【令和3年度報酬改定】計画相談支援・障がい児相談支援
【令和3年度報酬改定】計画相談支援・障がい児相談支援
計画相談支援・障がい児相談支援の経営状況は厳しいと指摘されています。そのため計画相談の令和3年度障害福祉サービス報酬改定は、基本報酬を上げたり、加算の要件を緩和したり、新たな評価をつくったりするなど、経営状況を助ける動きがあります。
令和3年度の障害福祉サービス報酬改定のおもな内容をまとめたので、ご参考ください。
計画相談支援・障がい児相談支援の改定内容
計画相談支援・障がい児相談支援の改定内容を以下にまとめました。
・基本報酬の見直し
・加算の見直し
・ピアサポート体制加算の新設
・計画決定月やモニタリング対象月以外の業務を評価
・他機関へのつなぎの支援をおこなったときに評価
・事務負担の軽減
・適切なモニタリング頻度の徹底
基本報酬の見直し
特定事業所加算は廃止され、「機能強化型サービス利用支援費」という基本報酬区分が新設されます。
機能強化型サービス利用支援費・機能強化型継続サービス利用支援費は、特定事業所加算と同じく段階ごとに評価するかたちです。
現行の特定事業所加算Ⅳの「常勤専従の相談支援員を2名以上配置する」という要件を緩和。そして「2人のうち1人以上が常勤専従であること」が算定要件となる「機能強化型サービス利用支援費Ⅳ」、「機能強化型継続サービス利用支援費Ⅳ」が設けられます。
機能強化ⅢやⅣを満たす事業所は基本報酬が大幅にアップします。
それぞれの単位と算定要件は以下になります。
①機能強化型サービス利用支援費(Ⅰ)・・・1864単位/月
特定事業所加算Ⅱの要件を満たすこと。
②機能強化型サービス利用支援費・・・1764単位/月
特定事業所加算Ⅲの要件を満たすこと。
③機能強化型サービス利用支援費・・・1672単位/月
特定事業所加算Ⅳの要件を満たすこと。
④機能強化型サービス利用支援(Ⅳ)・・・1622単位/月
- 専従の相談支援専門員を2名以上配置し、そのうち1名以上が常勤専従かつ相談支援従事者現任研修を修了していること。
- 現行の特定事業所加算Ⅰ・Ⅱのうち以下の要件を満たすこと。
⇒利用者に関する情報やサービス提供の留意事項の伝達などを目的とした会議を定期的に開催すること。
⇒24時間連絡体制を確保しつつ、必要に応じて利用者等の相談に対応す
る体制を整えていること
⇒基幹相談支援センターなどから支援が困難な事例を紹介された場合でも、計画相談支援などを提供すること。
⇒基幹相談支援センターなどが実施する事例検討会などに参加すること。
⇒ 指定特定相談支援事業所は、指定サービス利用支援または継続サービス利用支援を提供する件数が1月間に相談支援専門員1人当たり40件未満であること。
(指定障害児相談支援事業者の指定をあわせて受け、一体的に運営されている場合は、指定障害児相談支援の利用者を含む。)
さらに、常勤専従の相談支援専門員1名配置を必須としたうえで、
・地域生活支援拠点などを構成する、いくつかの指定特定相談支援事業所で人員配置要件が満たされていること
・24時間の連絡体制がしっかりできていること
以上ができていれば、複数の事業所で、機能強化型サービス利用支援費などの算定要件を満たすことができます。
加算の見直し
障害福祉サービスの利用申請から支給決定、利用開始までの期間内に一定の要件を満たした相談支援を提供した事業所への初回加算がアップ。
新規の計画を作成したときに初回加算が算定されていましたが、令和3年度報酬改定からは以下の要件を満たした月にも初回加算が算定されるようになります。
・指定計画相談支援の利用の契約をした月から、サービス等利用計画案を利用者に交付した月までの期間が3か月を超えたとき
・4か月目以降に、月に2回以上、利用者の家(障がい児の場合は居宅に限る)に訪問し、利用者や家族と面接をおこなったとき
上記の要件を満たした月は、その月分の初回加算に相当する額を加えられます。
また「主任相談支援専門員配置加算」が新しく設けられました。事業所に配置された主任相談支援専門員が、従業員へ研修を実施したとき、月に100単位あたえられます。
ピアサポート体制加算の新設
以下の①~④を満たしたとき、ピアサポート加算があたえられるようになります。
ピアサポート体制加算・・・100単位/月
①「障がい者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修)」を修了した管理者またはピアサポーターと協働して支援をおこなう人が、常勤換算方法で0.5人以上いること。
(計画相談支援・障がい児相談支援・自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援を併設しており、併設された事業所の職員を兼務しているときは、勤務先を含む業務時間の合計が0.5人以上であれば算定可能。)
②研修を修了したピアサポーターが、障がい者または障がい者であった、と市町村が認めていること。
③ ①②の要件を満たしていることを公表していること。
④「障がい者ピアサポート研修(基礎研修・専門研修」を修了した管理者などから、事業所のほか従業員へ、ピアサポートに関する研修を年1回以上、おこなっていること。
令和6年度3月31日までは、経過措置として算定要件が緩和されています。
「障がい者ピアサポート研修」でなくても、都道府県や市町村が認めた研修を受けたピアサポーターを配置していれば、要件を満たしている、と認められます。
計画決定月やモニタリング対象月以外の業務を評価
報酬改定から、「集中支援加算」が新設され、計画決定月やモニタリング対象月のほかの業務を評価されるようになります。
集中支援加算・・・300単位/月
以下の3つの要件を満たすと、「集中支援加算」があたえられます。
①障がい福祉サービスの利用者などの希望に応じて利用者の自宅に訪問し、利用者やその家族と月2回以上、面接をおこなったとき
②利用者、障がい福祉サービス事業所などが参加するサービス担当者会議を開いたとき
③病院や企業、保育所、特別支援学校や地方自治体からの希望に応じて、以上の期間が主催する会議へ参加したとき
適切なモニタリング頻度の徹底
利用者へ適切なモニタリングをするため、以下のとおりに対応することが求められます。
・利用者の個性もふまえてモニタリングの回数を決定することや、モニタリング期間の変更手続きを再度広く知らせること。
・利用者それぞれの状況によってはモニタリングの頻度をふやさなくてはいけないことを、例を示して説明すること。
・モニタリング対象月以外の相談支援業務は緊急的、臨時的な取り扱いだということや、たくさん算定が必要な利用者はモニタリングの頻度をあらためて検証しなければいけないことをはっきり示すこと。
他機関へつなぐ支援をおこなったときに評価
事業所が他機関へつなぐ支援をおこなったときに評価するため、居宅介護支援事業所等連携加算の見直しと、障がい児相談支援に「保育・教育等移行支援加算」がつくられました。
計画相談は「居宅介護支援事業所等連携加算」、障がい児相談は「保育・教育等移行連携支援加算」により評価されます。
また単位が変更され、新たな算定要件がつくられました。
・介護保険の居宅介護支援事業者などへの引継ぎ
・障がい福祉サービスの利用が終わり、保育所や特別支援学校、企業、障がい者就業・生活支援センターなどとの引継ぎ
これらに一定の期間がかかる場合、以下の要件を満たすと加算の対象になります。
①該当する月に2回以上、利用者の住む家に訪問し、利用者、家族と面接をおこなった場合
②他機関が主催する会議に参加し、利用者の支援内容を検討したとき
③他機関との連携をするときに、利用者の心身の状況などを文書により情報提供したとき
①②を満たした場合、居宅介護支援事業所等連携加算も、保育・教育等移行支援加算も、月に300単位あたえられることに。
③を満たした場合は、月に100単位あたえられます。
ただし算定回数は、障がい福祉サービス利用中は月に2回、利用終了後(6か月以内)は月1回が限度です。
事務負担の軽減
今回の改定では特定事業所加算が廃止され、基本報酬に組み込まれるので、事務負担が軽減されます。
さらに、加算の算定要件となる業務の挙証書類は、基準省令で定める記録(相談支援台帳など)に記載し、保管することで良しとされます。事務負担が大幅にへることが期待できますね。
まとめ
計画相談支援の令和3年度報酬改定では、基本報酬の向上や加算の新設、要件の緩和や事務負担の軽減など、事業所の運営を助けるような改定になりました。
また細かくしっかり評価されることで、利用者の相談支援の質の向上にもつながります。
このほか全サービスに関わる報酬改定の内容は別記事にまとめていますので、ご覧ください。
【令和3年度障害福祉サービス報酬改定】全サービス
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