともあります。
あくまで就労移行支援はサポートなので、本人の働く意欲が強くないと、良い求人に出会えなかったり、面接で落とされたりします。チャンスを逃さないように、本人の積極性も大切です。
・週5日安定して通所できている
・企業実習も問題なく参加できている
このような状況でも、就職活動を止められる場合は、疑っていいでしょう。 担当医師や家族などに相談してみてください。思い込みで相談するのではなく、就労移行支援事業所の職員に言われた理由をそのまま伝えるようにしましょう。その事業所が悪い可能性もありますし、または自分で気づかなかったことを知れる可能性もあります。
2年の利用期間では不安。不安をなくすための就労移行支援の選び方
2年経っても就職できないかもしれない不安をへらすためには、最初の就労移行支援えらびが重要です。また、余裕のある状況かどうか。精神的、経済的にも余裕がないと不安や焦りが生まれます。
経済状況に余裕はあるか
就労移行支援事業所を利用している間は、働くことはもちろん、アルバイトも禁止しているところが多いです。さらに就労移行支援事業所からは給与が支払われません。
就労移行支援事業所の利用料は、生活保護受給者や非課税世帯は無料で利用できますが、その他の方は利用料が発生します。
「半年で就職しよう」「半年なら貯金で大丈夫」だと思っても、半年で就職できないおそれはあります。
利用中に無職・無給で生活できるか、一部の方は利用料を払っていけるかどうか。一人暮らしには厳しいかもしれません。
就労移行支援の活動内容が希望に合っているか
就労移行支援事業所は多種多様なサービスを展開しています。
- ビジネスマナーを身につけビジネススキルを上げる
- 資格取得を中心にサポートする
- クリエイティブな仕事の専門知識やスキルを強化する など
また知的障害、精神障害、発達障害など障がいを専門に支援する事業所もあります。
(知的・精神・身体すべてに対応している事業所は、知的障害者に合わせてカリキュラムがつくられているところもあるので、人によってはカリキュラムのレベルが低いと感じるかもしれません。)
その就労移行支援事業所の活動内容やカリキュラム・レベルが、自分の希望と合っているかどうか、しっかり確かめましょう。
就労移行率・職場定着率
就労移行支援事業所には、利用者の就労移行率、その後の職場定着率を公表しているところがあります。webサイトなどに公表していない場合は、就労移行率・職場定着率について、スタッフに聞いてみましょう。
就労移行率・職場定着率が高いところはそのぶん、カリキュラムが充実していたり、支援員のサポートの質が良かったりするので、大事な判断材料になります。
通いやすい距離
就労移行支援事業所に通いやすい距離かどうかも大切です。通うのに時間がかかったり、手間がかかったりすると、精神または身体に障がいをもつ方には大きく影響します。
また公共交通機関をつかって通う必要があるときは、実際にその就労移行支援事業所に一人で行ってみて、バスや電車の混み具合を知ることもおすすめします。
事業所やスタッフ・利用者の雰囲気
就労移行支援事業所は、一般企業と同じく、週5日通勤する感覚を身につけるための場でもあります。
カリキュラムが合っていても、スタッフに不信感があったり、利用者との仲が悪くなったりするとストレスになり、通うことがむずかしくなります。
またスタッフを疑う状況になれば、就職への不安が大きくなり、自身の障がいが悪化したり退所したりすることも考えられます。
必ず事前に見学や体験をして、事業所やスタッフ・利用者の雰囲気なども自分に合っているかチェックしましょう。
まとめ
就労移行支援事業所は、場合によっては、2年以上の延長が可能です。けれど、先延ばしにしても、年を経るごとに就職への不安が増しますし、経済的に苦しくなる可能性があります。
理想は2年以内に良い就職先を見つけ、安定して働けるようになることです。そのために最初の就労移行支援事業所えらびが重要になります。
情報収集をしっかりおこない、必ず見学や体験をしましょう。
参考
就労移行支援は本当に生涯2年までなのか - 成年者向けコラム | 障害者ドットコム