最近の障がい者雇用の状況は?障がい者の働き方・仕事探しのポイント
最近の障がい者雇用の状況は?障がい者の働き方・仕事探しのポイント
障がい者の法定雇用率が引き上げられ、さらに合理的配慮の義務化がすすむなど、障がい者雇用を促進する動きが高まっています。これから就労しようと考えている障がい者の方へ、最近の障がい者雇用の状況や、障がい者の働き方、仕事探しのポイントを解説します。
最近の障がい者雇用の状況は?
昨年12月に厚生労働省より、「令和3年 障がい者雇用状況の集計結果」が発表されました。こちらのデータをもとに、最近の障がい者雇用の状況や、産業別・障がい者雇用人数をまとめました。
障がい者雇用率は過去最高を更新中
出典:令和2年 障害者雇用状況の集計結果 から作成
実雇用率、雇用されている障がい者の数は年々伸びており、令和3年度も過去最高を記録しました。とくに精神障がい者や知的障がい者の割合が著しく伸びています。
産業別・障がい者雇用人数は?
産業別の障がい者雇用人数は、全体的に「製造業」や「卸売業、小売業」が多くなっています。次いで、「医療、福祉」分野の伸び率が高く、障がい者雇用がすすんでいます。
逆に、「鉱業、採石業、砂利採取業」や「農林漁業」「電気・ガス・熱供給・水道業」は、全体的に障がい者の労働者数が少ないという結果でした。
また身体、知的、精神など障がいごとに、障がい者のが多く雇用された業種を以下にまとめました。
身体障がいの方が多く雇用された業種
1位 製造業 100,011.5人
2位 卸売業,小売業 45,417.0人
3位 医療,福祉 44,307.0人
知的障がいの方が多く雇用された業種
1位 製造業 38,911.5人
2位 卸売業、小売業 27,548.5人
3位 医療、福祉 23,595.0人
精神障がいの方が多く雇用された業種
1位 医療、福祉 20,201.5人
2位 製造業 17,958.0人
3位 卸売業・小売業 15,807.0人
障がい者の働き方は?一般企業?福祉就労?
障がい者の働き方は、一般企業に就労するか、または福祉的なサポートを受けながら就労するかをえらぶことになります。一般企業に就職する場合は、障がいのことをオープンにして就職する場合と、障がいを隠して就職する場合があります。
オープン就労
オープン就労とは、障がいがあることを企業に公開した状態で就職活動をすることです。
障がい者雇用枠をねらって就職する場合と、障がいがあることを公開しながら一般の人たちと同じ枠で就職活動をする、二つのパターンがあります。しかし、オープン就労される方のほとんどは、障がい者雇用枠で就職活動をされています。
オープン就労のメリットは、障がいに配慮された環境で働くことができる点です。障がいのことを知られているので、障がいの症状についても相談しやすくなっています。デメリットは、障がい者雇用のほうが賃金が少なく、キャリアアップもしにくいことです。さらに求人数が少なく、選択肢がへってしまうのもデメリットでしょう。
クローズ就労
クローズ就労とは、障がいのことを企業やまわりに公表せず、一般の人たちと同じように働くことです。クローズ就労のメリットは、障がい者雇用よりも賃金が高い傾向があること、求人数が多く、さまざまな業種で働くことが期待できる点です。
デメリットは、まわりに障がいを隠していることがバレるのではないかと不安を感じること、障がいに関する配慮を受けられにくいことです。通院や服薬のタイミングも管理しづらくなるため、ある程度症状がおさまっており、自分で体調の管理ができるかどうかがクローズ就労をえらぶポイントになります。
福祉的就労
一般企業で就労するのは不安だという方は、福祉的就労をえらぶと良いでしょう。
障がい者支援のサービスの一つで、福祉的なサポートを受けながら就労できる場所です。
福祉的就労には、「就労継続支援A型」や「就労継続支援B型」があります。
また、一般企業への就労をサポートする「就労移行支援」を利用するのもおすすめです。
福祉的就労のおもな特徴
福祉的就労ができる就労継続支援A型、B型にはそれぞれ仕事内容や雇用形態などに違いがあります。
就労継続支援A
就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結び、一定の支援を受けながら就労することができます。対象は、障がいにより一般企業での就労がむずかしい、18歳以上65歳未満の方です。
仕事内容は、カフェスタッフや、事務作業、工場作業などになります。
就労継続支援A型は雇用契約を結ぶため、最低賃金額以上の給料がもらえます。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、年齢や症状などで雇用契約を結ぶことができない方が支援を受けながら働くことができる施設です。
対象は、障がいによりA型の仕事内容がむずかしい方、一般企業での就労がむずかしい方です。年齢制限はありません。
作業内容は簡単な軽作業が多く、短時間から就労することが可能です。雇用契約を結ばないので、仕事をしたぶんの成果報酬として「工賃」が利用者に支払われます。
障がい者の仕事探しのポイント
障がい者の方が仕事を探すために利用できるものは以下になります。
- ハローワーク
- 地域障がい者職業センター
- 障がい者就労支援センター
- 障がい者向け就職・転職エージェント
障がい者の方が仕事を探すときに大事なポイントは、自分の症状を把握しておくこと、企業側がどれぐらい障がいに配慮してもらえるかを知ることです。
自分の症状を把握しておく
精神障がいや発達障がいの場合は、自分の症状や、症状を悪化させる環境や原因はなにかを把握しておきましょう。そして、症状がある上でどのようにしたら働いていけるかを知ることが大切です。企業に「合理的配慮」をお願いするときにも大事な情報になるので、紙などに書き出しておきましょう。
また面接時には、症状を伝えるだけでなく、「症状があるけれどこのようにしたら働くことができます。」というように具体的に伝えましょう。
臨機応変な対応ができるか
精神障がいなどで体調管理が不安な方は、短時間勤務やフレックスタイム制、在宅勤務など、自分の体調に合った働き方かできるかどうかを確認しておきましょう。
まとめ
法定雇用率の引き上げ、合理的配慮の義務化など、国全体で障がい者雇用をすすめる動きが高まっています。障がい者雇用率は伸びており、「医療、福祉」の分野で障がい者雇用が広まりつつあります。
自分の障がいの特徴や症状を把握し、体調管理がむずかしい場合は企業に配慮してもらえるかどうかをしっかり確認して、仕事探しをしましょう。
参考
自分に合った仕事の探し方は?障がいのある方の求人の探し方や、長く働けるための仕事探しのポイント、利用できる支援サービスを解説 | LITALICO仕事ナビ
就労継続支援とは?サービスの内容や、A型・B型の違いについて説明します | LITALICO仕事ナビ
障がい者雇用にはどんな仕事がある?職種や雇用形態について解説|お役立ち情報|障がい者雇用・就職支援の株式会社エスプールプラス