2022.01.12

【2021年12月】福祉の新資格!子ども社会福祉ソーシャルワーカー案・意見まとめ

【2021年12月】福祉の新資格!子ども社会福祉ソーシャルワーカー案・意見まとめ

子どもへの福祉的なサポートが追いついてない現状を受け、子どもや家庭の支援に携わる人材の専門性を高めるために、厚生労働省は新資格「子ども社会福祉ソーシャルワーカー(仮称)」を新設することをすすめています。この「子ども社会福祉ソーシャルワーカー」の設置、取得ルートなどには賛否両論です。

子ども社会福祉ソーシャルワーカーについて、12月時点での案や意見をまとめました。

 

子ども社会福祉ソーシャルワーカーとは?

国は2022年度にまで児童相談所で働く児童福祉司を2千人に増やす計画を立てています。しかし、今の資格では専門性が足りていないこと、人材不足であることが問題となっています。

そこで、「子ども社会福祉ソーシャルワーカー」の新設が検討されました。子ども社会福祉ソーシャルワーカーは、子どもの社会福祉に関して専門性をより高めた資格になります。

子ども社会福祉ソーシャルワーカーの基本的な考えは以下のとおりです。

  • 既存のソーシャルワーカーでは子ども社会福祉分野の学びが不十分のため創設
  • 人材を確保しやすくする
  • 多様な職場でソーシャルワーカーが活躍できるようになる
  • 学生やすでに現場で働いている方が取得できる資格にする
  • 既存のソーシャルワークに関する資格と関連した資格にする

 

社会福祉士の児童福祉分野の学習は、「児童家庭福祉」の1科目だけです。さらに科目の内容は制度の理解が中心なので、実際の子どもの対応には弱い部分があります。

また、児童相談所などで子どもの対応をする「児童福祉士」は、大学または指定の科目を取得するか、養成機関を卒業するかのいずれかを満たしていれば、試験なしで取得できます。そのため専門性が客観的に評価できていません。

こうした背景があり、子ども社会福祉ソーシャルワーカーの新設が検討されました。

子ども社会福祉ソーシャルワーカーのメリットは、児童相談所や自治体が提供する職場以外に、さまざまな分野で効力を発揮し、ソーシャルワーカーの活躍の場を広げることができることです。

 

 

子ども社会福祉ソーシャルワーカー資格取得ルート(案)

子ども社会福祉ソーシャルワーカーの資格を取得できるルートは複数用意されています。

・社会福祉士または精神保健福祉士の有資格者

・こども社会福祉関係で実務経験がある方

・一般大学卒業後養成校を卒業した方

・保育士の実務経験がある方

 

社会福祉士または精神保健福祉士の有資格者

社会福祉士または精神保健福祉士の有資格者は実務経験が2年以上ある方は、研修を受けることが条件となります。

 

既存の資格がなくても実務経験がある方

既存の資格をもっていなくても、自治体や施設で4年以上の実務経験がある方も、研修を受けることが条件となります。

これには、日本社会福祉会や日本精神保健福祉士協会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本ソーシャルワーカー教育学校連盟が「5年程度」とするよう提案をしており、変更されるかもしれません。

 

保育士の実務経験ルートも設ける考え

経過措置として、新たに実務経験4年以上の保育士を対象にしたルートも設ける動きです。

保育士の範囲は、相談援助や保護者対応などの経験をふまえて検討されます。

 

すべての取得ルートに試験を実施する意向

以上すべての取得ルートに加えて、新資格の質を客観的に評価するため、試験を実施する案が示されています。児童福祉法にも位置づけられます。この試験は、新しく設けられる認定機構がおこないます。

 

 

子ども社会福祉ソーシャルワーカー案には賛否両論

子ども社会福祉ソーシャルワーカーについて、設置、資格を取得するための要件などに、さまざまな意見が寄せられています。大きく対立しているのは、子ども社会福祉ソーシャルワーカーを民間資格にするか、国家資格にするか。厚生労働省は「民間資格」にすることを掲示しています。

国家資格派の意見
・国家資格ではないスクールソーシャルワーカーは任用要件になっていない
・多くの虐待事件が起こっており、専門人材がいないのが現状
・国家資格だからこそ待遇改善につながる
・民間資格の場合、新たな資格をつくってもそれに見合う処遇になるのか
・民間資格では目に見える報酬がないのに、資格をとる人がいるのか
・国家資格ではないのに子どもに携わる専門職に必要な資格と法律上、本当に位置づけられるのか
民間資格派の意見
・国家資格の場合、養成にかなりの時間がかかる。今のソーシャルワーカーの力を最大限借りられる資格がよいのではないか
・幅広い知識をもつ人材を求めている
・国家資格に隣接する資格があるのに本当に必要なのか

 

 

子ども社会福祉ソーシャルワーカーは民間資格になる可能性が高い

日本社会福祉会や日本精神保健福祉士協会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本ソーシャルワーカー教育学校連盟も民間資格など職能団体は、すでにある国家資格に、上乗せする民間資格とすることを主張しています。民間資格にすることを賛同する意見のほうが多いため、民間資格になる可能性が高いと考えられます。

 

まとめ

子ども社会福祉ソーシャルワーカーという新しい資格ができることで、より子どもたちへの支援が充実すればよいと考えられますが、資格をつくるよりも職員の待遇などを良くしなければいけないという意見もあります。国家資格にする必要性もあまり感じられないため、民間資格として施行される日が近いでしょう。

 

参考

〈子ども分野の新資格〉福祉専門職議連は民間資格を支持 - 福祉新聞

子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ|厚生労働省

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」案 専門家からは異論:朝日新聞デジタル

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